記憶にある世界とは違うんですけど?   作:クウト

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話し方とか色々と勉強不足で申し訳ない!!!
というのもホロライブの色々な動画や配信を見出してまだ一ヶ月ほどです。
推しはフブさんです。最近はFGメンバーもみんな好きです。
他にも推せる人たちがたくさんいるせいで過去配信を見るの追いついてないの。
ごめんやで。


今日は雪らしい

焚き火の灯り。

人里から離れたこの場所は静かだ。

俺が気まぐれにしている焚き火の音がたまにパチパチとなるのと、雪が降る音だけが響く気がする程には……。

 

「寒いな……」

 

慣れたものではあるし、それなりに着込んではいるが多少は冷える。横に置いてある薪を追加して少しずつ強くなっていく火を見つめる。

 

「何してるんだろうな」

 

ただこの場所で時間を失い続けていく。

たった一人ではあるが、それが俺の普通だとわかっているし変えれるものでもない。だけど何処かでそれを拒んでもいる。

 

「ん?」

 

ガサガサと新たな音が響く。

大きな動物なら危ないと思いナタに手を伸ばす。

警戒している俺の目の前に現れたのは一匹の白い獣だった。所々赤くなっているのは怪我をしているからだろうか?それでも白い毛並みは美しいと考えて……。

 

「お、おい!」

 

パタリと倒れた。

慌てて駆け寄り様子を伺う。

簡単に抱えれるだろうとすぐにわかるほど小さな獣だ。そして少しだけ考え込む。

殺してしまおうか。

この少々汚れていても美しい毛皮を剥げばどれぐらいで売れるだろう?

久しぶりに多少いい物は食えるか?

諦めていたあれやこれを直すことができるか?

手に取っているナタを見つめ、倒れている獣を見つめる。いつもの狩猟と同じ……罠に嵌め、殺し、食べるだけ……ついでに金になればよし……罠にかける手間もないまま獲物が来たのだから……。

そこまで考えていると強い風が吹いてきた。

……吹雪くか?まぁ家の近くで氷漬けになられるのも……な。

 

「はぁ……まぁ、今日は寒いからな」

 

生き物はそれなりに暖かい。

こいつは冷え切って弱ってはいるが、拭いてやって同じ布団にでも入れればそれなりに温まるかもしれん。それに、死んでしまった時は売ればいい。

そんなことを考えながらこいつを抱えて家に入る。

 

「余裕もねぇのに何してんだろうな」

 

その声がやけに響いた気がした。

 

 

 

「さむ……」

 

目を覚ました。

ひんやりとした部屋の空気。

寒さの原因は寝ている間に布団を蹴飛ばしていたからみたいだ。時間を見ると朝の七時前。寝直すのも微妙な時間だったこともありベッドから抜け出してテレビをつけた。

天気予報では頭に獣耳が生えているアナウンサーが元気に今日の天気を教えてくれている。

 

「……何回見ても慣れないよなぁこれ」

 

夢に出てきていた世界ではこんな人間はいなかった。だが今俺がいる世間では獣人と呼ばれている。

それともあれか?俺が人里のこと知らなすぎただけか?もしかしたら普通にいたのか?

確かに前世では不思議なことも多かったけど……。

 

「んなアホな」

 

変な考えを鼻で笑う。

天気予報では今日は雪が降るらしい。それだけわかれば十分なこともあり、俺はテレビを消して準備を開始することにした。

……雪か。年に何度かあるけどあの夢の世界。一応前世とは思い込んでいるあの場所のように辺り一面雪景色になるわけではない。積雪数センチで交通機関が麻痺?前世で俺がいた所はどうなるのやら……でもなんだかんだで生活できている辺り人ってたくましいよな。

 

「さて、なんか食うかな」

 

久しぶりに見た夢のせいだろうか?

