ボクのヒーローアカデミア くらっしゅ!!   作:ぺぺぺぺぺぺぺ

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原作の名台詞を積極的に愚弄していくスタイル


『愛とは互いに見つめ合うことではなく、ふたりが同じ方向を見つめることである』

「定刻となりましたので、ただいまよりオールマイト今後の活動に関する記者会見を執り行います。報道各社の皆様、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。……それでは、オールマイトの入場です」

 

 一斉に焚かれるフラッシュ。激しい嵐のようなシャッター音が響き渡るなか、オールマイトが会見会場に入ってきた。いつもの「私が来た!」という豪快な声も、大仰なポーズもない。ただ粛々と歩いて席につくその姿に、マスメディアはこれはただ事ではないと察知し、会場の空気が目に見えて強張った。今回の会見は、「オールマイトの今後の活動に関する記者会見のお知らせ」という、あまりにも簡素なプレスリリースによって集められたものだった。

 

「それではオールマイト本人より、皆様へご報告がございます」

 

 オールマイト事務所の広報官がよく通る声で促すと、オールマイトはマイクに向かってゆっくりと話しだした。

 

「本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。本日、私オールマイトは、引退を前提に活動を縮小することを皆様にご報告いたします」

 

 水を打ったように静まり返る会場。数秒の空白のあと、弾かれたようにざわめきだす。まさか、と思うもの。やっぱりか、と思うもの。様々な思いがあれど、最終的にたどり着いた思考は一つ。そんなのは、嫌だ。嘘だと言ってくれ。平和の象徴を失いたくないという、悲痛なざわめきが会場を埋め尽くした。

 

「いきなりの発表となってしまったこと、深くお詫び申し上げます。社会に与える混乱を思えば言い訳のしようもございませんが、この決断に至った経緯を説明させてください」

 

 オールマイトは語った。自身の〝個性〟がエネルギーを蓄える性質のものであること。その蓄積効率が年々落ち、肉体の衰えを感じていたこと。そして、先日の神野での酷使によりついに限界を迎え、現在は一日のうち僅かな時間しか力を振るえないこと。

 

「これらの事実により、これまで通りの活動を続けていくのは難しいと判断いたしました。しかし、限界を隠して活動することは皆様の信頼を裏切るものであると考え、こうして真実の開示と活動縮小および引退を決意いたしました」

 

 その落ち着いた語り口に、記者たちも冷静さを取り戻していく。バシャバシャと再びフラッシュが焚かれ、にわかに会場が騒がしくなる。オールマイトはそれが収まるのを待って、再び話し始めた。

 

「今後は万が一の備えとして力を蓄えつつ、雄英高校の教師として後進の育成に邁進いたします。どうかご理解の程、よろしくお願いいたします」

 

 立ち上がり、深々と頭を下げるオールマイト。またしても会場がカメラの音で騒がしくなる。それが収まるのを待って、広報官が再び話し始めた。

 

「それでは、これより質疑応答に移らせていただきます。ご質問のある方は挙手をお願いいたします」

 

 次々と手が上がる。どのメディアも聞きたいことだらけだ。ついに明かされたオールマイトの〝個性〟についてはぶっちゃけネットで散々考察されていたうちの一つにドンピシャなものがあった。その考察でも「加齢により何らかの弱体化が発生しているのでは」という予想はされていた。活動時間が段々減ってきていたからだ。なので大した驚きもなく質問は大体が今後の話であった。

 

「NHAです。オールマイトは平和の象徴として犯罪の抑止力となっておりました。今回の発表によりその抑止力はなくなり、犯罪組織などが活性化することは火を見るより明らかかと思います。オールマイト自身はそのことについてどうお考えでしょうか」

 

「いずれ来ることは避けられない問題だったと認識しております。ただ、今この瞬間もエンデヴァーを筆頭とした素晴らしいヒーローたちが平和を支えております。どうか彼らのことを信じていただきたい」

 

 インタビュアーは不安でいっぱい、という表情でお礼を言って席についた。回答したのがオールマイトでなければ泣きわめき出したかも知れない、そんな様相だ。

 

「毎朝新聞です。先程「一日のうち僅かな時間しか力を振るえない」とおっしゃっておりましたが、具体的にはどの程度の時間なのでしょうか。また、その僅かな時間で、再び神野のような大きな事件が起きた際の対応は可能なのでしょうか」

 

「具体的な数字は防犯上、戦略上の理由によりお答えできません。しかしながら皆さまを守れるよう全力を尽くしますし、今までの活動から鑑みた最低限の力は残っております。むしろそういった有事に対応するための活動縮小および引退であるとお考えいただきたく思います」

 

「現状の活動の規模感ですと蓄える時間が足りない、ということでしょうか」

 

「概ねそのように認識してくださって構いません。引退後も免許の返納等はせず、蓄えることに集中することで大規模な事件の際への対応力を培わせていただこうと考えております」

 

 少しだけ安堵の気配が広がる。そういうことであれば一般的な生活に直ちに影響が出るということはないだろう。オールマイトしか解決できないような事件にはオールマイトが出てきてくれるという安心感はまだ残るというわけだ。

 

「JHNです。今後は後進を育てるとのことですが、雄英高校にて次代の平和の象徴の育成をされているということでしょうか。貴方の後継者はすでにいらっしゃるのですか?」

 

