TSした俺があまりにもかわいすぎるのでVtuberになりたい   作:グラスラ

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名前変えるかも


徹夜はよくない

 

LINE送ったら暇になった。勉強は昨日やっておいたし、ソシャゲもイベント終わったし。やっぱり着替えないでよかったかもとか思いながらベットに横たわる。スマホも飽きてきたし充電しておこうか。今日は平日だから多分返信は遅い。普通は学校行ってる時間帯だからね。

幼馴染はあんまり俺のことを変な目で見てこないので安心できる。今でも結構LINEしたり、仲はいいと思ってる。思ってるんだけど。何かライバル視されてる気するんだよぁ。別に俺に張り合っても何もないと思うんだけど。

そんなことを考えていて、そしてふと思いつくものがあった。

 

「─── 汐香と一緒にやればいいのでは?」

 

幼馴染は俺ほどじゃないが声も顔もかわいいし、俺よりよっぽど優秀だし、よくVtuberの切り抜きをみたり作ったりしていたのを思い出す。そして結構チョロくてめちゃくちゃのせやすい。ちょうど一人だと不安だったところだ。そんなことを考えて、一息つく。…早く返信こないかな。今何してるのかな。

 

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

昼休みに購買で買ったパンが全部甘いのだったのも悪いのか。それともゲームで徹夜したのが悪いのか。瞼が重い五時間目。

 

そんな頭が回らない私の耳に通知音が届く。ヤバい、スマホ切り忘れてた。周囲を見渡す。…誰も気にしていなそう。みんな結構喋ってるし大丈夫かな。ちょうど今は定期テスト前で自習で先生がいないタイミングだった。ちょっとホッとする。心配して損した。多分大丈夫。そう思っていると近くから声が飛ぶ。

 

「あれ汐香、通知?彼氏とかできた?彼女でもいいよ」

「…一番欲しいのはあんたでしょ祈音。夏までにどうたら〜とか言ってたじゃん」

「あー、言ったけ。いやでも私、今はいいかな。推し増えちゃったし」

 

隣の変なのにはバレてたけど、やっぱり先生はいない。だから問題なし。一応自習中なんだから話しかけてくるな。暇なの?

 

「でも高校入ってから髪色変えたらしいじゃん?金髪に。まあ似合ってるとは思うけど」

「別に、なんとなくよ。気分変えたいとかあるじゃん?」

「ふ〜ん?」

 

祈音はこちらを何故かニマニマ笑って見てくる。

…やっぱり問題あるかもしれない。面倒だ。話題を変えよう。

 

「……そういや最近推しがどうとか言ってた百合作品とかどうなの?」

「おお、露骨な話題転換。さては何か───まあいいでしょう。語りましょう!」

 

まだ言うので軽く睨んでやると、最近話題の漫画の推しカプについて元気よく語りだす。

私もゲームには結構執着するけど、こいつはより重症のカプ厨であり。ノーマルはもちろんのこと。薔薇、百合その他全てを愛せる無敵のオタクだ。

 

「───二人の式場は豪華すぎない方がいいと思うんだよね。それでいて質素ではなくてシックな感じの式場をふたりで選んででももっと派手なのがいいとかいうけど原作的に最終的に向こうに好みに合わせて笑うタイプだからさぁそんなかんじで小さくないぐらいのきちんとした式場になってさ冒険の後のもろもろのちょっともやる気持ちをウエディングドレスで忘れててさ───。」

 

こいつは最初の定期テストを推しのイベントですっぽかしたバカなのだが、少なくともその情熱だけは参考にしたいかもしれない。私は少し放置したら推しカプの結婚式について語りだしたそいつを眺めてそう思った。適当に聞き流しながら、そろそろ自習課題に手をつけようとプリントに手を伸ばす。すると、ふと周りが気に目を向けと、冷ややかな目線が祈音に向いている。…そろそろ止めた方がいいかな?

