ボクのヒーローアカデミア くらっしゅ!!   作:ぺぺぺぺぺぺぺ

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唐突に隔日じゃなくなっても心配しねぇでくれよな!


『もし一方だけが悪いのだったら喧嘩は長く続くまい』

「それじゃあ演習試験を開始する。当然筆記同様に赤点があるから補習地獄が嫌なら気張れよ」

 

「はーい!」

 

「しゃあっ! やってやるぜっ!」

 

「やる気満々だな……さて。諸君らがこの試験についてどの程度のことを知っているかだが……」

 

 じとーっと生徒たちを見回すイレイザーヘッド。ぎくり、と言う感じの反応をした生徒が二人。

 

「上鳴。今から何があるかわかるか」

 

「ろ、ロボ試験ですよね! いやー! 俺なら楽勝だなー!」

 

「はぁ……芦戸。どんな相手が出てくるか知ってるか?」

 

「入試の時のロボの強化版って聞いてます! 林間合宿楽しみです!! 早くはじめましょうよー!」

 

(上鳴は減点。芦戸はまぁ……ギリギリかな。新斗はとりあえず合格。動揺一切無し。あらかじめ知らなきゃ態度から漏洩(リーク)元がこいつだと発見するのは困難だっただろうな)

 

 他の生徒達は妙なやり取りに不思議そうな顔をしている。相澤は少し意外に思った。難易度的には緑谷・爆豪・切島トリオ、耳郎・口田ペア、峰田・瀬呂ペアの3チームが厳しいだろう、というのが教師陣の見解だったからだ。つまり、この3チームのいずれか、あるいは全てに明かすのが模範解答、そういう判定だった。ただ黙っているだけなら赤点ではないだけで、見たかったのは、期待していたのはその情報をどう使うか、である。

 

(とはいえそれはあくまで教師から見た場合。生徒からどう見えているか、そして実際はどうか、それを考慮して模範解答と違うから赤点、となることはないが……)

 

 つまり、メスガキから見て一番やべえのが根津校長だった、あるいは一番ピンチ(オブラートに包んだ表現)なのが芦戸と上鳴だったということになる。まぁ分からないでもない。メスガキが『敗北』するとしたら相手はオールマイトではなく校長なのではないか、というのは教師陣からも出た意見だし、この二人は座学でも赤点ギリギリだ。自分から見た脅威度と頼りなさをそのまま適用したのだろうか? そこまで短絡的な思考はしていないはずだが……。相澤はメスガキと何度も何度もうんざりするほどやり取りをして彼女のアンバランスさを知っていた。幼稚な情緒に高い知能と大量の知識。一言で言うと能力だけ高いコミュ障。こういった予測や作戦は『能力』側の分野なので単なるミスではないと判断したほうが良いだろう。

 

(まぁとりあえずは俺の試験に集中するか。結果を見れば意図も分かるだろうし、あるいは校長ならばもうすでに把握しているかもしれん)

 

 相澤の試験相手は轟と八百万。どちらも強力な〝個性〟を持つため油断はできない。特にこの試験では体重の半分の重量をハンデとして身につけることになっているので、教師側も割としんどいのだ。少々メンタルに課題があるが最近は安定してきた八百万と、体育祭から成長目覚ましい轟相手にハンデ付きは気を抜けばあっさり負けてしまうだろう。

 

「例年はロボ試験だったけど今回からは内容に変更があるのさっ!」

 

 ひょこっと相澤のマフラーから出てきた根津校長が楽しそうに宣言する。しかしその目は注意深く生徒たちを観察している。

 

「えー! そんなの聞いてないですよー! 私たちの学年だけ不利じゃないですかー!」

 

「……ああ! ずるいでしょそんなの! えーと、事前の情報収集も試験の内でしょ!?」

 

(なるほど。これを言わせて漏洩の正当化をするつもりか。まぁ……悪くはない。情報の扱いは一任しているのだから漏洩(リーク)そのものを問題視することはないが、念の為ということだろうな)

 

「そうだね! 事前の情報収集はヒーローとしても非常に重要なことさ! だから今回の変更もしっかりと情報収集していれば知ることが出来たはずさ!」

 

