ボクのヒーローアカデミア くらっしゅ!! 作:ぺぺぺぺぺぺぺ
「な、なんのことカナー? オジサン分からない!」
もういい歳のオールマイト。数十年もの間自身の〝個性〟を隠蔽してきた誤魔化しテクはもはや衰えまくっているようだ。OFAに蓄積されちゃったのかな?
「志村菜奈」
「…………なぜその名を」
もはやとぼけようがない。片方だけならともかく『OFA』『志村菜奈』という二つが揃っているのはかなり根幹まで知っているということだからだ。
「オールマイトから見て先代らしいですねっ! 話す気になりましたか?」
「その前に、どうやってそれを知ったか教えてくれるかな」
平和の象徴としての顔を眼前の少女に向ける。どれだけ低い可能性であっても検討しないわけにはいかない。備えないわけにはいかないのだ。
「いいですよぉ。簡単に言うと『八相縁起』がボクを『継承者』だと誤解してペラペラ喋ってくれましたっ!」
オールマイトは驚きと安堵が入り混じった複雑な表情になる。最悪ではなかった。もちろん良い状況でもなかったが、まだ自分の頑張りでリカバリーできそうな状況だと誤魔化しおじさんは思った。
「なんということだ……! 『先生』はやはり奴だったか! すまない新斗少女! 巻き込んでしま」
「はぁ~? 巻き込んだ? 失礼なこと言わないでくださいっ! ボクを勝手にオールマイトの人生の脇役にしないでくれますぅ? いつまでメインキャスト気取りなんですか? せいぜいが前作主人公でしょ!」
誰もが自分の人生の主人公だからな……オールマイトのいる世界でそう思えるやつはすごいメンタルだけど。メスガキはもちろん自分が主人公だと思っているタイプ。
「『わんふぉーおーる』って言葉はどこにも報告してないですけど、今後も黙ってたほうがいいですよね? 『活動限界』絡みの話でしょ、これ」
オールマイトは『AFO』の生存を確信したようだが、これは『志村菜奈』が『OFA』の継承者だと知っている人物が非常に限られるからだ。オールマイトは先ほどまでメスガキの『解析』でバレた(だったらいいなという願望)のかも、と思っていたが『誰かに聞いた』ということであれば必然それは『AFO』ないしそれに非常に近しい存在ということになる。まぁ知っているという条件だけであればグラントリノを筆頭に数人居るのだが。
「お、お気遣いありがとう……しかしそうか、君がヒーローとして立つ以上、アレが生きていたのであれば必ずや目をつける。分かっていたつもりだったが……」
「随分と『オールマイト』にご執心でしたよ。『八相縁起』……『八木俊典』。I・アイランドで誤魔化そうとしていたときの偽名は以前から使ってたりします?」
八を引っ掛けているのもそうだが、八相縁起すなわち信楽焼タヌキは他を抜くともかけてあり、これは俊という漢字の意味と同じである。
「いや、本名だ。そうか、言われてみれば私へのメッセージでもあったんだな、気づかなかった」
「えぇ~本名って……情報リテラシー低すぎでは……まぁ向こうはボクからすぐにオールマイトに報告が行くと思ってたんでしょうね、くすくす♡」
あまりにもいつも通りのメスガキにつられて思わずフフっと笑うオールマイト。メスガキはオールマイトに幻想を持っていないタイプなので結構気を抜いてダラっと喋れるのだ。
「それでぇ、『わんふぉーおーる』についてですけどっ! 『八相縁起』は“それ”をボクが継いでいると確信していました! 理由は〝個性〟がすごくて見た目と不釣り合いな身体能力を持っているからだそうですっ!」
「なるほど、本当に私がどうこう、という話ではないようだな」
つまり体育祭でくっそ目立ったのが主原因ということだ。イラッとしてかっちゃんを蹴り飛ばしてなければ半信半疑(おっ個性婚か?)くらいに出来たかも知れないが後の祭りである。
「無関係でもないですけどね! オールマイトの雄英への赴任が唐突だったから、とも言ってたので!」
「そ、そうか……」
まぁ特に理由もなく急に教師になるとか事情を知ってたら「おっ後継者探しか?」となって当然だからな……梅干しおじさんは深読みして「これはカモフラージュで外部に後継者が居るんだろ? フフフ、お見通しだぜ」と思って熱心に調べたけど何にも出てこなかった(笑)。
「ボクが当事者でありオールマイトには説明責任があることは分かって頂けましたか?」
