ここだけ少しかっこいいマコト様   作:らんかん

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マコト様と通りすがりの与太(オタ)

「アグライアとセイレンスって色々ほどけば結果的には松本孝弘と稲葉浩志になると思うんですよね」

「それは拡大解釈じゃないか?」

「ほら、片方は弦弾いてるし歌ってるから」

「それセイレンスはどっちもやっているぞ」

「でも稲葉浩志は相方のギターが一番でしょうし」

「おいサフェルはどうするんだ」

 

 ミレニアムに出張中のマコト。

 

 万能マシンとやらを見るためにやってきたのだが、どうも担当者が急用になって待たされることに。

 

 そこにやってきた一般生徒に話しかけられて、あまり知らないとはいえオタク話をするながれとなった。

 

「あっそうだ!マコト様はオンパロス編どうでした!?私めっちゃこう、感動して、ファイノンのところで泣いちゃって…!」

「いいじゃないか。私はストーリーが大体わかったぞ」

「え~?」

「先生に強く勧められたからやってみたんだ。えっと、なんと言えばいいかな。全体的にエヴァ的なニュアンスを聖書モチーフではなくギリシャ神話をモチーフにやっているんだが、その奥底でやってるのが.hackみたいな感じだ」

「.hackって?」

「昔MMORPGを題材にしたゲームが有ってだな、ゲーム開発部が前特集を組んでいた。ケイだったか?彼女の説明がわかりやすかった」

「ほうほう?」

 

 マコトは自分が蓄えた情報をゆっくり吐き出すように話す。

 

「まずあのゲームには八相というボスがいて、大体何かを司ってる。オンパロスでいうところのタイタンだな。で、それを作ったのがモルガナという人格を持ったベースプログラム。あとそれを入れてるサーバーとか。これはセプターみたいなものだ。で、最後アウラというモルガナが阻止しようとしてる究極のAIがいて、それが鉄墓に変換できる。だからそれぞれ当てはめていったら『モルガナが自分どころか宇宙が滅亡する破滅のAIとしてのアウラの阻止のために八相という力を仮想世界に向かわせてそこからアウラに干渉させながら誕生を阻止する』みたいな話になるいわゆる反対になった.hack的なものを見出したんだ。ただ全部が全部当てはめれるわけじゃないからこの解釈は間違っているだろうし、あくまで理解に役立ったってだけだが」

「そんな作品があったんだ……」

「そうだ」

 

 うんうん、と頷いている彼女はいつもどおりの笑みを浮かべている。

 

「今回の話は結構評価が別れたそうじゃないか。先生から聞いた話では『演出面では3rd要素を執拗に出しすぎて胃もたれする』『話が理解できない上に推しが消えたからハッピーじゃない』という話を聞いた」

「そうそう!終わった時それで結構辛くなっちゃってモモトーク閉じちゃったんですよねえ……後追いだったらマコト様はそんな思いをしてないでしょうけど」

「ああ、そうだな」

 

 見学しながらも、見ているものには全く触れていない。

 

「人に好き嫌いがあるから演出面などのところは口を素直に綴るとしても、話に関してはおそらく”理解できる下地”があまりに必要だったと感じている」

「理解できる下地?」

「例えば私は先生に勧められてエヴァを見ているから演出や言い回し、つまり”作り手がハマったもの”を理解しているからそのクセを当てはめて理解のアシストにした。言い回しに関しても山海經の生徒たちに似たようなものを感じたからな、それも理解の一助になった。そこにネットワーク系列の話として.hackがあったから、その3rdとやらを摂取しなくても理解できるまで至ったわけだ。キュレネ周りはまだこれでいいのか?という疑問が残ってたりするが」

「私ってその下地が少なかったんですかねえ」

「まあこれに関しては仕方ない部分がある、そうやって作品を摂取する人間が非常に減ったと先生が言っているくらいだからな。私は悪いことだとは思わない、主流というものが出来た時、その世界は陳腐になる」

 

