ということでまとまった時間取れなくなるので気合い入れて書きました。
次の話は途中ですがポルカさん書くの楽しい。
あれから……俺が下山してから家が直るまでの数日間の話でもしようか。
大変……ってわけでもない。
ただ少し気を張っていたのは事実である。枢姉ちゃん達はまだデビューをして一年経ってないらしい。そんな中で俺が家の中に入ってしまうという状態。別に配信中は家から出てたり、静かにスマホだけいじってたり、寝たりとしていればいい。
ただこれで安心し切ってしまうとふとした時に配信上に俺の声や音が乗る可能性がある。いろいろと調べたりしてみたが、過去を遡ればそんな事が起こった事例は湧いて出てくるほどだ。
だからこんな事もあったさ。
「……」
「はー、楽しかったぁ……何してるの?」
「いや、なんでも」
枢姉ちゃんが配信部屋から出てきた際、俺がいたのはリビングに繋がる廊下だった。
枢姉ちゃんの配信が始まる前に急な腹痛に襲われトイレへと走る。そしてなんとか出てこれたのは良いものの、配信が始まってしまいリビングまで戻れず数時間を廊下で過ごしたのだ。
それを見られてしまい呆れられたのだ。
「バカじゃん」
「返す言葉もない」
「普通に静かに扉閉めれば大丈夫だよ。配信部屋は一応防音室なんだし」
「まぁ、そうなんだろうけどさ」
気になるものは気になる。
気を使いすぎなのだろうか?まぁ実際、家族ではあるのだし、やましいことなんて何一つない。でもそれは俺たちにとっての都合であり、他の誰かがそう簡単に好意的に受け取ってくれるかはまた別の話なのだ……。
「うぐぬぬぬ……」
「また壊れた……ハクは難しく考えすぎるよね」
「そうは言ってもな……」
「まぁまぁ、ほら、ハクが買ってきてくれたコーヒーでも飲もう?お姉ちゃんが淹れてあげるから」
「……カップは俺が出すよ」
「うん。任せるね」
枢姉ちゃんが淹れるコーヒーは美味かった。
という事があったりしたのだ。
だが俺の家が壊れたのも過去の話!!
今はもう修理を終えた自分の家でゴロゴロと自堕落な日々をおくっている。……反動ってすごい。
「腹、減ったな」
不思議な事に、生き物というのは動いてなくても腹が減る。少し不便だよなとも思うし、食の喜びを楽しめるのだから良い事だとも思う。
家が直ってから約一週間。初めての休日。
一応大型の家具なんかは同程度の値段の物を用意されていたのだが、他の細々とした小物は処分されたようだった。
「買い物行かないとなぁ」
元々物が多い人間ではない。
壊れたのも食器や枢姉ちゃんの私物とか、その程度のものばかりだ。
枢姉ちゃんの私物はまたそのうち買ってから申請を出す予定。ただまぁ、食器はなぁ。FGメンバーが集まるとちょっと数が足りないかな?元々家族三人暮らしだから個数もそこまでないし、それ以外も枢姉ちゃんと来客用の高いやつとかだけだから普段使い用となると……まぁ今度でいいか。
「……昼飯どうしよ」
新しくなったソファに寝転んでいたらもう昼前だ。
スマホに手を伸ばして見始めるのはネット通販のサイト。……完全に家から出る気がなくなっている。
「ん?」
ピンポーンと音が鳴る。
誰かが来たようだ。
宅配や来客の予定とかは特になかったはずで、どうせなんかの勧誘だったり、セールスだったりするのだろう。そう思いソファの上でグゥとなる腹を感じつつ重くなっていく瞼……眠……。
「……また?誰だ?」
もう一度なったインターホンで目が覚めて、仕方なくソファから立ち上がり玄関へと向かう。
部屋の光が廊下に差し込み、暗かった廊下の向こうにある扉が照らされているのが目に入った。
……な、なんだ?この妙な緊張感は……。
ぼんやりと照らされる扉に近づいて、恐る恐ると扉を開けた。
「おはこーんです。ハクくん」
「おはみぉーん。久しぶりだねハク」
「なんだフブキとミオか」
「なんだって……もぅ、寝てたの?」
「寝癖すごいですよ?」
「む」
頭を触ると確かに髪の毛が跳ねている。
前世の縁があるとはいえ、今はお客さんの立場の二人の前ではちょっと恥ずかしい。二人に家に入ってもらい、リビングへと案内した後に俺は洗面所へと向かい鏡を見る。
「うわ」
右側が見事に跳ねている。
軽く濡らしてみると意外と簡単に直った。
これでいいかな?