「………………ああ、分かった。誰にも言わないでくれよ?」
「緑谷くんの安全がかかってますもんね!」
「……君もう知ってるんじゃないの? まぁ話すけど……」
オールマイトは念のためメスガキが作ったなんかやたらメルヘンな個室っぽい空間でトゥルーフォームになって『OFA』について話した。『継承』については大体クソナードに話しているのと同等くらいの情報量で具体的な方法だけはボカしたが、推定AFOに既に目をつけられてしまっているのでそのあたりのことはさらに詳しく話した。僕よりも詳しく話すんですね、オールマイト……。緑谷少年! すまない、私はやっぱり新斗少女のことが……。
「なるほどぉ……結局若者のやることはいつだって前時代の負債の清算ってことですかぁー!」
「すまない……私の代で終わったはずだったんだが……いや、いずれ私が終わらせるつもりではあるけどね。そのために今、力を蓄えてるところだ」
そのためにとにかくめっちゃ食ってる。食事が楽しい、というのもあるが胃の調子がものすごくよくてお腹ペコペコのペコマイトなのだ。やばいですね☆
「ふーん? 平和の象徴の矜持ってやつですかぁ? ボクならよゆーでぶちのめせるって、分かってますよね?」
「……そうなんだろうな。私たちの因縁など君にとっては路傍の石だろう。だが私は」
「ろ、路傍の石とまでは思ってないですっ! 実行が簡単なことと物事の重要度は関係がないでしょっ!」
メスガキはそれなりに気分を害したようで身振り手振りでぷんすかと不満を表明した。
「あ、なんかゴメン。言葉選び失敗しちゃったね。とにかく君には迷惑をかけないようにするから」
「…………なぜボクに頼らないんですか? オールマイト。ボクの不満はそれです! ドラマチックな展開なんて要らないじゃあないですか! そんなコミックのヒーローみたいな決意、サムいですよ! 無意味な徒労です!」
「その通りだな! だがこれは私が私の意志で始めたことだ。大人として責任を取らなければ」
態度こそ柔らかいが断固たる決意だ。メスガキは拒絶されたと思ったらしく表情が硬くなる。
「……オールマイトや緑谷くんと話しているとボクはいつも嫌な気持ちになります。……命を……目的のために使い潰さないでください。治療をしたのはそんな事をさせるためじゃないですッ!」
「本当に、申し訳ない。このような生き方しかできないんだ。色んな人に言われたよ、そんな生き方はやめろってね。だからこそ戦う勇気が湧いてくるんだよ」
「勇気なんて言葉でごまかさないでください。それは犠牲です! 犠牲無き献身こそが真の奉仕です! ボクがそれを世の中に示しますっ! 『オールマイト』には持続性がないッ! 発展性がないッ! 今までの功績を否定するわけではありませんが、個の英雄の時代は終わりです! 終わらせますッ! だから」
「ありがとう。君の言葉はいつも私に力をくれる。君は優しく強い子だ。そう……だから最後には結局、私を赦してくれるのさ。そうだろう?」
「……ボクはオールマイトが嫌いです。昔からずっと、嫌いです。話せば話すほどキライになります……」
「ごめんよ。私はこのように、私のことを愛してくれる人ほど傷つけてしまう。こんなだから生涯童貞なんだろうな! HAHAHA!」
「うるさい! オールマイトなんか大っきらいだっ! さっさと引退しろ老害ッ!!」
「Oh……そんな言葉を使ってはいけないな! ご両親が悲しむぞ!」
JKに下ネタをぶっこむという自分の行動を棚に上げて言うおっさん。責任回避No1! 誤魔化しの象徴! アメリカで過ごした期間が長すぎて気を抜くとすぐ下ネタやブラックジョークが出てしまうのだ。
「そっくりそのままお返ししますよっ! そんな生き方でご両親が喜ぶとでも!?」
「そうだな、君の言葉で大事なことを思い出したよ。初めて立ち上がった時、私は両親の仇を討ちたかったんだ」
「!」
直接の仇が『AFO』というわけではない。しかしあの閉塞した暗黒の日々は明確に個人の意志……梅干しおじさんのしょうもない願望によって成り立ったものだ。奪った者が得をし、奪われた者の悲しみが憎悪に変換される『社会』に立ち向かうと決めたあの日、鉄パイプを振り回す八木俊典は『