 根津校長は分かった上でそう言った。もちろんオッケーさ! というメスガキの念押しに対する回答でもある。校長は自分の対戦相手が『漏洩(リーク)』の相手に選ばれたことでテンションが上がっているようだ。根津はメスガキの指導にかなり心を砕いており、相澤にも結構いろんな指示というかアドバイスが飛んできている。もし彼女がなにか甘えてきたら、君自身がそうしてあげたい、と思ったときだけ応えるように、とか。まぁそういったこと自体は例年もあったが、メスガキには特に多い。

 

「これからは対人戦闘・活動を見据えたより実戦に近い教えを重視するのさ! 諸君らにはこれからチームアップでここに居る教師一人と戦ってもらう!」

 

「誰と組んでどの教師と戦うかは今までの成績等を踏まえてこちらが独断で決めているから発表していく。轟、八百万。お前たちは俺とだ。会場にバスで移動するからついてこい。新斗はリカバリーガールのとこで手伝いをするように」

 

 相澤のその言葉を聞いて、やっぱり別の試験があるんだなと生徒たちは納得した。メスガキは試験について知っている、ということだけは散々匂わせるくせに(芦戸と上鳴以外)誰にもそれを漏らさなかった。聞き出せそうな響香と八百万はそもそも聞き出そうとしなかったのもある。彼女と組んだら普通なら勝ち確だし、彼女ですら危うい試験で組まされたら死ぬ。実際に誰かと組ませるなら索敵が得意な口田・耳郎・障子や万能の八百万だろうが、じゃあ組ませたらどうなるかと言うと順当に想定通りになるだけの確認作業となるだろう。通常ならばそれは期末試験として妥当だが、ここは雄英。一歩先へ導けないような試験は行わないのだ。

 

「緑谷少年! 爆豪少年! 切島少年は私とだ! ついてきてくれ!」

 

 あ、そこはトリオなんだ。まぁ相手オールマイトだもんな。人選も意図がわかる感じで妥当。そんなクラスメイトの印象の裏で選ばれた3人は驚愕していた。

 

(切島くんはともかくかっちゃんとも!? 大丈夫かな……)

 

(切島はともかくクソデクもかよ!? ヘマしやがったらボコす!)

 

(うわあああああああ!!! ポジションが! ポジションが決まっているゥ!)

 

 切島くん……キミが良いやつだから……誰と組ませても活躍できるシンプルな〝個性〟で友情に厚く問題児のかっちゃんと他人の緩衝材(物理)にもなれる素晴らしい人材だから悪いんだよ……。教師たちが次々と自分の担当の生徒たちを呼ぶ中、ついにアホ二人が呼ばれた。っていうか意図的に最後に回された。

 

「さて! 私たちだけが残っていることから分かるように、君たち二人の相手はこの私さ! びっくりしたかい?」

 

「めちゃくちゃびっくりですー! まさか校長先生が相手なんて!」

 

「あ、その通りです! 知らなかったなー!」

 

「そうかい! それじゃあついてきてほしいのさ!」

 

 薄ら寒い白々しいやり取りが行われた。校長はもう完全に遊んでいるがアホコンビは必死である。二人はメスガキから試験終了前に教師にバレたら自分たちではなくメスガキが赤点になると聞いているからだ。道中のバスの中でも校長がゆさぶり(笑)を何度かするも二人は頑張って隠し通した。少なくともアホたちに見えている世界ではそうなっている。別にバレたところでメスガキは赤点になったりしない。というかメスガキも別に断言してない。そういうこともあるかも? と言っておけば二人もやる気出るかな、というちょっとした冗談というか応援というか色々兼ねたやつである。

 

「それじゃあルールを説明するよ! 君たちは今向かっている会場の中央からスタートし、どちらか一人が指定のゲートを通って会場から脱出する、もしくはこのハンドカフスを教師に掛ければ勝利さ! 制限時間は30分! 私は(ヴィラン)として振る舞うが、会敵し倒せるならそれで良し! 勝てないと思うなら逃げても良し! 判断力が試されるね!」

 

