名も無き傭兵達の戦場 作:狐狐
二日ほど前に日間ランキング入っててめちゃくちゃ驚きました!皆さん本当にありがとうございます!!!
あと今回みんな怒らないで!お願いします!
今日は事前に決めていた休息日。依頼もとらず、送ってきそうなところにも事前にメールを送った。緊急ならば他の傭兵を頼れとしっかり記載して
もはや常連と化した飯所で昼を終え、この後何をしようかと街をふらつく。歓楽街へと赴けば、そういうことも出来はするが気分じゃないので繁華街の方へと向かう
ショッピングをする気は無いが、こういった明るい場所を眺めるだけでも気分は変わる。血腥い戦場と基本的には隣り合わせなのだ。平和な光景を見て心を癒すべきだ
そう考えながら練り歩いていれば、ふと声が聞こえてくる
「相棒めっちゃかっこよかった」
「主人公の葛藤もよくなかった?」
「よかった…」
相棒?主人公?何の話をしているんだ?そう考えていると近くには大きな施設。様々な映画の広告があり、映像でも宣伝を行っている
映画館がそこにはあった
なるほど、映画の話をしていたか。何か話題作の新作でも出たのだろうか?
耳をすませば同じ単語が多数聞こえる。相棒、ケルベロス、国家、そしてAC
どうやらはるか過去に存在した、国家を題材としたものだろうか。国家なんてデータでしか見たことがない。企業が下の立場であるなんて考えられない
かなり気になってきたな。それに、仕事道具のACまで出てくるんだ。変な表現をしていたら笑いものにしてやろう
そんなことを考え、映画館へと足を進めた
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映画館で飲み物とチケットコードを買い席に着く。映画の題名は、『CIPHER』と言うらしい。サイファー…数字の0か。一体何を意味してこれなのか、何かの始まる前の話だから0なのか
そうやって思考を回していると気づけば広告は終わり、映画が始まる
『あいつのことか、勿論知っている。話せば長い』
『知っているか?エースは3つに分けられる』
男の独白から、始まった。これはドキュメンタリー風というやつなのだろうか。そもそも戦場においてエースなぞ一部例外を除いて存在しないものだろう、皆等しく命を落とす場所だぞ。こいつの言いぶりだとエースが複数人いるように聞こえる。魔境か?
『君がゼロだな。無数の戦場を渡り歩いた傭兵。我らの国家、ウィシャルを救うため力を貸して欲しい』
『報酬は?』
『君の戦果で全て決まる。出し惜しみはしないとも』
ほう、こいつがゼロ…主人公か。確かに無数の戦場を渡り生きてきたのならば実力者なのはまず間違いないだろう。逃げてばかりの臆病者でなければの話だが
『君のコールサインはケルベロス1だゼロ。ウィシャル軍ケルベロス隊一番機。そして、彼が君の相棒となる』
『フェアリーだ。できると聞いてるぜ?よろしく頼むよケルベロス1』
『あぁ、噂は聞いているぞ、片翼。こちらこそだ』
主人公のゼロが知る人ぞ知る傭兵なら、相方のフェアリーは有名な傭兵なのか。なら何故フェアリーを部隊の一番機にしない?いや、ゼロの方が傭兵歴が長いのか?その辺はよくわからんな
映像は進んでいき、舞台は戦場へと切り替わる
『降ってきたな』
『雪がか?それとも、銃弾か?』
『両方だよケルベロス1』
『こちら基地司令部。作戦エリアに到達したようだな。これより任務を開始する、そちらの方向より来る敵機を撃退してくれ。頼んだぞ』
『ケルベロス1了解』
『ケルベロス2了解。報酬はきっちり用意しとけよ』
『互いが無事ならばな』
『お財布握りしめてまってろよ』
かなり軽快に進んでいく。というより、国家はこうして部隊名をつけ、個人を管理しているのか?企業とやっていることが変わらん…いや、企業が国家を真似ていたのか?その辺は不明だな、一旦置いておこう
フェアリーはかなりお喋りなようだ。だがこれは、自信から来る余裕の表れだろうな。対してゼロはあまり喋らない、かなり無口な男なのだろう。任務に真摯であるとも取れて個人的には好印象だが、好かれるならフェアリーだろうな
『基地司令部からケルベロス隊へ。敵機体の撃退に成功』
『ゼロ、お前とならやれそうだ。よろしく頼む』
『相棒』
『こちらこそ、だ。相棒』
やはり、相棒とはフェアリーの事だったか。まぁそれ以外考えられんしな
『たった一つの国が資源を求めて周辺国に対して始めた戦争、ベルン戦争』
