ボクのヒーローアカデミア くらっしゅ!!   作:ぺぺぺぺぺぺぺ

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間に合ったな(間に合ってないときに使うサムライ8の名台詞)


『千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす』

「いや、何があったにゃん!?」

 

「我驚き。調理中に一体何が……」

 

 生徒たちが入浴に向かってしばらくあと。後片付けも粗方終わり、大人組と言うかお仕事中の人々の食事の準備が終わり、食卓にワイプシの4人が揃っている。虎とラグドールがメスガキに料理を運んでもらいながら調理をして、最後の料理とともに食堂に赴くと、なんとこの2年間全く心を開かなかった洸汰がマンダレイの横に座ってぱくぱくと食事をしている。

 

「別に何も無いですよっ! ねー」

 

「ん……」

 

 何もなくはないけど。という言葉を呑み込む洸汰くん。このイカレ女に口で勝てる気がしなかったので。勝負勘も優秀で将来有望だ。彼は『ヒーロー』を目指している。両親が敵に殺された復讐……ではない。心の奥底で尊敬し続けていたのだ。ウォーターホースを、そしてマンダレイを筆頭としたワイルド・ワイルド・プッシーキャッツを。

 

「まぁその……色々と誤解があったのよ。ホーリーナイトがそれを教えてくれたわ」

 

 マンダレイは人間が出来ている。実際問題洸汰が心を開いたのはメスガキのSEKKYOUがクリティカルだったわけでもなんでもなく、マンダレイがこの2年間、根気強く暖かく接したおかげだ。雪解けが今日になったのはメスガキの力だが、心を開いたのは洸汰が両親の愛情を思い出し、それによりマンダレイの愛情にも気づけたからである。違うからこそ鮮明に浮かび上がってくる、ということだ。

 

「ボクが何かを教えたなんてことはないですよ? 洸汰くんがボクの隣じゃなくてマンダレイの隣に座っているのがその証拠ですっ!」

 

「べ、別におまえの横がいやなわけじゃないけど……?」

 

 メスガキが横に座ってほしそうなことを察して気を遣う6歳児。やさしい。

 

「ムムーっ! おまえじゃないよ! ちゃんと自己紹介したでしょ~? 忘れちゃった?」

 

「……ホーリーナイト」

 

 リノちゃんでもいいよ、と自己紹介のときに言われているが、洸汰はヒーロー名で呼ぶことにした。どうしてそうしたかは、彼の胸の中にだけ答えがある。

 

「そう! どうかな洸汰くん! 今日はぐっすり眠れそう?」

 

「あ……うん……!」

 

「ふふ……洸汰、今日は久しぶりに一緒に寝る?」

 

「え……マンダレイはぬくいからちょっと……」

 

 めっちゃええやんって感じの流れだったが子供はこういうところがある。洸汰は年齢の割に賢いし思い遣りも育っているが言葉の裏まで毎回完全に読めるわけではない。メスガキの機微は分かったがマンダレイが一緒に寝たがっていることまでは分からなかった。

 

「にゃははは! 振られたにゃん! 寂しく一人寝ね!」

 

「我の逞しい胸板が役に立つときは言うのだぞ、洸汰よ」

 

「おねーさんで良ければいつでも寝てあげるよ~?」

 

 虎は元女性で感覚的にもそっちが割と残っている。つまりこの場は女子()優勢だ。ちょっと話がアレな感じに傾いてきている。酒も入ってないのにこれ。まぁワイプシは今までもこういった感じで接してきているので洸汰も戸惑ったりはしない。その後ブラドキングが犬派な事が判明してちょっと空気がひりついた時を除いて楽しく盛り上がっていたが、お腹いっぱいになった洸汰がうとうとしだしたのでマンダレイが寝室に付き添って就寝に向かった。

 

「さて、新斗。俺の言いたいことはわかるか?」

 

 お説教の空気を出した相澤に周りも真面目な雰囲気を作る。

 

「え? そんな、先生……ワイプシの皆さんやブラキン先生の見てる前で恥ずかしいですよ……」

 

 顔を赤くしてくねくねしだしたメスガキを見て空気が凍りつく。え? 何? どういう関係?? と一瞬にしてアウェー空間になった。相澤はそれに気付かなかったらしく話を続けた。

 

「そうじゃない。結果オーライで済ませる気か? 分かっているんだろう?」

 

 相澤はメスガキが褒められたがってる事を理解したうえでばっさりと切り捨てた。切り捨てたのだが、周りはそう受け取らなかった。そうじゃないってなに? 生徒が勝手に言ってるだけじゃないの?? 

