ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

初めて投稿が、一週間も空きました。
すいませんm(__)m
まぁ、でも、書き上げました。

誤字脱字があったらごめんよ。

それではどうぞ。


第86話≪BoB本戦終了≫

俺とユウキは砂漠の上をゆっくり歩き、シノンと合流をした。

俺とユウキは光剣をスナップリングに吊るすと、拳を握り、真っ直ぐ突き出した。

シノンも右拳を持ち上げて、こつんと拳をぶつけた。

俺とユウキは拳を降ろし、短く呟いた。

 

「……終わったな」

 

「……うん、全て終わったね」

 

そう言ってから、真っ直ぐ頭上を振り仰いだ。

釣られて、シノンも視線を上げる。

いつの間にか大きく雲が切れ、その向こうで、満天の星々が光を振り撒いていた。

俺たちは暫し言葉を失い、透き通るような夜空を彩る様々なスぺクタルの光たちと、その間を川のように流れる、宇宙船の残骸の煌めきに見いった。

やがて、シノンが言った。

 

「……そろそろ、大会も終わらせないとね。 ギャラリーが怒ってるだろうし」

 

「……ああ、そうだな。 そういえば、中継されてたんだっけ」

 

夜空のあちこちでは、中継カメラたちが、心なしか苛立ったようにRECマークを点滅させていた。

ユウキが、静かに口を開いた。

 

「……この大会の危険は去ったよ。 死銃さんが倒れた今、シノンさんを狙っていた共犯者さんも姿を消していると思う。 死銃さんたちは、自分たちが決めた制約を破らないはず。……でも、ログアウト直後は気を付けてね」

 

「……でも、どうすればいいの? 警察に通報しても、何て説明したらいいの……?」

 

確かに、VRMMOの中と外で同時殺人を企んでいる人たちが居ます。 なんて言っても、信じてもらえない。

ユウキが思い出したように、

 

「ボクたちの依頼人に頼めばいいんだよ」

 

「なるほどな。 俺たちの依頼主は一応公務員だから、奴に動いてもらう手もあるけど……。 まさか、此処で君の住所や名前は聞けないし……」

 

VRMMOの中で、誰かのリアル情報を訊ねる、などは重大なマナー違反だ。

だがシノンは、一瞬考えただけで頷いた。

 

「いいわ。 教える」

 

「え……、でも……」

 

「何だかもう、今更って感じがするもの。 私……自分から、昔の事件のことを誰かに話したの、初めてだったから……」

 

俺とユウキは眼を見張ったが、小さく頷き返した。

 

「それもそうだね」

 

「ああ、そうだな」

 

シノンはヘカートを肩に掛けると、一歩踏み出して、誰にも聞こえないボリュームで囁いた。

 

「私の名前は、――朝田詩乃。 住所は東京都文京区湯島四丁目……」

 

アパート名と部屋番号まで言い終えた瞬間、俺とユウキは驚いたように囁き返した。

 

「湯島!? 驚いたな……」

 

「ボクたちが今ダイブしてるのは、千代田区の御茶ノ水なんだよ!」

 

「え……、ええ!? 眼と鼻の先じゃない」

 

これにはシノンも驚いていた。

シノンの自宅と病院までの距離は、大通りを二つ挟んだけだ。

 

「これなら、ボクたちが駆け付けた方が早いかもよ……」

 

「確かにそうだな……」

 

「え……、き……」

 

俺たちの提案に、シノンは何か言いかけたが、軽く咳払いをして言い直した。

 

「う、ううん、大丈夫。 近くに、信用できる友達が住んでるから……。 それにその人、お医者さんの子だから、いざってお世話になれるし」

 

俺とユウキは、真剣な顔で言い返した。

 

「おい、それはあんま洒落にならないぞ。 俺たちがログアウトしたら、すぐに依頼人に連絡して、警察に状況を説明させるよ。 どんなに遅くても十五分……。 いや、十分でパトカーが行けるようにしてもらうから」

 

「シノンさん。 もしもがあるかも知れないから。 だから、ボクたちか警察さんたちが来るまで、ドアにチェーンロックも掛けて、絶対に鍵を開けないで。 もしかしたら、近くに共犯者さんが潜伏してる可能性も捨てきれないから」

 

「ええ、わかったわ。 二人か警察が来るまで、部屋の中で待ってる。――ところで、私にだけ個人情報を開示させて終わり?」

 

ちょっと不機嫌そうに睨むシノンに、俺は慌てて自己紹介をした。

 

「え、あ、ご……ごめん。 俺の名前は桐ケ谷和人。 ダイブしているのは御茶ノ水だけど、家は埼玉県川越市」

 

「ボクの名前は紺野木綿季。 お家は、……和人の家に住んでるよ」

 

「ふぅーん。……やっぱり、一緒に住んでるんだ」

 