今の世界では考えにくいほど薄いお粥が食いたい気分だ。健康に悪いものでもないし、たまにはいいかななんて思いつつキッチンに立つ。

なんの音もないのもいいけれど、ボーッとする頭を目覚めさせるためにBGM代わりにスマホを操作して友達が勧めてくれた動画を流す。

 

『はーい。みなさんどうもーこんばんきーつねー』

 

白髪の狐の獣人。

白上フブキというらしい。

その子の動画を見つつ料理を始める。

友達が熱く熱弁してくれたからなんとなく見ているけど……。

 

「白上フブキ。……白上ねぇ」

 

前世の俺は白神と呼ばれていたっけ。

今の時代でいうアルビノだと思う。

そんな遺伝子疾患で白かった見た目から捨てられ、山の中である人に拾われ過ごしてきた。山で育ったからなのか身体能力なんかは普通では考えられないぐらいになってしまったせいもあり恐れられ呼ばれた名前だが……特に困るわけではないからそのままにしていたよなぁ。なんて前世の名残なのか一部だけ白い髪を触る。

何故あんなふうに動けたりしたのか……厳しかったからなぁあの爺様。

 

「っと、手が止まってる」

 

いくら寝起きとは言え料理中にボーッとするのは危ない。切り替えて手を動かしていく。

 

「とうもろこしってあったかな。確かこの辺に缶詰が……あ、あったあった」

 

変わっていると思うけど爺様が好きだったからか何かと食うことがあったとうもろこし。

……今思えばあの庭おかしくない?いつのまにかとうもろこしとか他の野菜が生えてるっておかしいよな?まぁ助かっていたからいいんだけど……。

芽生えてしまった疑問を忘れるように手を動かす。

とうもろこしの缶詰を開けて少しだけお粥に入れた。……少し懐かしい気分だ。

もはや垂れ流しているだけのアーカイブはちゃんと聞いているかもわからない。けど名前の親近感とかのせいなのか悪い気分にはならないし、前世と同じように少し孤独な今は誰かの声が聞けるだけでありがたいのだ。

 

「いただきます」

 

とうもろこしを入れた薄いお粥を食べる。

せっかくだしとあの頃を思い出し節約の為のうっっすい緑茶も淹れてみた。少しだけ懐かしい気分になりながらゆっくり過ごしているとそろそろ時間もいい頃合いだ。

 

「用意して行かなきゃな」

 

多めに作ったお粥の残りをランチジャーに入れる。痛むのが怖いから気休め程度ではあるが梅干しでも入れておこう。

……今日は寒くなるらしい。

厚着しておくとしよう。多少は寒さに強いとは思うが暖かい方がずっといいのだから。

 

 

 

イヤホンで音楽を聴きつつ通学路を歩く。

ほんと、便利な時代になったし色々と進化したと思うよね。前世的な世界では考えられない。

友達が勧めてくれた曲を聴きつつ歩いていると後ろから誰かが近づいてくる気配がする。見知ったその気配は俺の友達のものだ。

 

「何聞いてんの?」

 

毎朝思うけど挨拶というものを知らないのだろうか?出会い頭にいきなりイヤホンをとって軽く自分の耳に当てる姿を見て本気でそう思う。

 

「おはよう。お前が昨日勧めてきたやつ」

 

「お!フブさんじゃん!いいよなぁこれ。俺も毎日聴いてる」

 

「そうか」

 

「あ、止めるなよ」

 

話し相手が来てからも音楽を聴こうとは思わんよ。

イヤホンを返してもらい適当に相槌をしながら学校へと辿り着く。

いつも通り。

普通の日々。

たまに夢に見る前世の記憶だけが普通ではないけれど、誰にも言わなければ日常生活においてなんの問題もない。

そんな男子高校生のなんでもない日々。

それだけが普通ではなく、けれどやっぱり何でもないように老いていくのだと思っていた。

 

「やっっと食える」

 

放課後。

昼休みは少しバタバタしたせいで弁当を食えなかった。腹を空かせて帰るつもりだったが我慢ができず公園のベンチに座りランチジャーを取り出す。

 

「流石にぬるいか」

 

冷めきっているよりはマシではあるか。

変な匂いもしないし捨てるのも勿体無いから食べるけどさ。優しい味を堪能していると不意に声が聞こえてきた。

 

「とうもろこしが入った……お粥?」

 

「ん?」

 

疲れていたからかボーッとしてしまっていた。

目の前に人がいる。

俺の食べているお粥に興味を持ったのだろうか?

まぁとうもろこしが入ったお粥なんて珍しいしな。

 

「……」

 

「……」

 

あ、あの。なんですか?

