名も無き傭兵達の戦場   作:狐狐

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畳所を失っているのは内緒です


Take a chance

 珍しい複数の傭兵が受注するタイプの依頼を受けた。何やらテロリストがこの街に襲撃を仕掛けるらしいが、本当なのだろうか怪しむ所もある。なんせ凄まじく辺鄙な場所だし、はっきり言って凄まじく荒れている。人が住んでるようには見えないし、到底街とは言えない場所だ

 

 もちろん、そんなことは事前に調べればわかる。別に秘匿もされていない事だから。だが依頼元はここを街と言い張っている。縄張りの主張という意味合いが強いのだろう、とは思う

 

 そんな場所を守れ、と言われたのだ。いや守ると言っても何を守れば?ここにいる傭兵全員が思うだろうし、何故それなりの数の傭兵が集められたのかが分からない。そんなにテロリストの規模が大きいのか?名前も言われなかったから知りようもない

 

 まぁ誰が聞いても怪しい依頼だ。受けるやつも数少ない。それでも自分含めて5人ほど集まった。こんなの受けるやつなんて、よっぽどのバカか、金がないか。それか――

 

 危険を楽しむ破綻者くらいだろう

 

───────────────────

《メインシステム、戦闘モード起動》

 

 任務開始。とりあえずは敵が来るまではやることもないので待機する。俺がいる場所は東方面。俺込み二機で迎え撃つ体制を取っている。俺は隣にいるやつと会話する気も無いので、依頼元の企業からの連絡以外は全てシャットアウトする。さて、何が来るかね

 

『西方面、南方面から敵機確認。MTの群れの中に大型の四脚タイプも混ざっているようだ。徹底的に潰せ』

 

 どうやら、あちらは始まったらしい。羨ましい、早くこちらにも来ないものかね。勝手に動く訳にもいかないので、やはりもどかしく感じてしまう

 

『東方面にも確認した。敵機は……AC一機。二機で鉄屑にしてテロリストに協力したことを後悔させてやれ』

 

 どうやらお出ましのようだ。それにしてもMTも無しとは、舐められているのかなんなのか。まぁ手が足りていないのだろう。パッパと処理をするとしようか。面白くない

 

 なんて思っていたのだがその機体が見えると、俺は口角を上げた

 

 黒を基調とした機体。所々が青色に塗られ、一部分には金色や赤色も見える。黄色いアイカラーを光らせており、そのコアにはヤツを示す四つのスートの入ったカードのようなエムブレム。武装は見えんが、変わりがないならば既にわかっている。ライフル二丁に両肩はミサイルだろう

 

 ランク2、ディーラーの駆る機体『BlackJack(ブラックジャック)』が、こちらに向かってきているのだ

 

 なんたる僥倖か。思わずニヤケが止まらない。隣の雑魚は何やら逃げようとしているがどうだっていい。俺はこういうのを求めて戦場に出続けているのだ。そして、高ランカーを殺すことこそが、最も快感を得る瞬間なのだ。雑魚に邪魔をされる方が溜まったものじゃない

 

 ABを起動し、一気にヤツに近づいていく。確か依頼では周辺の破壊行為で減額なんて言われた気がするがそんなものどうでもいい。今はヤツを殺すことこそが大事なのだ

 

 どうやら、こちらが近づいているのも向こうは気づいたようだ。そして、一定の距離を取るように動き始めた。確かにこちらは重量二脚で、ヤツは軽量二脚。基本速度ではヤツが有利だろう。だが、ABを使っている俺の方がこの瞬間は速い。近づいて、両手の重ショットガン(ZIMMERMAN)をぶち込んでやる

 

 警告が見える。ミサイルを放ってきたのだろうが、そんなもの無視だ、気にせず近づく

 

 警告音が聞こえる。バーストライフル(RANSETSU-RF)のチャージの三連か。流石に回避する……なにか妙だ。距離が縮まらない……?

 

 ブーストが無くなったと同時に、警告音。重リニアライフル(HARRIS)のチャージだな。回避は出来ないのでしょうがない、受けるしかない。

 

 機体に、大きな衝撃が走った

 

 何が起こった!?重リニアのチャージを貰っただけだぞ!?APも大きく減っている、なにが

 

 向こうの機体を見やる。すると見える、三連続で飛んでくる銃弾の数々。バーストライフルだけではない。リニアライフルも、三連射で飛んでくる

 

 ふざっ、ふざけんじゃねぇ!なんだそれは!しかも、両方のチャージ足を止めずに撃ってやがる……!

 

 まずい、このままだと殺すどころじゃねぇ。こっちが殺される!だが、生き残るには、生き残るには……!

 

 目の前の死神を、殺すしかねぇ……!

 

 もう一度、ABを使い近づく。すると、向こうもABで近づいてくるのが見える。はっ、バカが。調子に乗ったか!近づけばこっちのもんだ……!

 

 距離は600m、こんなもん一瞬で近づける!ぶっ殺してやるよインチキ野郎……!距離400、300、200……!?

 

 再び、機体に大きな衝撃。それと同時に大きく減るAP。残るAPは僅かで、アイツはもう目の前で

 

「やめろ、やめてくれ、やめ……!」

 

 向こうが機体で蹴りを振り終わった姿が見えて――

 

───────────────────

 

『見たか!愚かな企業め!この地は我々が占領した!』

『あぁ、貴方か。まさか貴方ほどの方が依頼を受けてくれるとは思わなかった。また頼むこともあるかもしれないが、その時もまた頼む』

 

 その機体は、何も答えずに。

 

 五機の残骸を背に去っていく

 

ここは、名も無き傭兵達の戦場。

 

自身が理不尽と思い込み

 更なる理不尽に飲み込まれた




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