偽天馬の超次元サッカー日記   作:のぞむ

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まさかこの小説がここまで評価されるとは…!

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やはり治療…!!治療は全てを解決する…!!

××月○○日

 

 

神童さんがサッカー部を退部した。やはりこの前の試合で勝敗指示を破ってゴールを決めてしまった事に責任感を感じてしまったのだろう。それを言ったら俺だってゴールを決めたのだから神童さんだけの責任ではない…というのは励ましにならないだろう。多分今神童さんの家に行ったところで聞き入れてもらえるとは思えないので今日のところはひとまず練習をする事にした。

 

 

 

 

○○月××日

 

 

今日の練習を終えて部室で着替えている中、ホワイトボードにある物が置いてあった。どうやらそれは神童さんの手帳の様だった。もしかしたらこれが神童さんの問題を解決するカギになるかもしれないと思い。気は引けるが手帳を読んでみる事にした。

 

手帳には神童さんが書いた戦術メモと試合をしたチームの記録ががびっしりと、そして細かく書かれていた。このメモを見ればわかる。神童さんは勝つ為の努力を怠っていない。サッカーが好きでなければ出来ない事だ。

 

すると部室の外から視線を感じたので振り向いてみるとドアが少し半開きになっていた。ひょっとしたら神童さんかもしれない。そう思った俺は手帳とサッカーボールを持ってサッカー棟を出た。え?手帳はともかく何でボールも持っていくのかって?このボールが神童さんの目を覚まさせるもう一つのカギになると思ったからだ。きっとイナイレファンがこの日記を読むなんて事があれば俺が何をするつもりか察していることだろう。

 

しばらく辺りを探していると木の下で項垂れている神童さんを見つける。さっそく神童さんに「本当はサッカーがやりたいんですよね?なら目を背けちゃいけません」と説得してみるがやはり聞く耳を持ってくれなかった。

 

「サッカーは…サッカーは支配されたんだ!サッカーをこれっぽっちも愛していない奴らに!俺だってそうだ!俺にはもう、サッカーへの情熱なんてないんだ!!」

 

「…それが、神童さんの答えですか?」

 

「そうだ!何度も言わせるな!」

 

「…わかりました。それなら、こうするまでです!!」

 

 

 

 

--------------

 

 

 

 

神童side

 

 

「ぐわぁっ!!」

 

突然俺の腹部に痛みが走った。こいつの…松風のファイアトルネードが俺に向かって飛んできたんだ。

 

「そのボールには、俺のサッカーへの想い全てを込めています」

 

「なに…?」

 

「そして、これは神童さんがサッカーへの想いを込めた手帳です」

 

そう言って松風が見せてきたのは俺が使っていた手帳だった。

 

「勝手に見てしまった事は謝ります。ですがこの手帳には、神童さんの並々ならぬ努力が詰まっています。サッカーを好きじゃなければこんなことは出来ません」

 

松風は真っ直ぐと、曇りのない目で俺を見ていた。

 

「神童さん。本当にこのままで良いと思ってるんですか?今の管理されたサッカーなんか跳ね除けて、本当の勝ちを取りたいって思わないんですか?」

 

「…俺だって、俺だって勝ちたいに決まってるだろっ!これ以上、無様なサッカーはしたくない!」

 

これまで俺が感じていたサッカーへの情熱、そして憤りの無さが膨れ上がり、俺の目からいつの間にか涙が零れ落ちている。ダメだ、抑えられない…!