 

「へ、変な事を聞くんですけど、その」

 

「んぐっ……は、はい」

 

な、何だこいつ。

言葉を選ぶというのだろうか?

聞きたい事はあるのに言葉が思いつかない感じがすごく伝わってくる。

 

「…………よし」

 

「え?」

 

ベンチの横。

空いている場所に座り始めた。

 

「あーっと、その、今日は雪が降るみたいですねぇ。もう少し暗くなってからですけど」

 

「そ、そっすね。まぁたまにはいいんじゃないですか?」

 

「で、ですね。白……私も、昔よく見ていたのと似た風景を見ると懐かしいというか、嬉しくなると言いますか」

 

「雪国出身で?」

 

「あ、いえ。今は違うんですけどね」

 

「はぁ……」

 

何言ってんだろうこの人。

この公園はいつからこんな不審者が出るようになったのだろうか?まぁこの人がもっている雰囲気からして危ない人ではないとは思うけど。

 

「……」

 

「……」

 

「……腹、減ってるんですか?」

 

「へ!?あ!その!ちがっ!」

 

「あー、冷めてるけど食います?……っと、食いかけですしやめときますか」

 

危ない危ない。

俺の方が不審者になる所だ。

初対面の女の人に食いかけの薄味お粥を勧めるのは流石にヤベェ奴すぎる。

 

「い、いいんですか!?」

 

「え?あ」

 

テンションが急激に上がったのだろう。

驚きの速さで俺の手からランチジャーを持って行ってしまった。……なんか、ご飯お預けにされてる動物みたいだな。前世のあいつの事を思い出して少し懐かしい。

 

「い、いただきます」

 

恐る恐る口に運ぶ姿を見ていた時だった。

俺のスマホが鳴り始める。電話だ。

 

「すみません。ちょっとだけ外します」

 

「あ、はい!どーぞどーぞ」

 

ベンチから立ち上がり電話に出る。

親戚からだ。

 

「もしもし」

 

『あ、もしもし?今日行くね』

 

「急すぎ無理」

 

『えー?でももうそっち行く準備してるし鍵も持ってるから行くね』

 

「わー、イエスしか言わせる気ねぇじゃん」

 

『断ったらキッチンに入るけどいい?』

 

「ぜっっったいやめろ!!」

 

急いで帰らないといけなくなった。

知育菓子をレンジにぶっ込むこの小さな姉はやる時はやってしまう。おそらくいるであろう友達達が止めてくれるだろうとは思うが、それでも俺は餃子に入っていたグミの味は忘れていないのだ。

 

『あ、これ美味しそう。クッキー?チンしたら出来立てみたいになるかな?』

 

「……待って。それ入れてる皿ってプラスチックじゃない?溶けるぞ?ねぇ聞いてる?枢姉ちゃん!?すぐ帰るからやめろよ!?」

 

それだけ吐き捨てるようにいい電話を切る。

急いで帰らねばという意識だけが先行して俺を焦らせる。ま、まずは荷物を……え?

 

「あ、す、すみません」

 

「い、いえ……不味かったっすよね」

 

「美味しいです!」

 

「あっ……と」

 

……戸惑ってしまった。

涙を堪えるように噛み締めてこんなのを食べている姿を見るとは思わなかったから。

よくわからない感情が湧き出てくるのが止められず、俺は逃げるようにその場を後にする。

ごめんなさい。

用事ができました。

ただこれだけのことが言えたのかわからない。

走りながら冷静になり思ってしまう。

 

「いい歳のはず……何だけどな」

 

精神面では前世を含めるとおじいちゃんなのだと思う。だが肉体に引っ張られるように感情が振り回されることもまだ多い。

少しだけ自己嫌悪になりつつも家へと急ぐ。

 

「って、ランチジャー……」

 

逃げてしまったから置いてきてしまった。

……明日、もう一度公園に行ってみようかな。もしかしたらベンチに置いてくれているかもしれない。

もしなければ新しいのを買うしかないか……。

 

「まぁ、俺が悪いから仕方ないか」

 

あ、ふぐ太郎。

嫌な予感はさらに膨れ上がり恐る恐る俺の部屋の方を見ると不自然に全開にされている窓が見えた。

ついでに部屋の中でわちゃわちゃとしている音や気配もするが……まぁ安いプラスチックの皿がダメになっているだけなら御の字だなこれは……せめて電子レンジだけは無事であってくれ。

