名も無き傭兵達の戦場   作:狐狐

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お久しぶりです。そして遅ればせながらAC6、3周年おめでとうございます


異聞:戦い続ける歓びを

 夢を見ている。不思議な夢だ、見慣れないパーツで構成された、ACに乗っている夢。一つだけじゃない、ぐるぐる、ぐるぐると景色は移り変わっていく。だけど、始まりはいつもこの言葉だった

 

『メインシステム、戦闘モード起動』

 

 だけど終わりは、どれも違う。似たようなものはあったけど、それでも全部が同じではなかった。場所が違う、声が違う。何よりも、何よりも

 

 どれも機体が違ったのだから

 

『俺はついにこいつと一体になった。もう誰も俺を止めることはできない』

『すべては私が作り上げたもの。荒廃した世界を、人類を再生する。それが私の使命』

『生き抜くがよい、◾︎◾︎◾︎◾︎。我らとお前、どちらが果たして正しかったのか。お前にはそれを知る権利と義務がある』

 

 ヒトの超越を果たした存在を打ち破り、一つの悪夢を乗り越えて、鋼の監獄を破壊する。その先にあったものは

 

『我々はいつも過ちを犯す。そうは思わないか』

『我々には管理するものが必要だ。我々は我々だけで生きるべきではないのだ』

『貴方であれば、新たなる次の時代を切り開くはず』

 

 星屑降り注ぐ、暁の新天地。そこに絶対の存在は無く。だが人の過ちを知る者が再び、監獄を求めた。人は未来を求めても、失われた過去が必ず道を塞いだ

 

 それでも人は歩みを止めない。より良き未来を掴むため。より良い日々を求めて

 

 視界は巡る。まだまだ廻る。ぐるぐる、ぐるぐる。人類の罪と、人の栄光を知らせるように

 

 次に見えるその世界には……空は、存在しなかった。それでも人は、歩み続ける。土を掘り進み、明るい陽を目指すように

 

『秩序を打ち壊すことで、何が得られるというのか……行くがいい、そして君が成したことで何を得られるのか、それを見届けるがいい』

『地上への……ゲートロックを……解除……本命令の実行をもって……プログラムの全工程を終了……』

 

 遂には人は地上へ昇り、輝く空をその目にいれる。しかしその先にあったのは、栄光ばかりでは無く。新たな闘争と、侵してはならない領域が立ち塞がった。それでも人は、進み続ける。歩み続ける。まるで、止まることなんて知らないかのように

 

『……ココマデガ、ワタシの役割』

『あとは……あなたの役割』

『……聞こえ、ますか?レイ……』

 

 そのまま視界は黒くなって。またひとつ、終わりを告げる。だが、その声はまるで。自分に語りかけているようだった

 

 再び、視界が開く。今度の場所も、救いがない。企業が星を支配する。それでも人は、争いをやめない。果たして、誰か個人の意志が、何かを変えることはあるのだろうか

 

『排除、排除、排除』

『もう間に合わないのかもしれません。でも……』

『それでも、戦うことだけが我々の生きる道だと』

『我々は信じます』

 

 小さな兵器が、空一面を覆う景色。豪雨のようにそれらが降り注いで……また、視界が移ろいでゆく。そこでは誰しもが必死に生きている。誰もがみんな、足掻いている。そんな中彼に下されるタイムリミット。残されたのは、24時間。それでも

 

『遅かったじゃないか……全ては私のシナリオ通り……』

『ドミナントである私が……私が為すべきことなのだ』

『私はただひたすらに強くあろうとした……そこに私が生きる理由があると信じていた……』

『やっと追い続けたものに、手が届いた気がする……』

 

 誰もが、誰しもが

 

『◾︎◾︎◾︎◾︎……その称号は、お前にこそふさわしい』

 

 生きる為に、戦っていた

 

 ……次に開けたのは、アラタナセカイ。今までの機体なんて比べ物にならない兵器。彼は何故、その機体に乗るのだろう。無茶してまで、無理してまで。乗る必要なんて無いはずなのに

 

『遅かったな……言葉は不要か』

『お前は……折れるなよ……』

『ねぇ、聞こえる?……ありがとう』

 

 わからない、わからない。頭に疑問を浮かべたまま、視界は再び巡る……これは、なんだ。まるで異なる3つの思考。それでも求めるのは変わっていない、不思議な感覚

 

『貴方には、感謝している……嬉しかったよ』

『人類と……共に戦った、ORCAの戦士たちの為に』

『革命など、結局は殺すしかないのさ……だろう?』

 

