ボクのヒーローアカデミア くらっしゅ!! 作:ぺぺぺぺぺぺぺ
「やー! ごめんね夜遅くに!」
マッチョ男がロリっ娘を寮の裏手に呼び出す。字面だけだとなんだか犯罪の匂いがするがロリっ子は宇宙最強の存在なので危険なのはマッチョの方である。
「お気遣いなく~! それで渡したいものってなんですかぁ?」
「いやー、誕生パーティーをしたって小耳に挟んでね! 遅れたけど……お誕生日おめでとう!」
「……ど~もぉ~……」
メスガキはそこまで嬉しそうではない。しぶしぶだと丸わかりな感じでプレゼントを受け取った。
「あ、念のため言っとくけど俺が用意した俺からのプレゼントなんだよね!」
「…………ボク先輩みたいな人好きっ! ありがとうございます~♡」
一転して嬉しそうな表情で大事そうに贈り物を胸(おっぱいと呼ぶには質量不足)に抱えるメスガキ。実はそれ波動さんからなんだよね! みたいなサプライズを喰らいたくなかったのだろう。
「……はぁ~、別に友達が後輩一人に嫌われてるくらいどうでもよくないですか? ボクが公私混同して将来に差し障るみたいな想像してます?」
まだちょっと半笑いで通形の目的を茶化す。メスガキにとって波動のために頑張っている通形はとっても高評価なのだが、だからといって波動と仲良くするつもりはない。それは誰にとっても失礼な行為だと考えているからだ。ミリオの真摯さに応えるためにメスガキも真摯に対応すると「ノンデリなやつキライ」という剥き出しの本音が出るということである。陰険!
「そんな事ホーリーナイトはしないだろ! するの!?」
「もーやだこのひと~! 分かって言ってるのさいあく~~!! それじゃあ何を問題視してるのかわかんないんですけど~? 友人といち後輩の関係性がよくなかろうと通形先輩には関係ないでしょ~?」
言葉とは裏腹にニヤニヤ笑いである。メスガキの甘え方はこういうものである。幼稚な試し行動だ。通形ミリオは短い接触でメスガキの好感度をRTAみたいに稼いでいる。
「そんなことないさ! 俺がこの件を放置して卒業したら、きっとず──ーっと胸にトゲとして残り続けるだろうね! だからこれは俺が俺のためにやってることなんだよね!」
「本当に~? 嘘って言ってるわけじゃないですよ? 通形先輩ってあのノンデリ先輩とどんな関係なんですかぁ?」
「もちろん友達なんだよね! 入学当初、彼女は今よりずっと酷かった! だからすぐに分かったんだよね! ああ、彼女には友達が居なかったんだって!」
「…………」
ニヤニヤ笑いが引っ込んでむっとした表情になるメスガキ。通形はさらなる追撃を続けた。
「口で改めるように言うのは簡単だけど、どうでもいいやつに言われても響かないだろ? だから俺は友だちになろうとして、それは成功したと思う! その結果劇的に改善したのが今さ!」
通形は波動のことを言っている。だがそれだけではない。『似ている』から放っておけないのだ。
「改善ですかぁ。到底そうは見えませんけど~?」
「だろうね! 俺は経過を知ってるから甘く見てると言われたら反論のしようがないんだよね!」
「……………………」
「……………………」
「通形先輩のその『分かってるんだろ?』って顔キラーイ!!」
むすーっとした顔のままプレゼントの梱包を丁寧に剥がしだすメスガキ。中身はちょっとお高いチョコレートで、それを見たメスガキは目を輝かせた。誰かから好物を聞いていたのだろう。
「ははは! ホーリーナイトは友達にとっても好かれてるよね! 沢山の人が俺に期待して色々話してくれるんだぜ? うまく仲を取り持って仲直りさせることができるように、ってさ! 誰かを嫌って遠ざけるなんて、もったいないだろ? つまり、君の友達が君のために動いてくれてるって事なんだよね!」
「もー……しょうもない段取りいいですから! そろそろそっちの友達一号くんを紹介したらどーですかっ」
ほっぺたを赤くして照れながら寮の壁の方へ目を向けるメスガキ。それを合図にのっそりと黒髪の青年が出てきた。
「気づかれていたんだな……」
「こんばんはぁ、天喰先輩~」
にこっと笑って手をフリフリするメスガキに天喰はあっけにとられた。
「……ああ、こんばんは。……俺の名前……覚えてたんだな……」
ファーストコンタクトで大失敗して「お前の名前覚える価値なし!」とかいう傲慢な認定を食らったにもかかわらず不快感の欠片も見せず挨拶を返す天喰。メスガキと違って人間が出来ている。
「覚える価値があるかどうかと実際に記憶してるかどうかは別問題ですからね~」
「ヴっ……もう少し手心というか……」
胸(おっぱいではない)を押さえてのけぞる天喰。ノミの心臓なのでちょっとした皮肉でも大ダメージである。
「ん……キツかったですか。綺麗好きなので不用品もちゃんと整理整頓してる、って感じでいかがでしょうか」