 そうなると記者たちの興味はオールマイトの今後の活動に向かう。ただそれだけではなく、なにか明るい話題が欲しいという気持ちもあっただろう。

 

「雄英での私の教え子たちのみならず、今もヒーローを目指して頑張っている子どもたちもいずれ未来を担う素晴らしいヒーローとなることでしょう。その子たち全てがこれからの平和の象徴で、私の後継者です」

 

 その力強い言葉に勇気付けられたのか、ようやくがやがやとマスメディアらしい興味本位の質問が始まった。

 

「数年前に袂を分かったとされている元サイドキックのサー・ナイトアイ氏との関係修復はお考えですか?」

 

「こちらの回答により彼の活動に支障が出ないよう回答は控えさせていただきます」

 

「今後はプライベートも明かしていくのでしょうか!」

 

「今まで通り事務所との協議の上で公開できる部分については公開いたします」

 

「パイレーツクイーンとの関係についてお聞かせください!」

 

「皆に元気を与える素晴らしいヒーローとして敬意を持っております」

 

「アダルトキングの自宅マンションへ一緒に入っていったとの噂がありますが事実ですか!」

 

「事実無根です。また、彼が国宝を破損したという噂については回答を控えさせていただきます」

 

 もう本当にしょうもない質問ばかりだった。ナイトアイに関する質問はともかく、今後の活動についての会見だって言ってんのにゴシップみたいな質問まで飛び出し始めた。

 

「フリージャーナリストの特田種男です。今話題の『オールマイトちゃん』について一言お願いします」

 

「……彼女は非常に繊細でまだ若く、歩むべき道を模索している最中(さなか)にございます。どうかメディアの皆様におかれましては、彼女が健やかに、正しきヒーローへの道を歩めるよう、静かに温かく見守っていただけますよう伏してお願い申し上げます」

 

 オールマイトの声は今日一真剣だった。今までの声も(クソくだらない質問に対しても)真面目で真剣だったが、これはさらに切実さまであったので大体の記者が「やっぱりあの娘が後継者か~。明言するわけにはいかないんだろうな」と気を利かせてそれ以上の突っ込んだ質問はしなかった。今オールマイトに質問しないだけで記事にはドチャクソ書かれたし特番も放送された。可哀想なオールマイト……ひとえにてめェが引退するせいだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、先に来てたんだ。ていうかもう寮生活始めてる?」

 

「響香ちゃーん! ちょっと期間が開いちゃったねっ! ひさしぶりーっ!!」

 

 夏休みも終盤となり、もうそろそろ仮免取得試験がある。そろそろっていうかもうあと10日もない。6階建て地下2階、セキュリティも万全の『ハイツアライアンス』。先日完成したばかりのその玄関の扉を響香が開けると、メスガキが仁王立ちして待っていた。

 

「えぇ? 3日くらいじゃなかったっけ。まぁおひさ。また変なあだ名ついちゃってるね」

 

「ふふっ……ネットでボクをおもちゃにしてる奴ら許さねえからなぁ? 誰がオールマイトちゃんだっ!」

 

 メスガキは憤慨! という感じの表情でゴスロリファッションのスカートをバッサバッサしながら地団駄を踏んだ。峰田が居なくてよかったな。

 

「まぁまぁ。面白がってる人も多いだろうけど、要は愛されてるってことでしょ? リノの反応がかわいいからじゃん」

 

「やっぱり~~? も~~! しょうがないな~!」

 

 メスガキは一瞬で機嫌を直した。まぁメスガキが本気で地団駄を踏んだら地下室が崩落するのであくまで怒ってますアピールであって実際にぶち切れているわけではない。ちなみのこの『直す』は九州地方の方言とは関係ない。

 

「あ、リノちゃん! 耳郎ちゃん! 二人も寮にしたんやね!」

 

 二人でそのまま立ち話をしていると、新たなる入居者がやってきた。ごっちゃごちゃたっぷりと荷物を持った麗日だ。ふわふわと浮いているクソデカいカバンや段ボールが全身にまとわりついている。

 

「お茶子ちゃんも寮なんだねっ! ……なーんて、ボクは誰が来るかもう知ってるんだけど! 新しく来る人達を案内するようにって相澤先生に頼まれちゃってぇ~♡」

 

 何が嬉しいのかメスガキは上機嫌だ。普通はこういう面倒な仕事を頼まれた高校生はもっとだるそうにするものだが、メスガキにとっては楽しいイベントらしい。

 

「そうなんだ。結局誰が来るの? ……誰が来ないの、のほうが言いやすい?」

 

「それは」

 

「それは?」

 

 ショート動画みてぇな溜めを作るメスガキ。かっちゃんとかが居たら「うぜぇ」と言ってくれただろうがここには人間が出来ている響香とお茶子しかいなかったのでツッコミはなかった。それどころか麗日は「ごくり……」とか合いの手を入れて盛り上げる始末だった。

 

「全員ですっ! 20名全員が寮ぐらしだよぉ~! にへへ~♡」

 

 くねくねしながら喜びを表現するメスガキ。なんかそういう怪異みたいに見えてきたので響香ちゃんはギュッと抱きしめて不思議な踊りをやめさせた。

 

「まぁすっごい豪華だもんね。ホテルかよってくらい。家遠いなら通いよりずっと楽になるし」

 