「奴との因縁には数十年にも渡るあまりにも複雑な積み重ねがある。かつて私が奴と戦った時、そのつもりはなかったが私は奴を殺した。いや、そう思っていた。生きていたと知った時、実はホッとしたと言ったら軽蔑するかい」
「……いいえ。当然のことだと思いますよ。でも同じように自分の命も労って慈しむべきだ」
きょとんとした表情をするオールマイト。オールマイトは自分が殺人者にならなかった、という安堵を話したつもりだったが、メスガキは命に対する慈しみだと捉えたようだ。そのことに思わず笑顔が浮かんでしまう。
「君には敵わないな……私は改めて奴を『倒す』! 今度こそ刑務所にぶち込んでやるのさ! 私がそう決めた! 応援してくれるかな?」
ぼふん、とマッスルフォームになって力強く宣言する。そうだ、今度こそ捕らえる。より良い未来を掴んで見せる。決意を込めて拳を握りしめる。
「何が応援だよ……ボクがその気になればまだ呼吸器官は消え失せるんだぞ……今からでもそうしてやろうか……?」
胃の方は既にオールマイトの血肉となっているため能動的にえぐり出さなければそのままであるが、呼吸器官はまだメスガキの制御下にある。
「そんなこと君はしないさ! 私がどれほど君を怒らせても、君に嫌われても、あるいは敵対したとしても、それをしないと私は知っている。私と君の関係ではなく、デイヴと君の絆がそうさせるんだ」
笑顔でそう声をかけ、ぽんぽんと頭を撫でる。メスガキはしばらくぽかんとしたあと、目を吊り上げてオールマイトの手をぺしっと払い除けた。
「ひきょうもの……卑劣漢……! 平和の象徴じゃなくて卑劣の象徴だろ……!」
「そ、そんな……新斗少女ちょっと言葉きつくない……? 年寄りをもっと労ってほしい」
手も結構痛い。マッスルフォームじゃなかったら折れてたんじゃないかってくらいひりひりする……。
「ちょーしのいいこと言うなっ! くそじじーっ!」
「死柄木! 来てくれたのか! やばいかもしれない。有志の一人が偶然気付いたんだが、以前取材に来た奴らの中にヒーローがいたらしいんだ」
「心配するな『イグナイター』。お前たちは何も気にせず普通に活動していろ」
ここはとある宗教団体が資金繰りが悪化して手放した施設。そこを借り入れてテロリスト予備軍の死柄木弔が作った組織である『普通の人々』が使っているそれなりに立派な建物だ。
「なぁ……俺はお前たちの力になれているか? 不安なんだ、死柄木……」
「大丈夫だ。『普通の人々』の役割は社会に問いかけることだ。こっちの心配はするな。いつも通りかわいそうな奴らを救っていけ」
死柄木はちょくちょくここに訪れては『〝個性〟に悩むかわいそうな奴ら』と会話したり口喧嘩したり意気投合したりしていたが、最近は殆どそれを『イグナイター』に任せている。彼は最初期に興奮した面持ちでやってきて何でもやるぜなどと息巻いていたので本当に雑用から相談まで何でもやらされついには実質指導者のような役割まで押し付けられていた。
「救うだなんて、俺には出来ない……『
本人にモチベーションはあったのだが能力不足で悩んでいるようだ。それはそうだ。彼だって悩んでいるし苦しんでいる。他人の悩みの解決などできた試しがない。
「そんな大げさに考えなくいい。似たような悩みの奴らとまとまって話してるだけでなんとなくいい気分になるだろ? ネガティブにならないようにだけすれば良いんだよ」
これは死柄木の経験談でもあるので実感が籠っていた。死柄木本人はネガティブな目的を持っているが、気分的には「やりたいからやる」なのでポジティブなつもりでいる。
「……そうだな。俺もここに来て救われた。部屋に引きこもっていたら気づかなかった。こんなにも沢山同じような悩みを持つ人が居るなんて……」
「俺には弱音を吐いていい。だが、他の奴らの前では毅然としていろ。お前は『弱者の代弁者』になる男だ。自信を持て。なくてもあるふりをしろ」
死柄木にとってもイグナイターは特別な存在だった。いや、特別な何かを持たないからこそ相性が良かったのかもしれない。ただひたすらに弱者。ただひたすらに被害者。反撃をすることもなく引き籠ってゲームで勝つことで自分を慰めている敗北者。だからこそ彼のなにかを壊したいなどと思うことがなかった。それどころかむしろ……。
「どうやってだよ……」
「キャラのマネでもしたらどうだ? お前の使ってたチャンプなんてちょうどいいと思うが」
