名も無き傭兵達の戦場   作:狐狐

49 / 66
週3~4くらいに投稿頻度落とします。ごめんなさい
あと今回いつもの4倍の文量あります。そこもごめんなさい。でも耐えてください


二度とやらねぇ

--------------------

 

【MISSION BRIEF】

 

ミッション名:研究所襲撃

依頼主   :サングィス・パルトゥス

前払報酬  :   0 C

成功報酬  :78,000 C

 

非人道的研究を行うクライスの第一研究所を襲撃する。

 

この研究所では、非人道的研究が多数行われていると我らの同朋から情報が入った。我らサングィス・パルトゥスはそれを断じて許すわけにはいかない。

 

君には我らと共に行動し、クズどもを潰す手伝いをして欲しい。大した防衛設備もないという話だ。だがやけになり試作兵器等を出してくる可能性も高い。十分に注意してくれ。

 

【END OF BRIEF】

 

--------------------

 

 今日も今日とて阿呆共の研究の手伝いである。何度も共にしたからわかるが、やはりこいつらは優秀だ。変な意地さえ生まれなければ問題点が次には凡そ直されているし、不可能だった場合もしっかり理由を説明して、こっちを納得させてくる。こいつらが解雇されたりしない理由がよくわかる

 

「今日は何をする?だんだん依頼文が雑になって内容が分からないんだが」

「今日もいつもと変わらないさ。試作フロート脚のテストと、ついでに馬鹿共が作った玩具のテストだ」

 

 遂にあれが玩具だってことを隠すことをやめたな。事実玩具と呼ぶべき代物があまりにも多すぎたからな

 

「同時にやるべきじゃねぇものまでやらされたからな。追加ブースターの試作機付けられた時は正直死ぬかと思ったぞ」

「いやぁ、貴方が優秀すぎてな。ついあれもこれもと頼んでしまう。それに、追加報酬はいつもつけてるだろう?」

「だから文句をあんまり言わねぇんだよ。所詮傭兵、金で雇われてるからな」

 

 そんな話をしていると、突如鳴り響く警報の音。異常事態を知らせる赤いランプが回る

 

『緊急事態です!何者かが研究所を襲撃しに来ました!』

 

 ここを襲撃だと?確かに防衛設備も大して揃って無いが、それははっきり言ってここが機密を殆ど握っていないからだ。本社が手綱を握りきれない者が集まる場所だと聞いているぞここは

 

「心当たりは?」

「あるにはある。そもそもクライスが大きな会社だからそれで狙われた可能性だってあるし、別の研究所の妬みから狙われた可能性もある。だからなんともだ。失礼」

『総員、非常用通路より退避し防護シェルターに迎え。間違っても自分の研究物を持ってこうとしないように』

 

 なんというか手馴れているな。こんなことよくあったのか?

 

「退避が慣れてて不思議かな?研究中の物が暴走したりこういった襲撃があったりするから慣れてるのさ。事実この施設だって私たちが勝手に増築したりしているからね。この辺りは自費だよ」

 

 こいつら本当に自由すぎるな。そんなヤツらが成果を出しているのだからそりゃたまったもんじゃないか

 

「ただ、こうなるとフロートのテストも不可能だな。君を死なせる訳にもいかないしな」

「まぁそうだな。だがなぁ…」

 

 やはりこういったものには、苛立ちが来る。俺の依頼を邪魔しやがって。まぁ、面倒事はごめんだから別にいいかなんて思っていたら

 

『我らはサングィス・パルトゥスである!非人道的研究を行う人間のクズ共め、我らが貴様らを粛清するためにやってきたぞ!今までの行いを悔い我らに殺されろ!それが世界の為である!』

 

 は?カスのテロ組織だと?そんなクズ共に邪魔されたのか

 

「…ククッ、馬鹿にされたものだな」

「どうした?早く逃げるぞ」

「おう、それもいいがよ?」

 

「実戦データ、取ってみねぇか?」

 

 老骨とはいえ現役の傭兵。テメェら如きが邪魔してきやがったこと後悔させてやる

 

───────────────────

 

『ふふ、まさかオペレータの真似事をやらされるとは思いもしなかったな』

『でも所長めっちゃいい機会じゃないですか。データが向こうから来てくれたんすからね!』

『やっちまえー!うちらの子の凄さ見せつけろー!』

 

 うるせぇ…なんでこいつら避難してねぇんだよ。死ぬ可能性十分にあるんだが?