 この戦いの先へと、答えを求めて。秩序へ、革命へ、そして……人類種の天敵へ

 

 再び視界は、堕ちていく

 

 開けた先は、朽ちた都市。硝煙の匂いに包まれた場所。今までとどこか、雰囲気が違う。それでも、名も無き傭兵たちは戦っている。そこで見たものは、ただひたすらの暴力

 

『……貴方は、恐ろしい人ね。何もかもを焼き尽くす。真っ黒に』

『自らを滅ぼすと知りながらそれでも、争うことを止められない。卑小で、愚かな存在』

 

 恐れと、軽蔑。未来は絶望と破滅しかないかのように。だが

 

『俺はそうは思わん』

『戦いこそが、人間の可能性なのかもしれん』

『証明して見せよう。貴様になら、それが出来るはずだ』

 

 敵対する存在が、希望はあるかのように語る。そして、全く異なる2機は相対し───

 

 視界は落ちて、光が差す

 

 一面の荒野。都市は砂に巻き込まれ、かつての面影は消え去って。空を巨大なヘリがひとつ飛び、その下にはACらしき物が吊り下がっている

 

『〜♪』

『少しは静かにして、ファットマン。仕事する気あるの?』

『マギー。俺はもういつ運び屋を引退するか、最近はそれしか考えてなくてさ』

『じゃあそれは明日にして。今日は仕事がある』

『明日は雨らしい。辞めるのは晴れた日って決めてる』

 

 そんな気軽なやり取りをして、ACが切り離されて戦いが始まる。視界は映って、移って。戦いは巡って、巡って。仲間が敵対して、それでも戦って

 

『マギー、何がお前を駆り立てるんだ』

『昔話をしてあげる。世界が破滅に向かっていた頃の話よ』

 

 そうして語られる昔話。それは恐らく、一つ前の景色の話。だけど、彼女が語るそれはどうしても……今までの全ての映像に、重なって見えた。どうしても切り離せない、思い浮かんでしまう。そうしているうちに、戦いは既に始まっていて

 

『まだよ!私はまだ戦える!!』

『ここが!この戦場が!』

『私の魂の場所よ!』

 

 彼女は自分の居場所を、魂から叫ぶ。肉体は朽ちかけている筈なのに、その声は何故か

 

 とても清々しく、聞こえた

 

 そしてまた1つ、戦場は進んで……不思議と予感する。これが、最後なのだと

 

 空から降り立つ黒い機体。振り撒く緑の粒子。何処か、以前の景色で見たことのある姿。以前の景色で聞いた声

 

『戦いの中にしか、私の存在する場は無い』

『好きに生き、理不尽に死ぬ』

『戦いはいい。私にはそれが必要なんだ』

 

 彼女と同じ答え、異なる理由。それでも自分は……彼女の理由の方が、素晴らしいもののように思えた

 

『黒い鳥、人の中の可能性』

『そんなものは、ただの妄言にすぎない』

『人は、人によって滅びる。それが必然だ』

 

 違う声が、有り得ないものと答えるそれに自分は、今まで見た全ての景色が、それを否定する

 

 黒い鳥(レイヴン)。戦いに優れるものではない、ただ『生きる』もの。自分の視界は、常に彼らの見たものだった

 

 今映る、彼もそう。彼はただ、今を生きる為に戦っている。評決の日なんて関係ない。ただ生きて、生きる為に戦う。それが歓びなのだから

 

 戦いが終わる。やはり彼が勝利して

 

『……だがもし、君が例外だと言うなら』

『ならば生き延びるがいい。君にはその権利と義務がある』

 

『あぁ、生き延びてみせるさ』

『俺たちが、戦い続ける限り』

 

 その言葉を聞いて。視界に赤が広がって

 

───────────────────

 

「……目が覚めたか、621。随分長く眠っていたようだな」

 

 聞きなれた声。見慣れた場所。自分は今、夢を見ていた……?

 

「夢を見た?……そうか。それだけ肉体の機能が、良くなっているのだろう」

 

 そうか。ウォルターが言うなら、そうなのだろう

 

 赤が脳裏に広がり、友人の声が聞こえる

 

『レイヴン?』

 

『どのような夢を見ていたのですか?』

 

 なんだったか。大事なものだった気はするけども、覚えていない

 

『……覚えていない?……そうですか。もし思い出したなら、教えてくださいね』

 

 もし思い出したら、な

 

 ……あぁでも、一つだけ覚えている

 

 戦い続ける、歓びを




これからも、より良き闘争を
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