名も無き傭兵達の戦場 作:狐狐
父さんと母さんは、いつも忙しそうにしてる。夜遅い時間にしか帰ってこないし、ゆっくり休んでいる姿を見たことがない
兄さん、姉さん達は沢山勉強していい会社にいけるよう頑張ってるし家事も沢山している
弟、妹達も家事のお手伝いを沢山してる。出来ないこともいっぱいあるけど、それでも一生懸命手伝っている
唯一、私だけが
何もしていない、いや
何も、させてくれないのだった
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昔から、何故かそうなのだ。私が何かをする度に兄さん達が現れて
「兄ちゃん/姉ちゃんがやるからね」
なんて言われてやろうとしたことをとられる。最初はいい兄を、姉を持ったんだなって思っていた
でも、月日を重ねれば重ねるほど違和感を覚えるのだ。だっておかしいじゃないか
育ってる私には何もしなくていい、なんて言っておきながら弟達には手伝えって言ってる
常識なんて持ち合わせてないし、みんなと違って学校とかも行かせてもらっていない身だけど、これが変なことだということはわかる
それに一度、父さんに聞いた事がある
「なんで私は学校に行けないの?」
それに父さんは、こう答えた
「お前はそんなところ行く必要がないからだよ」
可笑しいだろう。ならなんで明らかに私より賢い姉さんは学校に行っている?私よりも頭の良くない兄さんが学校に行っている?
なんで私だけが、家に閉じ込められている?
過剰とも言える保護を受けているのは、何故なんだ
私が許される行動はもちろんある。だけどそれは、危険では無い行動のみ。外に行くのも許されてないし、何か欲しいと思ったら必ず兄妹の誰かが買いに行って持ってきている
物心ついた時からずっとこうなのだ。勿論最初は何も変なんて思わなかった。だって私の世界は閉じていたのだから
でも私は、本読んだり新聞を読むのが好きだから、今置かれてる状況がおかしいと気づくことができた。まぁ、それも最近のことだけど
もうわかっているのだ。何をするのも許されないことが
だって、みんなの私を見る目が違うのだから
思わずため息が出る。私は何のために生かされているのだろうか、疑問ばかり浮かぶ。利点なんて何もない、労働力を無駄にする行為じゃないか
そんなことを考えながら、今の時代でも刊行されている数少ない新聞を読む
そうすると、よく目にする彼の機体の字
『ペイルグレアは今どこに?見えない彼に怯える企業達』
ペイルグレア、独立傭兵でありNESTのランク1であるアストラの駆る機体
私の、憧れの人
誰よりも自由な、鳥のような人
私もいつか、彼のようになりたいな
彼みたいに、様々な場所に行きたいな
そんな思いを秘めながら、新聞に写る彼の機体の写真を眺めるのだった
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ある日のことだった。珍しく、非常に珍しく父さんも母さんも休みらしく家にいた
みんなも珍しく、慌ただしくせずに家にいる
なんだろう、何かみんなに話でもあるのだろうか
そう思っていると、父さんから
「こちらに来なさい」
なんて言われたから、部屋に入る
「学校へ通わせる目処が立った」
……今更?そう思って父さんの目を見る。すごく嬉しそうな目をしている
だけどその目は、私を見ていない
「だけどそこは寮で暮らさなければならない」
「行ってくれるな?」
「もう迎えも、すぐそこまで来ている」
あぁ、そういう事か
私はそのために、今まで生かされていたのか
周りを見る。みんな、私のことを見ている
その瞳には、私の姿は映っていない
「うん、学校行けて嬉しい!」
「おぉ、そうか!苦労したかいがあった!楽しく過ごしてきてくれ!」
……はぁ、そんなわけないだろう。無知だと思われてるのか。そうだろうな、そのための幽閉なんだから
呼び鈴が鳴る。言ってた迎えが来たのだろう
結局、私に味方は誰もいなかったんだな
「おぉ、よくぞいらっしゃった。この娘です。よろしくお願いします」
「責任を持ってお預かりします。行きましょうか」
「はい、お願いします!学校楽しみです!」
なんのために今まで生きていたんだろうな、私は
そうして、家のドアは閉じられた
読んで頂き感謝感激雨霰ぇ!