『この戦争には謎が多い。終戦から10年以上経ちやっと一部資料が公開された』
『しかし、それでは足りず様々な情報に手を出した』
『私がそうするのには、理由があった』
『一人の傭兵に関する記述、そこに残された暗号』
『私は、そこに惹かれたのだった』
『その傭兵に会うことは出来なかった。存在自体があやふやだ』
『だが彼と関わりがあった人物数人を突き止めることはできた』
『片翼は、その一人だ』
後の資料まで残るほどの戦果を残した傭兵か。まるでおとぎ話だ。いや、それを楽しむ物語だろう。あまり現実と合わせてはいけない
そうやって、話が進んでいく
『ベルン絶対防衛領域、E9L。通称、円卓』
『俺たちに与えられた舞台。そこには上座も下座もなく、何もかもが関係ない』
『生き残れ』
『それが唯一の規定だった』
『こちらエイワックス。E9Lに侵入し状況を探れ』
『ケルベロス1了解。腕の見せ所か』
『ケルベロス2了解。俺達に似合う場所と任務だ』
『レーダーに敵反応』
『くそ、生き残るぞ』
『お互いにな!』
そんな危険な場所にたったAC二機で侵入だと?無理にも程があるだろう。相手の領域内だぞ?どれだけの援軍が来るかわかったものではない。偵察だとしてももっと考えるべきだ…いや、違う。この嫌な感覚は知っているぞ
『状況を確認』
『こちらグレイド2。相手は二機だ』
『楽しませてもらうとしよう』
『ケルベロス隊、敵部隊確認。撤退は許可できない』
『だろうな、報酬上乗せだ』
『ウィシャルの傭兵、選択を誤ったようだな』
『ここは円卓、死人に口なし』
『その通りだな、相棒!』
激戦を繰り広げ、撃墜していく。主人公達の強さを魅せていく
『作戦司令部より入電』
『連合海上部隊進軍開始。貴隊の活躍に感謝する』
『俺たちは捨て駒だったわけか』
『貧乏くじを引いただけだ、フェアリー』
『よう相棒、まだ生きてるか』
『そちらこそ、生きてて何よりだ』
やはり、捨て駒扱いか。所詮傭兵の扱いはこの程度、映画でもそうなるか。だがこの二機は実力で運命をもぎ取った。笑ってやろうなどと思っていたが、魅入られていく
二人の活躍は、目覚しく
『俺たちの首都が帰ってきた!』
『解放の鐘を鳴らせ!空の奴らにも聞かせてやるんだ!』
『ゼロ、自由を手にする民衆の声が聞こえるか!これが俺たちの戦いだ!』
『誰かのために戦うのも、悪くないな』
初めに、首都を取り返し
『敵超大型兵器、コールブランドの破壊作戦を開始する』
『こちらルク隊3番機パトリック。ケルベロス隊、可能な限り援護する』
『ルト1よりルト3、花束はいつ買いに行くんだ?』
『うかうかしてると彼女が撃墜されちまうかもな!』
『む、無駄話してる場合じゃないでしょ!』
『…たった数機のACが、心強い援軍ね』
『文句を言っても仕方ない。俺たち2機だけよりかはずっとマシだ』
『よう、相棒。奇跡を信じて、味方が盛り上がってる!』
『その奇跡を起こすのが俺達だ。剣を抜くぞ!』
『コールブランドの破壊を確認!全機よくやった!』
『本当にやりやがった!やったのはウィシャルの1番機!』
『ゼロ、歓声が聞こえるか?寄せ集め集団の勝利だ!』
『俺達全員が奇跡を信じたからだよ』
敵の強力な兵器を打ち破り
『緊急出撃命令だ。E9Lで連合軍とベルンによる大規模な戦闘が行われている』
『あそこを抑えるのか?かなり無茶だぞ』
『だが抑えられれば戦争に終止符が打てるかもしれん。やるぞ相棒』
『連合軍統合本部より入電!既に連合軍の戦力は40%を損失!』
『くそ、数が多すぎて手に負えん!』
『増援はまだなのか!』
『よし、花火の中に突っ込むぞ!』
『更に打ち上げてやろう。いくぞ!』
再び危険地帯へ赴いて
『円卓がなんだ、俺がやってやる!』
『援軍が来た?どこの隊だ』
『ケルベロスだ、援軍はケルベロス!』
『剣を抜いたヤツが紛れ込んだ。警戒しろ!』
『全く、随分とモテてるな』
『俺達は俺達の仕事を片付けるまでだ。そうだろ、相棒』
『ジーヴ、考えは決まっただろうな?』
『あんたか…。まだだ、まだその時じゃない』
『アルケミスト1より全機、噂のケルベロス隊だ。よく見ておけ』
『あのウィシャルの傭兵、なんでヤツだ!あいつが全部ひっくり返しやがった!』
『ヤツは悪魔か…!?』
『そんな生易しいものじゃない』
『ああいうのはな、鬼神って言うんだよ』
『鬼神、ね。悪くない』
果てには、恐怖の象徴たる二つ名までも手にする。あぁ確かに、これは誰しもが憧れる
