ボクのヒーローアカデミア くらっしゅ!!   作:ぺぺぺぺぺぺぺ

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とりあえず隔日投稿出来るように頑張りたいと思います(見通しのない願望)


『自分が友人に望んでいる通りに、友人には振る舞わねばならない』

「つーわけで午後は女子全員応援合戦に参加しなきゃいけねぇんだよ」

 

「相澤先生からの言伝だから!」

 

 轟くんは黙々と食事をしている。A組の最アホコンビ二人に先程まで散々ウザ絡みをされていたせいで食事の時間があまり残っていないのだ。焼きそばの詰まったいか焼きをじゅっと炎で炙ってもぐもぐしている。女子組は食事の邪魔をする二人への好感度をガリガリに下げてしまった。そういうとこだぞ。マジで。

 

「……ふーん? 衣装はどうするの?」

 

「八百万に出してもらえばいいんじゃねえの?」

 

 ダウト。女子だけ全員強制参加の時点でまずあり得なかったが、相澤がそんな八百万にだけ負担を掛けるようなことを許可するはずがない。仮に何処かから頼まれたとしても突っぱねるだろう。「新斗に作ってもらえってさ!」くらい言えばもうちょっと問答があっただろうが一瞬で嘘バレである。イレ先の解像度が低すぎる……やはりアホは見えている世界からして違うのだろう。峰田はともかく上鳴はメスガキが服作りが得意なのを知っているはずなのにこれ。ものづくり=八百万と脳が焼かれているうえに、しょうもない企みで頭がいっぱいなのだと思われる。たくさん『創造』使わせてよぉ! 後で謝ってよぉ! メシ、行こうぜぇ! 

 

「…………」

 

「な、なんだよ。伝えたからな! 後で聞いてないとか言うなよ!」

 

「上鳴くん」

 

「ど、どうした? 新斗」

 

 メスガキの七色に輝く瞳にじっと見つめられる上鳴。吸い込まれそうな、という表現がピッタリの大きな眼。心の奥まで見通されそうなソワソワした気分になってくる。

 

「ボクたちって、友達じゃなかったのかな?」

 

「すみませェん……ウソついてましたァ……」

 

 敗北は一瞬だった。大人ではない上鳴はメスガキに勝てない。というか土台こいつらに他人を騙すなど出来るはずがないのだ。性格的にも向いてないし、嘘の内容も稚拙。こんなアホどもに騙されるのは高校生とは思えないほどにチョロチョロのチョロである八百万くらいである。

 

「あー! 上鳴おまえ! 裏切りやがったな!」

 

「だってよ峰田……! チア衣装は見てぇけど! でもよ! 友達を裏切ってまですることかよォ!」

 

 上鳴はアホだが、友情を大事にしている。友達だと言われてしまえば秘密を作れない。それに加えて今回はなんと疑問形。嘘つくやつなんて友達じゃねえよなぁ? そう言われたのも同然なのだ。友人として付き合う分にはとてもいいやつである。つまりそれ以外だとカス! 恋人より友人を優先してフラれまくるタイプの男、上鳴電気! 峰田とつるんでると一生結婚できないぞ! 

 

「オイラだって友達だろォ!?」

 

「だからだろォ!? 間違ったときには! 止めてやるのが友達じゃんよ!」

 

 全くもってその通りだ。賛否が分かれるような行動ならともかく、今回は虚偽で騙そうという完全に言い訳のしようもない悪事! しかも目的は女子のチア衣装が見たいなどという私欲! 相澤が知れば除籍待ったなしである。教師の指示だと偽る悪質性が特に逆鱗に触れ、合理的虚偽ではないガチのやつを食らってしまう! そして騙された奴らも合理的虚偽のほうの除籍を食らう! こんなもんに騙されるなクソボケども! 下手人が(ヴィラン)だったら死んでるぞ馬鹿が!!! 

