舞翼です!!
キャリバー編に入りましたね。
誤字脱字があったらごめんよ。
それではどうぞ。
第89話≪聖剣を求めて≫
木綿季の部屋のベットの上で、桐ケ谷和人は眠っていた。
なぜ、此処で寝てるかというと、夜中に布団の中に入り込んだからだ。
「和人~、朝だよ」
部屋をノックして入って来た人物は、俺の将来の奥さん、紺野木綿季だ。
木綿季は、俺のすぐ傍に腰を下ろした。
「もう、和人は。 また布団の中に入り込んでくるんだから」
俺は眼を擦りながら、
「俺、昨日は木綿季と寝たくて」
「この頃、一緒に寝てるよね?」
「……うん」
木綿季の部屋が建て上がってからも、俺は毎日のように木綿季と寝ている。
最初の頃は一人で寝れたんだが、数日離れただけで、木綿季の温もりが恋しくなってしまったのだ。
「……木綿季、膝枕」
「はいはい、おいで」
木綿季は膝を“ぽんぽん”と叩き、俺を促す。
うつ伏せで寝ていた俺は、ほふく前進で木綿季にすり寄りよってから仰向けになり、後頭部を木綿季の太股に乗せた。
木綿季はニッコリ笑い、俺の頭を撫でてくれる。
「……木綿季。 大好きだよ」
「ボクも大好きだよ」
木綿季の顔がゆっくりと下りてくる。
唇と唇が触れ合おうとしたその時、部屋の扉が勢いよく開かれ、一人の少女が部屋に侵入してきた。
その人物は、漆黒の黒い髪をショートに整えてる少女、桐ケ谷直葉だ。
直葉は、俺と木綿季を見て数歩あとずさった。
「…………もしかして、お邪魔だったかな」
俺は木綿季の太股からむくりと起き上がり、言った。
「いや、大丈夫だ。 何時でも出来るしな」
「気にしないで、スグちゃん」
俺は直葉に聞いた。
「で、どうしたんだ? そんなに慌てて?」
「あ、そうだった!! お兄ちゃん、これ見て」
という声と共に、直葉が差し出してきた薄型のタブレット端末を受け取り、俺は寝ぼけた眼でボーっと眺めた。
表示されているのは、国内最大のVRMMORPG情報サイト《MMOトゥモロー》のニュース記事だった。 真っ先に記事内のスクリーンショットを見ると、風景写真が写った。
俺は記事のリード文を読み始める。
直後、俺は衝撃に見舞われ声を上げてしまった。
「な……なにィ!!」
【最強の伝説級武器《聖剣エクスキャリバー》、ついに発見される!】。
記事には、そのように記載されていたのだ。
俺は食い入るように本文を読み進めながら、長く唸った。
「うぅ――――――ん……。 とうとう見つかっちまったかぁ……」
木綿季は首を傾げながら聞いてきた。
「もしかして、黄金の剣のこと?」
「そうなんだよ……」
《聖剣エクスキャリバー》。
それはALOに於いて、サラマンダーのユージーン将軍が持つ、《魔剣グラム》を超えると言われる唯一の武器だ。
しかしその存在は長いこと、公式サイトの武器紹介ページ最下部に小さな記述と写真で確認出来るだけで、入手方法は知られていなかった。
いや、正確には知ってるプレイヤーが四人だけいた。
俺とユウキ、リーファとユイだ。
だが既に、大規模ギルドが《聖剣エクスキャリバー》入手の為、動き出しているという情報もあった。
俺は腕を組み、再び唸った。
「うむむ……」
「でも、どうやって見つけたんだろね?」
「だよな。 ヨツンヘイムは飛行不可だし、聖剣エクスキャリバーは飛ばないきゃ見えない高さにあったはずだぞ」
俺は木綿季の問いに考え込んだ。
一年前、シルフ領を出て中都アルンを目指そうとした俺、ユウキ、リーファ、ユイは、世界樹が見えてきたところで、巨大ミミズモンスターに呑まれ、消化管経由で闇と氷の世界ヨツンヘイムへと投げ出された。
到底勝てない邪神級モンスターがうようよするフィールドを、何とか地上への階段まで辿り着くべく移動していた俺たちは、不思議な光景に出くわした。
四本腕の人型邪神が、
リーファに、「いじめられてるほうを助けて!」のお願いに賛同した俺とユウキは、人型邪神を誘導し、水中戦に移行させて水母型邪神に倒してもらった。
俺が《トンキー》と名付けたそいつは、《羽化》してから俺たちを背中に乗せて飛び、地上に繋がる天蓋の通路まで運んでくれたんだが、――その途中で、俺たちは見たのだ。
天蓋の中心から、世界樹の根っこに包まれてぶら下がる逆ピラミッド状の巨大ダンジョンと、その最下部でクリスタルに封印されて輝く黄金の長剣を。
