××月○○日
円堂監督が雷門を去ってから数日が経ち、俺達は鬼道コーチ…いや、鬼道監督が用意した練習メニューをこなしていた。
監督が用意した練習メニューはこれまで以上にハードだったが、俺からしたらこれくらいハードじゃないとやりがいがないし、今以上に強くなるなんて無理だからな。キャプテンや剣城も同じように思っているのか、練習に身が入っている様子だった。
ただ、全員がこの練習メニューを受け入れていた訳ではない。特に信助や天城さんは鬼道監督のやり方に反発していたし、なんだったら練習をバックレていた。まぁなんやかんやあって二人とも練習に戻った訳だから良いんだけど。
錦さんも錦さんでイタリアで世話になったというお師匠さんの練習メニューをこなす為に練習に参加していなかったが、一通り特訓を終えて今は一緒に練習をしている。ちなみに原作知識を持つ俺だから知っている事だが、そのお師匠さんはかつての雷門イレブン、そしてイナズマジャパンの一員だった染岡さんだったりする。
さて、三回戦の木戸川清修戦に向けて明日も練習頑張ろっと。
とはいえ、最近筋肉痛が激しいんだよな…
○○月××日
今日は河川敷で葵ちゃんも加え、剣城と一緒に例の必殺技の特訓をしていた。必殺技自体は完成に近づいていたが、まだ何か足りなかった。
そんな中、「空野も特訓に加えたらどうだ?」と剣城が提案してきた。確かに葵ちゃんはGKとしてはかなりの実力者だ。あまりこういう事は言いたくないが、現時点では葵ちゃんの方が三国さんよりGKとしての実力が上だ。だから葵ちゃんなら必殺技を編み出す為の良い壁になってくれるだろう。
俺がそう言って葵ちゃんの特訓参加を賛成すると、何故か「そういうところだぞ…」と剣城に呆れられてしまった。だからなんで!?
とにかく、葵ちゃんのおかげで必殺技の習得にまた一歩近づく事が出来たし、葵ちゃんも「久しぶりに良い特訓になったよ」と言っていた。
それから小腹が空いたのでコンビニまでおにぎりを買いに行き、河川敷に戻ると剣城と葵ちゃんが少し仲良くなっている様子だった。そういやこの二人って二人きりになるの初めてだっけ?
まぁ打ち解けられたんだし、深く考えなくてもいいか。
----------
葵side
どうしよう…よく考えたら私、剣城君と初めて二人きりになるんだよね?
何か話題を出した方が良いかな?…でも私と剣城君って、結構最悪な出会いをしてるのよね…まぁ、それはあのニブチンな幼馴染にも言える事なんだけどね。天馬ってよく剣城君と打ち解ける事ができたよね…
「なぁ、空野」
「えっ?…ど、どうしたの?」
「何驚いてるんだ?」
「その…剣城君の方から話しかけてくるって思ってなかったから、つい…」
「何だよそれ…前から思ってたんだが、空野はどうやってあそこまで強くなったんだ?」
「あまり特別な事はしてないよ。タイヤを受け止める特訓をしたり、天馬とベータのシュートをとめようとしたり…とかかな?」
「…タイヤ特訓は円堂監督もやってたらしいが、改めて聞くと無茶苦茶だな…ベータ?」
あ、そういえば剣城君には彼女の事を話してなかったっけ?
「私と天馬が小学生の時によく会ってた女の子だよ。もう3年くらい会ってないけどね…」
「…そいつも強いのか?」
「うん、強いよ…私、ベータのシュートを一度も止められなかったし、天馬もベータに勝った事がなかったの」
「あの松風が勝った事がないのか…信じ難いな」
まぁ、普段から天馬のプレーを見てたらそう思うよね…今思うと、天馬があそこまで強くなったのはベータのおかげかもね…認めたくないけど。
「おい…なんか不機嫌になってないか?」
「えっ、今の私ってそう見える?」
「…なるほどな。要するにそのベータって奴も、お前と同じ奴を好きになったって事か」
「多分ね…って!?私は別に、天馬とはそういう関係じゃ!」
「…松風の名前は一言も言ってないが?」
「あっ…」
つ、剣城君!嵌めたわね!?
もう!剣城君のしてやったりって顔が凄く腹立つ!
「先輩達がどうかは知らないが、俺達と同じ1年も気づいてるぞ。むしろあんなにあからさまなのに、気づかない松風が不思議でしょうがない」
えぇっ!?私ってそんなにわかりやすかったの?
「安心しろ。松風に言いふらすような事はしない。お前の面白いとこも見れたしな」
「もう、剣城君ってば…」
「おーーーい!おにぎり買ってきたぞーー!」」
そこへ天馬がおにぎりが入った袋を持って戻ってきた。人の気も知らないで、呑気ね…
まぁ、そういう所が好きなんだけどね。
----------
××月○○日
鬼道監督の特訓を乗り越え、いよいよ木戸川との試合の日がやってきた。木戸川は去年のホーリーロード決勝で雷門を破って優勝した功績があるが、最近の木戸川サッカー部はフィフス派と反フィフス派で分裂が起こっているらしい。
とはいえ、どんな事情があろうと関係ない。試合をするからにはいつも通り全力を出し、そして勝つ。去年の雪辱を果たしてやる!