でもこいつ
「……革命の指導者……抑圧からの解放……『待つだけの者に自由は訪れない。進め! 自らの力で!』」
なりきっちゃう井ぐ……イグナイター。二人の共通の話題はゲームである。プレイ傾向もまぁまぁ似ている。とはいえ特にやることがなくて引き籠ってゲームばっかしていたので大量にゲームをやっていたイグナイターが死柄木のやっているゲームも大体やっている、という状況だが、優しい井口くんは「気が合うね!」と言って調子を合わせてあげている。ネットでなら友達を作れる秀一くんはコミュ力自体はあるのだ。
「そうそう、その調子だ。まぁ●●●●と違ってお前らは違法性のあることは一切する必要ない。なんだかそういう不安や期待があるらしいがきっぱりと否定しておけ。やるなら草の根活動や正式なデモだ」
「そ、そうなのか? お前からの命令に備えて〝個性〟を磨き始めた有志もいるんだが……」
この集団の成立のきっかけが『敵連合withヒーロー殺し』、つまり『死柄木弔』であることは知っている人は知っている。そして虐げられたものは『弱者』ばかりではない。その強さや恐ろしさ故にはじき出されたものもいるのだ。
「お前達の持つカードは『弱者』と『正当性』だ。常に『被害者』で居られるように行動しろ。『加害者』になればお前たちは力を失う。それは困るんだよ」
「役割が違うってことか……」
カードゲームでも『強い』カードは色々ある。スタッツが高いとか環境に刺さるとか様々な意見はあるだろうがどんなゲームでも強いのはドロー。そしてこの団体の役割は『死柄木弔のドローエンジン』と『社会への持続ダメージ』だ。
「そうだ。だから俺はお前たちに何も教えないし、指示もしない。『真っ当なアドバイス』はするけどな。そうすりゃお前らは『善良な市民』のままだ。お前たちは『ステイン』と『インゲニウムちゃん』に感化されて集まっただけの相互扶助する弱者たち。そういうことだ」
「分かった。徹底……とはならないと思うが頑張って広めるよ。『解放者』の作る世界の助けとなれるように……声を上げ続ける。『より良い明日のために』」
イグナイターが口にした『より良い明日のために』という言葉は『普通の人々』の標語だ。人は象徴を求める。苦境の中にあって心の支えとし、自分を勇気づけるために。不安定な心を落ち着かせ、他者と共有するために。上辺だけを取り繕った仮初めの平穏を、閉塞した状況を、打ち破ってくれるスーパーヒーロー。彼らにとってそれはオールマイトではない。『オールマイト』は『自分たちを救わなかった象徴』であり、『悪』のアイコンである。
「それでも過激なことを言っているやつは……『俺達に似ている』よな? 『普通の人々』の邪魔になるだろう。ああ、余計なことはせず「こういう奴を除名した」とだけ連絡しろ」
「ただの活動報告をしろという事だな。クリーンであることが最強のタンクになってくれるわけか」
正当性というものは非常に強い。『無責任なその他大勢』を敵に回すのが『弱い』行動だと言い換えてもいい。イグナイターは死柄木の行動から頑張って彼らのためになる行動を推測するしかない。死柄木は何も言わないからだ。警察がここに来て、イグナイターを問い詰めた時に嘘をつかなくてもいいように。そして求められているのは『弱者としての正当性』なのだということに多少の安心を得る。世の中を変えたいと走り出したが、犯罪をしなくて良くなったことに安堵しているのだ。もちろん犯罪者である死柄木と関わっている以上いつかは意図せず何らかの罪を犯したり、罪に問われたりすることをやってしまうかも知れないが、能動的に他者を傷つけることにならなくてホッとしている。
「新しい端末はこれだ。警察や公安に情報提供を求められたら俺から聞いたことは全部話して良いし、端末も渡してかまわない。そうすればお前を俺の協力者として捕らえることは出来ない。頼んだぜ、『イグナイター』」
「オールマイト! 嘘ですよね!?」
「信じてたのに……そんな事する人じゃないって!」
「あーあ、幻滅っすねぇ~! こりゃあスキャンダルでしょ!」
のこのことメスガキラ●●●ルから出てきたオールマイトとメスガキ。そんなところをちょうど帰ってきたクラスメイトの一団にピンポイントで目撃されてしまった。
「皆! 違うんだ! これは新斗少女が強引に……! 信じてくれ!」