 

「か、上鳴……そうだな。オイラが間違ってたよ。すまねぇみんな、邪魔したな」

 

「それじゃあ俺達はもう行くわ。悪かったな」

 

 一つの大切な学びを得た。輝かしい友情の確認も出来た。間違いかけたが、それでも直前に立ち止まれた。止めることが、できた。成長の余韻を残し、颯爽と去っていく。

 

「待ちなよ」

 

 背中に声をかけられる。絶望が産声をあげた。惨劇の予感に恐れ慄く。今、振り返ればそこに闇がある。アホの代償。それを支払う時が来た。人生の総決算だ。

 

「あ……あ……?」 「勘弁してくれぇ! オイラまだ死にたくねぇよぉ!」

 

 メスガキはまさに最強ケタ違い。その能力は未だ底を見せておらず、逆鱗に触れればどうなるのか全くの未知。どうして一時の性欲で生命を賭してしまったのだろう。性欲は生命の根源なのかもしれない。極寒の大地に裸で立ち尽くすが如き不安さ。ここは今、世界で一番安全なオールマイトの行動範囲内のはずなのに! 

 

「こっち見て」

 

「はい……うお────!!! マジかよ!」

 

「カワイイいいいい!!」

 

「似合ってるな」

 

 チア衣装を着たメスガキがそこに居た。普段からまぁまぁ露出の多い戦闘服(コスチューム)を着ているが、また違った趣がある。元のチア衣装から黒を基調に色変更をしており、いつもはニーハイソックスに覆われている脚がバーンと出ている。轟ですら一瞬悩みも食事も忘れて喋ってしまうくらいに鮮烈だ。

 

「でしょ~? なんで素直にお願いしますって言えないのかなぁ? 男の子ってワカンナイなー!」

 

 ポンポンをフリフリしながらぴょんぴょんと飛び跳ねるメスガキ。スカートがヒラヒラしている。峰田はものすごいGANRIKIでそれを注視している。

 

「はぁー……リノ、ウチのもよろしく」

 

「響香ちゃん! 響香ちゃんもチアやるの?」

 

「一人じゃカッコつかないっしょ? 一緒にやったげるよ」

 

「……私もやりますわ! リノちゃん、お願いします!」

 

 ぱぁ、と嬉しそうな表情になるメスガキ。峰田と上鳴は素晴らしく都合のいい流れに大きな喜びを感じるとともに恥ずかしくなってきた。どうして俺達はこの娘たちを騙そうなどとしてしまったのか。新斗の言う通りだ。地に頭を擦り付け、お願いするべきだったのだ。かつての彼女の言葉が脳裏に蘇ってくる。

 

 ──超絶可愛いこのボクのクラスメイトになれた幸運を噛みしめる準備はできてるかなッ? その価値! 今は分からなくてもいいッ! いずれ分かるッ!──

 

 今まさにその幸運と価値を実感した。楽園はここにあったんだ。

 

「おっけー! それじゃ更衣室行こっか! 体操服をここで脱ぐわけにはいかないしね! 二人は他の女子に声かけてきて! 分かってると思うけど希望者だけだよっ!」

 

「神! 女神! お任せください!」

 

「うぉぉぉぉ行ってくるぜぇええええ!」

 

 神から使命を授かった天使のごとく熱心に走り去る二人。その表情にあったのは性欲ではなく歓喜。生まれることができて嬉しい。生まれてきてくれてありがとう。薔薇色の人生(ラ・ヴィ・アン・ローズ)……! 

 

「アホすぎだろアイツら……偏差値79の雄英によく入れたな……」

 

「実技の比重は想像以上に大きかったのかもねっ! ふたりともロボ相手なら有利だし!」

 

「お二方の欠点は学力とはあまり関係のない部分のように思いますけど……」

 

 散々な言われようであった。ひとしきり素直な感想(ありのままの心を話すと凍てついた罵倒になるのは言われる方に問題がある)を言い合ったあと、黙々と飯を食い続ける轟に別れを告げ更衣室に向かった。メスガキは黒い服が大好きなようで黒しか着ないらしく、全体を黒で合わせるかいっそ全員色を変えるか、わいわいと話し合いながらメスガキの衣装チェンジを楽しんでいると新たな仲間が加わった。