 

「あぅ……先生方並びにワイルド・ワイルド・プッシーキャッツの皆様、なんの報告も相談もなく勝手なことをして申し訳ございませんでした……」

 

「よし。内容に関しては……そうだな、お前が踏みこむだけの根拠は有ったのか、それを聞かせろ。感情に任せて突っ走ったわけじゃないだろうな?」

 

「そういう部分が無かったわけではありませんけど……『ああいう状態』って長引くと良くないので、こう言ってはなんですが素直になるまで拘束し続けるつもりでした」

 

「……本気か? 食事の時間で終わらせるつもりはそもそも無かったと?」

 

「いえ! 洸汰くんは自覚がありつつも素直になれてないタイプだと思ったので、すぐ納得するだろうと予測はしていました!」

 

「ふむ。俺はそもそも事情を軽く聞いてるくらいであまり見られてなかったが、お前はどうしてそう思った」

 

「洸汰くんはですねぇ、マンダレイの『声』が聞こえる場所に幾度となくぼーっと立っていたんですよ! 傍に居たくないなら用事があるときだけ『テレパス』して貰えばいいですよね?」

 

「……なるほど。俺はてっきりマンダレイが連れ回しているんだと思っていたが……」

 

「〝個性〟に対して敵意がありましたけど、『テレパス』と『サーチ』で放任されるのが寂しかったんじゃないかなぁ? ひみつきちによく行ってると聞きましたが、不貞腐れて一人になりたがるのはかまって欲しいからですよ!」

 

 まぁ隠れて〝個性〟の訓練も行っていたので理由はそれだけではないのだが、そういう理由もあっただろう。何せ彼の『ひみつきち』は隠されているわけでもなんでもない、非常に見晴らしのいい場所にあるのだから。

 

「ぐ、ぐにゃあ~……ぐぅの音も出ないにゃん……あちきのせいでこじれてた……ってコト!?」

 

 そう。〝個性〟とは身体能力の一部。それで繋がっているのならば、大丈夫。これは〝個性〟由来の感覚であり、持っているものとそうでないものでは相互理解が難しい。そしてその一方でマンダレイとラグドールはどちらも遠隔で相手と繋がる〝個性〟なので、感覚が似通ってしまう。あちきが『サーチ』で居場所把握してるにゃん。何かあれば『テレパス』で呼べるわね。二人は……ワイプシのメンバーは学生時代からずっと仲良しで仲間の〝個性〟も自分の一部のようにすら感じている。つまり二人にとっては十全に信頼する自身の一部が、大切な見守るべき存在と繋がっていると感じる。だが洸汰にとってはそうではない。

 

「どうでしょう? お二人にとってはずっと手を繋いでるつもりでも、洸汰くんにはそう感じられなかったんじゃないかとは思いますが、頭では分かってたはずです! だから何も言わず傍に佇んでいたんだと思います!」

 

 そんな〝個性〟なんてなければ、傍にいてもらえたのに。そして賢い彼はそれを自分勝手なわがままだともぼんやり感じていたわけだ。『温かい』マンダレイに抱きしめられた時に、それを自覚したのだろう。麒麟児か? さすが将来今よりさらに狭き門になった雄英に入学するだけある。彼は周囲の想定より遥かに子供だったが、同時に周囲の想定より遥かに大人でもあった。

 

「お前なりの根拠を持って踏み込んだのは分かった。ワイプシの皆様からも何か言いたいことや聞きたいことがあればどうぞ」

 

 ブラドキングが「え? 俺は?」みたいな顔で相澤を見た。別にお前はいつでも言えるだろ……。こっち見んな。

 

「えっと、ありがとにゃん! 洸汰くんもマンダレイもとっても嬉しそうだったよ!」

 

「我らの不甲斐なさで苦労をかけたな。感謝する」

 

「本当にありがとうね! ……あとそのぉ、イレイザーヘッドとホーリーナイトはどういう関係なの?」

 

 おい。頭メスガキか? いきなりぶっこむな。ピクシーボブは婚期に焦っているのでなんか親密な関係なら話を聞いて参考にしたいと思っているのだ。藁にも縋るような思いなのだろう。

 

「あ! たしかにそれ気になったにゃん! ただの教師と生徒じゃなさそうな親密ぶりに見える!」

 

「そうか? いや、イレイザーヘッドにしてはたしかに珍しいとは思うが、こんなもんだろう?」

 

 ブラキンは別に普通じゃね? と思っている。彼は生徒に親身に接することに何の疑問も覚えない。血を操る〝個性〟を持つ彼は逆説的に血縁にこだわらず、生徒たちを家族のように思ってしまうところがあり、メスガキがまるで家族にするように甘えてきていることを全く問題視していない。一般的な教職ならばまだしも、彼らはプロヒーローでもある。つまり教え子たちはいずれ同僚、仲間になるわけだ。つながりが深くても大した問題はない。

 

「そうそう、普通ですよっ! ねぇねぇ相澤せんせー、洸汰くんはきっと幸せになれますよねっ!」

 

「……未来のことは分からん。俺を含めた周囲の努力次第じゃないか」

 

「イレイザー……お前そこは断言してやれよ。新斗、彼はつらい過去を乗り越えた……かどうかはまだ分からんが、とにかく前を向いたのは間違いない。いい方向に進みだしたと思うぞ」

 

「やったーっ! ありがとうございます! 先生方っ!」

 

「うむ。しかしA組は突出した〝個性〟が多く、その分協調性に難がある生徒が集められているはずだが、新斗はしっかりと他者を立てる事ができているな。良いことだ」

 

 ブラキンは体育祭での「オールマイト、お前もう引退しろ」発言をなんだかいいように捉えているようだ。バズった動画でインゲニウムをアゲる発言をしていたのも相まって献身的なヒーローのように考えている。そして今回デリケートな問題にズケズケと首を突っ込みつつも最終的な落着をマンダレイとの抱擁に持っていったことでそういう評価に定まったらしかった。

 