 こんな事を言っているが根津は会敵するつもりは今のところ全く無い。重りなど何のハンデにもなっていない。そう、根津にはすでに分かっていた。メスガキがなぜここだけに情報を流したか? 答えはここだけハンデがハンデになってないから。ロジックで考えればココの情報をバラすのが最も適切だと考えたのだろう。相澤の視点だと重り(ハンデ)の意味があまり無い、というのは大した問題ではない。「校長の試験は常に生徒の勝ち筋を残したまま進行するだろう」という見方になるので難易度はノーマルだからだ。故にこの答えが出てこなかったが校長は『ハイスペック』なのですぐに分かった。

 

『それじゃあ皆位置についたかなっ!? 今から雄英高校1年生期末試験を開始しまーす! 3・2・1・スタート♡』

 

 開始の放送はメスガキのムカつくカウントダウンだった。いつもならクソ生意気な声にイラッとする生徒も多かっただろうが、一部を除き緊張がほぐれていい感じのコンディションになった。

 

「うおおおおおお!? マジで崩れてきたぁあああ!?」

 

「上鳴!!」

 

「あ、そーだった! えーと、じゃあ俺は東!」

 

「私が西ね! いくよー!」

 

(おや、最初から目的地がある、そういう迷いのない移動だね!)

 

 開始直後にゲートへの道を封じるため早速倒壊を連鎖させて直通ルートを塞ぐ根津。芦戸と上鳴は驚いたようだが、即座に別方向に走り出した。

 

(早速いい動きだ! 他の先生方ならともかく私なら会敵できればタイマンでも倒せる、というより私がそう勝利条件を設定していると読まれているね!)

 

 校長の『ハイスペック』は身体能力も強化されているが小動物が強化された結果が現状だ。めちゃくちゃ強い小動物なのだが元が小動物なので常人くらいの身体能力である。

 

(あらかじめマップを頭に入れているとしてあの動き、目的は東西南北に設置した大型工作機械の破壊だね! そこに私が居ればなおよし、と! うーん、お見事!)

 

 根津が居るのは東側の工作機械の座席。このままここで破壊を続けても上鳴が根津の下へたどり着くほうが全てのルート封鎖より速い。ではここに来るルートを全て塞げばどうなるかと言うとゲートへの道を封鎖できなくなる。連鎖させて壊す都合上、全てを意のままにできるわけではないのだ。大型機械の他にも破壊活動ができる工作機械はいくつも用意してあるが、根津の移動中は多少はタイムラグはあれど破壊が止まるので移動はバレる。

 

(そのタイミングでゲートに向かわれたら2方向からゲートに向かう二人を同時に止めるのは時間的に不可能。移動を誤魔化すための遅延破壊をするとこれもルート封鎖が厳しくなる。なにより芦戸くんはその気になれば封鎖の1箇所くらいなら酸で強行突破出来るだろう)

 

 そう、詰みである。二人で一箇所にまとまっている限り勝てない、というのがこの試験のキモであった。メスガキには当然攻略法までは教えていない。状況設定から導き出したのだろう。

 

(おそらく2箇所破壊を担当するのが上鳴くんで、1箇所破壊したあとにゲートに向かうのが芦戸くんかな! うーん、ゲートそばの機械に移動するか! 新斗くんはもう合格だけど、二人がしっかり動けるかも見てあげなくちゃね!)

 

 最後に一応ここへの直通ルートだけ塞ぐよう機械を動かしてすぐに移動を開始する根津。さあ、君たちはどう動く? ワクワクとしながらぴょこぴょこと走る。重りが……重い! 当たり前すぎる。

 

(新斗くんは容赦ないさ! ふぅふぅ、高みの見物なんて許さないってことだろうね!)

 

 元の体重が軽いのでそこまでの負担ではないが、全力疾走をするとやっぱりまぁまぁしんどいのだ。寿命もハイスペックだけどそれなりに高齢なので。

 

(よし、ゲートはまだ突破されていない。工作機械は……西破損、東側はまだか。いや、東は逃走が見破られたかな? 二人で2方向からゲートに向かっていると想定したほうが良いね)

 

 根津のこの予想は半分外れていた。上鳴は南側の破壊に向かったからだ。上鳴はアホなので最初の予定通り動くことだけを考えていた。直通の道が封鎖されていたらもうそっちには居ないし戻ってこないからすぐ次へ向かえ。これがメスガキズネクストヒントである。この『次』が何かは臨機応変に、とのことだったのだが上鳴は自分の役割に徹した。地図をある程度覚えただけでいっぱいいっぱいだったとも言う。そう。上鳴は丸暗記など出来ていない! 直通ルートを覚えただけである! ちなみに芦戸は主要ルートはバッチリ覚えている。そしてすぐに忘れる! スポンジのような吸収力とスポンジのような脱水力を持っているのだ! 