 

「やほー! チアダンスするって聞いて急いできたよ! リノちゃんが衣装作ってくれるんだって?」

 

「一番カワイイのを頼むぜっ!」

 

「三奈ちゃんと透ちゃんもチアしてくれるんだ!」

 

 ハイテンションかつノリノリで飛び込んできた陽キャ二人。芦戸三奈と『透明化』の〝個性〟を持つ『葉隠(はがくれ) (とおる)』だ。大はりきりで決して走らず急いで歩いてきた。可愛い服を来てカワイイダンスをする!? やりたい! という感じで、高校生だけあってやりたい盛りだ。チアの目的は応援であって可愛さアピールではない。しかし、可愛さアピールは応援になるのだ! JKのプレミア感は七難隠す。

 

「私が来たわ。もうみんなは着替えたのかしら?」

 

 蛙吹が今までの人生で五百億回は聞いたことのある感じのやつをかましながら更衣室に入ってきた。本物が居る雄英でやる度胸が凄すぎてややウケである。想像の10倍くらいウケたので梅雨ちゃんはちょっとほっぺたが赤くなっている(かわいい)。

 

「私も来たりして……アハハ」

 

 梅雨ちゃんの後ろから麗日があまり麗らかではない顔でひょいと出てきた。被せたオールマイトネタは1ミリもウケなかったが女子が全員揃ったので更衣室のテンションがワンランクアップした。

 

「梅雨ちゃんにお茶子ちゃん! なんだ、結局全員でやることになっちゃったねっ!」

 

 女子特有のアレである。なんだか全てに許されたような表情をした上鳴と峰田の持ってきた提案に、蛙吹が「どちらでも良いけどみんながやるならやるわ」という感じで参加を表明した時、麗日の退路は塞がれてしまったのだ……。梅雨ちゃん的な意図はむしろ逆で「お茶子ちゃんが乗り気じゃないなら私も一緒に見学するわ」という感じだったが、言葉選びもよくなかったし表情が読みにくかったので伝わらなかった。なぜカエルちゃんは麗日をじっと見つめてしまったのか? 光のコミュ障……。勿論一人参加しなかったからと言ってヒーロー科でハブられるなどということはない。みな選択を尊重してくれる。だが……自分が寂しいのだ! なんで女子全員踊ってる中一人で居なきゃいけないんですか? おかしいと思いませんか? あなた。

 

「デザインはこれでいこぉー! 色は~……みんなのイメージカラーをボクが独断で決める!」

 

 そう言うと各自の着ているハイパーチアコスチューム(ゼロ)式改(メスガキ命名)の色が黒から変化する。イメージカラーとかかっこつけたがぶっちゃけ戦闘服から色を持ってきただけだった。

 

「すごーい! でもこれ大変じゃないの? 〝個性〟っていっぱい使うと疲れたりするじゃん?」

 

 芦戸がすこし心配そうに尋ねる。午前中あれだけ使った上に今も全員分の衣装を作り、ちょくちょくアップデートまでして、色も変える。午後に影響が出たりしないのだろうか? 

 

「いまだかつてそうなったことはないから安心してっ! 限界? 疲労? そんなものはボクの辞書には無いのだっ! 新人類たるボクがこの世界を導くっ! 皆ついておいでっ!」

 

「きゃー! かっこいいー! 抱いてー!」

 

「むぎゅーっ!」

 

 抱いてー! などと言いながら抱きついてきたのは葉隠のほうであった。メスガキには存在しない豊満な部分にクソ生意気なドヤ顔フェイスが埋まり、しょうもない自画自賛が止まる。葉隠は別に黙らせたかった訳では無いが、結果的にそうなった。わからせ完了だ。メスガキはおっぱい(メスガキのは胸部)に包まれたままもぞもぞと動き、葉隠をくすぐったさできゃっきゃと笑わせながら提案した。

 

「と、透ちゃんはどーする? 見えるようにする?」

 

「えっ」

 

「ボクの〝個性〟で包んで色を付けたら他の人にも見えるようになるよ! カワイー透ちゃんを世界に見せてやろうぜっ!」

 

「!?」

 

 葉隠、驚愕! 見えるようになる……って、見えるようになるってコト!? そんなの……そんなの……恥ずかしい!! 