「クラス分けってやっぱりそういう傾向分けがされてたんですね~。B組の強固な連帯感は先生方の方針の違いというだけではなさそうだとは思っていました!」

 

「ああ。今年は特にくっきり分かれたな。中学から上がってくる情報でのざっくりした分け方だから例年はここまで綺麗に分かれないんだが」

 

「喋り過ぎじゃないかブラド」

 

「お前が言わなすぎるんだイレイザー。生徒たちからA組は学校のことを知らなすぎると言う話を何度も聞いているぞ……」

 

 イレ先は連絡事項を伝えたり生徒と教師でコミュるために取られている時間を睡眠時間に当てている。本当にいい先生なんだよ? なんだけどこの点は本当にカス!! まぁ睡眠時間が足りないのは時間外でも生徒たちのためにアレコレしてるからなので単なるサボりではないのだが……。最近は飯田・八百万が事前にスケジュールや連絡事項などをチェックして生徒たちに伝えてくれるようになってきたので、相澤は教室に来て挨拶した次の瞬間にはメスガキが〝個性〟で作ったふかふかのクッションにぼふんと倒れ込みぐうぐうと寝ることが多くなってきた。そして誰もそのことを疑問に思わなくなってきている。

 

「新斗。親御さんもお前のことを誇りに思っているだろう。……と、イレイザーヘッドは思っているぞ」

 

 ブラドキングは相手の言いたいことを読み取る能力に非常に長けている。キレすぎて人語を失った時のハウンドドッグの言葉……鳴き声? を翻訳というか意訳できるのは彼だけだが、これは実際に言語を解析しているのではなく親友の言う事など手に取るように分かるという理解力の賜物だ。当然それなりに付き合いの長いイレイザーヘッドの言いたいこともある程度読み取れる。全く喋っていなくてもだ。

 

「ブラド、俺の生徒を甘やかすな」

 

 このように相澤はそう思っていることは否定しなかった。というかツッコむと更に内心を明かされそうだったので話をさっさと切り替えたかった。

 

「いいじゃないかこれくらい。……彼女が『思い出す』手助けくらいは我々にもできるし、していいはずだ」

 

 ブラドキングはA組に対抗心を抱いているが、それはあくまで生徒たちの成長を願ってのことだし、切磋琢磨することはA組にも良い影響があると思ってのことでもある。相澤が居るから出しゃばらないだけで、たとえばA組の生徒がブラドに何か相談をすればB組生徒にするのと同じような熱量で真剣に対応してくれるのだ。当然健気に頑張っているメスガキにも親身である。

 

「えへへ……ボクのお父さんはブラキンせんせーみたいにムキムキじゃなかったんですけど……腹筋カチカチなのは同じですねっ!」

 

 メスガキはブラキンに近付いて腹筋をペチペチと触った。目上の人に対して割と失礼な行為だが、ブラドキングはモストマスキュラーのポーズで応えた。

 

「はっはっは! 俺はヒーローとして逆三角形タイプを目指して鍛えているからこういう感じだ。オールマイトのおかげでマッスルは人々に安心感を与えやすいからな」

 

「うーん、イレイザーヘッドと親密というより、ホーリーナイトは甘えん坊みたいにゃん! こっちにもおいで~!」

 

 両手を広げて迎え入れようとするラグドール。メスガキはチラっと相澤を見た。

 

「?」

 

 イレ先はその視線の意味が分からなかったようで不思議そうな顔をしている。

 

「イレイザー……頷いてやれ」

 

 ブラドキングはちょっと呆れながら言った。メスガキは甘えていいものか事前の確認を求めたのだ。ワイプシは別にお仕事でメスガキをよちよちしようとしているわけではないので相澤は関係ないのだが、メスガキにとってはそうではないらしい。

 

「……個人間の関係性は俺が口出しすることじゃないだろう。新斗、好きにしろ。そういえば言い忘れていたな。本日の業務は終了とする。おつかれさん」

 

「カ──ッ! お前というやつは! 新斗、B組に来るか!? 俺ならもっと見てやれるし、うちの拳藤ならイレイザーの何倍もお前の世話を焼いてくれるぞ!」

 

 こんな事を言っているがブラキンはメスガキがどういう返事を返してくるかなど分かりきっていた。これはメスガキに向けた言葉というより、相澤へ向けた言葉だ。そしてブラドキングの狙い通り相澤はちょっとムッとしたようだった。

 

「いえ! ボクはA組の皆と、相澤先生と一緒にヒーローになりたいんです! お気持ちだけ頂いておきますねっ!」

 

 そう言ってメスガキはラグドールにぴょーんと飛びかかって抱きついた。普通の女性ならもろともに倒れてもおかしくない行動だが、プロヒーローのラグドールは容易く抱きとめ、にゃあにゃあ言いながらわしゃわしゃとメスガキを撫で回す。メスガキは洸汰を寝かしつけて戻ってきたマンダレイも含めたワイプシにもみくちゃにされて幸せそうに笑った。クソナードが見たら血涙を流して羨ましがるであろう光景である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっ……だいまぁ……もうみんな寝ちゃってる……?

