記憶にある世界とは違うんですけど?   作:クウト

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今回出てくる子はあんまり見れてないです。
勉強中です。


山生活

『枢姉ちゃん』

 

『どしたの?』

 

私には、小さい頃から私のことをそう言ってくれる従弟が居る。同年代と比べて身長が低く、多くの人に歳下扱いされる私にとって、姉と呼ばれる事は新鮮で少しくすぐったくもあり、嬉しいものだった。

だからよく親戚の家に遊びに行ったし、逆に遊びに来てもらったりと良い関係が築けていたと思う。

 

『枢の言うことはちゃんと聞くこと。だって枢はお姉ちゃんなんだから』

 

『分かった』

 

『よろしい』

 

今思えば黒歴史と言っていいかもしれない。

どちらかと言えば、こんな要求に対して素直に聞いてくれているハクのほうが大人だと思う。

ほんと、その辺りは反省してます。

それに気がついてからは姉として、少しでも頼りになればと行動してきた。

だからね?

今回、ハクの家がボロボロになった事も、本当に心配してるんだよ?多分私の助けなんてなくてもハクは生きていけるんだろうけど、私にとってはそれは少し寂しいものだから……だから、今回も助けになりたいんだよ。だから、だからね……!!

 

「だから電話に出ろぉぉ……!!」

 

「あー、今日もすうちゃん荒れてるなぁ」

 

「ハクたんから山行ってくるわ!ってメールだけ来たんでしょ?そりゃ心配するよ」

 

「らしいね。そりゃブラコン気味なすうちゃんは荒れるよね〜」

 

もう、りおちとニコは一緒になって……外野でうるさいなぁ。心配なんだから仕方ないでしょ?

なんて思いながらもう一度電話をかけてみる。

今日は何回目だろう?昨日は夜までの間に二十回ぐらいだっけ?一応それでやめておいたけど、今日はもう二十に近いぐらいかな?

なんて考えているとスタジオの扉が開く、そこにはうちのメンバーの一人である輪堂千速の姿があった。ちはの姿を確認した私はすぐにハクのことを聞いてみる。

 

「あ、ちはおはよー。チハは何かしらない?」

 

「ハクの事?残念ながら知らないんだよね。それに知ってたら教えるって」

 

「連絡きたら絶対に教えてね?とっちめるから」

 

「はーい了解。……結構きてるなこれ」

 

「あれ?ヴィヴィが最後なん?」

 

「あ、ヴィヴィたんおはよー。今日もヴィヴィ吸いさせて」

 

「ちょっ!ちは!?来ていきなりはやーめーてー!」

 

あ、ヴィヴィも来た。

こうなったらハクへの電話は後回しにしないといけない。ライブが近い事もあり、合わせての練習をしないといけないしね。

意識を切り替えて練習モードへと変えていく事にするが、そんな私を見たのかリオナが声をかけてきた。

 

「もう少しぐらい時間あるよ?」

 

「んー、そうだけどね。でもまた後でするから大丈夫。ありがとねりおち」

 

「いやいや、いいんだよ。私も心配だし、私達みんなにとって、ハクくんは色々とご飯とか場所提供とかしてもらってる人だし」

 

そう言ってくれる人ができたことがありがたい。

ハクは昔から誰とでも仲良くはなれるけど、それでも何処か一歩引いているように見えていたから……でもまぁフブキ先輩との仲は今だに謎なんだけどね?どこであんなに急接近して親しくなったのか小一時間ぐらい話を聞いても納得できない。

 

「さて、それじゃあ練習練習!」

 

「すうちゃんすごいやる気じゃん。いいねー」

 

「あ、ちは。ハク見つけたらふぐ太郎出してね」

 

「あ、はい。……一瞬の圧が凄すぎんか?」

 

「ヴィヴィも一瞬ゾクっとしたわ」

 

圧ってそんな。

ただ普通にお願いしただけだよ?

ただ見つかったら深夜だろうと呼び出すけどね。今回だけだから許してよ。

 

「ほらほら、話してたら時間なくなるよ」

 

「ニコたん、そうやってリーダーっぽいリオナが好き」

 

「え?じゃあいつもは好きじゃないの?」

 

「それはまた別じゃん」

 

「えー?どうだか」

 

まだわちゃわちゃとしている間にメールだけはしておこう。

 

『早く連絡しろ』

 

っと、これで大丈夫。

 

 

 

山の中にある家から出てすぐ、街中と違い透き通ったように感じる空気、それをいっぱいに吸い込んで吐き出す。

 

「よし」

 

本日も体は絶好調。

軽く体をほぐしてからジョギング程度に駆け出す。

 

「はっ、はっ、よっ!ほっと!」

 

ザッザッザッ!