 そのままソファにメスガキを座らせるとクールなポーズで肘掛けによりかかる響香。麗日はほえ~っとした感じの顔でそれを感心しながら見つめた。「完全にオカンや」というノンデリ発言は頑張って飲み込んだ。

 

「私は近所のアパートから移るだけやったから嬉しさしかない! 小高い丘の上で日当たり良し、施設も充実! しかも安いっ! 定額で水も電気もガスも使い放題~っ!」

 

 定額というか共有スペースなのでざっくりとした計算でまとめて取られている。利益など出す必要がないので完全に実費のみとなっており格安だ。

 

「テンションたっか。まぁそもそも親元から離れてたなら寂しさとか無くてただ施設のグレードアップだからそうもなるか」

 

 可愛らしくはしゃぐお茶子を微笑ましく見守る響香。「緑谷とも疑似同居できるしね」というノンデリ発言は頑張って飲み込んだ。メスガキがまた張り切って「唯ちゃん呼んでくる」とか言ったら困るので。

 

「ボクは寂しいな~! お父さんとお母さんの大事な大事なおうちから離れるの不安だよ~っ!」

 

「よしよし。ま、お休みの日には帰ればいいじゃん。結構簡単に帰宅出来るんだし、リノが良ければウチも外泊の許可取って一緒に行くから。なんならウチも結構実家帰る予定だし、こっちの家に来てもいいね」

 

「ほんとぉ? ボクは嬉しいけど家族水入らずのお邪魔じゃない?」

 

 ソワソワしながら不安そうに上目遣いで響香を見つめるメスガキ。こうかはばつぐんだ! 

 

「リノが邪魔になることなんてないよ。コンパクトサイズだし」

 

 頭をナデナデしながらの憎まれ口。照れ隠しだ。メスガキの媚び媚びな仕草を可愛いと思ってしまったのが悔しかったらしい。

 

「む~っ! 最近膨らんだからってイキってくるじゃんっ! こうしてやる~っ!」

 

 べたぁ~っと響香に抱きつくメスガキ。くっついてすぐは怒った表情を作っていたが程なくしてにやにや顔になった。こうしてやるとは一体何だったのか。響香はメスガキにされるがままになりつつも、反撃(?)にメスガキのほっぺをムニムニしながら麗日に話しかけた。

 

「麗日は荷物それだけ? ウチは明日宅配で届く予定だから今日は時間あるから、荷解き手伝おうか」

 

 ようやくツッコミが入った。ぷかぷか浮いているそれはあきらかに「それだけ」ではなかったが。

 

「あー荷物はちょいちょい手作業で運ぼうかと……」

 

 麗日、卑劣な脱法〝個性〟使用!! カバンに荷物を詰め込みまくって両手を一杯にすることで「あっ、つい触れちゃったけど『無重力』解除できません♡」と言い張るライフハック! まぁ実際このくらいであればとやかくは言われない。なんならアパートの部屋の中で無重力にして雄英で解除すれば合法っていうか、むしろ公共の場所で『解除』するほうが問題がある。……これはメスガキが〝個性〟で作った服を着ているロジックと同一である。つまり麗日はメスガキから良くない学びを得てしまったのだ! これを個人使用の範囲外、つまり商売とかにしだすと途端に厳しくなるのだが。

 

「えー? そうなんだぁ。じゃあボクが運んであげよっか! ちょっと待っててねぇ」

 

 犬の散歩みてぇにカバンと段ボールをくっつけたまま麗日はここまで歩いてきたのであろうか。女を捨てすぎである。そのようなことには一切触れずにスマホを取り出し何やらどこかに電話するメスガキ。

 

「あ、ホークスぅ? 今大丈夫~? うん、今日は戦闘許可じゃなくてお引越しの荷物運びに〝個性〟を使いたくってぇ~、そうそう、相変わらず耳が早いねっ! 申請書類は後で書くからぁ~、……うん、今からだよーっ! ……ほんとぉ? ありがとう~っ! それじゃあまた明日ねっ!」

 

「えぇ……ぷ、プロのNo3をいいように使っとる……」

 

「来期のランキングじゃNo1になるかもって噂もあるくらいなのにね……これリノじゃなくてホークスのほうが問題な気がするんだけど」

 

「いーのいーの! ホークスはいっつもボクに無茶振りしてくるんだからこっちも我儘言ってあげないと向こうも気軽に頼めなくなっちゃうでしょう?」

 

「そういうもんなん?」

 

 ホーリーナイト、雄英襲撃犯に接触されたんだって? 丁度いいから潜入捜査してきてよ(笑)などという無茶振りは世間に知られていないので一般的にはメスガキがホークスをドチャクソこき使ってるようにしか見えない。あとホークスが気軽に許可をくれるのはそもそも責任は公安が持つからすぐに許可を出すように、というお達しが来ているからだ。緊急時のために与えられた特権を悪用するメスガキ……。

 

「そうだよーっ! オールマイトみたいな結果を与えるだけの遺物は時代遅れなんだよ! スパッと引退せずにまだ象徴論にすがりついちゃってさぁ、記者会見も見るに耐えない醜悪なコントだったねっ!」

 

「前から思っとったんやけど……リノちゃんてオールマイト嫌いなん?」

 

「急にぶっこんでくるじゃん」

 