俺と同時に記憶を甦らせていた直葉は、微笑みながら言った。
「お兄ちゃん、あの時すっごい迷ったでしょ。 トンキーに乗ったまま地上に戻るか、ダンジョンに飛び移ってエクスキャリバーを取りに行くか」
「そ……そりゃまぁ、迷ったけどさ……。 でも敢えて言わせてもらえば、あそこで迷わない奴は、ネットゲーマとは認められない!」
「和人。 その台詞はカッコよくないよ」
木綿季にそう言われ、俺は肩を落とした。
「……欲しいな、最強の剣」
「ボクは協力するよ。 約束だしね」
「木綿季~~」
俺は木綿季に抱き付いた。
「和人は甘えん坊さんなんだから」
直葉が『んんッ』と咳払いし、
「それでどうしようか?」
俺は抱擁を解いてから、身体を前へ向き直し、言葉を発した。
「スグは、今日暇か?」
「…………まぁ、部活はもう休みだけど」
よし!とばかりに、左掌に右拳を打ち付ける。
俺は早口に攻略の方針を捲し立てる。
「確か、トンキーに乗れる上限は九人だったな。 てことは俺とユウキ、ラン、アスナ、スグ、クライン、リズ、シリカ……あと一人か。 エギルは店あるしなぁ……クリスハイトは頼りないし、レコンはシルフ領にいるだろうし……」
「……シノンさん誘ってみたら」
「おお、それだ!」
俺は傍らに置いてあった携帯端末と取り出すと、電話帳をスクロールさせた。
今月の上旬、俺と木綿季はとある事件に巻き込まれてGGO――、《ガンゲイル・オンライン》にキャラクターをコンバートさせ、そこでシノンいうプレイヤーと知り合った。
事件解決後、シノンはアスナやラン、リズとも友達になり、彼女たちに誘われてALOに新キャラクターを作ったのだ。
まだ作成してから二週間しか経っていないキャラだが、シノンのセンスなら、もう高難度ダンジョンでも充分立ち回れるはずだ。
俺は最大速でメールを打った。
「じゃあ、朝ごはんにしようか」
そう言って部屋から出て行った直葉の足取りが、どこか弾むようなのは気のせいではあるまい。
恐らくあいつも、なんだかんだと言いながら、最初にニュースを見た時からその気だったのだろう。
仲間たちと異世界に飛び込み、困難かつスリリングなクエストに挑む。
それ以上に楽しいことなど、そうそうあろうはずもない。
シノンを含めた六人に誘いのメールを送信し終えると、俺は木綿季に話し掛けた。
「さ、俺たちも下に行こうぜ」
「うん、そうだね」
俺と木綿季は立ち上がり、直葉を手伝う為にキッチンへと急いだ。
♦♦♦♦♦♦♦♦
待ち合わせ場所となった、イグドラシル・シティ大通りに看板を出す《リズベット武具店》の工房では、
大がかりなクエストの前には、装備の耐久度をMAXまで回復させておくのが常識だ。
クエストの途中で武器が壊れたりしたら、シャレにならない。
壁際のベンチで
「クラインさんは、もうお正月休みですか?」
「おう、昨日っからな。 働きたくても、この時期は荷が入ってこねーからよ。 社長のヤロー、年末年始に一週間も休みがあるから、ウチは超ホワイト企業だとか自慢しやがってさ!」
クラインは、これでも小規模な輸入商社に勤める歴とした会社員だ。
何時もブツクサ社長の悪口を言っているが、SAOに二年間囚われた彼の面倒をきちんと見、生還後も即座に仕事に復帰出来たのだから、実際はいい会社なのだろう。
壁際に寄り掛りそんなことを考えていたら、当のクラインがじろっと俺を見て言った。
「キリの字よ、もし今日ウマいこと《エクスキャリバー》が取れたら、今度オレ様のために《霊刀カグツチ》取りに行くの手伝えよ」
「えぇー……あのダンジョンくそ暑ぃじゃん……」
「それを言うなら、今日行くヨツンヘイムはくそ寒ぃだろうが!」
低レベルな言い合いをしていると、左隣からぼそっと一言。
「あ、じゃあ私もアレ欲しい。 《光弓シェキナー》」
ウグッ、と言葉に詰まりつつそちらを見やる。
壁に背中を預け、腕組みをして立つのは、水色の短い髪からシャープな形の三角耳を生やしたケットシーの女性プレイヤー、シノンだ。
「き、キャラ作って二週間で、もう伝説武器を御所望ですか」
シノンは細長い尻尾をひゅんと動かして答えた。
「リズが造ってくれた弓も素敵だけどさ、できればもう少し射程が……」
すると、工房奥の作業台で、まさにその弓の弦を張り替えていたリズベットが振り向き、苦笑いしながら言った。