 

「だ、ダメだよそんなの! 見えるようになったら……見えちゃうじゃん!」

 

「?」という感じの困惑が更衣室に広がった。いつもすぐ全裸になる彼女が照れているっぽいのが意外だったのだ。見えない裸のほうが、見えて服を着ているより恥ずかしくない。分かるような、分からないような、不思議な感覚。小学校の道徳の授業で習うやつだ。〝個性〟由来の感覚は人それぞれ。否定をせず、尊重してあげましょう。いやだな、と思ったら本人には言わず、まずは大人に相談してくださいね。今回は後半は関係ないが、『透明化』の〝個性〟の影響と思われる独特な感覚をみな尊重することにした。

 

「え──! 見られるの? 見たい! ダメ?」

 

 皆は尊重したが、三奈は踏み込んだ。彼女は陽キャ。陽キャはたまにブレーキがぶっ壊れているタイプが居るが、芦戸はそうではない。相手を見てしっかりと合わせることが出来る、真のコミュ強者。

 

「……まぁここに居るみんなだけなら、いいよ……」

 

 すなわち、このとおりである。見せるのは恥ずかしい。でもみんなには知って欲しい。彼女の言葉の裏にある気持ちを敏感に察知し、本当のココロに寄り添う。充実した人生と成功体験が形作る、キョロ充とは格が違う強きモノ。一見軽く見えるがラインを見極めた声掛けはこれまでの経験の積み重ねにより培われたまさに財産とでもいうべき素晴らしい振る舞い。本当の『富』とはこのように目には見えないもので、誰にも奪えない。メスガキには到底不可能なアサーティブ・コミュニケーションだ。

 

「やったーっ! リノちゃん、お願いねっ」

 

「おっけー! おーぷんざびゅーてぃ~!」

 

「女は度胸だっ! こいやぁ~!」

 

 ぽわわわ~ん。メスガキが手動でキラキラぽわぽわエフェクトまでおまけして彩色したことで現れたチア衣装透ちゃん(ピックアップなし排出率0.02%)はまさに楊貴妃の如き美しさであった。

 

「本来の色を頑張って再現してみましたっ!」

 

「ちょおカワイイー! 再現もすごい! 巨匠(マエストロ)! 巨匠(マエストロ)だよー!」

 

「へぇー。そういう顔だったんだ。普段見えないのがもったいない美人だね」

 

「ずっと一緒におりましたのに、今初めてお顔を拝見するのは不思議な心地がいたしますわ」

 

「髪の色も綺麗やねぇ。羨ましい!」

 

「本当に素敵だわ、透ちゃん」

 

「きゃわー! 恥ずかしい! も、もういいでしょ! そろそろお昼の休憩終わっちゃうし! ここまで! ここまでだよリノちゃん!」

 

 メスガキは残念そうな顔をしながら渋々見せるのを辞めた。というかみんな残念がっていた。

 

「男子はいいもの見られなくてかわいそ~! まぁしょうがないねっ! さぁーみんな! レクでチアるぞ~っ! 準備はいいかなっ!? ボクは出来てるッ!」

 

 お──っ! という感じで場もあったまり意気揚々と会場に向かうA組女子チアリーダー。テンションの高い女子高生の集団。これ以上に無敵感のある存在もなかなか無いだろう。

 

 

 

 

 

 

「最終種目開始前に第一種目で落ちたみんなへ朗報だァ! 全員参加のレクやるぞォーっ! 本場アメリカからチアリーダーも呼んで盛り上げていくぜぇー! さらにそれに加えてなんとォ! A組女子が急遽チアダンスに参戦だァ──ッ!!」

 