 麗日は当然オールマイトが大好きである。もちろんだからといってオールマイトアンチとレスバしたりはしないが、先日の引退会見からまだ日も浅いのでついつい気になって聞いてしまったようだった。

 

「あったりまえだよーっ! あんな他人を堕落させる毒みたいなおじさん早くヒーローやめてセカンドライフを始めるべきっ!」

 

 引退会見が日本中、世界中に与えた衝撃は大きかった。謎だった〝個性〟はついに明らかになり、しかしその限界も露呈した。ファンたちの嘆きぶりも悲惨なもので未だ阿鼻叫喚、悲しみの表明が後を絶たない。ポジティブな話題といえば『後継者』のことくらいだった。オールマイトの言葉を文字通り受け取ったものなど居ない。『子どもたちは皆未来の象徴だ』という言葉は流され、その『強さ』から一心に期待を受けているのはただ一人。次期No1と目されるエンデヴァー……ではなく、神野の戦いに学生でありながら特例で参加を許された特別中の特別。スペシャルでジャストワンな、高校1年生の女の子。『オールマイトちゃん』だ。

 

「……でもそのぉ、内容は「オールマイトを労ろう」ってことやんね? 好きなんとちゃうの?」

 

「ちっがーう!! ボクはねぇ! オールマイトみたいなねぇ! 自己犠牲を良いことだと思わせるような、そう思ってるような勘違い人間を見てるとむかむかざわざわするんだよっ! 必要ないんだ、そんなものっ! 持て囃すのもどうかしてる! 人間はねぇ、身の丈にあった生き方をすべきなんだよ? 精一杯頑張って生きることに集中しないと、すぐ死んじゃうんだよ? 余裕のある人がそれを分け与えるのは尊いけど身を削って与えるのは良くない! それを『他人のために頑張ってる』だなんて美化するの本当に邪悪だと思う! 都合良く利用して搾取するための欺瞞でしょっ!」

 

 早口で怒涛のごとく喋りまくるメスガキ。まってくれたまえことばの洪水をワッといっきにあびせかけるのは! 麗日は目を白黒させてのけぞった。

 

「な、なんかごめん。デリケートな部分やったんやね……無神経でした。申し訳ないデス……」

 

「そ、そういう反応されると逆に傷つくよぉ……」

 

 麗日は謝罪したあとしょんぼりと落ち込んでしまった。それを見てメスガキも意気消沈しずーんと重苦しい雰囲気となった。なんだこれ。地獄か? 

 

「ああ、よしよし。ほら、もっとくっつきな。ウチは言いたいこと分かるよ。リノなら無傷で出来ることを傷つきながらやってほしくないんだよね」

 

「ふぎゅっ。響香ちゃ~ん……もっとぎゅってしてぇ……」

 

「でもそれだと……いや、なんでもない……」

 

「麗日の言いたいことも分かるよ。でも、ウチがそうさせないからさ」

 

 その言葉には力があった。確かな信念を持った言葉は他者の心に響くものだ。良くも悪くも。

 

「! ……耳郎ちゃんって本当に素敵な人やんな……大人って感じ!」

 

 麗日が飲み込んだ言葉。「オールマイトからリノちゃんに代わるだけなんやないの?」という身も蓋もない、しかし確かに芯を捉えた言葉。それを正確に汲み取り、そうはさせないと宣言した姿に、麗日は感動した。

 

「……でしょお!? いつもボクのことを気にかけてくれて、それでいてちゃんと自分のことも出来ている! オールマイトなんかよりずっとすごいボクのヒーローなんだよっ!」

 

 麗日が元気になったからか、連鎖してメスガキもテンションを取り戻した。はしゃぎながら自身の友人がいかに己を支え励ましてくれているかを語る。麗日は嬉しそうにうんうんと(オールマイトへの罵倒はスルーして)聞き続けたが、響香は耐えられなかった。

 

「……そろそろ麗日のアパートに行こうよ! どのくらいの距離にあるの? 手荷物で引っ越すくらいには近いんだよね?」

 

「あ、せやね! 本当に助かります、ありがとう。歩いて行ける距離やからついてきてもらえるかな?」

 

「はぁ~い! 午後には緑谷くんと爆豪くんも来る予定だからぱぱっと終わらせちゃお~!」

 

 ちなみに同じ静岡組の轟と常闇はすでに入居している。轟も常闇も午前中は女子しか来ないとメスガキに聞いていたので今は居ない。女子の荷解きとか手伝えねえし、荷物運びはメスガキの邪魔になるだけだから最初から居ないほうがいいな、という冷静で的確な判断であって、思春期丸出しの「女子と一緒にいると恥ずかしいし……」みたいなやつではない。常闇はちょっとそういう所あるかも。

 

「ひゃえっ。そ、そーなんや……に、荷物はもともとそんなに無いからリノちゃんが手伝ってくれたらすぐ終わると思う!」

 

「……早く終わらせて二人の事も手伝ってあげよっか」

 

 メスガキから鍵を受け取り各々の部屋に一旦荷物をおいたあと、麗日のアパートに向かって意気揚々と移動し始めた。3人はどういう集まりなんだっけ? 

