記憶にある世界とは違うんですけど?   作:クウト

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ハクくん下山します


大反省下山

「ちは〜」

 

今日のレッスンも終わり、そろそろ解散するかなという時にすうちゃんのスマホがなった。

それを素早く確認して電話に出る瞬間から空気感が変わったすうちゃん。あー、これついにハクが見つかったかぁ。なんて思いつつ私達はその電話が終わるのを待つ……しばらくして電話を終えたすうちゃんは私を呼んだのだ。

 

「見つかったの?」

 

「うん。今からふぐ太郎で行ける?行けるよね?」

 

「それは大丈夫だけど何処に?」

 

「ここ」

 

スマホには位置情報が写っており、そこが指し示していたのは山の中。

……たぶん麓近くには行けると思うけど……。

 

「これ、ついた頃には真っ暗だよ?たぶん道もないかもしれないし、ハクに山から降りてきてもらわないといけないと思うけど……明日行かない?」

 

「今日行く」

 

「そ、そっか」

 

す、すうちゃん……覚悟決まってるだね。

とりあえず麓までは行く事にしよう。準備をしてくるとだけ言ってすうちゃんから離れる。

 

「りっちゃん。ちょっといい?」

 

「うん。アレだよね?ハクくん見つかったの?」

 

「そうみたいなんだけど……すうちゃん、今から行くつもりみたいでさ。今からだと向こうに着いたら真っ暗だからハクの所に行けないしストッパーとしてみんなにも来てほしいなって」

 

「もちろん。とりあえず準備するね」

 

「どしたん?」

 

「見つかった感じ?」

 

「あ、ニコ、ヴィヴィ。うん、ハクが見つかったみたいでね。みんなこの後行けそう?」

 

「ニコたんはオッケー」

 

「ヴィヴィも付き合うで。心配やし」

 

こうしてみんなでハクを迎えに行く事になった。

この調子なら真っ暗だろうと暴走したすうちゃんが山に入って行くのは止めれそうだ。心強い仲間を持って本当に良かったと思うと同時に、このメンバーをこれだけ心配させたハクには何か責任とってもらわないとだね。

 

 

 

枢姉ちゃんから電話が何回かあった。

荷物をまとめておけとか、麓まで降りてこいとか、ウチに泊まれとか……大部分は俺の身勝手な行動ではあったが、それでも少しは気を遣っての山暮らしだった。まぁここまで好き勝手して心配をかけてしまえば俺が一方的に悪いだろう。ごめん枢姉ちゃん。

 

「という事で帰る事になった」

 

『あらら、それはハクが悪いよ。持ち主にはちゃんと言っておくし、ある程度綺麗にだけしておいてくれたら嬉しいかな』

 

「わかった。せっかく段取りしてくれたのに悪いな」

 

ミオへの電話だ。

こうして家まで用意してくれたのに本当に申し訳ないという気持ちが強い。ここ数日の間、俺が連絡もせずにいる事で大体察してしたらしいのがちょっと怖いけど……なに?前世で母親のようだったからと言って、ここまで見透かされるものなの?

 

『まぁいいんじゃない?ある程度リフレッシュも出来たんでしょ?』

 

「まぁ、それはそう。楽しかった」

 

『楽しそうに山の中駆け回ってたんだろうね〜目に浮かんでくるようだよ』

 

「あ、あはは〜……」

 

バレテーラ。

まぁこうなっては仕方ない。

電話をスピーカーにしながら帰るための準備を進めていく。アレも入れたし、コレは〜っと、キッチンの方も見ないと。

 

『フブキも心配してたし電話してやりなよ?』

 

「フブキも?……まぁ、そうか。わかった」

 

『ウチたちもフログロのみんなと会えたら良かったんだけどね。なかなか忙しくてタイミングなくってさ……まさか山行ってくるわってメッセージだけとは』

 

「うぐっ」

 

『今の家族もちゃんと大事にしないと。今から迎えにくるって話なんでしょ?こんなに心配してくれるなんて幸せ者だね』

 

「……本当にな」

 

今世で、前世での孤独感は感じていない。

それはたぶん、枢姉ちゃんがずっとそばにいてくれたからだ。

 

「……あ!!」

 

『ど、どうしたの?いきなり』

 

「いや、こっちで仲良くなった奴がいたんだよ。今日までずっと一緒に修行?しててさ」

 