 

 メスガキがワイプシの面々と一緒に入浴を済ませ就寝のために女子部屋に入ると、しおりの就寝時間より前にもかかわらず部屋は消灯しており静まり返っていた。

 

ん……ふぁ……おかえりリノ……リノの布団はこっちね……じっとしてて……

 

 窓から入り込む月光に照らされた響香がぼへーっとした顔で起き上がる。『イヤホンジャック』でひょいとメスガキを持ち上げると寝ているクラスメイトを起こさぬようにそっと布団へ運ばれた。

 

ありがとう響香ちゃん

 

 位置は響香と八百万の布団の間だ。八百万は薄い布団の寝心地が悪いのかあまりリラックスしてない顔で寝ている。初日の疲れがなければ眠れてすらいなかったかもしれない。『創造』でマットを出すという思考をする前に眠ってしまったのだ。メスガキは全員の布団の下に〝個性〟を差し込みクッションにした。

 

おぉ……一気に寝具のクオリティ上がったね。ふかふかだぁ……ぐぅ

 

 響香はそのまま再び眠ってしまった。黎乃はすやすやと寝息をたてる友人たちの寝顔を見つめる。いつまでも、いつまでも飽きることもなくにこにこと見続ける。安らかな眠り。新斗黎乃が世界中にもたらしたいと思うもの。そうすればきっと、世界中の誰もがぐっすり眠れるようになればきっと、確信できるはずだ。愛する両親も天国で安らかな眠りの中にあるのだと。

 

 

 

 

 

 

「おっはよ──────っ! 新しい朝が来たよーっ!!」

 

「ひゃあっ! な、なにごと?」

 

「う~……やだぁ……まだ寝るぅ……」

 

「う~んあと1時間……」

 

「Zzz……」

 

「……ぁふ……おはようございますリノちゃん……昨日はお疲れ様でしたわ……」

 

 ちなみに響香はプラグをぷにぷにつんつんされて起こされている。クソデカボイスで起こされるのとどっちがいいかは顔を赤くしている響香ちゃんに聞いてみないとわからないねぇ。耳が良いので大声で起こすのを避けたのであって、仲良しだから特別な起こし方をしたとかではない。

 

「梅雨ちゃーん! 朝だよ~? けろけろ~! けろろろーん!!」

 

 メスガキは蛙語? を使って起こそうと試みたが梅雨ちゃんは変わらずぐぅぐぅねむっている。

 

「んん~……あ、顔をお水につければ起きるかな?」

 

「え?」

 

 急に拷問みたいな事を言いだしたメスガキに呆気にとられる周囲。止める間もなくメスガキの〝個性〟が水球となり蛙吹の顔面を包み込む。

 

「うわああああなにやっとんの!?」

 

 麗日は一気に目が覚めたらしくどたばたと蛙吹に駆け寄ってなんとか助け出そうと水に手を触れる。無重力にすれば浮かび上がり外れるだろうと思ったのだろう、両手で水球の表面に手を這わせる。一瞬だけふるんと水球が揺れるが、はずれない。

 

「ちょちょちょちょちょリノちゃん!! あかん! あかんて!」

 

「慌て過ぎだよお茶子ちゃん~。よく見てねっ!」

 

「えっ!? ……梅雨ちゃん起きとる! お目々パッチリしとる!!」

 

 水球がヘルメットのように頭にくっついてるにも拘らず蛙吹は苦しそうでもなんでもなくケロっとした顔をしている。いや、むしろリラックスした顔だ。とぷんと水球が外れると蛙吹は身を起こして顔面をペタペタ触った。

 

「おはよう皆。いい朝ね。この水球は黎乃ちゃんの「ダークマター」かしら。とっても呼吸が楽だったわ」

 

 能力の性質上水滴が残ったりはしない。布団と枕も水球に触れていたが一切濡れておらず、蛙吹の顔面や髪もさっぱりと乾燥している。

 

「梅雨ちゃん水中で呼吸できたん?」

 

「ええ。私の〝個性〟は『蛙』だから水中では皮膚呼吸に切り替わるわ。とはいえ肺呼吸がベースだからずっとそうしていると息苦しくはなるのだけれど……さっきは清々しかったの」

 

「ボクの〝個性〟で成分調整したからねっ! 酸素多めで皮膚に浸透しないおはよう洗顔水だよーっ」

 

「ほぇ~すっごいんやねぇ……」

 

「リノ、ウチも目ぇ覚ましたいからそれウチの顔の高さで浮かしといてもらえる?」

 

「ちょっと調整するね……はいどーぞっ!」

 

 宙に浮く水球に顔を突っ込む響香。ぱちぱちと瞬きしてがぼっと顔を外した。

 

「ふぅ……ありがと。これすごいね。なんかすごいスッキリしたけどなんかやってる?」

 

「表面の洗浄をさらっとね!」

 

「やっぱり。なんか申し訳ないな。汚しちゃってゴメン……?」

 

「別に混ざったりしないからそんなに気にしなくてもいいよっ! 汚れって表現するとあれだけどただの物質だから、分解してエネルギーに変換してるしね! みんなはどーする? 洗顔する?」

 

 さらっと恐ろしいことをのたまうメスガキだが、その恐ろしさというか絶技に気付いたのは八百万のみだった。そしてその八百万は純粋に感心するだけで恐怖心など覚えなかったので特に何の騒ぎにもならなかった。

 

「私も体験してみたいですわ。よろしくお願いします」

 

「私もーっ!」

 

「おねがいしまーふ……」

 

