いやー、小説って書くのは難しい。ちなみに作者は劇場版しか観覧してないです。……小説も読みたかった。
第144話≪単発、オーディナル・スケール≫
Ordinal Scale。――通称OSは、VRのような完全な仮想化とは違い、フルダイブ機能を排除した変わりに、
「やり!クーポンゲット!タダでケーキが頼めるー♪」
「うぅ……。私はダメでした……」
ゲームを行っていたのは、俺と同じ高校に通っている少女。リズベットこと篠崎里香。シリカこと綾野珪子である。その二人を挟むように、結城明日奈、紺野藍子だ。
「二枚特典だし、一枚上げるわよ。あんたもタダで頼みなさいな」
と言って、里香は珪子の端末にクーポンを送る。どうやら、里香と珪子が頼んだのはチーズケーキらしい。
「てか、あんたらはケーキ食べないの?」
そう、俺たちに問う里香。
「私はお腹がすいていないから大丈夫だよ。カロリー高いものは今控えてるんだ」
「私は、今ダイエット中で」
「ボクもダイエット中、かな」
上から、明日奈、藍子、木綿季である。……てか、三人ともダイエット中なのね。そして、うぅ……。と声を上げる珪子と里香。
「……あんたら、私が目を逸らそうとしてる事を言わないで……」
「……つい、食べてしまうんです……き、キリトさんは食べないんですか!?」
珪子の問いに、俺は首を振る。
「いや、俺はいいよ。今は腹が減ってないしな」
ちなみに、俺は余りオーグマーの機能を使っていない。使っているとしても、メールや天気予報、日付の確認位だ。でもまあ、オーグマーのお陰で、仮想世界のいるユイと一緒に居る事ができるので、そこは重宝している。
「そういえば、今日ボスイベントがあるらしいけど、あんたらは参加するの?私は今日用事があって参加できないんだけどさ」
「私も、今日は塾があるので見送りですね、残念です」
「俺は気が向いたらだな」
俺は頭を振った。そして俺にはこの理由が強い――それは、VRゲームに対する想いが詰まってるから。だと思っている。
ともあれ、木綿季たちは――、
「私も同じく……気が向いたらかなぁ。私は、現実より仮想の戦闘って感じだから」
「ボクも明日奈と以下同文」
「私もですかね」
どうやら、里香と珪子は不参加であり、俺、明日奈、木綿季、藍子は気が向いたらしい。やっぱり、戦闘の本場と言ったら仮想世界。という事かも知れない。いや、多分、知らんけど。
ちなみに、OSの戦闘は、接近、遠隔、支援タイプの三種類の中から武器を選択し、生身の体を動かし、運動能力に左右される。上位にランクインしたプレイヤーには、ゲームの枠を超えて、協賛企業からサービスも受ける事もできる為、VRゲームと比べても多彩と言える。
「まあ、あんたらの気持ちも解らなくはないわ。私たちの出会いは、仮想世界。だもんね」
「私たちもこう集まれるのも、それがあってからこそ。ですから」
やはり、里香と珪子も思う所があるらしい。
確かに、SAOを通して、辛いことや悲しいこと、出会いや別れ、楽しいことなどがあった。それは俺たちの大切な思い出でもあるのだ。
それにしても、ユナのライブチケットが学校全員に配布されたのは意外だった。あれ、オークションに出品すれば、かなりの額になるよな……。まあ売らないけどさ。
ともあれ、レストランを出た所でお開きになり各自は帰路に着いたのだった。
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~桐ケ谷家、和人の部屋~
「和人の部屋は、シンプルすぎるね。今度ボクたちで改装しようか」
ベットに座り、机の椅子に座る俺に木綿季がそう言う。
「いや、このままでいいよ。部屋に余計なものは要らないしな。てか、木綿季も人のこと言えないだろ」
木綿季の部屋も、壁を紫色に基調にしただけで、余計な物が置いてなくシンプルである。まあ色変えの時に、明日奈や俺、藍子は駆り出されたけど。
ちなみに、藍子の部屋は青。明日奈はピンクを基調にした感じである。
「それより、今日のボスイベントどうしよっか?ボクはどっちでもいいよ」
「うーん。仮想と現実の戦闘の違いに興味があるし、参加してみるか」
そう。俺は、その部分がどうなるのか気になってもいる。
「じゃあ、姉ちゃんと明日奈も誘って四人で参加しよっか」
「了解だ」
てか、現実世界でも俺たちが無双。ってことはないよな。何か、コツを掴んだら適応しそうで怖くもある。
ともあれ、俺は明日奈に、木綿季は藍子にメッセージを送った。数分後の返信は『りょうかい。じゃあ現地集合で』ということだ。
それから数時間(ボスの告知)後、準備をし、飯を食った所で倉庫に仕舞ったバイクに乗って現地へ向かった。
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秋葉原UDX到着し、バイクから降りヘルメッドを外してからヘルメッド指定位置にかけ周りを見渡すとかなりの人で賑わっていた。30分前にボス出現の告知だったのに、かなり集まった方だと思う。
「かなり人がいるね」
「それだけ、OSのユーザーが多いってことかもな。さて、明日奈と藍子はどこだ?」
視線を動かしていると俺を見つけたのか、手を振って明日奈たちが近づいて来てくれた。
「こんばんは。和人君、木綿季ちゃん」
「こんばんは。和人さん」
「おう。明日奈、藍子」
「木綿季もこんばんは?」
藍子さん、何故疑問形?