 

「それじゃあ歩きながら施設の説明もざっとしとこうかな~っ! 案内に書いてなかった部分だと~、地下のトレーニングルームはねぇ、連絡通路で他の棟とつながってるんだよーっ!」

 

 てくてくと麗日のアパートに向かいながらキャイキャイと喋りだすJKたち。麗日の言う通りメスガキがその気になれば作業など秒で終わるので余裕綽々だ。

 

「ほえー。もしかして普通科とかサポート科ともつながっとるん?」

 

「普通科は図書室、サポート科は開発室、経営科は会議室だねっ! このカードキーで入退室や使用時間を管理するんだって~!」

 

 あまり同じ生徒が占領すると問題があるので一応そういう事になっている。一部生徒が入り浸りそうなのでその対策だ。

 

「なんか楽しそう! 他の科の人とも仲良くなれたらええね!」

 

「先輩方とも交流できるよ~っ! ボクは早速サポート科の先輩と仲良くなったんだぁ、えへへ」

 

 元々はセキュリティ的な問題もあり完全別棟になる予定だったのだが、イレ先クラスが交流不足になりがちなのを心配したブラキンが校長と相談してこうなった。その後も風呂が広いだのキッチンが充実しているだのお菓子作るねだのとりとめのない話が続いて、話題は直近の試験のことになった。

 

「新学期始まったら即仮免試験やねぇ。始業式の前なんちょっと面白い!」

 

「ヒーロー資格試験は9月の第1日曜日だからねっ! ヒーロー科以外は夏休みが一日延長されている感じかな?」

 

「仮免取るのも前倒しで試験の日付まで最短ってなんかスケジュールギッチギチだね」

 

 女三人寄ると富士の山でも言い崩す。おしゃべりは留まるところを知らない。まぁメスガキは一人で富士山消し飛ばせるけど。

 

「はふー。夏休みの間に終わらせたかったことがあったんだけどなーっ! 積み残しタスクになっちゃったぁ」

 

「ん? なになに? 手伝ったげるよ、そっちも」

 

「私も! 出来ることがあれば何でも言ってね!」

 

「ん~~~~、もしかしたらなにかお願いする事があるかも? その時はよろしくねっ!」

 

 何をしたかったのかは言うつもりが無いようだった。メスガキがこうやってはぐらかしたら喋らせるのは難しい。それを知っている響香と麗日は、午後からのイベントの方に思いを馳せることにした。男子の荷物ってどんなものがあるんだろーね、爆豪くんは手伝われるの嫌がりそう、緑谷と爆豪が同じタイミングで引っ越してくるのウケる、などと言い合いながら、まだまだクソ暑い徒歩移動をメスガキの〝個性〟を事前に服に浸透させて冷たくしてもらって乗り越えながら楽しく過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午後のハイツアライアンス。メスガキから一通りの説明と手伝いの申し出を受けた爆豪は案の定「余計なお世話じゃ」と手伝いを拒絶し一人で荷解きをするようで、殆ど同時に寮にたどり着いた緑谷を不機嫌そうに睨みつけるとスタスタと歩き去った。

 

「エレベーターはそっちじゃないよ? キミの部屋の位置分かってる~? 鍵もボクが預かってるんだけどな~」

 

 メスガキはそれを許さなかった。来たばかりのかっちゃんはとりあえずうろついて内装を把握しようと思ってたのでエレベーターに向かったわけではないのだがもう遅い。メスガキの言葉で爆豪は敗北者に追いやられた。何度も似たような手口で虚仮にされているのに爆豪は学ばない。いや、学んでも無駄だ。爆豪が他人との行動を避け続けるかぎりメスガキは無限に口撃を繰り出すことが出来るのだから。「素直になれないかっちゃん」というレッテルを剥がすことは不可能である。実際そういう部分もあるので……。

 

「……さっさと鍵よこせや! 部屋はどこだ!? あ!?」

 

 言葉は荒っぽいが実質敗北宣言である。もうさっさと終わらせて部屋でふて寝したい。実家を出て一人暮らし(一人ではない)をするのにワクワクしすぎて昨日はあまり眠れていないのだ。がきんちょ。

 

「4階のエレベーターから降りて二部屋目がキミの部屋だよ~。はいこれ鍵。自室以外の各施設……トレーニングルームとか自販機とか使うときにも必要だから寮内では持ち歩くように~」

 

「チッ! なんでテメェが管理人みたいなことしとんだ。うっぜえ!」

 

「みたいな、じゃないよ? ボクが管理人でぇす。お困りごとは何でも相談するよーにっ! あ、男子特有の悩みはブラキン先生も受け付けてくれるってさっ! 覚えておくといいよっ!」

 

 通常は相澤が受けるのだが、思春期のあれこれは相澤も苦手分野なのでブラキンが立候補してくれたのだ。やさしい。

 

「あとこれは大事なことなんだけど~、共同生活なんだからいつもの「かっちゃん節」は通用しない、させないことをしっかり覚えておくこと! 特に『自己流』は正当な理由がないかぎり一切認めませぇん! 各種施設の張り紙のルールに従ってねっ」

 

「うぜぇ……そんくらいわーっとるわ! 文句あったらテメェかブラドキングに言ってルール自体を変更しろってことだろうが!」

 

 実際爆豪はむしろそういうのにうるさい方である。かっちゃんは自分勝手でもあるが本質はいわゆる『効率厨』なので、共同生活を円滑に進めるためのルールなどはむしろ他人が守らないのを見たら腹を立てるだろう。自分勝手なところが強調されて見えるのは大抵の物事が彼の目から見ると非効率なせいである。