 打ち上げられる花火とともに空中にメスガキの〝個性〟で作った空飛ぶステージが現れた。本場のチアリーダーたちも一緒に乗っており、まさにプロ、という感じで楽しげにダンスをしている。麗日が全員にタッチすると、ステージが光となって弾け、空中に放り出された面々が光のシャワーと共にチアダンスしながらゆっくりと地上に降りていく。ド派手なパフォーマンスで素人が混ざる事を誤魔化すメスガキ提案本場チアリーダー監修の演出だ。会場は大興奮である。

 

「アアアアアアアアッ! A組ィイイイイイイ!!!」

 

 物間が悲痛な叫び声を上げたが、会場の大歓声にかき消された。というかこいつ以外のB組は普通に喜んで楽しんでいる。普段の物間ならさすがにここまでの醜態は見せないが今ちょっと情緒がバグってる。

 

「まずは最終種目のトーナメント! 一対一のガチバトル! その組み合わせを決めるぜェ!」

 

「組み合わせの決め方は~? なにかしら? くじよ! 最終種目に進出した人はレク参加は任意とします! それじゃあ1位のチームから引いていきなさーい!」

 

 メスガキが無駄にふらふらぴょんぴょんチアダンスしながらくじを引きに向かった。ミッドナイトは文句も言わずにこにこと見ている。物間あたりがやったら「はよしろ」って感じで鞭が飛んできただろう。ではなぜメスガキは許されるのか? それは雄英体育祭が興行の側面を持つからだ。もうすでに『人気者』になっているメスガキはいくら画面に映っていてもいい。そういうことである。あと単純にミッドナイトがメスガキを贔屓しているのもある。その後も全員がくじを引き、組み合わせが決定した。

 

「それじゃあ表示するわよー! 組み合わせは~? こうよ!」

 

 緑谷 VS 心操

 轟  VS 瀬呂

 上鳴 VS 耳郎

 飯田 VS 発目

 芦戸 VS 新斗

 常闇 VS 八百万

 切島 VS 庄田

 麗日 VS 爆豪  

 

「それじゃあトーナメントは一旦置いといて! 今は楽しく遊ぶぞレクリエーション! 最初は大玉ころがしだァーっ! 転がす玉は勝手に動くぜぇー! 当然〝個性〟の使用は自由! 張り切って制御しろッ!!」

 

 様々なレクリエーションが行われた。A組女子が楽しそうに踊っているのを見て、B組の女子も何人か希望者がやってきて、一緒に踊り、交流を深めた。そして、トーナメントが始まる。

 

「ヘイガイズ! アァユゥレディー!? レクは楽しんだかァ!? だが、結局はコレだぜ、ガチバトルッ! 頼れるのは己のみ! ヒーローじゃなくても人生はそんなことばっかりだ! 分かるよなッ! 心技体に知恵知識! 総動員して駆け上がれ!」

 

 歓声が上がる。レクリエーションで盛り上がった空気そのままに、会場のボルテージは最高潮だ。

 

「一回戦! 気は優しくて力持ち! ベビーフェイスのレスキューボーイ! ヒーロー科緑谷出久! 対するは唯一の普通科! 謎のダークホース心操人使だッ!」

 

 情報が少ない心操は控えめな紹介で、活躍した緑谷に重点を置かれた紹介だ。

 

「ルールは簡単! 相手を場外に落とす、または行動不能にする! あるいは相手に敗北を宣言させても勝利のガチンコ対決だっ! ケガ上等! リカバリーガールが待機しているから、思いっきりやれッ! 生命の危険がなきゃ何やってもOKだが、ヒーロー候補生としてそこに立ってることは忘れるなよッ!! それじゃあレディイイイイ!!! スタート!!!!」

 

 開始直後、バチバチと全身に身体強化を行き渡らせたと思われる緑谷が拳を構えて飛びかかったが、不自然な姿勢のまま停止。そのまま地面に激突。心操が何かしたのだろう。しかし緑谷はすぐに立ち上がり、素早く心操を掴む。何事か心操が叫びながらがむしゃらに緑谷に攻撃を加える。緑谷はそれに耐えながらしばらく叫びを聞いてたようだが、最終的に場外に放り投げて勝利した。