 

(東側からのルートを先に封鎖してお……芦戸くん足速っ! もう来ちゃったさ! とりあえず崩して塞ごう)

 

 グイーンとクレーンの鉄球を動かして瓦礫で道を塞ぐ。降り注ぐ瓦礫。しかし芦戸はだばぁーっと強力な酸を出して瓦礫を溶かしたり、壁に穴を開けて登ったりして、道なき道を無理くり踏破してきた。

 

(だよねー! 一応ゲート前に行くか!)

 

 根津は急いで機械から降りてゲートに向かう。ぴょこぴょこ走る姿を目撃した芦戸が一瞬「可愛いものを見た!」って感じの嬉しそうな顔になるがすぐにキリっとした顔に戻った。『ハイスペック』がどこまで出来るか、生徒はもちろんメスガキも把握していない。課題が『単純な二人を頭脳戦で追い詰める:思考力や機転の発揮を期待』だったので近接戦闘は苦手だと踏んでいるが、肉体も『ハイスペック』な可能性は普通にあるからだ。とはいえ(ヴィラン)として扱え、とのことなので芦戸の『酸』相手に生身で出てくるのはもうだいぶ追い詰められていると見ていいだろう。芦戸も当然そう考えた。

 

「校長先生ーっ! 大人しくカフスに捕まるか素直に通すか選んでくださーいっ!」

 

「はっはっは! 人間ごときに私は負けないのさ! かかってこいヒーロー!」

 

 上鳴だったらバチッとされて終わりだったが芦戸の『酸』はヒーローとしてはそこそこ使いにくい。調整が大変なのだ。残り時間はまだまだあるので勝敗自体はもう決まったようなものだが生徒の成長のために校長は頑張る。

 

「むーっ! それじゃあ新技をくらえーっ! 『アシッドグルー』っ!!」

 

「うわーっ! ベットベト! ベットベトさ! 驚くほどベットベトさー!!」

 

 粘着力を高め溶解度を極限まで落とした拘束用の技である。ついでに皮脂や汚れなども吸着するので毛艶や肌艶も良くなる。

 

「えーと、ゲート通るのとカフス掛けるのどっちが高得点なんですか!?」

 

「フフフ……もう勝ったつもりかい、ヒーロー! 私にはまだ」

 

「わかりました! カフスかけます!」

 

 芦戸は往生際の悪い時間稼ぎには付き合わなかった。それどころかなんかされたらやべえとすぐにカフスを掛ける決断をした。思い切りのよさ、決断力がある。

 

「あーっ! 校長なのに一番最初に負けちゃったさー!! 悔しい……でも教育者冥利!!」

 

『かわいいかわいいホーリーナイトからのお知らせだよーっ! 最初に条件を達成したのは芦戸・上鳴チームでーすっ! 朗報(ろうホー)リー♡他の皆も引き続き頑張ってね!』

 

 流行らない。それはさておきこの放送でどちゃくそ焦った人物がいる。切島だ。

 

(うわああああ一番最初に終わらせるために協力しようぜって方向性で纏めたのに!!)

 

 切島のいる爆豪・切島・緑谷チームは開始当初からギッスギスの空気だった。いや、現地に向かうバスの時点でやばかった。

 

「えーと……しりとりとか……する?」

 

「いいっすね! じゃあオールマイトからどうぞ!」

 

「私が来た!」

 

「た……タイマン! バトル!」

 

「あーっ! 切島少年誤魔化しただろ! ズルだぞ!」

 

「そんなごまかしなんて漢じゃねえことしませんよ! 『る』だぜ爆豪!」

 

「…………」

 

「……み、緑谷! 『る』だぜ!」

 

「えっ? ごめん、聞いてなかった。何? る?」

 

「いや……なんでもねえ……」

 

「…………HAHAHA……」

 

「……チッ」

 

 なんだこれ? 地獄か? 会場に到着し説明を受けたあと、中央に移動する最中も大変だった。

 