 

「そーゆーこと~! 生活している内に改善案が出たら報告しろってさ~! ……分かるよねぇ? 雄英高校が何を求めているか!」

 

 爆豪はハッとした。そうか、そういうことか。雄英は思考停止せず考え続けることを要求している。おそらく初期ルールも完璧なものではないのだろう。生徒からの改善提案を前提とした草案にすぎないはずだ。

 

「なるほどなァ……いいぜ。雄英高校が俺の生活力を試そうってんなら……その思惑を爆破してやるッ!」

 

 そげぶみたいな事を言いながら意気揚々と奥にある階段に向かう爆豪勝己。その足取りに迷いはない。

 

「そっち女子棟~。奥は階段以外にも男女別でお風呂と洗濯室があるって言ったでしょ~? 当然壁で仕切ってあるよ~。繋がってるのは1Fの玄関側だけだから気をつけてねっ!」

 

 かっちゃんは主人公ではないのでラッキースケベはない。ただ恥をかくだけだ。かわいそう。

 

「クッ……フッ……!」

 

「……ッ! ……ッ!」

 

「うぷぷ……」

 

 皆頑張って笑いをこらえている。人の失敗を笑ってはいけない。基本中の基本だ。だが、面白すぎた。自信満々に女子棟に向かうところまでなら耐えられた。だが爆豪はなんとそのまま進み中庭の窓をじっと見つめたあと戻ってきた。景色を見ているアピールなのか、あるいは中庭に出るドアが奥側にもあると思ったのかもしれない。玄関側からしか出れないんよ……。

 

「…………」

 

 意図的にメスガキたちを視界に入れずに中庭を見てますよ、みたいな態度でゆっくり歩くかっちゃん。クソナードはもう限界だ。バチバチと緑色の光が彼を包んでいる。腹筋に力を入れて笑わないようにしているのだ。響香はプルプルしながらメスガキを抱きしめ、麗日はうずくまって必死に堪えている。そのまま中庭をグルっと回った爆豪は階段をスタスタと登っていった。

 

「あっはははは! 笑っちゃダメだって思えば思うほどヤバい!!」

 

「ヒィーッ! か、かっちゃんがあんな誤魔化し方するの初めて見た!! も、もうだめ!! フフ、アハハハ!」

 

「爆豪くん誤魔化し方下手すぎやろ!! ね、狙っとるとしか思えんっ! 天才や!!」

 

「どうして素直に質問できないんだろう? 旧人類って本当に愚かだねっ!」

 

 かっちゃんが居なくなった途端に笑い出す一同。メスガキは爆笑と言うより微笑ましそうにくすくすと笑っている。楽しい雰囲気で和気あいあいとしていると、階段から轟が降りてきた。緑谷と爆豪の荷物運びを手伝うつもりでやってきたのだ。エレベーターを轟の部屋がある5Fまで呼ぶと邪魔になるかもと思って自分の足で降りて来るという気遣いだったが、爆豪にとっては最悪の選択だったろう。

 

「なぁ、降りてくる途中に爆豪とすれ違ったんだが……あいつ顔真っ赤だったぞ。なんかあったのか?」

 

 泣きっ面に蜂だ。まぁ人の話ちゃんと聞かないのが悪いんだけど。1Fは男女共用だと最初に聞いていたのだから普通に考えたら上階は共用ではない。つまり仮に壁がなかったとしても2つある階段のどちらに登るかで迷い結局メスガキに聞きに戻る事になっただろう。まぁそれか誰かが使用するのをボケっと突っ立って待っていれば分かったわけだが、効率厨のかっちゃんはそれが出来なかった。ちょっと待てば轟くんが降りてきたんだけどね。そしてそれに思い至ったかっちゃんは顔を真っ赤にしてしまいました。りんごかな? 挨拶もそこそこに不思議そうに質問してくる轟くんのすっとぼけた調子に笑い声は更に深まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギガントマキア?」

 

「はい。あの方……『オール・フォー・ワン』がもし捕まるようなことがあれば頼れと」

 

 バカどもがいないバーでダラッとしながらバカの大将とその子守がとりとめもなく会話をしている。話題はまだ残っているAFOの戦力についてだ。

 

「ふーん。どんなやつなんだ? お前が今話題に出すってことはこっちにつきそうなのか?」

 

「あの方の忠実な下僕ですね。巨躯と怪力、犬のような嗅覚と土竜のように地面を突き進む〝個性〟を持っています」

 

「……お前は本当に馬鹿だな。なんでそんなやつを頼れると思った? 騙して何処かにぶつけるならともかく、仲間には出来ないだろ」

 

「えっ。あ、そうですね。ギガントマキアはあの方の忠実なる下僕……つまり我々の敵でした」

 

 まぁしばらく『AFOを助け出そうぜ』的に嘘八百を並べ立てて『いいように使う』事は出来なくもないだろう。だがそれは死柄木弔のやりたいことではない。むしろやりたくない部類に入る。それをやっていいのは『そういうことをするやつ』に対してだけだ。

 

「まぁ邪魔は邪魔だな。ホーリーナイトに存在を教えておくか」

 

「彼女はそうやって利用されると怒りませんかね?」

 

「利用ってお前な……『対オール・フォー・ワン』がまだ終わってなかったってことだろうが。むしろ「なんで黙ってたんだ」って怒られるんじゃないか。複数〝個性〟持ちっぽいしそいつも『脳無』なんだろ」