「あのねぇ、この世界の弓ってのは、せいぜい槍以上、魔法以下の距離で使う武器なんだよ! モンスターを百メートル離れたところから狙おうなんて、普通しないの!」
それに対してシノンは肩を竦め、澄ました微笑を浮かべる。
「欲を言えば、その倍の射程は欲しいとこね」
彼女の本拠GGOでは、実に二千メートルに達する超ロングレンジ狙撃を得意と知っている俺は、引き攣った笑みを作った。
本当にそんな弓をゲットされたら、エリア縛り無しのデュエルでは、剣の真合いに持ち込む前に、矢でハリネズミにされてENDだ。
と思っていると、俺の右にある工房の扉が勢いよく開いた。
「帰ったよー!」、「ただいま帰りました」、「お待たせ!」、「たっだいまー!」
声の主は、ポーション類の買い出しに行っていたユウキとラン、アスナとリーファだ。
市場から此処まで、
ユウキの肩からぱたぱたと飛びたった小妖精――ナビゲーション・ピクシーのユイが、俺の頭の上にちょこんと座った。
俺の髪は長いことつんつん逆立てていたが、ユイの要請によって髪を下ろしている。
理由は、《座りにくい》、からだそうだ。
俺の頭上の上で、ユイは鈴の音のような声ではきはきと言った。
「買い物ついでにちょっと情報収集してきたんですが、まだあの空中ダンジョンまで到達出来たプレイヤー、またはパーティーは存在しないようです。 パパ」
「へぇ……。 じゃあ、なんで《エクスキャリバー》のある場所が解ったんだろ」
「それがどうやら、私たちが発見したトンキーさんのクエストとは別種のクエストが見つかったようなのです。 そのクエストの報酬としてNPCが提示したのがエクスキャリバーだった、ということらしいです」
ポーション類を整理していたアスナが、青いロングヘアを揺らして振り向くと、小さく顔を
「しかもどうやらソレ、あんま平和なクエじゃなさそうなの。 お使いや護衛系じゃなくて、スロータ系。おかげで今、ヨツンヘイムはPOPの取り合いで殺伐としてるって」
「……そりゃ、確かに穏やかじゃないな……」
必然、指定された種類のモンスターを片端から狩りまくるので、同じクエストを受けているパーティーが狭いエリアで重なると、POP、つまりモンスターの再湧出を奪い合って場がギスギスしてしまうのだ。
ユウキが心配そうに、言った。
「トンキーさん、大丈夫かな……」
「あいつなら大丈夫さ」
俺は前に居るユウキを抱き締め、頭を優しく撫でた。
「……うん、そうだよね」
これを見ていたランとアスナが言葉を発した。
「キリトさんとユウキは、ラブラブですね」
「リーファちゃんが言うには、現実世界でもこうらしいですよ」
リズベットとシノンとリーファは右手を額に当て、シリカは顔を真っ赤にし、クラインは「リア充爆発しろッ!」と叫んでいた。
シノンが気持ちを切り替え、冷静な声で言葉を発した。
「――ま、行ってみれば解るわよ、きっと」
工房の奥でリズベットが叫んだ。
「よーっし! 全武器フル回復したわよ!」
「「「「「おつかれさま」」」」」
労いの言葉を皆で唱和し、輝きを取り戻したそれそれぞれの愛剣、愛刀、愛弓を受け取り装備する。
次にテーブルで、アスナが持ち前の作戦指揮能力で九分割したポーション類を貰い、腰のポーチに収納。
準備が完了した所で、俺はぐるりと皆を見回し、『ごほん』と咳払いしてから言った。
「みんな、今日は急な呼び出しに応じてくれてありがとう! このお礼はいつか必ず返す! 精神的に。それじゃあ――いっちょ、頑張ろう!」
「「「「「お――!」」」」」
俺はくるりと振り向き工房の扉を開けると、イグシティの真下、アルン市街から闇と氷の世界ヨツンヘイムに繋がる秘密トンネル目指して、大きく踏み出した。
呼び方がごちゃごちゃになった気が、気のせいであって欲しい(>_<)
あと和人くん。羨ましすぎだよ。
うん、羨ましい。
てか、和人くんと木綿季ちゃんはラブラブやね(笑)
皆と装備と容姿は、アニメALOの、装備と容姿を想い浮かべてくれたら嬉しいです。
アスナさんの装備は、マザロザの表紙を想い浮かべてくれたら嬉しいです。
ランさんの容姿と装備は、皆さんのご想像で(笑)
髪は長い黒髪で、武器は片手剣で。
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