 クラスメイトもだいぶ異常な状況に適応してきているようだ。得体のしれない何かに顔を突っ込むことに躊躇がない。結局全員がメスガキエステを体験することになり、さっぱりとしたお目覚めになった。男子生徒も寝間着からジャージに着替え、よたよたと朝日が差し込むマタタビ荘の庭にでてくるが、すでに女子がきゃいきゃいと楽しげに話しながら待機しているのを見てちょっと驚いた。

 

「すべすべーっ」

 

「やー、これ毎日でもして欲しいわ!」

 

「リノちゃんのお肌はいつも綺麗だとは思っていましたが、こういったカラクリでしたのね」

 

「私はいつも朝は弱いのだけれど……今日は本当にすっきりと目が覚めたわ」

 

「私も酸で出来ないかなぁ? 練習してみようかな」

 

「三奈ちゃんのお肌はボクが洗顔する前からつるすべだったよーっ! 普段から酸でピーリングされてるんじゃないかな? 色々と応用できそうだねっ」

 

「その気があるなら化粧品会社にツテのあるミッドナイトに話を通してやるぞ。夏休み中にミッドナイトが学校にいる日程は……」

 

 訂正。女子だけではなく相澤も混じっていた。生徒の向上に繋がることであれば彼はいつだって骨身を惜しまないのだ。そうこうしているうちに寝ぼけ眼の男子勢も出てきて相澤のお話が始まった。

 

「時間前に全員揃ったな。おはよう諸君。本日から本格的な強化合宿が始まる。今合宿は通常のカリキュラムよりだいぶ早めに『仮免』を取るために圧縮された日程となっている。さて、新斗。『仮免』について説明できるか?」

 

「はーい! 正式名称は『ヒーロー活動許可仮免許証』! 本来は違法である公共の場での〝個性〟使用を緊急事態に限り特別に許可される資格ですねっ! 他にも一部のヒーロー活動……まぁ簡単に言うと商業的活動での〝個性〟使用も許可が下りやすくなります!」

 

「はい、ありがとう。昨今(ヴィラン)の動きは活発化してきている傾向にある。また、先日のUSJ襲撃など雄英に対する直接干渉のこともあり、例年よりもきつい内容になっている。心して臨むように。さて、具体的に何をするかだが……ホレ」

 

 そう言うと相澤は爆豪に向かって見覚えのあるボールを投げる。爆豪は唐突に投げられたボールも全く動じることなく自然とキャッチした。あまりにも自然だったので(本人も含めて)誰もそれがすごいことだと気付かなかった。

 

「なるほどなァ……まずはどれだけ伸びたか見せろってことか」

 

 メスガキのそれは測定不能なのでふさわしいのは爆豪だ。理屈はわかるがちょっとイラッとするのは止められない。そしてちょっとイラッとしつつも目立つので嬉しい気持ちも止められない。にやーっと口角の上がる爆豪を見てほっこりする一同。

 

「お前の前回の記録は712.8mだ。はよ」

 

「んじゃよっこら……爆ぜろッ!!!」

 

 力強いフォームから爆発とともに放たれたボールはあっという間に森の彼方に消えていった。ピピっという計測完了の音がして、相澤が機械を爆豪に向ける。

 

「767.5mだな」

 

「おぉ~~……? すごい……のか?」

 

「1kmとか行くかと思ったけどこんなもん?」

 

「一般的には十分伸びているぞ。ただ、諸君らも違和感を覚えた通り、カリキュラム的にはまだ全く伸ばしてない部分でもある。つまり今日からやるのは〝個性〟そのものの訓練だ。はっきり言ってきついぞ。肉体的にもそうだが、精神にも非常に負荷がかかる。覚悟しておけ」

 

 通常は肉体の成長に応じて少しずつ伸ばしていくのが〝個性〟の訓練だ。そのほうが効率がいいし、自然と使い方も習熟できる。しかしヒーロー科はそのような悠長なことは言ってられない。すぐにでも使える一芸……『必殺技』を身に着けなければ『仮免』の取得は夢のまた夢だ。

 

「というわけでプッシーキャッツの皆さんがお前達それぞれの〝個性〟にふさわしい訓練や課題を教えてくれるから、しっかりと聞くように」

 

「単純な増強系、肉体系の〝個性〟は我の下へ来い!」

 

「あちきの『サーチ』で課題を洗い出しているよ!」

 

「私の『テレパス』でそれを伝えるわ! ……受け取れたかしら!? 指示がなかった子は手を上げてね! ……居ないわね! ヨシ!」

 

 メスガキに『テレパス』が通じなかったのでちょっと不安があったようだが、今度はしっかりと(メスガキ以外の)全員に伝えることが出来て安心したようだ。こうしてA組の〝個性〟伸ばし訓練が始まった。ちなみにB組がまだ来てないのは風呂の時間分就寝時間がズレているためだ。毎日交互に入れ替わるようになっているので明日はB組の訓練が先に始まる。

 

「それじゃ新斗はラグドール・ピクシーボブ両名と相談して各生徒のフィールドや課題に手を入れていってくれ」

 

「はーい!」

 

「それじゃあこっちで打ち合わせしましょ!」

 

 近場にある机にはすでに生徒たちの情報やラグドールが『サーチ』で調べた弱点、すなわち改善すべき短所がまとめられていた。

 