『へー、山籠りするなんて珍しい人もいたもんだね』

 

「そうそう。ござるとか語尾につけててさ」

 

『ん?』

 

「金髪碧眼で珍しいなぁと思ってたんだよ。んでちょっと仕合いしてみたらまた結構やる奴で」

 

『ふーん。……めちゃくちゃ覚えがあるなぁその子』

 

「なんて?」

 

『何も〜。それで、その子と修行してたのにいきなり居なくなるからどうしようかってコト?』

 

「そう。とりあえずこの場所は知ってるし、手紙でも置いとくつもりだけど」

 

『え?知ってるの?』

 

「うん。泊めたし」

 

『……ふーん……なるほどなるほど』

 

ミオ?どしたん?

なんか空気感変わった気がするんだけど?

そんな俺の意識はとりあえず置いておこう。時間はあんまりないし、急いで準備をして手紙も書かないと……すまんな風真。

 

『とりあえず戻ってくるのは了解。また何かあったら連絡してね』

 

「ん。それじゃあまたな」

 

そう言って電話を切る。

さて、次はフブキに電話するか。

何回かコールした後、電話にでてくれた。

 

『もしもしハクくん?どうかしました?』

 

「あぁ、それなんだが」

 

俺はミオに説明した事をもう一度繰り返す。

スピーカー状態のまま準備を進めつつ、帰る事になった事、こっちでの生活、修行相手がいて楽しかった事……とりあえず思いつく話は全部できたと思う。

だがまたも風真のところで少しだけ雰囲気が変わる。

 

『その子の名前とかってわかります?』

 

「風真いろはだけど」

 

『……うんうん。なんでこう引き寄せるんですかね』

 

「何言ってんだ?」

 

『いや、そういう事もあるんでしょう。とりあえず帰ってくるのは了解です。下山、暗闇でしょうし気をつけてくださいね?』

 

「了解。もう道もわかってるし大丈夫だ」

 

『さ、流石ですね』

 

「よし、こんなもんか」

 

フブキと話ながら簡単に書いた手紙……というには簡素すぎるか?戻る事になった事、風真との修行は楽しかった事、そんな事を書いただけの手紙……張り紙の方が適切か?コレを扉の前にでも置いておこう。もちろん石で挟んで飛ばないようにしてだ。

 

「そんじゃ準備も終えたし、俺はこのまま忘れ物がないか確認して下山するよ」

 

『わかりました。ではこっちで待ってますから、帰ったらまた教えてください。一緒にご飯でも食べましょう』

 

「おう。そんじゃあまたな」

 

電話を切る。

部屋を見回して、忘れ物がないかを確認。

 

「うん。大丈夫だな」

 

といっても忘れ物するほど物を持ってきてない。

着替え類、スマホや充電器。

あとはゴミなんかを纏めておいたのを持つだけだ。

 

「風呂とかは毎回掃除してたし、ガスの元栓なんかも切った。……出るか」

 

正直に言うと名残惜しい。

だが俺もいつまでも山の中にいるわけにはいかない。学校や、いろいろと生活もある以上仕方ないのだ。だから、山に住むのは大人になってからの目標としよう。

 

「よし。お世話になりました」

 

玄関を出て一礼。

風真への手紙も置いてから麓へと向かう。

枢姉ちゃん達の到着はまだ時間がかかるだろう。だからこそ少しずつ、ゆっくりと下山していくのだった。

 

 

 

「もう!いきなり山に行ってくるとか言われても心配するでしょうが!!」

 

「はい、ごめんなさい」

 

「うわー、すっごい素直に謝るやん」

 

「まぁまぁすうちゃん。ハクも反省してるだろうし」

 

「ヴィヴィも、ちはも、ちょっっと黙ってて」

 

「「あ、はい」」

 

助けてぇ!!

怒られるのは仕方ない。

もちろんまともに連絡をしなかった俺が悪いのだ。もっと、こう、圧強めの怒りがくるかと思っていた。けど実際のところ本気で心配してくれていたのが伝わり、なおかつちょっとだけ泣きそうな涙目で見られたら素直に謝りもする。

 

「本当に、申し訳ございませんでした」

 

「……今日から家が直るまでの間、すうの家に住む事。それで今回は許してあげる」

 

「はい。わかりました」

 

これはしばらくの間、本気でご機嫌取りをせねば。

毎食ご飯を作るし、ダンス練習も手伝います。あ、コーヒーも淹れましょうか?いい感じの豆買ってきますよ?