ガザッ!ザザザッ!

山の中を走るだけでなく少々の高低差は飛んで、気になる方向にある斜面は滑って、また登る。

前世で住んでいた山とは違うが、目にする植物や動物の痕跡、他にもいろいろな情報を記憶しているおかげで迷う事もない。

まぁもし迷っても問題なく過ごせる程度には食材がある事も確認しているから大丈夫。

 

「よっと!……さてと」

 

走り回りしばらくすると小さめの川に辿り着く。

俺は川辺に適当に落ちている木の枝を手に取り、石を使いつつ先を尖らせ、二日間ほどずっと使っている俺のお手製焚き火場で火を起こす。

 

「こんなもんかね」

 

準備を終えたら川や、山の中の音を楽しみつつ川辺を歩き回り楽しむ。川の様子を見つつ、良さそうな大きさの魚影を見つけたら狙いを定めて手製の槍を投げ込む。

 

「ヒット。……いや、手慣れすぎてて自分でも引くわぁ。釣りしてるほどの時間があるわけでもないし、これでいいんだけどさ」

 

前世の経験とはこうも染み付いているのだろうか?

今も体力作りは心がけていたが、それでも今世の体では山を駆け回ったり、こんな狩猟のようなことはしたことがない。それでも記憶と体のズレを少し調整をしただけでこうも上手くいくとはなぁ。

 

「もう一匹取っておかないと」

 

時間をかける必要もないため、すぐにポイントを変えてからもう一度槍を投げて捕まえる。

捕らえた二匹の魚を持ってきていたナイフでエラや内臓を取り出し、細い枝を加工して作った串で串うちを終わらせる。

 

「あとは塩を振ってと、起こしておいた火で焼けばオッケーだ」

 

いやぁ……。

暖かい焚き火を感じつつ空を見上げる。

冬の澄んだ空気、青空。

全てを感じつつ心から思う。

 

「あぁ……楽しぃ〜……!!」

 

枢姉ちゃん。

フブキ。

ミオ。

俺、今めっちゃ楽しいです。

言っておくが文明的な生活してるからね。

ミオに連れてきてもらった時に持ってきた食材もちゃーんと使ってるし、家で寝泊まりもしている。風呂も入っているし、安心してくれな。俺元気にやってるからさ。

 

「ハク殿〜!」

 

「お、きたか。おはよう風真」

 

俺が心の底から平穏を楽しんでいると、最近の遊び相手である風真いろはが来たようだ。

どうやらどこかで用心棒をしているらしく、今回この山には修行できたらしい。確かにこの場所は修行には良さそうだ。

 

「おや?今日は川魚でござるか?」

 

「いい感じのサイズを見つけたからとってみた。この辺は規制されてるわけでもないらしいし、問題ないかなって思ってな。食うだろ?」

 

「いいでござるか?なら、ご相伴に預かるでござる」

 

「そろそろいい感じだ。風真、お前さんいいタイミングってやつで来たな」

 

そう言って焼いた魚を渡してやる。

二人で焚き火を囲みながら、焼き立ての魚を食べ始める。うん、皮目はパリパリ中はジューシーでいい感じで焼けている。

 

「……」

 

「……」

 

風真が無言になって食べている姿を見ていると、少しだけ口角が上がりそうになるのを自覚した。前世でフブキが飯にがっついている時や、今世で枢姉ちゃんやFGメンバーたちが美味しいと言って俺の作ったものを食べているのを見るのは幸せだと感じれる。

これだけ夢中になって美味しそうに食べてくれるならもう一匹ぐらいとってこようか?

 

「まだいるか?」

 

「んぐっぅ!!……だ、大丈夫でござる!」

 

「そ、そうか」

 

急に声をかけたからか驚かれてしまった。

少し赤くなった顔を見ないふりをしながら俺も魚を食べ進めていく。

 

「うま」

 

……やっぱり取ってこようかな。

なんて思いながら魚を食い終わり少しすると、風真は落ち着いたのか纏う雰囲気が変わっていくのを感じた。

そろそろか?