 

「決着ゥー! 心操が何らかの〝個性〟で動きを止めたようだが、すぐに立ち上がり反撃! 二回戦進出は緑谷出久だーッ! 両者の健闘を称えてクラップユアハンズ!」

 

 ステージ中央まで戻ってきてお互いに緑谷と心操は何事か話し、クソナードは何か大切なものを再確認したかのような顔でキリっと控室へと向かった。

 

「おまたせェ! 次の試合はコイツラだ! 騎馬戦じゃ器用にテープで爆豪をキャッチしてたな! ヒーロー科瀬呂範太! (バーサス)! ルックスもイケメンな氷の貴公子! 同じくヒーロー科轟焦凍!! スタートォ!!」

 

 瀬呂が素早く『テープ』を巻き付けながら轟に声をかけ、場外へ投げ飛ばそうとしたが、轟の出した大氷壁に囚われた。轟は巻き付いていたテープを凍結させ砕き、油断無く構える。

 

「瀬呂くん行動不能! 轟くん二回戦進出よ!」

 

 申し訳なさそうに瀬呂の氷を炎を使って溶かす轟。瀬呂が苦笑すると、轟もつられて笑った。

 

「ステージも乾いたことだし次の対決行くぜぇ! スパーキングキリングボーイ! 上鳴電気! (バーサス)! パンキッシュサウンドガール! 耳郎響香! スタートだぁ!」

 

「俺が勝ったら一緒にメシ行こうぜ、耳郎ォオオオ!」

 

 開幕から最大出力で放電する上鳴。ちびちび当てても耐えられるだけだし、『イヤホンジャック』を直接当てた際の攻撃は岩をも砕く威力がある。絶対に6M以内に近づけてはいけない。

 

「先約があるから!」

 

 同じく開幕から最大出力でプラグから振動をぶちかます響香。二つのプラグから同時に音を出しちょうど上鳴の立っている位置で重ねることで衝撃を増幅する新技だ。勝敗は……。

 

「……耳郎さん! 動ける?」

 

「しゃ・べ・れ・ま・す……」

 

「上鳴くん場外! 耳郎さん二回戦進出!!」

 

 響香の攻撃で場外へ吹っ飛んだ上鳴。電撃で全身を痺れさせつつもプラグを使って立ち続け、僅かにある耐電性でギリギリ喋ることができた響香。自分の攻撃のことしか考えていなかった上鳴と相手の行動を読みその後のことも考えていた響香の差がそのまま勝敗に繋がった。

 

「さぁーどんどん行くぜぇ! ザ・堅実! その機動力は頼りになるぜ! ヒーロー科飯田天哉! (バーサス)! サポートアイテムフル装備! サポート科発目明! と言いたいところだが飯田ァ! そりゃ何だぁ!?」

 

 飯田はサポートアイテムを全身にフル装備している。飯田いわく、対等に戦いたいという発目がアイテムを渡してきて、そのスポーツマンシップに心を打たれたのだという。双方合意ということでミッドナイトがOKを出して試合が始まったが、これは発目の卑劣な罠だった。いや、罠というほどのことではない。発目は逃げ回ることで自身と飯田が身につけた自作のサポートアイテムの宣伝を行ったのだ。自己プロデュースの大切さはメスガキを見ていると分かる。飯田は釈然としないものを感じながらも、全力で戦った。戦ったというか、付き合ってあげた。クラスの委員長だけではなく、学校の委員長でもありたい。志は高く持ちたい。そう思ったからだ。結局15分ほどかけてアイテムの説明を終えた発目は、爽やかな笑顔で飯田にお礼を言うと、棄権を宣言して終わった。

 

「発目さん棄権! 飯田くん二回戦進出! お疲れ様!」

 

 ミッドナイトは飯田を温かい笑顔で見ながら言った。飯田はペコリと頭を下げて会場をあとにした。飯田が発目が説明しやすいように動いていたことはプロから見れば一目瞭然だったので、概ね高評価だった。