オールマイトはここからどう誤魔化すか頭を回転させたが結局のところ自分が何を言っても無意味なことに気づきメスガキに縋るような目を向けた。
見てないで……ホーリーナイト……。
お願い……救けて。
「皆ゴメン……ボクいまちょっと弱ってるかも……遊んであげられないや……」
しょんぼリノである。話が話だったので無理もないのだがオールマイトは焦った。これがどう見えるか、すぐに理解ったからだ。
「え? ……え? な、なにかの誤解スよね……?」
「ちょ、オールマイト?」
さっきまではゆるーい感じの冗談めかした空気があった。実際に疑っていたのではなく授業でやるスキャンダル対策をオールマイトがやってないじゃん(笑)みたいなからかいだったからだ。
「嘘でしょ……リノちゃんに何したの!?」
「どういうことだよオールマイト……言えや!」
「ロリコンだったのか……! 道理で!」
「嘘だろォ!? オールマイト! なんとか言ってくださいよ!」
四面楚歌。孤立無援。絶体絶命。オールマイトはいつも一人で戦ってきた。誰もついてくることが出来なかったからだ。唯一着ているスーツだけが心の拠り所だった。今はスーツもない。ピッチピチのスイムウェアだ。その見た目がもうヤバかった。ちょっとダサ系にして笑いを取ろうと思っていたのだが、へんたいふしんしゃ感がすごい。
「いや、そのー、プライバシーの問題もあるから! 軽々しく言うわけにはいかないんだ本当に!」
「そうだよ~……プライベートな話。ボクにばっか負担かけて一人で気持ちよくなっちゃうクソみたいなオジサンの個人的な話……」
先程の話を総合するとそう言うことになるのはそうだが、明らかな悪意のあるまとめ方にオールマイトはまずいと思った。何がまずい? 言ってみろ。
「え、マジでどういう事? もしかしてガチ? 冗談じゃない?」
「ぱ、●●活!?」
さっきまでは疑いがありつつも「オールマイトがそんな事するはずがないよね」という信用と信頼があった。ちょっとだめな所もあるが、スクリーンで見ていた頃のイメージ通りの素晴らしいヒーローだと思っていた。ほんの一瞬前までそうだった。かっちゃんは黙り込んでしまった。
「リノちゃん! 大丈夫なの!? 少しくらい話せることはないの?」
「え~……オールマイトが童貞だって主張してた事くらいかな……?」
空気が凍りつく。シーンと静まり返ったあと、すぐに火がついたような騒ぎとなった。
「プライベートの話すぎるだろ! どういう流れでそうなるんだ!?」
「おい耳郎と八百万呼べ!」
「最低だぞオールマイトォオオオオ!!」
「いやいやいやいや冗談だよな? 新斗ォ! からかってるならもうネタバラシしてくれよ! 十分驚いたって!」
そんなことあるはずがない。清廉潔白であってくれ。間違いなど犯していないと言ってくれ。縋るような思いがあったのだと、思う。嘘でもいいから……嘘って言えよ……。
「ボクからこれ以上言えることはないよ……誰にも言うなって口止めされてるから……」
いよいよ空気がヤバくなってきた。猜疑心と不信感。峰田からすらニヤニヤ顔が消えたくらい緊張した空間である。つまりガチでオールマイトのバンザイ行為を疑い出したということだ。
「新斗少女! オジサンが悪かったからそろそろ勘弁してくれないかな!? 私の秘密主義に腹を立ててるのはよ~く分かったから!」
「……なーんちゃってぇ♡某モサモサブツブツくん関連の話を問い詰めただけだよっ! 皆のヒーローオールマイトは童貞のままだから! びっくりした? くすくす♡」
オールマイトの情けない懇願を聞いてにぱっと笑顔で嘘はついていない言い方でネタバラシをするメスガキにクラスメイトたちは一気に安堵した。『オールマイトロリコン説』は浮いた話のない彼の性癖としてホモ説と並んで微妙に信憑性があるのでドキドキしたのだ。正直冗談で済むラインをだいぶ超えているがメスガキのラインがおかしいのは今に始まったことではないので「限度を知らないクソガキのやることだしな」というちょっとの諦めとともに空気が緩んだ。
「……ああ! なるほど! 俺は何も知らないぜ!」
「そうそう! 何も知りませんから! 大丈夫ですよ~オールマイト!」
「何だついに問い詰めたのか。まぁそれなら聞かなくていいや」
「オールマイトは『童貞』……そういうことか。平和の象徴も大変だ」
