名も無き傭兵達の戦場 作:狐狐
初めは共に依頼を受けただけの関係だった。
お互い特に言葉もなく、最低限の連絡のみ。
その後、何度も何度も同じ依頼で遭遇して、
お前は俺のストーカーか?などとふざけてきいて。
あんたのストーカーをするぐらいなら、もっと良い奴に対してするよ、なんて返された。
彼女との依頼は、はっきり言ってやりやすかった。
俺は近接、向こうは遠距離。
役割もしっかりわかれてて。
ツッコミがちな俺を冷静になだめてくれて。
戦闘では危ない時をしっかりカバーしてくれる。
正直に言うと、かなり相性のいいコンビだった。
街で出会ったのもたまたまだった。
俺がよく行く、安いバーで飲んでたら。
たまたまあいつが横に座って。
二人でそれなりに話し込んで。
そんなことがあったあとの共同の依頼が終わったあとは、いつも二人で飲み明かして。
お互いの住処でも喋って、飲んで、寝床を共にし重なり合って。
悪くないって、思ってたんだ。
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彼が帰った後に、1人思う。
正直、相性ピッタリで。
依頼の時は、率先して前線に行きこちらに意識が向かないように立ち回る。
たまたま依頼が被った最初の時や、酒が入った時には寡黙なイメージとは違い、軽いジョークも言ったりして。
バーに関してはそんなたまたまあるものか。少しの金を払って、行きつけの店を聞いたのだから。
最初のジョークの通りのことをやったのに、全く気づかず無警戒。
そんなところも少し可愛いと感じてしまい、自分はもう末期なのだと自覚する。
こんな時代、こんな世界で、気に入らないやつを自分の住処に入れるわけないだろう。
あぁ、彼と共に過ごす日々はどれだけ楽しく、幸福なのだろうなんて。
いつかの未来を、夢想する。
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そんな時は来ると思っていた。それでも頭は、この現実を否定する/ああ、遂に来たのだ。勇気を出さなかったツケなんだ。あきらめと共に、覚悟を決める
相対する機体は、重量二脚/軽量四脚
薄いピンクに、濃い紫。彼女が静かに、それでも誇らしげに語った色だ/全体を彩る青に、差し色の黄色。彼らしい、私も好きだったヒロイックなカラーリング
遠距離戦を意識した、ハンドミサイルにパルスミサイル。あれらに何度も、助けられた/両手に持ってる、重ショット。寄られなければ、必ず殺せる
お互いに、もう過去には戻れない。
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確実に削られる。自身の命が、削られる。
頭は情報を受け入れられず、それでも体は勝手に動く。
それでも明らか、動きが悪い。
必死に必死に近づいて、その度に逃げ回られる。
殺したくないなんて気持ちを裏腹に、殺すために勝手に動く。
こちらのAPが3割を切った時、何故か向こうの動きが鈍る。
それを好機と体は捉え、ABを使って急接近。
ショットガンを2発、完璧に撃ち込んで。
アサルトアーマーを起動した。
────彼女から、無線が入る。
「…aい……るよ…」
ノイズが混じった中で、しっかりと、聞き取って。
意味もないのに、手を伸ばし
彼女の機体は、爆ぜ散った。
ここは、名も無き傭兵達の戦場
もしもなんて存在せず
現実のみが、ただそこに
Fallも捨て難いのですが、今回はこっちに。
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