「今のうちに作戦会議しようぜ! オールマイト相手じゃ3人でも足りねえしな!」

 

「ハァ? 何やる前から弱音吐いとんだ。やる気ねぇなら帰れ!」

 

「えっ……わ、悪ぃ……そんなつもりじゃ……」

 

「かっちゃん! 切島くん、ごめんね。かっちゃんも悪気があるわけじゃ」

 

「てめぇクソナードは俺の何のつもりなんだきっしょいんじゃボケ!」

 

(まぁたしかになんで緑谷が謝るんだとは思った。かーちゃんかよ)

 

 

 こんな感じで中央についてからもいまいち上手くコミュれなかった。緑谷はなんとかコミュろうとしていたのだが爆豪は緑谷が喋れば喋るほど苛ついている。さっきちょっと理不尽に怒鳴ってしまった切島の手前多少我慢はしていたようだが、イライラボルテージが溜まってるのが丸わかりだ。

 

(爆豪の方もアレだけど、緑谷も全然止まらないのにびっくりしたぜ! 明らかに眼がつり上がっていくのも全く気にしてねぇ! どうなってんだ!?)

 

 クソナードはいつもより大人しいかっちゃんを見て会話チャンスだと思ってました。キレている顔はいつものやつなので「だんだん普段の顔になってきた」とか思ってました。まぁそうなんだけどそうじゃなくて……そうなんだけど……。そんなこんなでなんとか切島が仲裁しつつ纏めた作戦は『爆豪・切島でオールマイトと戦いながらハンドカフスを着けることを狙いつつ緑谷はゲートを目指す』というものだった。戦いたがる爆豪と逃げたがる緑谷のちょうど間を取った作戦である。ちょうどその話がまとまったあたりでオールマイトのパンチの風圧でゲート正面の道の色々な障害物や遮蔽物が吹っ飛び見晴らしが良くなってしまった。

 

(そして3人ともコテンパンに負けて地面に転がされたけど爆豪が最大火力をぶっ放したあと煙幕を出してなんとか逃げることが出来た。そこで一旦ばらばらになったせいかオールマイトがゲート前に仁王立ちになっちまった)

 

 今は不測の事態で逸れた場合の対策としてあらかじめ打ち合わせして決めていた場所で合流しゲートから少し離れたビルの中で作戦会議をしている。かっちゃんはオールマイトがここに来たらビルぶっ壊して生き埋めにするとか息巻いていたが赤点になるだろと切島が説得して諦めさせた。

 

「チッ……とにかくクソナードは俺に従え! テメーの消極策にのって共倒れとか冗談じゃねえわ!」

 

 初戦はいまいち連携ができなかったせいで普通に各個撃破されて終わった事を反省しているようだ。負けるのは絶対嫌だからクソナードも使ってやる。そのくらいの妥協はする気になったらしい。

 

「とりあえず二人ともなんか作戦があるんだよな!? 爆豪から話してくれ!」

 

「俺がオールマイトと戦う! お前らは隙を見てハンドカフスを付ける! 以上! これ以外の策なんて全部カス!」

 

 最初の作戦を微修正したようだ。まぁ3人がかりでならなんとかなりそうな気はする。お互いのフォローをしながら戦えばハンデ付きなのもあってさすがのオールマイトも隙くらい出来るだろう。

 

「緑谷の作戦はどんな……」

 

 そう言ったところで最初の達成者のメスガキ放送が入ってしまった。アホ二人に先を越された屈辱ですごい顔になるかっちゃん。

 

「テメーら行くぞ!」

 

「作戦っていうか……僕はちょっと思いついたことがあるから別行動するね!」

 

「ハ? ふざけてんのかクソデク!」

 

 まさかの緑谷の独断専行。いや、これどっちの独断専行だ? 爆豪はもう止められないのは分かるが、バラけて勝ち目はあるのだろうか。

 

「なんか秘策があるんだな?」

 

「うん! 二人が知ってるとオールマイトにバレちゃうかもだから知らずに戦ってほしいんだけどお願いできるかな?」

 

「っしゃ! 行こうぜ爆豪!」

 

 切島は緑谷を信じることにしたようだ。もうあんまりごちゃごちゃ考えたくないのもある。信じるぜ! という感じの雰囲気で爆豪を押し切る! 