まあ姉妹だし、挨拶は不要って感じだけどさ。
「それにしても、藍子と明日奈は一緒に居た感じなのか?」
「そうですね。レストランで別れてからもずっと一緒にいました」
まあ確かに、明日奈と藍子は、高校を卒業したら一緒に暮らすのが決まってる仲でもある。俺と木綿季も一緒に暮らす感じだけど。
それにしても、両親の許可がすんなり通ったので拍子抜けでもあった。かなりの確率で反対されると思っていたしね。
「んじゃ、やりますか」
俺たちは筒状の棒を持ち、
「「「「――オーディナル・スケール起動」」」」
俺は白地を基調に黒ライン、木綿季は紫地を基調に黒ライン、明日奈は白地を基調に赤色ライン、藍子は白地を基調に青ラインが入った戦闘ユニフォームだ。
ちなみに、木綿季と藍子、俺は片手剣であり、明日奈は細剣である。
「へぇ、こんな感じになんのか」
でもなんつーか、しっくりこない感じである。
「結構リアルに再現されてるね。でもなぁ――」
「うん。私も血盟騎士団か、ALOのユニフォームが合ってる感じかなぁ」
「私も皆さんと同感ですね」
そして、21時丁度になり、秋葉原UDXの景色が変わった。ボスの出現時間である。
ボス戦が始まると同時に、階段上にユナが登場し歌を歌い、各プレイヤーにボーナスが与えられていく。
「か、和人君。あのボス……」
明日奈の問いに俺は頷いた。
「……ああ、旧SAOの第10層ボスモンスター、カガチ・ザ・サムライロードだ。でもなんで、旧SAOのボスが出現するんだ?ALOでも、第10層のボスは奴じゃなかった筈だ」
「誰かが、SAOサーバーをスキャニングした線が怪しいかも」
「でも、何故でしょうか?」
だが、この場で議論しても情報が少なくて何とも言えない。
「とりあえず今はボスを倒そう。それよりも、俺たちには
「「「りょうかい!」」」
俺たちは走り出し、カガチ・ザ・サムライロード元へ向かった。てか、現実と仮想の戦闘では、若干だがラグがある感じだ。状況から察っするに、ソードスキルも使用不可能だろう。
前方では、ボスに向かったプレイヤーが吹き飛ばされている。確かに、ボスも行動パターンを見極めないとこうなるのは必然なのかも知れないけど。
「ボスの行動パターンは旧SAOと同じだ。あの時の連携で行くぞ!」
「「「りょうかい!」」」
俺は滑り込むようにして、ボスの両足を斬りつけると、ボスは体勢を崩し両膝を突けた。
だが、両膝を突けても刀を振り斬撃を放つ。
「はぁあ!」
木綿季は斬撃の正面に立ち、斬撃を斬り払い後方に押されるが、
「明日奈、姉ちゃん!」
「「りょうかい!」」
明日奈と藍子はボスを斬りつけこの場から離脱、ボスは咆哮を上げHPを減少させる。
頭を狙って攻撃をしたので、ボスはスタン状態だ。
「この場にいる全員でフルアタック!斬撃がきても横薙ぎだけだ、正確に避けろ!」
おう!とプレイヤーたちが声を上げ、各々が攻撃を加えていく。
「和人君。ナイス指示だよ」
隣に立つ明日奈がそう言う。
「旧SAOの第一層以来だね」
次いで、合流した木綿季が言う。
「まあ、あの時は咄嗟に指示を出した感じでしたが」
そして、隣に立つ藍子である。……てか、俺の評価が低いのは気のせいのはず。
まあ、コミュ症の俺だしなぁ……。
「よし!今度のALOでのボス戦の指揮は、和人君に一任しようかな」
「ちょ、ちょっと待って明日奈さん。コミュ症の俺には荷が重すぎます……」
「大丈夫大丈夫。元血盟騎士団副団長として、私がしっかり教えてあげるから」
……つーことは、《閃光様》の一面が出るのね……。俺、スパルタでトラウマにならないよね、大丈夫だよね?まああれだ、腹を括れ。ということだろう。
「……了解だ。《閃光様》の教えに従います、はい」
つーか、ボスが立ち上がるような雰囲気だ。
やはり、HPが減る事の火事場の馬鹿力というものがあるのだろう。
「さて、俺たちで止めを刺すか」
「……何か、ボスのLA狙いだろ。って感じですね」
「でもまあ、あの感じゃボスが立ち上がりますし、仕方ないですよ」
「そうそう、仕方ないよ」
うん、俺もそんな感じがする。この際気にしないけどさ。
「んじゃ、行きますか」
明日奈たちは頷き、剣を構え走り出す俺たち。そして俺と木綿季、藍子は、旧SAOの単発重攻撃《ヴォーパル・ストライク》を模倣し、ジェットエンジンめいた金属質のサウンドのようにボスを突き抜け、明日奈は、細剣を中段にして突きを入れ、中段の突きを三連続させた後、一転して斬り払い攻撃を往復。斜めに撥ね上がった剣先が上段に二度の突きを叩き込む。旧SAOでの細剣ソードスキル《スター・スプラッシュ》計八連撃だ。
直後、ボスは膨大な光の欠片となって四散した。一瞬遅れて巨大な破砕音が轟き、空気が震えた。
「模倣は可能だったね」
「体に沁みついてる動きですもんね」
「私は、スター・スプラッシュの模倣は半信半疑だけどできちゃったよ」
「できる可能性はあったしな。流石にソードスキルは使えないけど」
そう言ってから、剣を鞘に収める俺たち。
ちなみに今回の戦闘で、頭上に記されているランキング順位が100上がった。ボスを倒すと、結構上がるような仕様なのかも知れない。
「さて、帰るか」
「「「はーい」」」
俺たちはオーグマーを外し、帰路に着く。
ちなみに、ユナの加護?的なものもらったのだった。
戦闘があっさり終わった気がするが、ご都合主義展開ということで。ではでは(^_^)/~