え、何でだ。

シノンの不機嫌オーラが増したぞ……。

ユウキが、『やっぱりこうなったね。 和人のバカ』、と小声で言っていた。

俺はこの空気から逃げる為に、『さて、』と語調を変えた。

 

「……ログアウトするには、BoBを決着させないとな。 どうやって決着をつける?」

 

「シノンさんのやり方で決着をつけようよ」

 

シノンは俺とユウキを一瞥してから、

 

「あんたたち、全身ボロボロじゃないの。 そんな人に勝っても全然自慢にならないわ。 次のBoB本大会まで、勝負は預けておいてあげる。 ユウキとも勝負したいしね」

 

俺とユウキは苦笑した。

 

「それって、第四回があるまで元のゲームに再コンバートするなって意味?」

 

「シノンさん、負けず嫌いなんだね」

 

「なっ!?」

 

シノンは、小さく声を上げた。

シノンは気を取り直して、

 

「……そ、それじゃあ、そろそろBoBの大会を終わらせよう」

 

「でもどうやって? バトルロイヤルだから、俺たちのHPが全損しないと、勝者は決まらないだろう」

 

ユウキが声を上げた。

 

「あ!! 《お土産グレネード》を使うんだね」

 

「流石ユウキ。 そう。 お土産グレネードよ」

 

「オミヤゲグレネード? なんだ、それ」

 

「負けそうな人が、巻き添え狙いで死に際にグレネードを転がすこと。――ん、ほら、これあげる」

 

シノンはポーチに手をやり、取り出したグレネードを、俺が反射的に差し出した右手に乗せた。 次いで、突き出た雷管のタイマーノブを、きりきりと五秒間ほど捻る。

俺の腕が、ユウキとシノンにホールドされ、動きを封じられた。

 

「……え、マジで」

 

タイマーがゼロになり、俺たちのアバター間に強烈な光が包み込んだ。

 

試合時間、二時間四分三十七秒。

第三回バレッド・オブ・バレッツ本大会バトルロイヤル、終了。

リザルト――【Sinon】、【yuuki】、【kiroto】。 同時優勝。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

東京都千代田区御茶ノ水の病院のベットの上で、俺は眼を覚ました

重たい身体を起こすと、万が一に備えてモニタリングしていた安岐さんの姿があった。

 

「おかえりなさい、和人君。 まずは、お水を飲んで水分補給をしなさい」

 

差し出された紙コップを受け取り、喉を潤す。

俺は喉が潤った所で、現状の報告をしようとした。

菊岡に連絡し、警察の手配などを頼もうとした。

それを話そうと口を開けたが、安岐さんが手一つで防いだ。

 

「和人君が言おうとしている事は、先に帰って来た木綿季ちゃんから聞いたわ。 今、彼女が菊岡さんと連絡を取ってるわ」

 

今まで気付かなかったが、木綿季が少し離れた所で、誰かと話していた。

その通話も終わり、木綿季がこちらを振り向いた。

 

「和人! 急いでシノン(詩乃)さんの部屋に向かうよ! すぐに支度して」

 

「了解だ!」

 

「ごめんなさい、安岐さん。 今、ボクたちは急いでるんです!」

 

「ええ、事情は理解できないけど、大事な事なのね。 わかったわ」

 

安岐さんは親指をぐっと立ててくれた。

俺たち支度してから一礼し、急いで病室を出る。

俺は下に降りるエレベータの中で、シノンのアパートまでのナビ情報を表示させた。

 

「よし! 急いでここに向かうぞ!」

 

「うん!」

 

病院を出た俺たちは、急いでバイクが止めてある駐輪場に向かった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

BoB本大会の戦場となった弧島《ISLラグナロク》から転送され、待機エリアに戻されたシノンは、眼前に浮かぶリザルト表とログアウトまでのカウントダウンを眺めていた。

大会は終了したが、《死銃事件》そのものは終わっていない。

詩乃の近くには、まだ共犯者が潜んでいる可能性があるからだ。

キリトとユウキは、すぐに警察が向かうように手配してくれると言っていたが、最低でも十分は掛かるだろう。

もしかしたら、新川君がお祝いに来てくれるかもしれない。

でもユウキからは、『部屋の鍵は絶対に開けないで』、って言われている。

 

「(私が信用してる、新川君なら大丈夫よね)」

 

カウントダウンは数字を減らしていき、遂にログアウトまで十秒を切った。

最後にもう一度リザルト画面を見詰め、数字がゼロになるのを待った。

 