「合宿前半はまず持続を伸ばすためのいわゆる耐性強化がメインね。後半はそれぞれの〝個性〟に合わせた『必殺技』を身に着けていくことになる予定よ」

 

「資料を見て何か思うことはあるかにゃん?」

 

「んー、劇的な変化が起こりそうなのは『必殺技』のほうですね!」

 

「そうね、前半の〝個性〟伸ばしは今後も継続的にやっていく訓練方法を身に付けるのがメイン。そして後半の『必殺技』はそれさえあればセミプロとして活動できると言っても過言ではないわ」

 

「ホーリーナイトはすでに持ってるにゃん! あの『レインボーアイズスターダストブラックドラゴン』ね! ただ、ドラゴン以外も作れるみたいだからそれに合わせた技名を付けても良いかも!」

 

「なるほど、『リミナルゲート』とでも仮称しておきましょうか! それじゃあえーっと、透ちゃんと切島くんのカリキュラムがまだちょっとふわっとしてるので詰めましょう!」

 

「ええ。まずは葉隠さんの『透明化』からまとめていきましょう。名前は『透明化』だけれどラグドールの分析によると光の屈折率を操るのが本質のようだわ。体表面のそれは特にやりやすいと言う感じでしょう」

 

「弱点が『強力な光を屈折させ続けると操作が不安定になる』だったことからの逆算ね!」

 

「ではまず不安定になるまで光を浴びせ続けないといけませんね! ボクの〝個性〟で光を発生させまくります!」

 

「キャー! 輝いてるわよーっ!」

 

「青山くんの『ネビルレーザー』を浴びる案もあったけどソッチのほうがよさそうにゃん」

 

「それじゃあ次は切島くんですね!」

 

「彼の個性は『硬化』ね! ラグドールの分析では持久力に難ありと出たわ!」

 

「他にも『伸ばしすぎると脆くなる』『硬質化した部分の血流が滞るため無理は禁物』らしいにゃん。こっちはちょっとピンとこない弱点ね。どちらも『使いすぎると良くない』ということだと思うけどにゃん」

 

「もしかして切島くんの〝個性〟って『硬化』ではないのでは? その弱点って『伸ばす』能力がないと成り立ちませんし、『ある程度の伸長は脆くならない』ように聞こえます。ラグドールの『サーチ』で見える弱点って密度が下がれば脆くなるみたいな『当然の物理法則』も含むんですか?」

 

「……いいえ! 例えば人間を見て『呼吸が出来ないと死ぬ』とかは出てこないよ! わざわざ弱点として出るのは、その人固有の『特別な欠陥』だけにゃん!」

 

「ホーリーナイトは彼の〝個性〟が本当はどんなものだと予測しているの?」

 

「『剣』とか『刃』かなぁって思ってます! 以前彼の〝個性〟について話したときに、刃物にも出来るんじゃないかって伝えたんですけど、彼はその後トゲを増やしていました! どうも性格的に攻撃より防御を重視する傾向にありますね!」

 

「なるほどにゃん。そういう人って実は多いんだよね。自分の〝個性〟と性格が合わずに悩んでいたり、過剰に恐れたりしてしまうことがあるの」

 

「身体の刃物化を『硬化』と認識してる可能性があるってことね。応用を先に伸ばした、と考えるとらしい気はするわ」

 

「切島くんが好きな『紅頼雄斗』が確か肉体を硬化させる〝個性〟でしたし、そういうことかなって思います!」

 

「憧れの人の〝個性〟を真似して同系方向に伸ばすっていうのはあるあるにゃん! 必殺技を作る前に時間を取ってカウンセリングしてもいいかもね! ……本来はもっと時間をかけてやることだけど……」

 

 このカウンセリングはいわゆる精神のケアではなく原義の相談・助言・計画といった意味合いのものだ。〝個性〟というものは「自分じゃこういう〝個性〟だと思っていたけど実際には違った」という事がよくある。切島はあまり使ってこなかった〝個性〟を受験直前に一念発起して伸ばしているので正確に把握していなくてもおかしくない。

 

「ん~、ボクちょっと話してきます! ついでに透ちゃんにライト出してくるので『土流』で洞窟的なの作ってもらえませんか? ちょっと危険なレベルの光を出すつもりなので待機スペースもあると助かります!」

 

「危なくなったらすぐに光を避けられるような内部構造ね! オッケー! あっちの山に作っておくわ!」

 

「いてら~にゃん! 切島くんの表情をよく見て、傷つけないように丁寧に、ご安全に!」

 

 ツッテケテーと移動するメスガキ。太陽光の屈折を変えようと四苦八苦している葉隠を洞窟へ案内し、めっちゃ光るボールをふわふわと浮かべる。

 

「わー眩しい! すごいね! 日光だと夕方は効率悪くなりそうだったからタスカル!」

 

「あとでモモちゃんに相談してライトっぽく加工しよっか! あ、これ浴び続けると危険なレベルの光量だからもし『透明化』が不安定になってお肌がひりついたりしたらそっちの角に移動して休憩してね!」

 

「はーい! あ、ちょっと相談して良い?」

 

「なになに~?」

 

「とにかくいっぱい光を浴びて、屈折率を操れるように、って言われてるんだけど、イメージが湧かないんだよね! 何かアドバイス欲しいな~っ! リノちゃんめっちゃ頭いいしなんか思いつかない?」