 

『すまないな、これを伝えたら殆どのやつがこっちに来てしまった。敵は10機以上のMTに小型戦闘ヘリ。4脚MTも中に2機ほど混ざってるか?後方にはACも1機いるな。まぁ誰も君が負けると思っていない。頼んだぞ』

『今回の武装も試作品ばっかっすし、未だ武器腕の欠点の変形の遅さも解決してないっす。でも今回は変形しなくていいように背部武装はミサイル類ばっかにしてあるっすよ!こうやって武装で問題を解決する自由度の高さこそACの利点っすよね!』

『武器腕は今回はレーザーカノン!初めて出すやつですけど以前に使ってもらったレーザーライフルとは比べ物にならない威力と反動があるんでそこは気をつけてくださいねー!』

 

 ここしばらく相棒よりも乗ってんだ、感覚はわかる。ならば雑魚と面倒な相手を散らすだけだ

 

「これよりテストを開始する。テメェらちゃんとデータとして活かせよ」

『勿論だとも。テストの開始を許可。派手にやってくれ』『ボコボコにしろー!』『これ録画しとけよ』『もうしてますよ!』『うちらの子の実質晴れ舞台〜!』

 

 ……ほんとにうるせぇな!

 

《システム、キドウ》

 

『貴様たちのこれまでの行いを知っているぞ!無辜の民を犠牲にする研究行うクズ共!我らは死を恐れない!我らの先に真の平和があると信じているからだ!貴様らとは違うのだ!』

 

 この通信はあの重武装の4脚MTからか。武器腕はあいつで試射してやるとして。ミサイルは3連双対と12連垂直、既存の物か。それならばとMTと小型戦闘ヘリをマルチロックし、放つ

 

『やはり現れたな!それに乗せてるのは自身の都合の良いように改造した強化人間だろう!そんな真似をする必要はない!我々は君を助けに来たのだ!』

 

 相手に通信を繋ぎ、言い放つ

 

「随分と高尚な事を言うんだな。全く生きやすそうで羨ましいな。どうせ裏取りもせずに襲撃してきたんだろう?ハッ、正義に酔っただけのヘタレめ。俺の仕事の邪魔してんじゃねぇよ。ほら、てめぇの同胞もう10人以上死んでるぜ?」

『なっ、貴様傭兵か!?ええい、金さえ積まれれば誰であろうと組むクズめが!』

「自分らが傭兵を雇ってるのは棚に上げるか。後ろのACは傭兵だろうに」

『違う!彼は我らの同胞だ!我らに賛同したからこそこの地に立っている!』

 

 随分と都合のいい脳みそをしてやがる。とりあえずチャージせずに雑に一発ぶち込む。いい威力してやがるな

 

『もう一方のMTが狙っている。気をつけてくれ。』

「後方のACは?」

『動き出してるな。ゆっくりだが徐々に距離を詰めている』

「武装や脚部はわかるか?」

『スキャンしてみよう。いやぁこんなこと慣れてなくてすまないな』

「いきなりやらせてるんだ。文句言わねぇよ」

 

 武装もタイプも全て不明か。気をつけて立ち回る必要があるな。機動力は高いが、やはり安定性能と耐久力は低い。地上を高速で這う機体だからな…

 

 後方からアラーム、左に振ったあと右に避けることで偏差射撃を避ける。ついでに周囲の雑魚をミサイルで蹴散らす

 

『我らの同胞を良くも!もう我慢ならん!必ず殺してやる!』

「そんなに叫ぶなよ。顔真っ赤にしてんのが見え見えだぞ」

 

 こいつ、かなり動きが悪いな。それでこの重武装に乗ってるのか。対してもう片方の4脚MTはかなり動きがいい。だがこのままいけば、どちらか片方落としても必ずACとの2対1になるな。ならば動けるほうよりも武装が危険な方を落とすべきだ。まぐれ当たりで死にかねん

 

 武器腕のレーザーをチャージする。と、異変に気付く。EN残量が減ってってやがる…!