 

「本戦まで残っただけあって高性能なアイテムがいっぱいだったな! それじゃあお待ちかね! 来たぜ、ついに! お前らが見たかったのはこいつだろ!? やることなす事ハチャメチャのド派手! トゥインクルスターガール新斗黎乃! (バーサス)! 明るく楽しいシャイニングチアダンサー! 芦戸三奈! スタートォーッ!」

 

「いっくぞぉー! アシッドスケートぉ!」

 

 びゃーっと地面に酸をぶちまけその上をしゅーっと滑って移動する芦戸。メスガキは翼を出しふわっと浮き上がった。もっと上昇して空からビーム連打、みたいな塩展開はするつもりがないようだ。

 

「ウオーッ! ボクは強酸を浴びても平気だぞぉーッ! 本気でかかってこーいっ!」

 

「だからってそんな強いの浴びせられるわけないじゃーん! やぁっ!」

 

 びゅーんと目に入ったらめっちゃしみる酸を飛ばす。火傷はしない。肌がぴりぴりするくらいのレベルだ。

 

「そんなの効かないってば!」

 

 メスガキは余裕ぶっこいているが体操服にぽこっと穴が空いた。いま着ている体操服はいつもの〝個性〟で作ったものではない。普通のジャージだ。別に禁止されているわけではないが、〝個性〟で作った服はぶっちゃけ戦闘服(コスチューム)と変わらないので自主規制である。そして今、その自主規制のせいでさらなる自主規制を招く瀬戸際であった。そう……芦戸の考えた勝ち筋。その名も『服溶かしたら恥ずかしくて行動不能になるだろ大作戦』である。ヒーローの姿か? これが……。社会の闇! 正さねば……! とはいえ実際問題しっかりと勝利へのヴィジョンを持って戦いに臨んでいるのはかなりすごい。メスガキには勝てなくて当然。そう思って思考停止していない証拠だ。ゆらゆらと浮きながらメスガキが繰り出してくる〝個性〟を回避しながらステージ上を目まぐるしく動き、ぴゅんぴゅんと酸を飛ばしていく。

 

「おいおいコレ大丈夫かぁ? そろそろやばくね? ミッドナイト! どーすんのコレッ!」

 

「……」

 

「ミッドナイト! どーすんだよ! ミッドナイト! なんとか言えッ」

 

「……本人の意志を尊重するわ!」

 

「マイガーッ!! おいマスメディア! いつでも『しばらくお待ち下さい』できるようにしとけよッ!!」

 

「何大騒ぎしてんのぉ?」

 

「ふふーん! 気付いてないのかな? リノちゃんのジャージはもうボロボロだよっ! それ以上動くと~色々見えちゃうぞっ! さぁ! 降参しなよ! さもなきゃもっと脱がしちゃうぞ~うへへ」

 

 陽キャの悪いところが出た。もはや彼女は楽しくなってしまっていて、楽しさに暴走している状態だ。浮かれポンチのパーティーピーポーである。ちょっとのエロもさらなるテンションアップの材料でしか無く、そこには葉隠の本当の気持ちにそっと寄り添った黄金の精神は欠片も見当たらない。あるのはまだまだ未熟な高校生のガキンチョのニヤケ面だけだ。 

 

「……? こんなもん破けてもどうでもよくない? まだ2着あるし」

 

「えっ」

 

 メスガキ、無頓着! 見たいなら見ればいいじゃん? 見られて恥ずかしい部分なんてありませんけど? と言わんばかりの堂々とした態度だ。

 

「それにぃ~まさかさっきの今で忘れてるのぉ? ボクはいつでも……」

 

 バシン! と音を立ててジャージが弾け飛んだ。メスガキは全裸に……なっていない。そこにあったのはいつもの戦闘服(コスチューム)。100万回は見たメスガキのゴスロリ姿だ。

 

「この通り! どれすあーっぷ! 出来るんだよっ!」

 