 

 

◆◇◆

 

 

帰路につく。祈音とは違って私は百合とか薔薇とかそういう漫画とかは分からない。が、途中まで帰り道が一緒だからか入学当初からわりと仲がいい。別に変なやつだけど嫌いじゃないし。

 

いつものように途中で祈音が降りて一人になる。電車に揺られながら携帯の電源を入れる。スマホは学校内では一応禁止なので見るのはやめている。祈音とか他の子は隠れながらも普通に教室でいじってたまに怒られているけど。効率的にやめといた方がいいと私は思うんだけど。先生たち普通に没収とかしてくるし。そんなことを考えながら五時間目の通知を確認する。

 

相手は───。

 

「まあ、あんたよね」

 

真昼間から私にLINE送ってくるようなのは親かこいつだけだ。

自称『世界一かわいい』幼馴染。

ほんっとにかわいいのがちょっとむかつく。つい入学前までは同じ高校に入る予定だったのにそうじゃないし、何故か卒業式のちょっと後ぐらいから親と別居し始めた。それとなく聞いても、絶対に何かあったはずなのに言わないし話を逸らし始める。踏み込むのはきっと逆効果なのかもとか迷って結局、向こうを待つことにした。

だから、最近ちょっと心配で、ムカつく、かわいい幼馴染。

 

「───親友とか呼ぶならもっと頼りなさいよ。」

 

言葉にならない思いが口からもれる。

確かにあんたは苦労もたくさんあるだろうけどさ。悩みとかそういうの。抱え込まなくてもいいんじゃないの。とか思ったりして。そういう複雑な気持ちを抑えて内容を確認する。

 

 

 

『Vtuberやってみたいんだけど一緒にやらない?』

 

 

 

「うわっ、偶然」

 

反射的のNOの返信を打ちつつ、要件を見て、ふと思い当たるものがあった。何度か見たVtuber事務所のライバー募集のPDFをファイルから取り出す。とある箱のライバーの募集要項だ。2分のPR動画を作って送る形式のようだ。別に私は応募しようとか思っていない。何となく、好きなVtuberさんが募集の宣伝してて、それで興味を持っただけだ。憧れはあるけれど忙しくなりそうだから実際にやる気はない。

 

しかしこいつの場合は興味本意でも応募したら受かってしまうだろう。一人のVtuber好きとしては見てみたい気持ちもあるが。何せ誰よりもかわいい。性別関係無く、人間であるならふとした動作に目を惹かれてしまう。目線からまばたきまで。それら全てが愛おしく思えてしまう。そしてそれは外見だけでなく、声もだ。甘いパンケーキのように、ふわふわしてるのにしっかり通る。何をするにも憎たらしいまでのかわいさが体を突き抜ける。実際、校内放送で学校を全滅させたこともあったっけか。あれで世界取れなきゃ人類が異常だ。世界がおかしい。

 

といっても個人勢はやめた方がいい。かわいすぎて絶対めんどうなストーカーや荒らしが複数付くからその対応を運営なり何なりに任せないと上手く回らない。というかトラウマあるでしょ。そういうの。あんまり自分のこと話したがらないからわかんないけど。ダンスとか歌とか企業勢は多いけど企業勢は契約上無理強いはしないしできないだろうし。

とりあえずこのファイルを渡しておこう。あと、企業勢を勧めておこうかな。そう結論づけて、返信を書き始めた。

 

暇してたのかすぐに返信が返ってきて、返答して。そのラリーがしばらく続いた。心配してたけど、わりと余裕あるなこいつとか思ってたら、LINEで『応募したの?』と聞かれる。

『してない』と返す。

『何で?』と返ってくる。

ちょっと悩んで、『面倒だから』と送る。

『まあ落ちるだろうしね』と返ってくる。

反射的に『落ちないわよ』と返す。

『俺は世界一かわいいからともかくとして、知里は無理じゃない?』

思わず『は?』と送る。

『草』と返ってくる。草じゃないわよ。

 

というかこの私が落ちると思ってんの?こいつ。

───良い度胸してるじゃない。わからせてやるわ。

スマホを閉じる。前から考えてはいた。2分の構成をもう一度考える。問題ない。今日で終らせればテストにも響かない。

 

 

 

 

 

 

───その翌朝。徹夜して作った2分間の動画を企業に送る私の姿があった。

我ながら上手くできた。さすが私。Vtuberという職への憧れを形にできた。これで受からないならしょうがない。完成品を見返して、満足感を得て。ふと思う。

 

あいつ最初LINEでなんて言ってたっけ。

 

「───やられたっ」

 

意図を察して思わず膝から崩れ落ちる。午前4時半。怨む声が壁に反響した。

 

 






次回は存在しません

真面目に話すと週1投稿でも限界なのでお前らが忘れた頃に投稿します
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