一瞬の浮遊感覚が過ぎ去った後、《シノン》は《詩乃》となり、自室のベット上に一人横たわっていた。

いや――ひとり、とはまだ限らない。 すぐに眼を開けちゃダメ、動くのもダメ、と自分に言い聞かせる。

身動き一つせず、瞼を閉じたまま、詩乃は周囲の気配を探った。

まず、自分の呼吸音と心臓の鼓動の音。

低く唸っているのは、部屋の空気を緩めるエアコンと加湿器の音。

部屋の外から響いてくる自動車の走行音に、同じアパートの何処かで部屋で鳴っている、ステレオのウォーファー。

――それ以外に異質な音はしない。 部屋の中には詩乃以外、誰もいない。

詩乃はゆっくりと瞼を開き、上体を起こし、アミュスフィアを頭から外し、部屋の中を見渡す。

詩乃の眼に映るのは、数時間前にフルダイブした時のまま、のように思えた。

ゆっくりと立ち上がり、足音を殺しながら壁際まで歩き、照明のスイッチを入れた。

眩い光が部屋に溢れ、キッチンの向こう側にある玄関まで照らす。

詩乃の眼に見える範囲では、異常はない。

だけど、狭い1Kのアパートでも、姿を隠せる場所は沢山ある。

詩乃は一息吐くと、壁一枚に隔てた場所。 ユニットバスの気配を探った。

爪先立ちになってキッチンへ向かい、万が一の為に包丁を手に取った。

冷汗で濡れた左手で、ドアノブを握り、大きく息を吸って、包丁を握っていた手で明りのスイッチを入れざま、一気にドアを引き開けた。

詩乃は無言で内部を凝視してから、呟いた。

 

「……馬ッ鹿みたい」

 

詩乃はキッチンに向かい包丁をまな板に置くと、身体を半回転し、壁に背中を預け、ずるずると座り込んだ。

部屋には誰も居なかった。 侵入された形跡もすらも、見当たらなかった。

もちろん、電子ロックを破って入り込んで来た死銃の共犯者が、部屋の中で携帯端末を利用してGGOの中継動画を視聴し、死銃の敗北と同時に立ち去った。――という可能性はまだある。

それであるなら、共犯者はこのアパート付近にいるはず。

引き返してくる可能性がゼロでない以上、ドアにチェーン掛けて、二人の到着を待っていた方がいいのかもしれない。

 

「(私の罪を聞いてくれて、その闇を振り払ってくれた、二人の剣士。――キリト、ユウキ。 現実世界で会って、話してみたい)」

 

ゆっくり立ち上がりドアにチェーンを掛けてから、再びキッチンまで移動し、浄水器から出る水をグラスに注いで、一気に飲み干し、喉を潤す。

更にもう一杯注ぎ足そう、としたその時――。

“キンコーン”、と玄関のチャイムが鳴り響いた。

詩乃は反射的に身体を竦ませ、ドアを凝視した。

今にも、勝手にロックが回転し始めるのではないか、と思うと息が詰まる。

二人が警察を連れて来た、と思って時計を見るが、ログアウトした時間を考えると早すぎる。

――二人じゃなかったら、其処に立っているのは誰?

立ち尽くしていると、再びチャイムが鳴った

詩乃は息を殺して、足音を立てないようにドアに歩み寄った。

すると、聞き慣れた声がした。

 

「朝田さん、居る? 僕だよ、朝田さん!」

 

詩乃は肩の力を抜いた。

サンダルを踏み石代わりにドアに顔を近づけ、念の為にレンズを覗く。

魚眼効果で歪んだ廊下に立っているのは、詩乃の同級生――元クラスメイトにして、詩乃をGGOに誘った新川恭二だった。

 

「新川くん……?」

 

インターホン越しに呼び掛けると、すぐに躊躇いがちな声が返る。

 

「あの……、どうしても、優勝のお祝いが言いたくて……。 これ、コンビニで悪いけど、買ってきたんだ」

 

その言葉にもう一度レンズを覗くと、恭二は小箱を掲げて見せた。

 

「は……、早いね、ずいぶん」

 

思わずそう声に出してしまう。 待機空間での待ち時間を入れても、大会が終わって五分弱。

もしかしたら、自宅ではなく近所の公園辺りで中継を見ていて、決着してすぐにコンビニ経由で駆け付けたのかもしれない。

ほっと息を付きながら、ドアのチェーンを外し、ロックノブに手を伸ばす。

 

「ちょっと待って、今開けるね」

 

と言いつつ、ふと自分の身体を見下ろすと、上はだぶっとしたトレーナー、下は素足にショートパンツという格好であったが、まぁいいか、と肩を竦めて詩乃は、ドアノブを九十度回転させた。

ドアを押し開けると、そこには、はにかんだような笑みを浮かべた新川恭二が立っていた。

 

ジーンズの上に、ボア付きのミリタリージャケットという重装備だが、外はそれでも足りなそうな程の冷たさであった。

 

「うわ、凄く寒いね。 早く入って」

 

「う、うん。 お邪魔します」

 

恭二はぺこりと首を縮めると、玄関に足を踏み入れた。

 




何かALOより終わるのが早くなりそうな……。

まぁ、それは置いといて、遂にBoB大会が終わりましたね。
あ、電極は病室を出るときに、すでに外してたという事で。
あと、キリト君は、ユウキちゃん一筋なので心配無用です(笑)
そして、詩乃さん。
やばいよやばいよ……。

あれは、次回になりそうです。

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