「徹底してんなぁ」
「もー! だめだよリノちゃん! 余計な時間使っちゃった! さっさと帰り支度しよー!」
様子を見るに結局オールマイトは口を割らなかったのだろう。それどころか下ネタをぶちこんで話をごまかそうとしたようだ。まぁ彼が有精卵とかのギリギリの下ネタを言う癖があるのはこれまでの付き合いで知っていたので幻滅するようなことにはならなかった。むしろメスガキに振り回されてかわいそ……という空気だった。
(皆納得しちゃった! しかもスルーしてくれる! 新斗少女の信用(※良い方か悪い方かは諸説あり)すごいな! しかし、緑谷少年と私の関係の話……?)
「アァ? クソナードの例の話……? なんでテメェら納得してやがるんだ!?」
訂正、全員ではなかった。またしても何も知らない爆豪勝己さん(16)。さっきまで興奮して殺気だっていた面々が安心顔やしらけ顔でマタタビ荘に帰り支度をしに入っていくことに戸惑いを隠せない。コミュニケーションというものを軽んじているからこういうことになる。ザ!! 自業自得だぜ!
「な、なにこれ? どういう状態?」
「わ、私たちを呼んだ方がいらっしゃらないのはどういうことでしょう……?」
メッセージで「マタタビ荘の裏口にすぐ来て!」と呼ばれた響香ちゃんとヤオモモが急いでやって来た頃には「やっぱクソデクとなんかあんだな?」とオールマイトを問い詰めるかっちゃんとタジタジになるオールマイト、そしてそれをニヤニヤと見ているメスガキしか居らず困惑するハメになった。かわいそう。でも新斗ちゃん係だからしょうがないね……。
「先生。良く聞こえなかった。もう一度言ってくれ」
いつものバーで死柄木弔は黒霧にドリンクを作らせリラックスしていたのだが、そこに突然『先生』からの連絡が入った。
「ん? 電波が悪いのかな。弔の仲間に『変身』の〝個性〟を持つ『トガヒミコ』って女の子がいるだろ? あの娘をちょっと貸してほしいんだ」
「……貸す? どういう意味で言ってるんだ、先生」
明らかに気分を害した声色になる死柄木弔。内心はついに来やがったか? という警戒が大半だが、そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな、という寂しさと悲しみもある。
「おっと、弔がそんなに怒るとは思わなかったな。別に君の仲間を無理やり奪おうってわけじゃない。少し採血と検査をさせてもらいたいだけさ」
わずかに警戒が緩む。育てられた恩を感じていないわけではない。まともな話であれば交渉の余地はあるだろうと考え先を促す。
「……見返りは? 俺の仲間を利用しようっていうんだから『先生』も俺達にベネフィットを与えるべきだよな」
今まで育てられた恩はある。それはそれとして、自分をなにかに利用しようとしていることも分かっている。なので恩があるからタダ働きします、とはならない。
「そうだね、うーん、脳無を1体あげるよ。ああ、それに加えて『ムーンフィッシュ』という大物敵を紹介しようか」
「脳無5体だ。全部黒な。人材は要らない。どうせこの間のクソ筋肉みたいに命令をろくに聞かないからな。あいつの顛末を見れば分かるが戦闘力なんてもう俺のゲームじゃ死にステなんだよ。捨て駒にできる脳無なら有用だけどな」
「おいおい、いくらなんでもふっかけすぎだろ? それに捨て駒に使うなら上位個体じゃなくていいだろう。時間稼ぎに使えそうな〝個性〟を持った
足止め目的でかつて作ったやつがちょうど3体あるが、これはぶっちゃけAFOにとってはもう要らない個体だ。脳無は基本的に新しい個体ほど強い。というかそもそも「中位個体を作ろう」みたいに制作されるわけではなく、アップデートされた結果「昔作ったこいつはもう中位個体だな」というふうにラベリングされるのだ。弱い個体をわざわざ新規に作るような余裕はない。
「先生。軽く考えているならこの話は無しだ。俺の仲間は意のままになる駒じゃない。説得して納得させないといけないんだ。納得してないのにそっちに送ってあんたの協力者が殺されてもいいなら適当にやってもいいがな」
特にイカレJKに大人しくしろと命じるのはかなり面倒だ。特にというか他のメンバーは普通に頼めば普通に聞いてくれるのでピンポイントでだるいことを頼まれていると言える。