 

「そだねぇ~、ボクならまずは『反射』を目指すかな? イメージしやすいからねっ! 取っ掛かりがあれば光の操作についての感覚も高まってくるんじゃないかと思うよ! 反射が出来るようになれば収束してのレーザー攻撃も容易に出来るようになるしねっ! それが出来るようになったら光の屈折を操作できる範囲を体表面から伸ばしていくかな!」

 

「お……おお~! すっごいイメージしやすいし、出来るようになったらすごく便利そう! 私の〝個性〟ってもしかして……すごかったの!? 隠れるだけじゃない!?」

 

「『光』は宇宙最速の現象だよ! それを操るんだから強〝個性〟に決まってるじゃ~ん! ボクの〝個性〟がない場合でも『発光』はサポートアイテムで補いやすいから将来安泰だよっ! あ、鏡も出しとくからこれ見ながら頑張ってね!」

 

「うお~っ! やったらぁ~っ!」

 

 元気よく叫ぶ葉隠と笑顔で別れ、ツッテケテーと移動するメスガキ。尾白の『尻尾』にボッコボコにされている切島を発見したのでキリの良いところまで見学して観察する。

 

「ふぅ、もしかして待たせちゃった? ごめん」

 

 プライド天元突破男の尾白猿夫が……謝罪!? 明日は槍でも降るのかもしれない。メスガキの〝個性〟ならば可能だ。

 

「どうしたんだ新斗! 俺達になんか用か?」

 

「うん! 切島くんに用事~! キミの〝個性〟についての聞き取りというか~認識合わせ? ボクと色々一緒に試そっ!」

 

「それじゃあ俺は虎のところで誰かと組手させてもらえるよう頼みに行くよ。またね」

 

「尾白、ありがとうな!」

 

「尾白くんも頑張ってねぇ~! ……うーん、フィジカル系の〝個性〟だとボクがしてあげられることがあまりなくて寂しいなぁ」

 

「新斗もだいぶクラスに馴染んできてくれて嬉しいぜ! それで、俺の〝個性〟の何が知りたいんだ?」

 

「えっとねぇ、以前USJに向かう途中のバスの中でした話覚えてる?」

 

「おう! いやぁ、あんときは血の気が引いたぜ! 梅雨ちゃんがいきなりぶっ込んできたもんなー!」

 

 まぁ印象強い会話がそっちなのは分からんでもない。切島にとってはその後の〝個性〟トークはボーナストラック的なイメージがあるのだろう。『キミの〝個性〟の話』と言われてるにも拘らず緑谷の〝個性〟の話にシフトしてしまったことに気付かないほどに強烈な思い出のようだ。

 

「あの不甲斐ないオジサンの話は今はしてないの! そうじゃなくて、キミの〝個性〟の話!」

 

「……ああ! ええっと、プロになるためには見た目も大事、って感じだったか!」

 

「むー……忘れちゃってたかぁ……以前ボクが刃を出してみたらどうか、って言った話は覚えてる?」

 

「言ってたな! 形状の変化に付いての話だろ? まずはトゲを増やしてみたんだが、結構簡単に出来て効果も高くて助かってるぜ!」

 

「んーんーんー……よし! 切島くん、今からボクの言うことを試してみて。きっとしっくり来るイメージなはずだから!」

 

「お、おう? なんだ?」

 

 メスガキは切島の背後に回り込み両手で切島の目隠しをすると耳元で囁き始めた。

 

「キミの身体の中には眠っているんだよ……鋭い刃が……。イメージして……外に出たがっているソレの切っ先を。意識して……キミの身に宿る鋭利な感覚を。ほら……キミの腕はもうこんなに鋭くなってる……」

 

「ん……おぉ?」

 

 切島の腕の形状がみるみるうちに鋭く、細くなり、腕の太さが減った分、長さが伸びた。それはまさに手刀を超えた『手刀』というにふさわしい刃物だ。

 

「な……なんじゃあこりゃああ!! 俺の腕ぇ!」

 

 切島は素直なので本当に言われるがままにイメージしたらしい。そして実際に身体がイメージ通りに変形するとくっそ焦っている。かわいい。

 

「ね?」

 

「ね? じゃないんだが! 〝個性〟ってこんないきなり変化すんのか!? 『硬化』を伸ばすのめっちゃ大変だったのに!? 新斗のアドバイスすごすぎねえか!?」

 

 自分でやったことなのに大混乱だ。切島のイメージがしっかりしていたからこそ一発でここまでのモノになったのだが。

 

「えーっとね。キミはこう……先に応用編をやってたんだよ! だから応用より簡単な基礎編は出来て当然というか……『既に出来るようになってたけどやってなかったこと』を今やっただけで向上したわけじゃないんだ」

 

「ダニィ!? つまり……どういうことだってばよ!?」

 

「キミの〝個性〟は『硬化』じゃありませぇええええん! 『鋭刃』とかにして役所に提出し直したら?」

 

「なんだとぉ……聞きたくなかった!」

 

 さらっと腕を元に戻して頭を抱える切島。彼は本気になるのが意外と遅く、真剣に雄英を目指し始めたのは受験の1年前ほど。それで偏差値79の難関筆記を突破し、遠回りしている〝個性〟で入試の実技3位。麒麟児か? 