 

「っ!!」

 

「よっ!」

 

不意打ちのように打ち下ろされる打撃。

鞘に入ったままの刀を振られたのだ。

それを見逃す事なく避けて体制を整える。

 

「それじゃあ、やるか」

 

「不意打ちでも対応するなんて……流石でござるな」

 

「風真もここ数日で変わったな。不意打ちなんてって言ってたくせに」

 

「……ハク殿が風真よりも強いというのは、この数日で思い知りましたからな。そういう事をいうのは、全力で勝ってからでござる」

 

「そうか。なら、やろうか」

 

そう言ってすぐに姿勢を低くしながら踏み込み、風真の懐に一気に入り込み拳を振り上げる。

それなりに手加減はしないで打ったにもかかわらず、風真は反応し避けることに成功した。

 

「ッ!はや!」

 

「フッ!」

 

速いて言われてもな。

そう思いながら体を捻って蹴りを放つ。

こちとら前世ではミオとの取っ組み合いとか、山の獣相手に喧嘩や命の奪い合いをしていたのだ。人間的な動きよりも、もっと動物に近い動きをしてしまう。そのせいか間合いも読みにくいってだけだと思うんだが……まぁ、現代において獣と肉弾戦する馬鹿はいないよな。

そこ、過去もいねぇよって思うな。

 

「遅いぞ風真」

 

「くっ!また無茶な動きを!!」

 

「風真が真剣を抜いてないからできる動きだよ。抜いてたらもっと違う動きする」

 

「……つまり、手加減では?」

 

「……どうだろ?」

 

「抜こうかな」

 

「お、やるか?」

 

真剣を抜くのなら、こちらもそれ相応の対応をさせてもらおう。戦闘の意識をもう一段上へとあげる。

 

「や、やめとくでござる」

 

「……そっか」

 

少し残念。

意識を元の状態に戻してもう一度風真と向き合う。

まだまだ修行は始まったばかり。俺もこんな機会は滅多にないし、もう少しだけ楽しませてもらうとしよう。

 

 

 

風真と別れて家に戻る。

風真との修行は、風真の体力が自分の拠点に無事に戻れる程度には残す事を絶対にしており、無事に帰れる事を確認してから別れる事になっている。

一度潰れる寸前までやってしまった時は焦ってしまった。流石にこのまま帰しては悪いと思い、俺が泊まっている家に連れて帰り、俺はその日家の庭で寝たりもした。

一応風真は断ったのだが、帰りに野生動物に襲われたらと思うと流石に無理だと説得し、泊まってもらったのだ。

まぁそれは置いといて。

あたりも暗くなってきたからご飯でも作ろうと思い食材を見る。……材料も少なくなってきたし、この食材で何作れるか調べようかな。

なんて思いスマホを手に取る。

 

「お、枢姉ちゃんから電……話……や、やべぇ」

 

ここ数日楽しいせいもあり、ろくにスマホを見ていなかった。時間なんかは家にある時計で十分だし、目覚ましなんてのもいらない。

ふと充電してない事を思い出し手に取ったスマホ。

バッテリーは残り七パーセント。

かかってきている電話の数は七十以上と見たことがないぐらいに膨れ上がっている。

 

「ほ、ほとんど枢姉ちゃんだ……これ怒ってるよな」

 

恐る恐る電話をかけてみる。

ワンコール……あ。

 

『もしもし』

 

「……もしもし、こんにちは」

 

『どこ?』

 

「や、山です」

 

『どこ?』

 

「あ、はい。すぐに位置情報送ります」

 

『すぐ行くから』

 

「はい」

 

プツリと電話が切れる。

……ふぅ……もっと奥に山籠りしようかな。

……やめとこ、それしたら顔見た時……あ、考えたくない。俺、死ぬんか?

フブキ、元気にやれよ。

ミオ、すまん俺が先にいくわ。

FGの皆さん、姉をよろしくお願いします。




ハク。
山籠り生活に頭ハッピー。

風真殿。
何この修行相手。動き変態過ぎでござるな。

枢ちゃん。
やっと電話きた。ちは〜。





作者クウト。
ランキングのっとるやん。
ホロライブはまだまだ勉強中。
意識はほとんど今週の淀に向かってる。
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