 

 

 

「……はぁ、やっと帰った」

 

俺が帰宅した後、案の定部屋には何かが溶けたであろう異臭がしており、焦って誤魔化そうとする人がいたりしたのだ。レンジは無事で良かったが……。

枢姉ちゃんや他の友達達は何やら大事なミーティングらしいのだが、それでも五人も集まれば賑やかなことに変わりはない。たまにではあるが俺の家をたまり場にするのは……まぁたまにだしいいか。

スーパーにでも寄ったのか適当に買ってあった食材を使い晩御飯を作り、適当に時間を過ごした。そして姉やその友達は何やら疲れてもいそうだったので後片付けは俺の方でやっておくことにしてみんなを家に帰し今に至る。

 

「っと、ライブ配信は終わってそうだな。アーカイブでも再生しとくか」

 

おや?てっきりゲーム配信だと思っていたが今日は雑談らしい。とりあえずいつも通りBGM代わりに再生して片付けを初めて行く。

食器をキッチンへと持って行ったり、散らかったものを軽く片付けてと、流石に五人も居ればそれなりに散らかっており時間がかかってしまった。

 

『今日はいつもよりテンションが高くないですか?そうですか?でも確かに今日は嬉しいことがありまして』

 

「ふーん」

 

『最近はちょっとだけ忙しくてですね。リフレッシュに少しお散歩をしていたんですけど』

 

まぁ人気みたいだし、それなりに忙しいのは当たり前なのだろう。俺みたいに適当に一日を過ごすなんてことはできないのかもしれない。

 

『流石にちょっと疲れ気味で……食欲とかもあんまりなかったんですけど……あぁ、大丈夫ですよ?美味しいものを食べて元気ですから』

 

美味しいものか。

今日のご飯もなかなかに美味しかった。

あれだけの人数が集まると大変ではあるが、普段食べない物も食べれるから新鮮でいい。

 

『昔よく食べていたおかゆを食べまして。あ、そっちのおかゆじゃないですよ。もー、どうしてそうなるんですか。ちゃんとご飯の方で、とうもろこしを少し入れてちょこっとだけ塩を入れた薄味のやつなんですけど』

 

「……ん?」

 

俺以外にもそんなことをする奴っていたのか。

気になって見てみたコメント欄にもお粥にとうもろこしを入れるのか?なんてコメントが多々あった。

 

『白上が子供の頃?ぐらいの時に食べていた思い出の味なんですよ。本当に体調が悪い時にそれを食べていたんです』

 

「……まぁ、そういうこともあるか」

 

子供の頃の部分に違和感を感じた。

前世の子を思い出すが、それはあり得ないと頭から消す。

 

『今日のは梅干しも入っていたんですけどね。それも美味しかったです』

 

「……」

 

いやいや、待て待て。

そんなバカな話があるわけない。

あの公園で会った人が頭によぎる。

……髪色は白だった気もしないでもない……帽子をしていたしな。その後の枢姉ちゃんのせいであまり印象がない。……し、尻尾……ダメだ。あんまりジロジロと見ると人としてダメだと思っているからそこもあまり印象に残っていない。

 

「ふー……」

 

深呼吸を一つ。

……うん。ねぇな。

だって考えてみろよ。

この世界には多くの人たちがいて、そこで偶々食うものが一緒ってこともある。

 

『食べた場所は公園ですよ。ランチジャーに入れてました』

 

白上さーん!?

これ以上はいけない。

元々リアルタイムで見れなかったのだからと言い聞かせ俺は別の動画に切り替える。

趣味の料理の勉強のために料理研究家の動画を流して心の平静を保つ。……そうだよな。いくら偶然が重なったとはいえ、それで俺のことか?なんて思い込むのは烏滸がましい。

 

「寝るか」

 

また前世の夢を見そう。

だがまぁ、そんなのも悪くはないだろう。

そう思いながら寝室へと向かい、スマホを充電器に差し込みカーテンを閉める。

天気予報通り、外は雪が降っていた。




主人公の名前一切出て来なかったな……。
次には出します。
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