 

 メスガキにとって『AFO』は捕まえれば終わるような相手ではない。というよりホーリーナイトが『敵』と定めてぶちのめしたがっていたのは『オール・フォー・ワン』ではない。その裏にいる『脳無』の制作者たる存在だ。死柄木弔はそれが誰か知っている。『ドクター』だ。

 

「ああ、なるほど。言われてみればそうかもしれませんね」

 

 その居場所は黒霧が知っている。だから命じた。『ドクター』のいる場所に『ワープゲート』を開け、と。だが黒霧は従わなかった。というよりスイッチが切れたかのように無言で停止した。何度やってもそうなったので、元から秘匿のためになにか仕込んであったのだろう。

 

「つーかAFOはなんであの時お前にそいつを呼ぶように命じなかったんだ?」

 

「『ギガントマキア』は存在を秘匿するため、こまめに移動しておりまして。保管場所が決まっている『脳無』と違って即座に呼び寄せられるわけではないんですよ」

 

 黒霧はちょっと見栄を張った。まずギガントマキアはクソでかいので『ワープゲート』で移動させるのが結構しんどい。デフォルトのサイズでも3メートルほどあるので『ワープゲート』そのものを大きく作る必要があり、これが結構大変なのだ。さらには興奮すると巨大化するのでAFOがピンチです! という感じで呼ぶのはかなり厳しい。そして泥ワープさせるには距離が足りない。AFOは最初から呼ぶつもりはなかったが、呼ぼうと思っても難しかっただろう。

 

「……忠実な下僕って言う割には離れ離れなんだな」

 

「ええ。私が仕え始めて数年してオールマイトへの敗北を予見したあの方により存在を秘匿されました。ついでに私も活動を制限されました」

 

 オールマイトから逃げるために黒霧の存在は隠された。その甲斐あってオールマイトに存在はバレなかったが、逃走は失敗した。頭を砕かれて死柄木全は死んだ。『ドクター』が居なければそのまま荼毘に付しただろう。

 

「ああ、そういえば拾われてしばらくは一人で過ごす時間も多かったっけ。あの社会のごみの『おかげ』でお前が俺の面倒を見る時間が増えたわけだ。……そろそろお前の話も聞いとくか。元の身体の記憶はどの程度あるんだ?」

 

「…………」

 

「黒霧?」

 

「はい? なんでしょう」

 

「いや、だから、元の体の記憶だよ。お前も『脳無』なんだろ? なんかたまにバグってたがあれがお前の『中の人』の記憶だよな?」

 

「…………」

 

「……またか。これも正面から聞くと停止するのかよ。迂遠に刺激すればいいのか? ……おい、黒霧」

 

 今までの傾向的に、何気ない会話から少しずつシフトすれば上手く『中の人』の話題に持っていけるはずだ。じわじわ話題をずらすとちょっとエッチな話もしてくれるようになるチャットAIみたい。

 

「はい、なんでしょうか、死柄木弔」

 

 強制停止の方はバグではなく仕様なので『黒霧』に話しかけると即座に通常の反応が帰ってくる。ホーリーナイトと一緒に色々と試して確かめたことだ。

 

「……お前は守るものだ。そうだよな?」

 

「ええ。私は死柄木弔を守るものです」

 

 バグるとよく言っているワードだ。中の人のこだわり要素なんだろうな、と予想した死柄木弔はここから攻めてみることにした。

 

「お前の守りたいものについて深堀りしていこうぜ。俺以外にもあるよな?」

 

「もちろん。まずは仲間ですね。貴方の、そしてオレの。他には夢と、未来です。子どもたちの未来を……守らないと……泣いている子どもの涙を……止めてあげないトいけなインだ」

 

 上手くいったようだ。敬語が抜けて、一人称が俺になるのは『中の人』が出てきたサインである。何度か繰り返す内に少しずつ安定性が増してきている……気がする。

 

「そうか。……もしかしておまえにとっての俺は泣いている子供なのか?」

 

「怒らないでくださいよ? でもそうじゃないですカ。救けてホシいってナイてるだロ……だから……」

 

「まぁ……そうなのかもな。ホーリーナイトにも散々言われたし……久しぶりに『普通の人々』に会いに行くか。イグナイターとも話したいし、仲間候補がいるかもしれないからな」

 

 今日のところはこのくらいでいいだろう。一気に進めようとするとバグって会話が成り立たなくなる。……〝個性〟には持ち主の記憶が宿るとあの男が言っていた。『黒霧』が『脳無』をコントロールするための人格であるならば、自我は薄い、あるいは存在しないと思われる。だから死柄木弔が感じていた『人間味』は中の人の〝個性〟に宿っている誰かの記憶のはずだ。俺の仲間は『黒霧』と『そいつ』が合わさった『こいつ』だ。

 

「私は昨日会ってきましたけどネ。なんだか愚痴ってましたよ。近隣の似たような互助会と合併したせいか派閥みたいなものが生まれて困っていルと」

 

「何? それは初めて聞いたぞ。どういうことだ」

 

 死柄木弔は『普通の人々』のボスのように扱われているが、実務的にはイグナイター個人の相談役にすぎない。定期的に井口くんから近況報告や愚痴は送られてきているのだが、その中にそのような話は無かった。

