名も無き傭兵達の戦場 作:狐狐
写真とは、自身の感動を伝える行為だ。実際に赴きその景色を見て、自分はこう感じたぞ。お前はどうだ、と問いかける行為だ。
先生は、そう口煩く言っていた。私が写真の撮り方を教えてくれと頼み込んだあの日から亡くなるまで、ずっと。
今の写真家擬き共は気に食わん。自らは安全な場所に篭もり、ドローンを飛ばして風景を撮る。自身の肌で何も感じずその一面だけを切り取るヘタレばかりだ。
先生はよく、今の一般的な写真家のやり方に愚痴を漏らしていた。自身の体をボロボロにしながら撮ってきたプライド、みたいなものがあったのだろう
写真を撮るのに、技量なんて必要ない。いるのは心の豊かさと、それに従う素直さだけだ。
先生は、私に技術を何も教えてくれなかった。だけど、いちばん大切なことを教えてくれた
写真とは、心を写すものなのだと
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今日も私は心に従い、写真を撮る。向かう先を決め、危険があるならば依頼を出して、現地に向かう
死んだら元も子もないのだ。生きて帰るためなら金なんて惜しまない。先生はその辺も気にしてなかった。だから全身ボロボロになんてなるんだろうに
先生の教えは守りつつ、だけど時には反面教師にしてこれまでやってきた。お陰で写真だけで生きていけているし、ある程度のコネも作れた。今回依頼した相手も、元を辿れば先生のファンだという人だ
惑星センテシア。未だ未踏領域の存在する不思議な星で隠居のように暮らしている傭兵。少し調べたら簡単に出てくるトップランカーの一人
防衛任務は苦手だと聞いてるからかなり不安に感じているが、向かう先はそこまで危険じゃないと聞いている。さらに言えば一番の危険である『黒い鳥』がここ最近目撃情報が無いらしい
本当に、ベストタイミングなのだろう。なにせ、向かいたかったのはV地区ヘリアル荒野の近辺なのだから
準備を整え、いざ向かう。そこに心を震わす何かがあると信じて
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現地に着く。話によれば、現地の傭兵たちからはここは亡霊跡地、なんて呼ばれているらしい
見たことのない機体の残骸。様々な場所に突き刺さっている恐らく巨大な機械のパーツ。どれもがボロボロで、元の形も分からない
だけど、わかることが一つだけある
どの機体も、最後までなにかに抗ったのだろう
どれもこれも、なにかに傷つけられたようにボロボロで。だけどほとんどが、後ろからの傷がない。正面から立ち向かって、力及ばず散っていった証拠
あぁ、なんて。
寂しく、だけど強い意志を感じる場所なんだ。
強い風が吹き、砂埃が舞う。砂がこちらにぶつかっていく。そんな事も気にも止めず、
手に持つカメラのシャッターを切る。
何度も、何度も。自身の心に刻むように。
写った心を撮り続けた
ここは、名も無き傭兵達の戦場。
つわものどもが、夢の跡。
しかし未来は刻んでゆく
読んで頂き感謝感激雨霰ぇ!