 

『ホーリーナイトからのお知らせでーすっ! 轟・八百万チームが相澤先生の試練を見事! クリアしたよーっ! 残り時間もあと20分を切りました! 皆頑張ってぇ♡』

 

 メスガキの放送が立て続けに入る。つまりこのくらいがクリアの平均タイム、ということだと理解した爆豪はもうこの作戦に乗るしかないと悟る。

 

「クソナードテメェくだらねー作戦だったらぶっ……飛ばすぞボケ!!」

 

「そういやお前最近ぶべっ」

 

「黙れクソ髪! 行くぞ!!」

 

 なにか言おうとした切島のほっぺたにビンタをかまして黙らせた爆豪はビルから出てオールマイトを挑発した。作戦とやらの内容は知らないがオールマイトの注意を逸らす必要があるのは分かる。失敗しやがったらクソナードの髪の毛を爆破してアフロにしてやろう、などと考え緑谷のアフロ頭を思い浮かべ少しだけ溜飲を下げる。デデデーデ・デーデデだ。

 

「オラァ!! かかってこいや元最強!! 学生に負けるのが怖えのかァ?!!」

 

「HAHAHA! 下手くそな挑発だな! 私が怖いのはレディの涙くらいさ!!」

 

 オールマイトの爆笑ジョーク(と本人だけが思ってるスベリ芸)が炸裂する。ゲートから離れる気はないようだ。ここから遠距離爆破を……いや、そんな事しても最初みたいにパンチの風圧でかき消されるだけだろう。やはり切島と連携して近接を行い、うまいこと爆破で空中に飛ばすのがベターだ。

 

「うおおおおオールマイトォオオオ!!! 俺はオールマイトより紅頼雄斗(クリムゾンライオット)のほうが好きだぜええええ!!」

 

 大胆な告白は女の子の専売特許じゃねえぜとばかりに大声でおかしな事を叫びながらオールマイトに突っ込んでいく切島。本人的には挑発のつもりなのだろう。切島少年なりに一生懸命考えたんだろうな、とオールマイトはほっこりしてしまいちょっと隙ができた。

 

(あっやべっ)

 

 かっちゃんはその隙を見逃さずに爆速ターボで切島を追い抜きながら急接近し爆破の連打を浴びせた。できるだけ顔面の近くを狙い閃光も混ぜることで怯ませる。最初の攻防とは違うクレバーな戦い方に加え追いついてきた切島の援護もあってうまいことオールマイトの攻撃が凌がれてしまっている。なにげに切島の攻撃でチクチクザクザクするのが辛い。初戦よりトゲが増えてるので殴りにくい。

 

(姿の見えない緑谷少年も必ずなにか仕掛けてくるはず。ハンドカフスか、ゲートか。どちらにせよ警戒しながらだと決定力を欠くな)

 

 何らかの作戦なのだろうが、一体なんだろう? 一気に二人を伸すべきか? 

 

「最大火力を喰らえッ!」

 

「そういうのは宣言せずにやったほうがいいぞ!」

 

 バキャッ! と爆豪のコスチュームの籠手を砕く。オールマイトが攻撃に意識を切り替えようとした途端にこれ。戦闘センスも戦闘の流れに対する嗅覚も尋常ではない。まさに油断も隙もない、というやつだ。

 

「知ってらぁ!!」

 

 すかさず爆豪は破壊された籠手の汗を溜めていた部分めがけて爆破を放った。圧縮して放たれたものほどではないものの、大爆発が起こる。

 

「イタタタ! やるな!」

 

『ホーリーナイトの嬉しいお知らせだよ~! 爆豪・切島・緑谷チームが条件達成でっす! オールマイト弱~い♡ゲートすかすか♡インタ~イ♡』

 

「なにっ」

 

 オールマイトはびっくりした。爆煙に紛れてゲートを通ったのは分かる。分かるが一体どうやって? 煙の変化でゲートに向かおうとする者が居れば分かるはずだったのだが。

 

「しゃあっ!! 緑谷ァ! やってくれたんだなっ!! 信じてたぜ!!」

 

「あぁ? クソナードの野郎どっからゲートに入りやがった!?」

 

「お疲れ様ですオールマイト!」

 

「緑谷少年! やられたよ! いつの間にゲートに?」

 