 

「これだけ怒られてるハクたんも珍しい」

 

「ニコさん?悪いんですけど、ちょっとだけ黙っててくれます?」

 

「ハクたんひどい!!私だって心配してたのに!」

 

「うぐっ!……ご心配をおかけしてごめんなさい」

 

……イジられてる事が少しだけイラッとした為つい言い返してしまった。今回の件は俺が悪いため、この態度は絶対にない。だからこそ謝っておく。

 

「……え、今ものすっごく心臓が脈打ってる気がする」

 

…………。

やっぱり謝らない方が良かったかもしれない。

 

「え、えへへ。ハクくん?実はリオナも心配してたりして……」

 

「……ッチ」

 

「舌打ちぃ!?なんでぇ!?」

 

「リオナは元から邪な気持ちしかなかったもん。そりゃ舌打ちもされるわ」

 

「ヴィヴィ〜……」

 

「そんなしょんぼりされても……まぁドンマイドンマイ。ハクくんはリオナが心配してくれてたのもわかってはるよ。な?」

 

「まぁ、はい。ご心配をおかけしてごめんなさい。リオナさん、ヴィヴィさん。それに、千速さんもお迎えありがとうございます」

 

はぁ……。

これだけの事になるのなら、もっとしっかりとした行動をするべきだった。山に篭って頭ハッピーになって駆け回るんじゃなかった。風真との修行が楽しくて明日はどんな風に戦おうかとか考えるんじゃなかった。

 

「……ぁぁぁぁぁぁ……」

 

「あ、壊れた」

 

「ハクの自業自得だから放っておいていいよ」

 

「すうちゃんはきびしいなぁ」

 

「ちは?地味にハクを甘やかしてるのちはだから、今回は甘やかし禁止だからね?」

 

「だってさハク。今回は庇ってあげられないから、自力でなんとかしな」

 

「……うっす」

 

 

 

枢姉ちゃんの家に泊まってから数日。

防音室などの配信環境を整えているとはいえ、生活音などが入ってしまう可能性は捨てきれない。だからこそ枢姉ちゃんは、メンバー限定の配信とやらで弟が泊まりにきていると説明をしたらしい。

FGメンバー全員から弟であるという事実説明や、少し事情があり数日間だけ泊まるという事を伝えたようだ。思っていたよりも批判は少なかったらしく、俺自身安心できた。

 

「やっと、やっと家が直ってくれた」

 

そう!

今日やっと、やっと家が直ったのだ!!!

ありがてぇ、本当にありがてぇ。

 

「これで工事は完了になりますね」

 

「はい。本当に、本当にありがとうございました」

 

「い、いえいえ……な、なんでこの人こんなに感極まってるの?」

 

建設会社の人と握手をする。

……こ、この人、すげぇ……。

ただの握手なのに感じる圧……!見た目小さな天使族の女性なのに、なんだこの握手から感じる強者の気配!!

風真との修行があったせいか俺の本能部分が刺激される気がする。な、ナタとか欲しい。絶対に戦ったら強いってこの人……いや、分からんけどさ。

 

「是非また、よろしくお願いします」

 

「え?あ、はい。今回は弊社をご利用いただきましてありがとうございました」

 

「本当に、本当にまた是非に!」

 

「え、えぇ……?」

 

ありがとう。

俺の平穏を取り戻してくれて本当にありがとう。

また何かあれば利用させていただきます。

かなた建設さん。




ハクくん
大反省中。

枢ちゃん。
久々にやらかしたから反省しなさい。

FGメンバー全員
こんなに反省してる姿見るの滅多にない。イジッとこ。





作者クウト。
明日は淀じゃあ!!!!!!

天音かなたさん。
私は最近ホロライブを知りましたが、それでも名前と姿は知っていました。
ホロライブの事を知らなさすぎて推しではありませんでしたが、大切な存在だったのだと思います。
曲も何曲か聴いてみましたが、とても惹かれる歌声であり、これから何曲も聴いていくと思います。
もっと早く知りたかったし、応援したかったです。
そんな気持ちもあり、最後に少しだけかなた建設の名前をチラリと出させていただきました。
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