名も無き傭兵達の戦場   作:狐狐

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文字数減りました。だけど以前までのと比べるとやっぱり多くなってます。これくらいの文字数でもいいですかね…?


今この瞬間から君は

 遂に、この時がやってきた。憧れのAC乗りになる時が

 

 今まで沢山学んできた。シミュレータではあるが、実戦に近い状況での動き方も先生に学んだ。大丈夫、自分は戦えるのだ

 

 コネもツテも何も持っていないのに、強がってどこの企業、組織にも所属せず。先生にも頼らなかった結果として、独立傭兵にならざるを得なかったのだが

 

 先生は独立傭兵はやめておけと言い、理由もしっかり説明してくれた。だけど、自身の夢を諦めきれなかったのだ。AC乗りになって、色んな依頼を受けながら星々を回る

 

 この世界で、最も自由な存在。それが独立傭兵だと、僕は思っている。現在のランク1だって独立傭兵だ。完璧に間違ってる訳じゃないだろう

 

 独立傭兵になるのは簡単だ。なにせそうなろう、と決めた瞬間からそうなのだから。だが、それでは仕事が何も入らない。仕事を受けるにしてもコネがなければ成り立たない

 

 そのコネの部分を無くしてくれるものこそが傭兵支援組織、NESTだ。ほとんどの傭兵が、いや傭兵だけではなく、企業所属のAC乗りですら登録している

 

 企業所属のAC乗りがNESTに登録するのは簡単だ。なぜなら既に企業という信用があるから、署名するだけなのだと聞いた

 

 だが、そうではない無所属の人間が登録するにはどうするのか?その答えこそが

 

『よく来てくれた。ここは知っての通りNESTの傭兵試験会場だ』

 

 この、NESTの傭兵試験だ。

 

───────────────────

 

『これより君は、こちらが支給する機体に乗り試験を行う』

『合格条件はただ一つ。生き残ること』

 

 スピーカーから聞こえる声に従い円形のアリーナとも言うべき場所に移動する。そして、今僕の目の前にある機体。中量二脚の、平凡な機体。色も地味な緑色でどこか軍事色を感じる色合いをしている

 

 武装だってシンプルだ。右手には扱いやすいライフル、左手にはレーザーブレードを装備している。右肩には何も装備していないが、左肩には4連ミサイルが積まれている

 

 フレームだって知る限りでは対していいものではない。本当に最低限の装甲しか持っていないはずだ

 

 本当にシンプルで、扱いやすい。悪く言えば取り柄のない機体。それが今、目の前にある

 

『今、君の目の前にある機体。それが君に支給する機体であり、この試験終了後君のものとなる機体だ』

『試験で使用した弾薬費や修理費など全てこちらが払う。何も気にせず扱ってくれ』

『では早速機体に乗り込んでくれ。君が乗り込みシステムを起動した瞬間から試験を始める。幸運を祈る』

 

 この機体が、僕のものになる。僕だけのACになる…!あぁ、興奮が止まらない。だけど、心を落ち着かせて機体に乗り込む

 

 夢にまで見た、ACのパイロットになる。最高の景色だ。おそわったとおりに、ACを起動して、メインシステムを戦闘モードに切り替える

 

《システム、キドウ》

 

 その瞬間に、上から何かが降ってくる。急いで今いる場所から距離をとる

 

 重たい鉄の音が鳴り響く。その姿を落ち着いて確認する

 

 ACではない、だけどそれなりの大きさを持つ同型の機体が2機。これは、中型のMT…?見た事のない機体だ

 

 そんなことを考えていると、その2機はこちらを認識したと思った瞬間に

 

 レーザーを飛ばしてくる。電気が走るような音が聞こえて。観察するのに夢中になっていた僕は避けることができずもろにくらう

 

 嘘だろ!?本当に急に撃ってくるなんて、冗談だろ!死んだらどうするんだ!

 

 そんなことを考えながら急いで機体を動かして、当たらないよう機体を動かす

 

 それでも、MTの射撃は精密で。動き続けてもかなりの頻度で当ててくる

 

 じわじわと、APが削られていく。だけど幸か不幸か、ACS負荷はほとんどかかっていない

 

 慌てるな、慌てるな。実戦形式でやってきただろう。幸い相手は素早くはない。勝てない相手じゃないんだ

 

 何とか落ち着くように自分に言い聞かせて、右手に持つライフルを放つ

 

 だが相手はそれを、特徴的な鳥のような脚を曲げたと思うと高く飛び上がり、そのまま空にいる状態で攻撃してくる

 

 大丈夫、大丈夫だ。ちゃんと動いて、ライフルを撃つ。それをやればいいんだ。余裕を作って、ミサイルも撃つ。それで、ACSの負荷を貯めてブレードで斬る。それでいいんだ

 

 だけど手が震えて、思うように操作ができない

 

 なんで震えるんだよ、今までやってきたことをやるだけだぞ。そんな、怖いことなんて…

 

 モニターに映る、APの値。最初は10000近くあったのに、今ではもう

 

《AP、50%ゲンショウ》

 

 視界で、死が近づいていることを自覚する。してしまう

 

 嫌だ、嫌だ。このままだと、このままだと

 

 確実に、死ぬ。なにか、なにかしないと

 

 そうして、逃げるように機体を動かそうとして。頭の中がぐるぐると勝手に回って

 

 今この状況で逃げてどうするんだ、逃げたとこで何になるんだ

 

 だけど先生は言っていた。生き残ることが最優先だって。なら、この状況で生き残るなら

 

 あいつらを、倒すこと。それが1番の道だ

 

 ずっと地上にいるMTにターゲットを移して、ABで突っ込む。ライフルとミサイルも撃ちながら

 

 MTは空へ逃げようと足を曲げる。その瞬間が、命取りだ!

 

 ブレードを振り、脚部を切り落とす

 

 そうするとMTは呆気なく崩れていく。次は、お前だ…!

 

 ブースターをふかしてジャンプする。至近距離まで持っていこうとすると、MTは途端に着地しようと下に降りていく

 

 ならば、とその動きを利用して上を通り越して後ろに回る。MTは、こちらを一瞬見失っている。そこを利用して、こちらも下に降りて

 

 背中をレーザーブレードで一突きした後、横に振る

 

 2機目のMTも、機能を停止して崩れ落ちていく。こちらの残りのAPは、気づかないうちに30%を切っていた

 

 …はは、やった。やったんだ。生き残ったんだ、俺は、生き残ったんだ!

 

 そうやって、生き延びたことに喜びを感じていると機体に通信が入る

 

『なるほど、それなりの力はあるようだ』

『認めよう、君の力を。今この瞬間から君は、NEST所属の傭兵だ。我らNESTは君を歓迎する』

『様々な組織からの依頼を受け、人類の助けになってくれ』

『以上、試験を終了する』

 

ここは、名も無き傭兵達の戦場。

 

祝え、新たな薪の誕生を




読んで頂き感謝感激雨霰ぇ!
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