深夜、暇に飽かせてPCを開いた。
何をしようか。
そうだ、怪談でもAIに作らせよう。
ジ-ピーティーでもジェミニでもない。
選んだのは──コパイロット。
適当に作るなら、これだな。
○○シリーズのパチモンでも作ろう。
ただし、怪異はもっと具体的に表現すること。
主人公は二人組。女先輩と男後輩。恋愛要素ゼロ。
毎話独立した話で、バラエティに富んだものにしよう。
特定の法則に縛られない、予測不能な恐怖を詰め込んだ、読み捨てのエンターテインメントを目指そう。
そう決めて、AIに指示を出した。
プロットはこちらで用意。
AIには精緻に指示をして、それぞれの怪談は登場人物を共通としながらも、シチュエーションも含めて独立した話とした。
内容が被りそうなときは指示して作り直させもした。
「もっとじっとりと」「もっと物理法則を無視して」と、細部を何度も調整させた。
──4本できた。
出会いと最初の怪異も作らせるか。
うん、これは第2話の後にもってこよう。
投稿するなら、後輩の一人語りを冒頭に付け加えて。
リアリティを出すために、大学時代のサークルという設定を補強した。
……もう飽きた。
最終話を作ろう。
さすがにオチらしいオチを付けるのは興ざめだから、──第1話とリンク。
第5話ともちょっとリンクを匂わせる。
なんとなく解決したような、してないような微妙な引きに……。
読者が勝手に考察して、深読みしてくれるような余白を残すのがコツだ。
あ、先輩の過去話も作りたい。
後輩が聞いたことにして、このキャラだとそんなに話さないだろうから、2話程度にして、詳しいところは後輩の脚色ということに、っと。
あれ、AIが勝手に過去話2話の怪異を同じものに見えるように書いてやがる。
”細長い影”という共通項を、指示していないはずなのに、そのモチーフを繰り返しやがる。
ま、いいか。いわばスピンアウトだし。
そうしてできた怪談、8本。
よく行く大規模掲示板にアップ!
──あれ?
読み返してみると、全話がなにがしかリンクしてる?
なにげなく背景無しを強調した話が、並べてみると、怪異が主人公たち本人に直接繋がっていると深読みできるな。
バラバラに作ったはずのピースが、まるで意志を持っているかのようにカチリと噛み合っている。
あれあれ、あれもこれも、一番リンク性が低いと思われる話まで、まるで主人公たちをロックオンしてるみたいに見えてきた。
ただのパチモン怪談として書いたはずなのに、一つの巨大な「呪い」の記録のように見え始めてきた。
……ちょっと待てよ?
俺がAIに指示を出した時、本当にあんな詳細なプロットを書いただろうか。
”細長い影”なんて言葉、俺は一言も入力していないはずだ。
”風の尾根”も”よしいストア”も……
AIが勝手に書いたのか?
それとも、俺が書かされたのか?
なんか、シリーズ通して主人公たちが同じ怪異に……。
いや、それとも……。
この作品群を生成したAIと、俺そのものが──
既に怪異のターゲットにされていたのだろうか……。