 

「クソが、こんな時に欠陥見つけたくなかったんだがなぁ!」

 

 チャージもかなり遅い。だがこれぐらいはしないと3対1にまでなる。それだけはさすがに避けたい…!

 

「幸いなのは、あのやかましいやつの動きが悪いお陰で撃ちゃ当たる事だな…!」

 

 動ける方の攻撃を避けつつ、レーザーキャノンを溜める。動けば動くだけEN残量が減っていく。その間にも喧しい方にミサイルを撃つのは忘れない

 

 少しの焦りを覚えながらも、ようやくチャージが溜まる

 

『くたばれ金の亡者め!』

「くたばるのはテメェだ口だけ」

 

 ABを吹かせて所謂ブーストキック…まぁタンクと同じような突撃だが…を放ち、相手の機体がACS負荷限界を迎える。それと同時にキャノンを放つ。周囲に響く、レーザーキャノン特有の稲妻が走るような轟音

 

『そ、そんな…!嫌だ、死にたく…!』

 

 あっぶねぇ、ENギリギリじゃねぇか。よく持ったな、なんて考えていると前方からアラーム音。咄嗟に横にQBを使う。が、爆風を貰いACS負荷が大幅に溜まる。チッ、グレネードキャノン(EARSHOT)か…!

 

『敵ACは重量2脚、肩部にグレネードキャノンと垂直パルスミサイル。腕部はライフルとレーザーライフルだが…遅かったかね?』

「いいや、腕部武装ともう片方の肩部武装が知れただけ十分だ!あと戻ったらレーザーキャノン酷評してやるから覚悟しろ…!」

『えぇー!そんなぁー!』

 

 相手ACから通信が飛んでくる。どこかで聞いたことのある声だ

 

『見慣れない機体だ…試作機か?壊すの勿体ないな…』

「おう、そう思うなら加減してくれねぇかね?」

『え?マティアスのおっさん!?うへぇ、勝てるかねぇ…』

 

 ぜってぇニヤケながら言ってやがるだろこいつ…!急いで距離を取り、4脚MTへと向かう

 

『いやぁ流石にこれ以上の被害は見逃せないんだよな。依頼失敗になっちまう』

「わかってたさ畜生め…!」

 

 だが、重量2脚なら無理をしないとこちらは追えまい。ACが来た段階でレーザーキャノンのチャージは捨てる。そんなことをしてENを無駄にする余裕は一切ない。敵はあと4脚MTとACのみ。いちばんこれがキツイんだがな…!

 

 1発1発を丁寧に、外さないように狙っていく。あんの4脚MT、ACに合流するように動いてやがる!

 

「させるかよ!」

 

 ミサイルを撃ちながら無理やり突撃して怯ませる。怯んだと同時にレーザーをぶち込んでおまけにもう1発ブーストキックをお見舞いする。同時にENが無くなり、アラーム音が後方から聞こえる。完璧なタイミグで撃って来やがったあいつ!

 

 ACSが負荷限界を迎える。それと同時にカメラに映る4脚MTが爆発する姿

 

『あー、やっちまった。味方倒しちまった…これで以前の借り返したってことでいいすか?』

「はぁ…寧ろ借り作っちまったよ。助かった」

『いやぁ、流石にマティアスのおっさんと今回の依頼主どっち取るかと言うとねぇ。その代わり金の方は…ね?』

「わかってる、送っとくよ」

『その試作機完成楽しみにしてますね〜』

 

 確実に死んでいたが…偶然に助けられたな。顔が広くて助かった

 

「…テスト終了。俺たちの勝利だよ」

『こちらでも確認した、テスト終了。これより全員休憩に入れ。ありがとう、いいデータが取れたよ。追加報酬も送らせてもらうよ』

「そうしてくれ…」

 

 はぁ…試作機、試作武装での出撃なぞ二度とやらねぇからな…

 

ここは、名も無き傭兵達の戦場。

 

新たな火種は、徐々に徐々にと強くなる




読んで頂き感謝感激雨霰ぇ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。