「すまん。待たせた」
そう言いながらリビングへと入ると、テーブルの方に二人が並んでかけている。……え?何この空気感。
まるで面接のような状況に少し戸惑うが、フブキに座れと促されてしまっては座るしかない。……でもその前に歓迎の用意はせねば。
「あー、何かいれようか?それとお菓子とかあるけど、どうだ?」
「それじゃあお茶をもらおうかな。ご飯はうちが用意してきてるし、お菓子は大丈夫」
「ハクくんご飯まだですよね?」
「あ、あぁ。それじゃあお茶と食器用意してくる」
「あ、白上も手伝います」
フブキとキッチンへと移動する。
フブキは前に来た時になんとなく場所を把握しているとは思うが、改めて俺が指示を出して食器の場所とかを教えておく。その間に俺は調味料類を取り始める事にした。
……キッチンからリビングが見えるのでチラリとミオの方を見る。ミオはニコニコとしながら無言でおにぎりだったり、おかずが入っているタッパーを広げているのだが……あと、フブキもあれこれと場所を聞きながら笑顔で準備を進めてくれる。
「ちょ、ちょいフブキ」
「はい?どうかしました?」
「……なんか空気が変な気がするんだけど」
「……気のせいじゃないですか……?」
「ぜっっったいに何かあったろ!?」
ものすごい小声で圧を出すという、よく分からん器用な事ができた気がする。とはいえ自分の家から逃げることはできないこともあり、準備を終えた俺たちは食卓につく。……普通にうまそうです。
「とりあえず食べよっか。いただきます」
「いただきます」
「いただきまーす」
ミオの掛け声に俺とフブキが続く。
ミオが料理上手というのは、配信の切り抜きなんかで知っていたが確かにうまい。前世を含めたら俺の方が料理をしているだろうに完全に負けている。
……ま、まぁ?俺の場合は男の料理みたいなもんだし?多少大雑把でも美味けりゃいいだろ?
そんな事を考えながら美味しかったからあげをもう一口。
「いろはと一緒に寝たの?」
「ごっはぁ!!!!ゲホッ!ゲホッ!!」
ミオの一言に思わず吹き出した。
即座に口に手をやった事と、顔を食卓から背けた事は褒めて欲しいぐらいだ。って!違う!!
い、一緒に寝た!?はぁ!?
「な、なにゲホッ!」
「ハクくんお茶です」
「あ、ありがとうフブキ。ゴホッゴホッ!」
咳が落ち着きゆっくりお茶を飲み干す。
一緒に寝たって……一緒に寝たってことか?
……いや、いやいや待て。
「……ちょっと待て、いろはってのは、風真いろはだよな?」
気になるのはそこだ。
ミオは、いろはと一緒に寝たの?と言ったのだ。
そのいろはってのが俺が修行相手になってもらった風真いろはとは違う可能性があったり……ねぇよなぁ!!いろはって名前俺の周りにいねぇもん!!