「空からです!」

 

「あっ……それがあったかぁ……」

 

 クソナードはビルの上からふわ~っと『浮遊』して上空に待機し爆発でオールマイトの意識がそれた瞬間に空気を蹴って『浮遊』を解除しゲートに突っ込んだのだ。ゆっくり上空で集中したので空気キックのパワーは50%相当。つまり今の残り火オールマイトとほぼ同速である。地面に激突する直前に再び『浮遊』を全開にしブレーキを掛けたがこれが非常にうまくいきほとんど無音で着地できた。存在感のない浮いている男、緑谷出久。

 

「は? 空? 何言ってんだクソデク。どうやった?」

 

 かっちゃんは心中穏やかではない。またこのクソストーカーは俺の動きをパクりやがったのか? あの〝個性〟でどうやったか知らんが馬鹿にしくさりやがって! なんなんだこいつは! 

 

「あっ。えーっと、僕の〝個性〟はこう、●●●●●●●(ななつのたま)の『気』的なやつだから! ●空術みたいな新技をね!!」

 

「マジか! もしかして●●●●波も撃てるようになるのか? すっげえ!」

 

 切島は勝ったこともあってかテンションアゲアゲだ。バナナボートで江の島方面に漕ぎ出しそうなくらいノリノリである。

 

「どうだろう? 練習すれば出来るようになるかも?」

 

「てめぇクソナードどうなってんだよ明らかにおか」

 

「よし! それじゃあ撤収するぞ! 君等ぼろぼろだし早くリカバリーガールに見てもらわないとな!」

 

 決定打こそ貰ってないもののカス当たりでも全身打撲だらけである。今は全員アドレナリンで誤魔化しているがしばらくしたら痛みだすだろう。特にかっちゃんは至近距離で爆発を受けたので割と痛々しい姿になっている。まぁ爆破には耐性があるので動けなくなるほどではないが。あんまり掘り下げてほしくない話題だったのもあってオールマイトは強制的にぶった切って急いで出張保健所に向かった。

 

『ホーリーナイト速報~! 蛙吹・常闇チーム条件達成~! 梅雨ちゃん大丈夫? お水準備しておくよっ!』

 

『耳郎・口田チーム条件達成っ! 響香ちゃ~ん! 口田く~ん! やかましいおっさんの声なんて忘れてボクのエンジェルボイスで癒やされてね♡』

 

『こんホーリー! 障子・葉隠チーム条件達成だよー! かくれんぼ対決は二人の勝ちだねっ!』

 

『麗日・青山チーム条件たっせーい! お茶子ちゃん危ないよー! 13号先生に感謝するようにっ!』

 

『時間ギリギリー! 峰田・瀬呂チーム条件達成だねっ! 瀬呂くん今も寝てるけど! タイムアップ前に全試験終了~! おつホーリー♡』

 

 流行らない。

 




独自設定とか

・アホコンビ:17位の瀬呂との間には壁があるとします。優等生の中の最下位が瀬呂。なんで雄英入れたか分からんのがアホコンビ。
・トリオ:オールマイトならへーきへーき。
・小動物:ネズミだと思うけど一応ぼかしておく。
・根津校長:彼は大人だが黒い過去が滲み出し一時的に大人では無くなったのでメスガキの一手に敗北。
・メスガキの試験:情報の扱いは適切、指揮官適正も見せたため高評価。
・アシッドグルー:セクシー系事務所で覚えた技。
朗報(ろうホー)リー:こいつはホーリーナイトのおしらせ。流行らない。
・テメーは俺の親か:理解不能な言動をするクソナード。
・アホコンビ最初にクリア:情報聞いてやること決まってたので……。
・轟・八百万ペア:二人とも原作同時期より強いがイレ先の弱体化もないのでトントン。
・デデデーデ・デーデデ:殺してやるぞ尾白猿夫。
・レディの涙:すまない……私は平和の象徴だから……。
・トゲ島くん:形状変化を強化した。
・なにっ:なんだあっ。
・ななつのたま:摩訶不思議なでっかい宝島。
・●空術:悟飯ちゃんはピッコロ式で飛ぶ。
・●●●●波:本気で練習したら出るかもよ。
・おつホーリー:こいつはホーリーナイトの挨拶。流行らない。
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