 

「現実です……これが現実……! それにいいこともあるよ?」

 

「良いこと……?」

 

「『硬化』もイメージを変えれば今より簡単に硬くなるはず! 今までは皮膚を固くするイメージだったでしょ? これからは硬い刃で鎧を作るイメージにすれば良いし、刃だと意識すれば鋭さは逆に無くせる。模造刀的なイメージだよ! やってみて!」

 

 ジャキン! という音がして刃の鎧が現れる。今まではギチチ……という不協和音がしていたのに、音が揃った。ああ、これが俺の〝個性〟なんだ、と切島は理解した。

 

「おぉ……なんか体も楽だ。今まで『硬化』してたらこう、気張ってなきゃいけなかったんだけどこれならもっと長時間出しっぱなしに出来るな!」

 

「キミは刀なんだよ。打てば打つほど強くなる。炎にも強い。イメージして」

 

「打てば打つほどに強くなる……! うぉおぉおおおお!」

 

 鉄哲徹鐵くんともうちょっと絡みがあれば彼との殴り合いなんかをイメージしたかもしれないが、今切島が思い浮かべているのは庄田のことだ。体育祭で自分を負かした熱い漢。そしてお互いの〝個性〟を研鑽できそうな予感になんだか運命的なものすら感じている。そんな話をしているとちょうどいいタイミングでB組もやってきて各地でトレーニングを開始しだした。

 

「あ! すげえいいタイミング! なぁ、庄田に『ツインインパクト』しまくってもらうのってどうだ!? お互いの訓練にいいんじゃねえか!?」

 

「うん、いい考えだと思うっ! あとは轟くんにも協力してもらうと良いよ! 熱して、叩く! これがキミをより硬く、より強くするんだ!」

 

「ああ! ……しかし刀かぁ……盾が良かったぜ……」

 

「考え方次第だよ、切島くん! 例えば二刀流が実は守備を重視した型なのは知ってる? 刀が増えるということは守りが増えるということ! 両手どころじゃない沢山の刀を持つ切島くんは、まさに鉄壁なんだよっ!」

 

「お……おおおおおお!! そういうことか!!」

 

 単純な切島は納得してしまった。ついでに繊細で柔らかい心も持っているのでこうやって自信を持って断言されてしまうとざっくり刺さるのだ。

 

「どんな道具も使い方次第! 人を傷つける危険な〝個性〟も、他人のために役立てることが出来るんだよ! そうでしょう!?」

 

「ああ! その通りだぜ! 俺の〝個性〟がどんなものだろうと! 俺はそれを守るために使う! そう決めたんだ!」

 

 メスガキと切島の会話はこのようにどんどんボルテージが上がってしまう。メスガキのハイテンションについていけるクラスメイトは少ないが、その数少ないうちの一人が切島だ。オールマイトもそうだが、「その通りだ!」とすぐに納得してしまうのでメスガキにブレーキがかからずどんどん加速してしまう。二人のサイクロトロンのような掛け合いは、「切島くんと一緒に訓練したら良いんじゃないか」と同じ結論に至った庄田がのこのこと近寄ってくるまで止まらずに臨界点に向けて膨張し続けた。




独自設定とか

・ワイプシ:会話に下ネタ多そうじゃない?名前もホラ……ね?
・報連相:そんなに怒ってるわけじゃないけど立場上怒らないといけないので。
・洸汰くんの行動:原作でも結構ちょろちょろしてる。マンダレイが場所知らんひみつきちとかに行けるくらい放任されてるぽいのに。
・ひみつきち:マスキュラーが「あそこ見晴らしよさそうじゃん」ってすぐ発見できるような場所にある。
・ブラキンから見たメスガキ:絶大な“個性”を持ちながらもそれに驕らず謙虚に他者を立てることが出来る優秀な生徒。
・ブラキンの腹キン:カチカチ。
・イヤホンジャック:メスガキ抱っこを頻繁にするのでパワーが増している。
・皮膚呼吸:『蛙』の“個性”っょぃ……。
・物質を分解してエネルギー:よくそんなもんに顔突っ込めるね……。
・ミッドナイトのツテ:自社ブランド持ってそう。どっかでそれ系の設定出てたら教えてください。
・仮免:商業活動もちょっとできることにした。
・767.5m:メスガキに対抗するために毎日酷使してる。自己流だが自己管理はバッチリなので後遺症等は一切ない。才能マン。
・葉隠の訓練:何してるかどっかに出てたっけ?知ってる人いたら教えて。
・切島くんの“個性”:初期(没)設定だと『圧縮』となっている。身体を圧縮して刃のようになる。
・ラグドールが見れる弱点:良く分かんなかったんで都合のいい感じにした。
・紅頼雄斗の“個性”:どっかに詳細出てたりする?
・透ちゃん:原作と違うスキルツリーになると思います。
・メスガキの囁きボイス:エイちゃんはくすぐってぇとしか思わなかった。
・手刀を超えた手刀:禁断の二度打ち。
・なんだとぉ・・:雄英高校のブランドに傷がつくからな……。
・切島くん:こいつも才能マンなんだよなぁ……。
・打てば打つほど硬くなる:熱いうちに打て。彼の本当の“個性”は『刀』とします。作中では『硬化』表記のままですけど。
・めんどくさくなったメスガキ:キミの“個性”はこれだッ!!
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