 

「なんでも「インゲニウムちゃん派」と「オールマイトちゃん派」で揉めているらしいゼ。ハハハ」

 

 無いのも当然のくだらない話だった。まぁ当人たちも本気で争っているわけではないだろう。きのこたけのこ戦争のようなものだ。そういうロールプレイというか、ごっこ遊びだ。たまにマジになってるやつが居るけど。

 

「しょうもな……そんなもん好きに呼べばいいだろ……いや、違うな。普段は好きにしたらいいが公の場では『ホーリーナイト』と呼ぶよう徹底しろ……じゃなかった、イグナイターに『アドバイス』してやらないとな」

 

 命令をしたいところだが、そうしてしまえば『普通の人々』がテロリスト予備軍になってしまう。まぁ警察とかにはいつそうなるか分からんと思われてガチガチにマークされているが、だからこそ警察がいつ来てもあらゆる場所に立ち入らせるべきだと『アドバイス』してある。葉隠ちゃんもびっくりの透明性でもって正当性を維持しているのだ。

 

「そうですネ。やっぱり本人が呼ばれたがってる名前で呼んであげるのが良いだロうナ」

 

「おまえもそのうち『黒霧』じゃない名前が要るかもな。ちょっと有名になりすぎたし。なんか希望はあるか?」

 

 それは何気ない質問だった。だからこそ、フィルターをすり抜けた。

 

「……オレのナマエ……シ……シッシラララクククモモモモモモモモッオォオ」

 

「黒霧」

 

「ハイ」

 

「寝ろ」

 

「ハイ。おやすみなサイ、死柄木弔」

 

 よたよたとアジトに併設された黒霧の私室へと向かう黒霧。その背中を死柄木弔は悲しみと哀れみ、そして憎しみで見送った。

 

「シラクモ……白雲か? ああ、クソ……きっとあいつの『中の人』の名前なんだろうな。白を黒に、雲を霧に……『脳無』の技術で染め上げたってか……俺の仲間をよくも……よくも好き勝手してくれやがったな……『ドクター』……!」

 

 ぐつぐつと腹の底で煮えたぎる怒り。故人の尊厳を穢し、死を冒涜するクズ。ぶち壊してやる、絶対に。俺が、()()()が壊したい、壊すべきモノ。

 

 

次は、お前だ。

 

 




独自設定とか

・個性バラし:実質OFA無くした跡に新しく手に入れた〝個性〟みたいなもんなので。
・真実をお話しいたします:メスガキにも以前怒られたので……。
・毎朝新聞:原作に出てくる新聞。
・免許の返納:まぁあるんじゃないかなそういう制度。誰も使わなさそう。
・パイレーツクイーン:すまっしゅ!!の記者会見の授業で出てきたヒーロー名(多分)。授業用の架空のものだと思われるが実在することにした。30歳。
・アダルトキング:上と同じくすまっしゅネタ。峰田が好きな系なのかイケメンヒーローなのかは決めてない。
・国宝破損:すまっしゅネタ。
・特田種男:アニオリキャラ。オールマイト強火ファン。
・オールマイトちゃん:次はこの子かぁ~。
・反応が可愛いから:インタビューで憤慨するところが可愛いと話題になった。
・メスガキ寮長:ここ『も』君の家だよ。というロジックで説得したのでこうなった。
・脱法麗日:こんなもんいちいち取り締まってたら社会が回らねえ……。
・何でも言うことを聞いてくれるホークス:書類も書いといてくれる。
・ポイズンマイト:社会がクソすぎたので劇薬が必要だった。
・ジャストワン:すまっしゅのエイプリルフールでオールマイトが名乗っていた。ネットでクソ叩かれて謝罪会見する羽目になった。
・スルースキル:A組でやっていくための必須スキル。
・連絡通路:雄英の守り人。
・試験が日曜日:仮免試験が9月なのは確定。始業式よりも前にあるのも確定。両方満たすのは9月1日が日曜日で試験がその日であるということになると思います。
・引っ越っちゃん:ウッキウキで来たらいきなりメスガキのお出迎えでテンションダウン。さっさと離れたかったので女子側をうろついてしまうリスクが頭から抜けた。
・自販機:メスガキの希望により変なジュースが多い。
・なんかブラキン優しくね?:原作であたりが強いのはA組に世間の注目が集まっていてB組の自己肯定感が下がりがちだったからではないかと予想してます。
・寮でもプルトラ:別にそんなの求めてない。ただいろんな〝個性〟が居るからそれに合わせる必要があるのでルール変更の要望には柔軟に対応するためこの勘違いは消えません。
・ばかっちゃん:かわいい。
・人の失敗を笑うな:かっちゃんが笑われたのはしょうもない意地のせい。
・ばか霧:かわいい。
・ホーリーナイトに言ってやろ:対ヴィランにおける無敵のカード。
・ドクターの秘匿:黒霧がドクターの元にゲートを開けるのはドクターかAFOが命じたときだけ。
・マキアワープ:クソデカゲート大変そうなので……。
・デカくなる『普通の人々』:こまかい異形の寄り合いいっぱいありそうだなって。
・きのたけ戦争:すぎのこ村は敗北者じゃけえ……。
・きたきたのこのこの山里:なんか出てきた……こわい。
・次は、お前だ:お前が言うんかい。
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