 

「言えたじゃないですか、神童さん」

 

そう言って松風は俺に手を差し伸べ、俺はその手を取って起き上がる。

 

「その涙だって、サッカーが大好きだからこそ流せる涙なんじゃないですか?少なくとも俺は、そんなサッカーバカの神童さんを笑うような無粋な事はしませんよ」

 

「サッカーバカか…初めて言われたな」

 

「あ、やっぱり先輩に向かってバカはマズかったっスか…?」

 

松風がいつも見せる強気な態度は鳴りを潜め、どこか年相応の感じだった。

 

「そうかもな…だが、不思議と嫌とは感じない」

 

松風天馬…不思議な奴だな。

 

もしかしたら、こいつとならこの腐敗したサッカーを変えられるかもしれない。

 

「俺自身、まだ不安がない訳じゃないし、俺のやろうとしている事が先輩達に迷惑をかけるかもしれない…だけどもうサッカーから…大好きな物からもう目を背けるような事はしない!」

 

「神童さん…」

 

「次の試合、雷門が勝つぞ…天馬(・・)!」

 

「…はい!」

 

 

 

 

--------------

 

 

 

 

××月○○日

 

 

そういう訳で神童さん…いや、神童キャプテンはサッカー部に戻り、先輩達にフィフスセクターの指示には従わないという意思を伝えた。信助と葵ちゃん達マネージャー陣(特に茜さん)は嬉しそうにし、円堂監督は笑みを浮かべていた。しかし当然の事ながら先輩達はキャプテンに猛反発をしていたし、倉間さんに至っては俺に「お前が神童を唆したのか!?」と言ってきた。唆したとは失礼な。ただちょこっとファイアトルネード治療法をしただけですよ。ちなみにキャプテンとの昨日のやり取りは円堂監督に見られていたらしく、「懐かしいやり方だな」と微笑んでいた。そういえば円堂監督も豪炎寺さんが担当した患者の一人だったな。あの微笑みを見る限り今となっては良い思い出になっているかもしれない。

 

そこから円堂監督が場を収め、ホーリーロード地区予選一回戦に向けたミーティングが始まった。ホーリーロードとはかつて存在したフットボールフロンティアに代わって出来た中学サッカー日本一を決める大会でもあり、フィフスセクターの聖帝を決める選挙でもある。雷門は原作通り去年の決勝で木戸川清修に敗れて惜しくも準優勝となってしまったみたいだ。そんな準優勝校である筈の雷門は地区予選一回戦で敗退するようフィフスから勝敗指示が届いていたらしい。もちろんリーク元は剣城だ。そして円堂監督が勝敗指示を破ろうとしている事を知ったキャプテン以外の先輩達はその場から去っていった。

 

それから今日の部活動を終えて河川敷でタイヤ特訓をしていると偶々通りかかった三国さんに声をかけられた。「お前、いつもこんな特訓やってるのか?」と驚いている様子だっので小さい頃からやってる特訓だから一種の習慣になっていると答えたら「精が出てるのは良い事だがオーバーワークにならない様にしろよ。特訓のし過ぎでボロボロになったら元も子もないからな」と注意された。入ったばかりの、それもほとんどの部員から敵意を向けられている新入部員をここまで気遣ってくれるとは。やはり脅威の人格者の異名は伊達じゃないな。

 

それから夕飯を食っていけよと言う三国さんのご厚意で家に招かれた。三国さんの作る料理はどれも滅茶苦茶美味かった。何でも母親との二人暮らしらしく、働き詰めのお母さんが負担にならないよう家の家事は三国さんがやっているらしい。噂をすれば三国さんのお母さんが家に帰ってきた。それから三国さんのお母さんから三国さんの事を色々教えてもらった。何でも昔から根っからのサッカー少年だったらしく、大人になったらサッカーで大企業に就職してお母さんを楽させてやると言っていたらしい。孝行息子にも程があるって!一緒にいた三国さんは恥ずかしがっていたが。

 

ただ三国さんのお母さんによると最近は三国さんから試合は観に来なくていいと言われているらしい。やはり試合で負ける姿をお母さんに見られたくないのだろう。ただ昔は見に来てと言って聞かなかったらしく、三国さんのお母さん曰く自分は勝利の女神だそうだ。そういえば三国さんってそういう一面もあった気がするな。

 

とはいえ、三国さんの様なサッカー少年から自由なサッカーを奪っているフィフスセクター、そして今のサッカー界はやはり許せないな。

 

三国さん達には悪いけど、今度の試合は本気で勝ちを取らないといけない。俺は改めてそう誓った。

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