某掲示板に怪談を投稿した(全9話)   作:多聞町

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無題

 深夜、暇に飽かせてPCを開いた。

 何をしようか。

 そうだ、怪談でもAIに作らせよう。

 ジ-ピーティーでもジェミニでもない。

 選んだのは──コパイロット。

 適当に作るなら、これだな。

 ○○シリーズのパチモンでも作ろう。

 ただし、怪異はもっと具体的に表現すること。

 主人公は二人組。女先輩と男後輩。恋愛要素ゼロ。

 毎話独立した話で、バラエティに富んだものにしよう。

 特定の法則に縛られない、予測不能な恐怖を詰め込んだ、読み捨てのエンターテインメントを目指そう。

 

 そう決めて、AIに指示を出した。

 プロットはこちらで用意。

 AIには精緻に指示をして、それぞれの怪談は登場人物を共通としながらも、シチュエーションも含めて独立した話とした。

 内容が被りそうなときは指示して作り直させもした。

「もっとじっとりと」「もっと物理法則を無視して」と、細部を何度も調整させた。

 

 ──4本できた。

 出会いと最初の怪異も作らせるか。

 うん、これは第2話の後にもってこよう。

 投稿するなら、後輩の一人語りを冒頭に付け加えて。

 リアリティを出すために、大学時代のサークルという設定を補強した。

 

 ……もう飽きた。

 最終話を作ろう。

 さすがにオチらしいオチを付けるのは興ざめだから、──第1話とリンク。

 第5話ともちょっとリンクを匂わせる。

 なんとなく解決したような、してないような微妙な引きに……。

 読者が勝手に考察して、深読みしてくれるような余白を残すのがコツだ。

 

 あ、先輩の過去話も作りたい。

 後輩が聞いたことにして、このキャラだとそんなに話さないだろうから、2話程度にして、詳しいところは後輩の脚色ということに、っと。

 あれ、AIが勝手に過去話2話の怪異を同じものに見えるように書いてやがる。

 ”細長い影”という共通項を、指示していないはずなのに、そのモチーフを繰り返しやがる。

 ま、いいか。いわばスピンアウトだし。

 

 そうしてできた怪談、8本。

 よく行く大規模掲示板にアップ! 

 

 ──あれ? 

 読み返してみると、全話がなにがしかリンクしてる? 

 なにげなく背景無しを強調した話が、並べてみると、怪異が主人公たち本人に直接繋がっていると深読みできるな。

 バラバラに作ったはずのピースが、まるで意志を持っているかのようにカチリと噛み合っている。

 あれあれ、あれもこれも、一番リンク性が低いと思われる話まで、まるで主人公たちをロックオンしてるみたいに見えてきた。

 ただのパチモン怪談として書いたはずなのに、一つの巨大な「呪い」の記録のように見え始めてきた。

 

 ……ちょっと待てよ? 

 俺がAIに指示を出した時、本当にあんな詳細なプロットを書いただろうか。

 ”細長い影”なんて言葉、俺は一言も入力していないはずだ。

 ”風の尾根”も”よしいストア”も……

 AIが勝手に書いたのか? 

 それとも、俺が書かされたのか? 

 

 なんか、シリーズ通して主人公たちが同じ怪異に……。

 いや、それとも……。

 

 この作品群を生成したAIと、俺そのものが──

 既に怪異のターゲットにされていたのだろうか……。

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