だがそれで終わりでは無い。寧ろ、ここからが本番だった
『ベルンの工業都市を襲撃し、軍需工場を破壊する。諸君らはその支援と施設攻撃を命ずる』
『全弾ばらまけ!全て破壊しろ!』
『あいつらの任務は精密破壊じゃないのか?』
『適当に爆弾を投げてるだけだ…』
『広域破壊を優先している。全てお構い無しだぞ、やつら…』
『作戦完了。全機帰還せよ』
『…くだらない』
『…相棒?』
戦場での個人の思想、復讐心は飛び出していき
『連合軍本部より緊急入電!核を搭載したベルンの爆撃部隊がウィシャルに向かって飛び立った!』
『なんだって!?』
『最後の足掻きなのだろうが、核はダメだろう…!食い止めるぞ!』
『…いっそ全部吹き飛ばしてくれれば、戦争なんて終わるのにな』
『全機撃墜!俺たちにやれない事はない!』
『ざまぁみろ!ベルンのバカヤロウめ!』
『……』
『なんだ、今の光は!?』
『何が起こった!?レーダーがイカれてやがる!』
『ジーヴ、迎えに来たぞ』
『迎えの馬車引きがお前とは、待っているのは地獄か』
『ぐっ…相棒!フェアリー!』
『相棒、俺は……戦う理由を見つけた』
『ケルベロス2がレーダーからロスト!なにがあった!』
『……相棒は、ケルベロス2は帰ってこない!今は生き延びることを考えろ!エイワックス!状況を伝えろ!』
悲惨な戦争は彼らの道を別っていった
物語として、非常に面白くて見応えがある。実際の戦場を知る身ではあるが、物語として見るのが、こんなに楽しいとは。あぁ認めよう。
俺は今、この物語に夢中になっている
『ベルンの残存勢力の排除が今回の任務だ』
『こちらパトリックからケルベロス1へ。これよりケルベロス2として合流する』
『これからは貴方の指揮下に入る。何時でもご命令を』
『わかったよ、パトリック。ようやく頭が3つになったか』
『頭が3つ?でもフェアリーは…』
『わかってる。だが俺の中では2人ともケルベロスだ』
『…そうですね。彼も共に、ですね』
『……あぁ』
『これで戦争は終わる、終わるはずだ…!』
『……戦争は、終わるだろうな』
『国境なき世界を名乗るクーデター組織が巨大ガンシップを奪取。停戦条約締結の都市を襲撃した。全機これを追撃…待て、所属不明機が接近中!全機直ちに出撃しろ!』
『スパロー1よりスパロー2、鬼神を阻止するぞ』
『スパロー2了解。1に続く』
『狙いは俺のようだな、どこでもモテて困るな…!』
『そんな呑気言ってる場合ですか!?』
『ケルベロス隊、大型ガンシップを破壊せよ!』
俺は、この英雄の物語に
『国境なき世界の核発射を阻止する』
『こちらパトリック!ゼロとならできますよ!』
『核は、阻止しなければならん』
『えぇ、あの光景は二度とみたくない…!』
『制御施設の全破壊を確認!』
『やったぞ!もう争い事は終わりだ!』
魅入られているんだ。
そして、最後には
『俺、基地に恋人がいるんですよ』
『戻ったらプロポーズしようと思うんですよ』
『花束も買ってあったりして』
『アンノウン接近中!警告、警告!』
『ッ!うおおおお!』
『…!パトリック!』
『戦う理由は見つかったか?』
『相棒』
『…やはり、ここで戦うんだな。相棒』
相棒との、フェアリーとの戦い
『核サイロの再起動を確認!状況を分析する!それまで持ちこたえろ!』
『了解エイワックス、急いでくれ…!』
『降ってきたか』
『不死身のエースってのは戦場に長くいたやつの過信だ』
『お前の事だよ、相棒』
『俺は一度も、そう思ったことはないがな!』
『ここから境目が見えるか?国境が、国が俺達に何をくれた!?』
『だが国が無ければ俺達は平和に生きることはできない!』
『全てをやり直す、そのための核だ…!』
『暴論だ…やり直す必要なんてないんだ!』
『解析完了!ヤツが核の発射を握っている!ヤツを破壊するには真正面の攻撃しか通らない!今そこで落とせるのは君しかいない!円卓の鬼神、幸運を祈る!』
『あぁ任された…俺が相棒を止めてやるさ…!』
『撃て、臆病者!俺が撃てないのか!』
『ッ…クソっ!』
『うおおおおおおおおっ!』
『撃て!』
なんて素晴らしい物語。涙まで流れるようないい戦場だ。だが、やはり
こんなものは、理想に過ぎない。理想の戦場だ。現実の戦場は、こんなにも甘くないのだから。だが素晴らしい作品だった。誰かに広めるとしようか
ここは、名も無き傭兵達の戦場。
英雄の居場所は、ここには無い
読んで頂き感謝感激雨霰ぇ!