そんでミオに風真いろはって言ったか?……あぁ、だからフブキもいるのか。確かにフブキには言った記憶がある。
「そうだけど?なに?それともそれ以外にいるの?」
「居ないです」
「やっぱりござるだったかぁ……いや、白上も本当にそうだとは思わなかったというか、思いたくなかったというか……はぁ」
「まて、待ってくれ。誤解だ」
「なぁあにが誤解だぁ!!うちはハクをそんな風に育てたつもりないんですけどぉ!?なに!?つまり今世でそんなに女性に対してゆっるゆるの倫理観になってるってコトぉ!?」
「なってない!!!」
「白上は残念です。白神様の頃からずっと一緒にいれると思ってた人と会えたのに……今世でもって……うぅ!こんなのってなくないですかぁ!?はは!これが脳破壊ってやつですかね!?うわぁーん!」
「フブキ!?お前さんも落ち着け!!」
飯食ってる場合じゃねぇ!!
食卓から離れて立ち上がり迫ってくる二人を避けるために俺も立ち上がる。そして少し下がってからソファを飛び越え、ソファを挟んで二人に手を向けて止まれと指示を出した。
「待ってくれ!いいか!?俺は確かに風間を家に泊めた!けどそれはフラッフラになったアイツを放置して帰れば風真が事故に合うと思ったからだ!!それに!俺はその日は庭で野宿してる!!」
「……」
「……まぁ、これは本当っぽいですね」
「だね」
「わかってくれて何よりだ……」
「「でも泊めたよね?」」
「俺が悪かったです!!!!事前に言うべきでしたぁ!!!」
正直納得しきれてない!!!
でももうこう言っておく方が早く終わる。
いや、わかっている。その場しのぎのこういう行動はバレたらまた荒れるのだ。でももうどう言えばいいんだ?誰か俺に教えてくれ!!
「はぁ……まさブフォ……こんなことブフォ……になるとブフォ……」
…………。
騒ぎの後フブキとミオには何とか分かってもらい、やっとの思いで昼飯を食べ終えた。ご馳走もしてもらったのでタッパーや、食器なんかの洗い物を俺がこなし、ソファで一息中……なのだが……。
「……」
「……はぁ、お茶が美味しいですねぇ」
「そうだねぇ」
俺はフブキとミオに挟まれて黙っている。
というのもだ。
「なぁ。ブフォ」
「あ、フブキ〜。それとって、そのお菓子」
「俺が取ブフォ」
「白上が取りますねぇ。ハクくんは座っててください」
話そうとするたびに尻尾が顔面に飛んでくる。
ふわふわしっぽの感触はとてもいいのだが、それでもフワッと当たるわけではなく、それなりの勢いでブォンと来たら話すこともできなくなる。ふわふわ尻尾のはずなのに勢いのせいで少し痛いぐらいだ。
あの、もうさっきのは終わったのでは?
「……」
こうなっては仕方ない。
前世ではできなかったこと、現代の力を思い知ればいいのだ。スマホスマホ……。
……えっと……。
「ちょいフブブフォ。あの、フブッ……!」
「……なぁんですかぁ?」
スマホを手に持ち、尻尾を顔面に受けながら黙る俺。あの、メッセージのグループってどう作るんだっけ?三人のグループでも作って、そこに俺の言いたい事を書いてやろうと思ったのだが、俺には家族のグループに追加して入れてもらった記憶しかないのだ。
つまりグループなんて自分で作ったことがなく分からないんだよ。と、言いたかったのだが……。
……あのなぁ……そっちがその気なら、こっちだって考えがあるぞ?
「ひぎゃあ!!」
キュッと尻尾を掴む。
はっはっは!お前の撫で方はまだ覚えてるぞ?どうだ?こうか?それともこうか?これも喜んでたっけなぁ!!