 ゲヘナが楽しいのは、日常とかろうじて言いはめるものがあっても全体的にドッタンバッタン大騒ぎの暴れ野郎しかいないからだ。統括する方は大変だが、なにもないよりは腐らずに済むので感謝してる部分もある。

 

 ミレニアム生徒は、話を変えた。

 

「にしても結構オタクトークみたいなのも得意なんですね」

「大体が先生の受け売りだけどな。何しろいろんな人間がアニメとかを見るようになったから、日常というものにサブカルが深く入り込んでいる今、全く触れませんというわけには行かないんだ。それでも名作とか大作とか、そう呼ばれてるものだけ見てるわけじゃない」

「例えば?」

「忍者と極道は本当によかった」

 

 マコトは熱く語る。

 

「流石にMAPPAやUFOTABLEみたいな演出はないが、丁寧に出来上がってるんだ。毎週楽しみに見るくらいで、特に三話の孤独の歌と五話のエンディングがとてもよかった」

「もしかして『麻薬(ヤク)キメろぉぉぉ!』のやつですか」

「そう!」

 

 二人は盛り上がり続ける。

 

「どのキャラも魅力的って言う他ない濃さとかっこよさが詰まっているんだが、やっぱり誰を語ればいいか」

「あの、私あれ聞きたいです。暴走族神(ゾクガミ)の!」

「ああゾクガミ!かっこよかったぞ、それこそさっき言った五話のラストで主人公と対峙する時の超跳弾をかましまくって戦うシーンは本当に痺れた!何度も『踊れ』を連発しながら追い詰めるシーンは声優がベテランで力強いものもあってか相当かっこよく仕上がってて!」

 

 フラッシュプリンセスを語りまくる極道さんみたいになっているマコト。

 

 具体的なネタバレは避けるものの、ともかく今はもういない家族思いで、大人でいることで振り回されたあれこれに疲れてるイケオジという部分は流石に眼の前にいる生徒にも魅力的に伝わったらしい。

 

「わあ!どうしよ、見たくなってきちゃった!」

「いやほんとに!見てくれよ、見たら感想くれ!」

「えーでもどうやって」

「モモトークがあるじゃないか!」

 

 二人は大興奮のままモモトークを交換し合う。

 

 普通にミレニアムの一般生徒とゲヘナの頭領というとんでもない交流なのだが、多分二人は一旦我に返っても熱く語り合うことだろう。

 

 こればかりは流石に学園感の区切りを強く取っ払いつつある先生に感謝しているマコトだ。

 

 さて、そんな話し合いをしているとついに呼び出しがかかった。

 

『えー、ゲヘナからお越しの羽沼マコト様。用意ができましたので第六研究室へとお越しください』

 

 そういった放送アナウンスが流れる。

 

「ああ、もう出来たのか」

「案内しましょうか?」

「頼む」

 

 二人はその研究室へ向かって歩き出す。

 

「今回お見せする万能マシンは、事務や家事を素早くこなせるロボットです。人形を所望されておりませんでしたので、全体的に車輪などをつけたりモーターを強くすることによって大幅な強化に成功したんですよね」

「耐弾性能は?」

「それこそ人間じゃないので均一かつ厚めに設定しましたよ。多層構造にしやすかったので、刺突に対する耐性もちゃんと有してますし」

「ほう!」

「ただまあ最初に言っておきますけど、あくまで機械ですからね。どれだけ万能でもあれやっといてーって指示を出したりする必要がありますし、道具は外付け。オプションはありますけれども、ヒューマンエラーは起こりうるので運用にはある程度の注意を払ってくださいね」

「もちろん、そんなヘマはやらかさないつもりだ」

 

 いつの間にか、眼の前には第六研究室へ入るための扉が。

 

「では、どうぞ」

「ありがとう。また後で」

「ええ」

 

 二人は軽い別れの挨拶をして、互いに自分が行くべき場所へと足を向けて歩く。

 

 このあと、マコトは万能マシンをえらく気に入ったようだ。結構な数を購入することになる。

 

 請求先は______風紀委員会だが。

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