さあ…?
一応モブ視点です。
諸君。
いきなり自慢で申し訳ないが。
我がランド高校の生徒会は、他校にも誇れるくらい優秀だと思う。
「あの、〇〇さん……? いきなり明後日の方向を向かれて、どうなさったのですか……?」
「いえ、な、何でもございません、ミラクルスターさまっ」
まず、私の隣にいる方は、生徒会副会長のミラクルスター様。
ランド高校屈指の人格者にして、シゴデキにして、同性異性問わず生徒から絶大な信頼を得ているアイドル的存在にして……などなど、賞賛ポイントは枚挙にいとまがない。
帰国子女で生徒会長のミラダンテ様からも、厚い信頼を得ているのだとか。
「ミラクルスター様、それと〇〇さん。その書類は、こちらにお願いします」
「了解です、カラフルベルさん!」
「は、はい……!」
カラフルベルさんは、いわば生徒会の頼れる重鎮。ラフルルさん──ミラダンテ様と付き合っていると噂のあの人──のお姉さんでもある。
ちなみにこの姉妹、ものすっごい美人さんで評判だ。同性の私でも羨ましくなるくらい、と言えばお分かりいただけるかな。
「次はこちらを、ミラクルスター様──」
「はい、目を通させていただきますね」
「ミラクルスター様、カレーパン研究部からの──」
「またですか? ドギラゴンに……んんっ、部長には一言言っておかないといけません」
「ミラクルスター様──」
「なんでしょう──」
今挙げたのは二人だけだが、もちろん生徒会には、たくさんの優れた生徒が属している。
彼ら彼女らと、ミラクルスター様の連携は本当に素晴らしい。ほら、ちょうど今みたいに。
何というか、私の貧弱な語彙であえて表現するなら、「宮廷楽団」。
そのような整然とした美しさが、ランド高校生徒会には存在しているのだ。
あ、もちろんその中に私は入ってない。
「〇〇さん!」
「ひゃいっ、カーネルさんっ!」
「ふふ、そんなに驚かないで下さい。これ、お願いできますか?」
「り、了解です、カーネルさん……」
だってこんなにおどおどしてるのだから。
今もなお、私みたいに対して役に立たない生徒が、なぜ華々しき生徒会の末席に留まれているのかは不思議だけど、憧れのミラクルスター様を間近で見ていられる訳だから、役得なのかもしれない。
なんて思いながら、最近は生きている。
「〇〇さん、今日も一緒に帰りませんか?」
「は、はい、もちろんです!」
なんと、帰る道がほとんど同じという、都合が良過ぎる関係でもあるのだ。
(はあ、お美しいミラクルスター様と一緒に……下校……)
いやあ、やっぱり生徒会で良かったな──そう思いながら、一階の廊下を二人で歩いていた時。
ある女性が、いた。
「あ、カヅラさん! カヅラさん!」
(……え?)
「まあ、ミラクルスターさん? 奇遇ですわね、放課後に会うなんて」
「最近は、会えていなかったから……なんというか、久しぶりに会えて嬉しいです、カヅラさん!」
(……ええ??)
「そう思っていただけた、とは。ふふっ、私も同じですわ、ミラクルスターさん♪」
(……えええ???)
あ、あれ、おかしいな。
(カヅラさん、いや、デモンカヅラさんって)
凄く黒い噂の立ってる、ランド高校でも特にヤバい生徒じゃなかったっけ??
そのカヅラさんが、まるで親友のように、ミラクルスター様と……お、お、お話をしている……なんて。
(……嘘でしょ!?)
だって、ミラクルスター様は、さっきも言ったように、誰も彼もから慕われ愛される生徒な訳で。
それに引き換え、デモンカヅラさんは、とても恐れられてる、怖い生徒な訳で。
その二人が……親友。
(いや、決めつけちゃダメ!)
ミラクルスター様は誰にだって平等に優しくするんだ。
たとえ相手がカヅラさんであってもなんだ。それだ、そうに違いない──。
「あの、カヅラさん、そんなに近づかれては……」
「……私が近づいては、いけませんの?」
「いえ、そういう事ではなく……しかしここは、皆さんが見ている場所で……」
「私は気にしませんわ」
「カ、カヅラさんがそう言うのなら……」
前言撤回。
どう見ても特別な仲だ。どう見ても。
それなりの関係じゃないのなら、カヅラさんは顎クイなんてしないだろう。
それなりの関係じゃないのなら、ミラクルスター様もそれを受け入れたりしないだろう。
ええと、これはつまり……
私って、今とても場違いなのではないか?
「では、一緒に帰りませんか、ミラクルスターさん?」
「そうしたいのは山々なのですが、今日は〇〇さんと帰る予定が……そうですよね、〇〇さ」
「──────」
「あれ、〇〇さん? 〇〇さーんっ!?」
「どうやら、灰になられたようですわね」
「はい!?」
「はい♪」
「?……なーなードギラゴン、あそこにいるの、お前の近所の人じゃなかった?」
「む、あれは、確かにミラクルスターだ。それともう一人……デモンカヅラと言ったか、ミラクルスターが友達と呼んでいた生徒だな」
「デモンカヅラとは、我が校の問題児の名だぞ、ドギラゴン」
「そ、そうなのかミラダンテ? だが、あのミラクルスターが信頼しているのだから、きっと良い人なのだと思うぞ」
「だと良いが」
「なに話し込んでるんだ? 早く帰ろーぜ、二人とも!」
「君が始めた会話だろう、プチョヘンザ……」
「そういえば、今日はドラゴン龍の店が新メニューを出すんだ。二人も来ないか?」
「そうなのか? 行く行く!」
「特に断る理由もない。僕も同行しよう」
「よし、そうと決まれば──」
(カヅラの事を)うのみにしてはだめ!だめ!
忘れていましたが、今回も評価、感想、そして誤字報告あればよろしくお願いします。
・デモンカヅラ
ミラクルスターと会ったのは偶然ではない。
・ミラクルスター
モブちゃんの事も後輩達もデモンカヅラも、平等に愛し、信頼しているつもり。