「ふふ、交渉が上手くなってきたね。やはり立場が人を育てるな。分かった、こっちも限界まで出そう。先程の中位3体に加えて更に中位2体、そして最新型の上位個体を1体つける。そのかわり『二倍』の〝個性〟の持ち主も同様に貸してくれ」
実際は限界などではないだろう。そしてどうせまた要らないゴミや使いづらくなった失敗作を押し付けてくるのが目に見えている。
「……分かった。詳しい話を聞かせてくれ。話が違ったら攻撃していい、と言っておくからしょうもない騙し討ちはやめたほうがいいぜ」
だがそれで良かった。先生にとってはもう要らないゴミでも死柄木にとっては違う。本当に価値を感じているのは捨て駒の方だ。なんなら要らない脳無全部よこせ、と言いたいぐらいだが、それを言うと足元を見られる可能性があるため価値の誤認・相違に突っ込んだりはしなかった。「最新型を追加された」から納得したのではない。「捨て駒の価値を誤認させることに成功した」から引き下がったのだ。
「そんな事する意味はないだろう? 僕は隠し事はするが嘘はつかないぜ」
普通に嘘である。まぁ今回はデメリットしかないので嘘はないが、メリットが上回れば普通に虚偽をぶち込んでくるだろう。誤解させるような言い回しで、迂遠に騙すのが梅干しおじさんの得意技だ。
「……どうだかな。言ってないことをするのは嘘じゃないとか言い出さないだろうな?」
死柄木弔も当然それは知っている。この幼稚なジジイに今までもさんざん愚弄されてきているのだ。思い出すだけでイライラしてくる。
「採血と検査以外何もしないさ。弔が警戒しているのは彼女の〝個性〟が僕に奪われないかということだろう? この検査はそもそも〝個性〟の複製のためのものだから、その心配はないよ」
死柄木の反応次第で「君の駒の〝個性〟一旦奪わせて」と言う気だったくせに梅干しおじさんはさも最初からそのつもりだったかのように誤魔化した。このおじさんはいつだって誤魔化しながら生きている。本当は誰にも負けたくないのに負けても予定通りだから悔しくないと振る舞っている。本当はムカついているのにさも余裕ぶってニヤニヤしている。
「複製ね……やっぱり〝個性〟目当てじゃないか」
「そりゃあね。今後はともかく今は僕も動く気はないから人材として借りる機会はしばらくないだろうな」
今やっていることも妥協に妥協を重ねた敗残者の悪あがきだ。いつまでもいつまでもそうやって誤魔化し続ける。動く気がないのではなく動けない。まだまだ戦力は足りないし急所である研究施設は動かせない。そこをなんとしても守らねばならないので、死柄木弔には派手に動いてもらいたいのだがなかなか上手く行かない。時間がない。余裕ぶっこいているうちにどんどんタイムリミットが近づいているのだ。
「……と、こんなところかな。くれぐれもよろしく頼むよ?」
おじさんは死柄木との交渉を
「やぁドクター、忙しい所すまないね」
申し訳ないという気持ちなど一切無く遅えよさっさと来いとしか思っていないが表には出さない。
「いやいや、待たせたのぉ。ちと理事会があってな、切り上げに難儀したわい」
研究を継続するには表の顔も重要なので結局のところこれも梅干しおじさんのためになる行動なのだが、おじさんはそれを理解はしていても考慮などしないのだ。
「それで例の個体の進捗はどうかな」
自分が散々渋って延期させたくせにどの面下げて言っているのだろう? まぁ物理的に顔が無いし厚顔無恥なのはそのせいなのかもしれない。
「対策用脳無は完成したぞい。使うか?」
「ああ。弔に渡して使わせることにしたよ」
「むん? 死柄木は今はなんだか地道な活動がメインじゃからこっちがかき回さんといかんという話ではなかったか?」
当初の計画に戻ってきたとも言える。最初期は死柄木に渡してぶつけるつもりだったが、思想団体の運営にハマってしまって動きが鈍ったので黒霧を借りて脳無を数体送ろう、という話になっていたのが先程までだ。
「そうだね。だから調整に失敗したってことにして『暴走』させるよ。新斗黎乃を見つけたら問答無用で攻撃させる。たまに弔に接触しているみたいだから隙をつけるかもしれない」
「博打じゃのう。ワシらの能力も疑われるしあまり良くない手じゃと思うが? そろそろアレを『マスターピース』にする準備が必要じゃろ。その時にワシらに『失敗の前科』があると交渉が難航するかもしれんぞ。それとも乗り換えは諦めてくれたのかのぅ?」
