××月○○日
雷門が先制点を取り、帝国のキックオフで試合再開になった訳だがすぐに俺がボールを奪い、追加点を取ろうと帝国ゴールへ向かっていった。すると帝国メンバーはアイコンタクトを取った後俺に向かって集まってきた。普通のプレスなら難なく抜く事は容易だけど相手のプレスは完璧で思うように動けなかった。キャプテンにパスを出そうとするがパスコースをも完璧に防いでいる為パスも出せずにいた。俺が判断に迷っている一瞬の隙をつかれてボールを奪われ、そのボールは御門に渡ってしまった。御門は化身『黒き翼レイブン』を出し、化身シュート技【レイジングクロウ】を雷門ゴールへ向かって打った。三国さんは【ゴッドハンド】で対抗するがまだ習得したばかりのゴッドハンドでは化身シュートを止め切れず、失点を許してしまった。今思うと地区予選で初めての失点だったな…
「円堂。俺が松風天馬に対して何も対策をしてないとでも思っていたのか?攻撃の要である松風をチームから孤立させるタクティクス…その名も、『ブロック・ザ・キーマン』だ」
円堂監督に向けて言った鬼道さんの言葉には俺も納得する。ブロック・ザ・キーマンは確かに恐ろしいタクティクスだ。本来このタクティクスはヴィクロの主人公である雲明が対野球部戦の為に開発したタクティクスで、その名の通り相手チームのキーマンと成り得る選手を孤立させ、思うように動けなくさせるどころか味方へのパスも出来なくするというものだ。まさか鬼道さんが15年先取りでこのタクティクスを開発するとは…流石は天才ゲームメーカーだ。
こうして同点のまま前半戦が終わり、俺達はベンチで休憩を取っていた。ブロック・ザ・キーマンの影響で俺はほとんど動けなかったがキャプテン達が何とかゴールを死守してくれたおかげで帝国に追加点が入る事はなかった。
何か対抗策がないか考えているとそこへ剣城が来て「俺を試合に出してくれ!」と言ってきた。それもシードとしてではなく一人のサッカープレイヤーとしてとも言っていた。きっと原作通り優一さんに自分がフィフスのシードだとバレてしまったのだろう。どっちにしろブロック・ザ・キーマンを崩せない以上剣城の力も必要だろう。
「剣城。ホントに良いんだな?」
「ああ!」
「…わかった。お前を信じるよ。良いですよね?キャプテン」
「ああ…剣城。お前がこれまで雷門にしてきた事は決して許される事じゃない。だけど、俺もお前を…サッカープレイヤーとしての剣城京介を信じる」
「神童…キャプテン」
こうして後半戦が始まった。青山さんと選手交代する形で剣城がFWとして入り、キャプテンは本来のポジションであるMFに戻った。さっそく攻め上がる俺だったがやはりブロック・ザ・キーマンで俺を孤立させてきた。ボールを奪われてしまうがすぐに剣城が奪い返した。そこから一気にゴール前に行き、【デスソード】を帝国ゴールへ向かって打った。
しかし、デスソードの軌道が逸れ、ゴールへ入る事はなかった…
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剣城side
どうしてだ…いつも通りシュートを打った筈なのに…!
『どうしても諦めきれないんだ!サッカーを…!』
俺の脳裏に、リハビリをしていた時の兄さんの言葉が過った…
俺は、まだ迷っているのか…?この試合に勝ってしまえば、もう兄さんの足を治す事が出来なくなる…どうすればいいんだ…!
「剣城!!」
松風の俺を呼ぶ声が聞こえた瞬間、俺の腹部に痛みが走った。これは、松風のファイアトルネード…!?
「ぐっ…!」
「剣城。お前、ちゃんとサッカーと向き合ってるのか?」
「なに…っ!?」
「さっきのシュートは何だ?軌道が逸れたばかりか、シュートの威力もいつもの半分もなかったぞ」
「っ…!」
「いいか。ホイッスルが鳴ったら、一人のサッカープレイヤーとして戦え。そして、お前自身のサッカーと向き合うんだ!」
そう言って松風は俺から離れていった。
俺は…兄さんの足を治す為にどんな厳しい訓練にも耐えて、どんなに非道な事もやってきた。それは、俺と兄さんが大好きだったサッカーを汚す行為だ。その時に俺は、サッカーを楽しめていたか?
…兄さん。俺も一緒だ。俺にとってもサッカーはかけがえのないものだし、俺の夢だ。
相手のゴールキックで試合が再開し、俺はすぐにボールを奪った。
もし兄さんに償える方法があるとすれば…それは、俺と兄さんのサッカーをする事だ!!
「【ファイアトルネード】!!」
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○○月××日
帝国に勝ち、地区予選決勝進出を果たした次の日、俺達は帝国学園に来ていた。
いや~、まさか剣城がファイアトルネードを使えるようになってたなんてな。流石に驚いちまったぜ。ちなみに剣城のファイアトルネードは俺のとは違って逆回転だったりする。
俺達は鬼道さんと佐久間さんに案内され、とある部屋にやって来ていた。そこで自分達はレジスタンスだということ、あの試合は帝国に潜んでいるシードを探る為だった事、帝国のシードが既にチームから追放された事を聞かされた。
すると部屋にある人物達が入ってきた。その人物とは久遠監督、雷門の元校長火来さん、夏未さんのお父さんである雷門総一郎さん、そして伝説のイナズマイレブンのキャプテンであり、かつて雷門サッカー部の監督だった響木正剛さんだった。
そこで聞かされたのはフィフスの聖帝、イシドシュウジから聖帝の座を奪い取って革命を起こそうとしていると聞かされた。前にも書いたがホーリーロードは中学サッカー日本一を目指すだけの大会ではなく、フィフスの聖帝を決める為の選挙でもあるのだ。選挙には響木さんが立候補したようだ。
もう負ける事は許されない。なら、もっともっと強くなって革命と言う名の『風』を起こさないとな。
それから俺は河川敷で一人タイヤ特訓に励んでいた。するとどこからか視線を感じた。
「隠れてないで出て来なよ、剣城」
「…気づいていたのか」
「まぁな…良かったらお前もタイヤ特訓するか?これが結構鍛えられるんだよな~」
「良いのか?」
「当たり前だろ。俺達はもう『チームメイト』なんだからな」
「…そうか」
すると剣城が近づいてきた。
「…効いたぜ、お前のファイアトルネード」
「いや~、あん時は悪かったな~」
「悪いと思ってないだろ…ありがとな」
「ん?何か言った?」
「何でもねぇ…やるぞ」
「あ、ああ」
それから日が暮れるまで剣城と特訓したわけだけど、あいつ何言ってたんだろうな?