…まぁ俺、去年いなかったけど。
それから今日の試合会場である『ウォーターワールドスタジアム』にやって来た。水の上に浮かんだスタジアムなのだが、落ちたらシャレにならないだろうな。ちなみに木戸川の監督には、あのアフロディさんが就任していた。鬼道監督と音無先生も知らなかったらしく、驚いている様子だった。
それと、今回は天城さんがスタメンから外されてしまった。これまで一度もスタメン落ちしてなかったので意外だと思った。今日まで特訓を頑張っていた天城さんにとってはキツイだろうな。とはいえ試合に出る可能性もあるので、いつでも出れるようにアップしておくように言っておいた。
それから木戸川のキックオフで試合開始となった。木戸川のFWである滝が先手必勝と言わんばかりに単騎で攻め込んできたが、突然床の一部がピッチダウンが起き、滝はボールを水の中に落としてしまった。これがこのスタジアムの仕掛けって訳か。
いつもなら相手チームには事前にスタジアムの仕掛けが伝えられていたが、今回は知らされていなかったようだ。
こちら側のスローインで試合が再開され、ボールを受け取った剣城が攻め上がっていくが再ピッチダウンが起き、剣城はそのボールをこぼしてしまった。
チャンスと言わんばかりに攻め上がる木戸川にアフロディさんがタクティクスの指示を出した。繰り出されたタクティクスの名は『ゴッドトライアングル』。選手達が三つの三角形を作り、ピッチダウンを回避しているようだった。
そこからFWにパスが出されたが、信助が咄嗟にジャンプをしてボールを止めようとするが、ボールが手に当たってしまいハンド扱いとなった。それを見ていた三国さんは驚いている様子だった。そういえばこの辺で三国さんは信助のGKとしての才能を見抜いたんだっけ?
すると監督がキャプテンに何かを伝えていた。しばらくするとキャプテンが俺達にあるタクティクスを編み出す為に協力を頼んできた。
勿論俺達はそれを承諾した。そこからキャプテンが指示を出して俺達は空中にジャンプをし、そこから空中でパスを繋げていき、最後に俺がボール受け取った。これが新たな新タクティクス、『フライングルートパス』だ。これが出来たのも鬼道監督の特訓のおかげだな。
そこから俺は【ファイアトルネード改】を打ち、雷門の先制点が決まった。
これで勢いづいた俺達は追加点を取ろうとするが、木戸川の奴らは俺と剣城を徹底的にマークしてきたので、キャプテンは錦さんにボールをパスした。シュートを打とうとしていた錦さんだったが、どういう訳か錦さんはシュートする事をどこか躊躇している様子だった。
そうこうしている間にボールを奪われてしまった。そこから滝が化身『鉄騎兵ナイトw』を出し、【ギャロップバスター】を雷門ゴールに向けて打った。三国さんも【ゴッドハンド改】で応戦するが、互いの技が相殺された。そこから三国さんは辛うじてボールをキャッチして事なきを得て、そのまま1対0でハーフタイムに入った。
「くっ、あの時ワシがシュートを打っていれば…!」
「…錦さん、なんであの時躊躇していたんですか?」
「ワ、ワシが躊躇しとった?」
「…錦、答えるなら慎重にしろ。でないと天馬がお前にファイアトルネードをぶつけてくるぞ」
「な、なにぃ!?」
「キャプテンの言う通りです。慎重に答えた方が身の為ですよ」
するとどこからか錦さんを呼ぶ声が聞こえると同時に、ボールが錦さんに迫って来ていた。錦さんはそれを蹴り返したが、あれってもしかして…【ドラゴンクラッシュ】か?
ボール蹴って来たのは当然染岡さんだった。そこから染岡さんは今の錦さんに足りない物を教えていた。染岡さんによると、錦さんに必要な物は『メシ』だそうだ。染岡さんが持って来たメシを錦さんが食べ終えたところでハーフタイムが終わり、俺達はフィールドに戻った。
よく見ると木戸川は選手交代をしており、チビッ子が一人入ってきていた。FWである滝の弟だそうだ。
俺は木戸川からボールを奪った。そこから攻め上がる事も出来るが、あえてここは錦さんにパスを出した。錦さん、染岡さんに特訓の成果を見せてやってください。
錦さんはやる気に満ち溢れており、『戦国武神ムサシ』という化身を出した。どうやら初めて出せたらしく、錦さんは大いに喜んでいた。錦さんはゴール前まで攻めていき、化身技の【武神連斬】でゴールネットを貫いた。
それから4対0で雷門が勝利した。分裂が起きていた木戸川イレブンも試合を通じて一つに戻ったようだ。ひとまずこれで四回戦に進出だ。
○○月××日
放課後、染岡さんが雷門中を訪ねてきた。どうやらまたイタリアに戻るらしく、その前に雷門にやって来たそうだ。染岡さんは懐かしみながら旧部室を眺めていた。
それからイタリアでの錦さんの事や、鬼道監督や染岡さんがいた頃の雷門の事を教えてくれた。やはりレジェンドの話を聞くのは実に有意義だったな。
××月○○日
気がついたら変な島に来てました。