ヒゲマッドは今でもこの計画には消極的なのだ。ベストなのは『オーバーホール』の複製を使えるようになり元の肉体を再生、強化することだったが、何度やっても『可逆性を失った劣化コピー』しか出来なかった。とはいえそもそも『オーバーホール』は修練が必要なタイプなのでサブプランでしか無かったが。
「いいや、そうじゃない。『マスターピース』を『次の僕』にするのは決定事項さ。でも例の計画をちょっと拡張してくれ。わざと欠陥を作って暴れさせる予定だったやつだ」
「
「そりゃあ決まっているだろう。要望通り、もっと強くしてあげるのさ」
独自設定とか
・八相縁起:匂わせたけど匂ってもらえなかった。
・八木俊典:八木は合わせると米。俊は抜きん出て優れていること。典は規則や基準。米国で頭角を現し新たな基準となる。名は体を表す。
・ペコマイト:おいっす~☆
・犠牲無き献身こそが真の奉仕:ナイチンゲールの言葉。
・
・殺人者:オールマイトが殺したのはAFOだけだと思われる。
・メスガキラ●●●ル:ランドセルかな?
・スキャンダル対策授業:インタビューの練習とかしてたし多分やると思う。
・●●活:推し活かな?
・ロリコンマイト:ロリコンだから結婚しないんやな、的な説であってロリに手を出してると思われているわけではない。
・知らなイト:クラス全員が察して(勘違い)黙ってることにはまだ気付いていない。
・新斗ちゃん係:押し付けられたのではなくほとんど自認している。
・イグナイター:皆知ってたでしょ?
・共犯にならねえの?:犯罪者に能動的に協力するとなる。活動自体が完全クリーンであれば世間のイメージはともかく違法性はない。ないが……。
・●●●●:
・脳無の性能:新型ほど性能が高いとします。安定性なども含む。黒霧は不安定。
・“個性”の複製:採血となんか検査して数ヶ月でできるみたいなぼんやりしたイメージ。
・オーバーホール:奪ってない理由が分からないのでオバホ並に使うのは超絶修練が必要ということにします。どっかで理由でてたっけ?
・『崩壊』:なんかさも意図的に作りましたみたいな言い方だったけどそれだとじゃあ修復のだけ作れよってなるので普通に作れなかったのを強がっているとします。
思うに……エネルギーなんじゃないか……と思うんだ。己が強く望む未来……。疑念の入る余地のない……強いヴィジョン。望む……エネルギー。そのエネルギーがぱんつに収束され放たれた結果……なんじゃないか……。まだ登場すらしていないナイトアイの死を愚弄しつつぱんつアンケヤンケ。ぱんつの柄をアンケで決めるなんてジャンプシステムっぽくないですか?
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大人の黒に決まってるだろ!
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清純の白以外ありえねえ!
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黒白の縞ぱんだろうがボケ!
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ジャンプ作品のぱんつはいちご柄だろ?
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オールマイトのバックプリントや!
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スケスケの黒レースやろがい!
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シルク!フリル!白!
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フリルフリフリの黒ぱんつにしろ!
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かぼパン履いとけ!
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意外!赤白のクリスマスカラーぱんつ!