 がーん! という感じの表情をする芦戸。動きが止まり隙だらけである。

 

「思いついたまでは良かったけど実行にあたっての検証、検討が足りないぞッ! コレでも喰らえっ! ハ──ッ! 『ダークラプソディア!』!!!」

 

「ぎゃーん!」

 

 ファンシーな星のエフェクト付きの黒いビームにぐいーんと押し出されて芦戸は場外に吹っ飛んだ。吹っ飛んだ先でビーム(のように見えるだけの実質ただの棒)が素早く芦戸の背後に回り込み、柔らかくなる。怪我を防ぐために、クッションにしたのだ。

 

「あっ。ミッドナイト先生っ! これってもしかして場外じゃない判定になります?」

 

「いいえ! 勝敗は明白よ! 芦戸さん場外! 新斗さん二回戦進出! 相手のことを気遣えて偉いわっ!」

 

 ミッドナイトはなんとまたしてもメスガキの頭をナデナデよちよちしてしまった。にこーっと笑ったメスガキは未だ起き上がってこない芦戸に気付くとハッとして心配そうに駆け寄る。

 

「三奈ちゃん大丈夫? ケガはない?」

 

「ぎゃふん……まけちゃったぁ……くやし──!!」

 

 単に悔しさを噛み締めていただけだったようだ。メスガキはホッと安心するといつものドヤ顔に戻った。

 

「ボクが強すぎるばっかりにこんなことに……ごめんねっ! でもボクと三奈ちゃんゎ……ズッ友だょ!」

 

「リノちゃーん!!」

 

 がし! っと抱き合う二人。これは一体何なのだろう。誰にもわからない。JKはすぐにオリジナルの言語や文脈、文化を作り出す。そしてそれが爆発的に流行ったかと思うと泡のように弾けて消える。3日前まで連呼してたはずのワードを「ふっる」とか言ってくる。刹那に生きる閃光のような種族なのだ。この茶番もそういった独自コンテクストの一つなのだろう。しかし「ぎゃふん」などと一体何処で覚えたのだろうか? 真相は分かり次第追って報告する。To be continued……。

 

 




独自設定

・相澤先生の解像度低い:ヤオモモ以外誰も騙せないと思われる。
・ガチ除籍:原作はギャグ描写だし大丈夫だと思うけどここの相澤先生だとマジギレする。お前ら明日から普通科な。
・世界で一番安全:と、思うじゃん。
・いつもの二人がチアってくれる:メスガキを一人にすると何をするかわからないと思われている。
・ここで脱ぐわけにはいかないしね!:メスガキは謎の光を出しながらこの場で脱いだ。
・実技の比重:とりあえず実技の上位10人は100%合格している。
・私が来たわ:スベることでウケを取る感じのやつ。麗日のほうが本来よくある反応。
・道徳の授業:大人に言ってね。マジでね。
・本来の色:本来の色とは本来の色である。お肌もめちゃくちゃ綺麗。
・チア正式参加:メスガキはきっちり許可を取るタイプ。この場での個性使用許可は雄英側ではなく本場チアリーダー側が出している。アメリカ式なので日本より緩いが世界的にはこっちがスタンダードで、当然日本でも使えるワールドライセンス。
・勝手に動く玉:なんか普通じゃない要素があったほうがぽいかなって
・チアったB組女子:小大と塩崎以外。
・洗脳:なんてこと言うんだ!とフルカウルで飛びかかって空中で止まったためこんな感じに。
・轟VS瀬呂:ぽかぽかしょうと発動中。エンデヴァーはオールマイトとのお茶会後、意気消沈中。
・上鳴VS耳郎:ドックン!(岩粉々) いや怖い。プラグ片方でこれ。
・飯田くん:描写外で結構メスガキに委員長として頼られてるので自信がついている。
・アシッドスケート:捏造だけど見逃しているだけで別の技名で原作にあるかもしれない。
・メスガキの露出度:お茶の間に放送できるギリギリまで脱げた。ふしぎなちからで何故か大事なところは破損しない。
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