前世で撫でてあげた時に喜んでくれていたのを思い出しながら尻尾を撫でる。
「ちょっ!くすぐった!ごめんなさい!ハクくん待って……!!」
「はっはっはあだぁ!?」
「ハクぅ!!それ今世でやってたらセクハラだからぁ!!!」
「ご、ごめん……イテェ……」
後ろから後頭部をチョップされた。
中々の威力だった事もあり、思わずソファからずり落ちて頭を抱える。
息も絶え絶えになりかけているフブキ。
片手を振り抜いたまま俺を睨むミオ。
後頭部を押さえて悶絶する俺。
本当になんだよこの状況は……。
「話、聞いてもらってもいいか?」
「……まぁ、無視したウチらも悪いからいいよ」
「ごめんなさいハクくん。それで、なんですか?」
「あーそのだな」
改めていうのが少し気恥ずかしくて、情けない話だが言葉が詰まってしまう。
ただ、今は人付き合いというものがそれなりにはあるが、人一倍踏み込まない俺にとって気付きにくかった事ではあった。……まぁ、こんなのは言い訳にはなるのだが……。
「話してもらえない事が、こんなに困ったり、するものだって思わなかった。すまん」
「……はぁ。フブキ」
「まぁ、いいんじゃないですかね。ハクくんはその辺り希薄だったのも事実でしょうし」
「まぁ、そうだよね。……あのねハク、困るだけじゃなくてね。心配もするんだよ?今回はうちが自分で紹介しちゃった事だから、うちにも責任はあるんだけど……それでも家族にはもう少しちゃんと伝えるべきだったと思う」
「白上も前世の記憶があるから何も言えませんでしたが、枢はすごく心配したと思いますよ?ちゃんとその辺は考えるべきでした」
「あぁ、そうだな。その通りだ」
……まぁ、その通り。
枢姉ちゃんは本当に心配してくれていたし、リオナさん達FGメンバーも同じだ。そこに関しては反省している。もう同じ事はできるだけ気をつけて繰り返さない様にしていく。
……でもね?
「風真の件は納得してねぇけどね!!俺なんもしてないし!善意しかねぇし!!」
「あ!コラ!いい感じにまとめようとしたのに!!」
「し、白上達だってやり過ぎたなぁとか思ってたところでしたのに!!」
「ははーん?お前さんら、俺が反省したのを流れにして、そのまま有耶無耶にするつもりだったか?残念でした。ちゃんとその辺りの件は覚えてます」
「こ、こっの!知らない間に生意気に育って!!ハッ!これが反抗期ってコトぉ!?」
「ちがうわい!」
「ミオ、こうなったら徹底的にやるしかないです」
「……おい待て。ちょっと待て。その拳はなんのつもりだ?」
フルフルと震えながら拳を握りしめる二人。
俺は思わず先ほどの様にソファから飛び退き、背もたれの後ろ側へと向かう。そんな俺を見ながらゆらりと二人はソファから立ち上がった。
……まずくない?獣人の力で暴れられたら、また部屋壊れちゃうぞ?
「わかってるんですよ……白上は前世の様にハクくんともっと一緒にいたいし、遊びたいなぁなんて思ってまして……そこに急な事件のせいでしばらく離れることになって……なのにござると遊んでたの羨ましいなぁ!なんて……なんて言えるわけないでしょうが!!」
「待て待て待て待て!!!暴れるな!」
「うちだって、うちだって大事に育てた息子の様な存在の子が!軽々しく女の子を誑かしてるなんて思っちゃって!自分の思考が暴走しちゃって申し訳ないやら何やら自分が恥ずかしいとか!!色々あるんだよぉ!!」
「……あー」
かなた建設さんにお願いする事になるのか?
いやいや、直してもらえたばかりなのに申し訳なさすぎる。つまりどうするかって?
「ふぅ……一度死ぬんか?いや、もう一度か?」
「「ハクの!バカァ!!」」
「ゴフッッッ!!!」
大人しく受けるのみ。
だってほら、前世でも町の男どもが言ってたもん。
こういう時は無条件で男が悪いって。
ハクくん。
風真泊めたけどやましい事してないから納得いかねぇからな!?
フブキング。
白上も遊びたいのにぃ!!!
ござるだけ……ござる覚えてろ?
ミオしゃ。
ハクはうちが育てた通りに育ってました。
……まぁ多少生意気だけどね!?反抗期ってコトぉ!?
何も知らない風真殿。
今日はくしゃみが止まらない気がする。
作者クウト。
金杯で乾杯はできなかったよ。
だから京都7レースで乾杯したよ。
明日から仕事やだなぁ!!!!