「シンラツー!! ワードが迂遠になっただけで中身はもっときつくなってるんだよね! 不用品はだめだろ!」
「……す、すみません……」
意図した皮肉ではなかったようでメスガキは素直に謝罪した。言葉がキツイのはそうしようと思っているわけではなく、幼少のみぎりより心無いガキンチョどものしょうもない罵声を浴びながら育ったせいでもある。まぁ意図した皮肉や嫌味やチクチク言葉も相当数あるんだけど。
「……アレ!? もしかして真面目に改めようとしてた!? ごめん、こっちも強く言い過ぎた! 比喩として適切かどうかとその言葉が相手を傷つけるかどうかは分けて考えるといいんだよね!」
「なるほどぉ、分かりやすいです、先輩っ!」
通形は「やっぱり波動さんと似ているな」とぼんやり思った。
「……そういうことか。改めて、はじめまして。俺の名前は天喰環。君はヒーロー……誰が好きなんだい?」
天喰は先程までのオドオドした態度が嘘だったかのようにしっかりはっきりとした言葉でメスガキに話しかけた。
「はじめましてぇ、新斗黎乃でーす! 好きなヒーローですかぁ? 最近だと『イレイザーヘッド』と『ミッドナイト』がアツイですねっ!」
それをどう受け止めたのか、メスガキも改めて自己紹介をして朗らかに質問に回答した。
「おー! 先生方かぁ! だから雄英に入学したのかな!? それとも入学後に好きになったのかな!」
劇的に良くなった雰囲気にテンションを上げるお祭り男、通形ミリオ。こういう簡潔かつ明確に答えられる質問をするのが話を盛り上げるコツである。相手が緊張していたらもっと簡略化して「はい/いいえ」で回答できる質問をすると良いよ。
「『イレイザーヘッド』いいよな……あの人はありのままの俺を見てくれた……それが苦痛じゃなかった……素晴らしい先生だ」
「わかる~~!! 色眼鏡のないストレートな言葉に込められた思いやりがたまらないっ! あ、好きになったのは入学後ですっ!」
メスガキも上機嫌テンションになってツインテがふわふわ浮かびだした。天喰も波動と話すときのデッキで会話できると気付いたのでだいぶリラックスしてきている。汎用性低いデッキなのにたまたま使えてラッキーだったな。
「俺も入学前は存在すら知らなかった……そうしている事情は分かるが、正直もっと早く知りたかったな……先生のご指導を受けて、雄英高校に入ってよかったと心から思えた……ここで俺は頑張るんだと……辛いときも踏ん張る力になったよ……」
じっと通形を見つめる天喰。心の支えになったのはイレイザーヘッドだけではなく、通形ミリオもだ。雄英はとてもいいところだ。他の人にもそう思ってもらいたい。通形(と天喰)がメスガキに色々とちょっかいを掛けに来るのは、ただ友人が悲しんでいるからというだけではなく、この素晴らしい場所をすべての生徒に愛してほしいからでもある。
「環にとっては1年の時の担任だもんな! その二人だと俺は『ミッドナイト』の方に特にお世話になってるかなー! ヒーローコスの問題点を解決できたのは先生が技術者さんを紹介してくれたおかげなんだよね!」
あと裸族として気が合うのもある。ついでに言えばミリオは相性的にミッドナイトにくっそ不利。息を止めるって発動条件はつまり息継ぎが必要ってことで、もっと言えば大きく息を吸い込むってステップが必要なんだよね。類似の〝個性〟と戦うときのために模擬戦に付き合ってもらったりしてめちゃくちゃお世話になっているのだ。※エロい意味ではない。ここはしっかりとした注意書きが必要だと思った。勘違いされるとルミリオンのブランドに傷がつくからな……。全国放送で全裸を晒している男に今更傷つくブランドなんてありませええええええん!! なんだとぉ・・
「おね……ミッドナイトはすっごくいい匂いがしてギューってされると幸せな気持ちになれるんですよぉ♡……コス談義はボクイマイチ乗れないんですよねぇ、〝個性〟での自前だから~……そのうち作る側に回っちゃおうかなー!」
あまり目立たないがメスガキは頭脳もやべぇのでサポートアイテムの開発なんかもやろうと思えば出来る。彼女がI・アイランドで人気者なのは科学者たちとの話がスムーズに進むからでもあるのだ。まぁI・アイランドに居るような上澄み科学者は相手に知識がなくてもわかりやすく話せるんだけど、やっぱり専門用語使って話せたほうが話が早いからね。
「おお! きっと例のあの人も喜ぶんだよね! 本気なら俺から彼女に伝えておこうか? 最近よく話すんだよね!」
メスガキの面倒を見ているという共通点が新たに出来たので会話の機会が増えたのだ。当然話題はもっぱら厄介後輩のことである。
「自分で話しますよぅ。ボクと先輩の蜜月を邪魔しないでくださいっ! ていうかなんで名前ぼかしてるんです?」
「なんかそういう流れだからー! ダカラー! ダカラー」
セルフエコーをかけながら変な動きをする通形。ナンテウゴキダ。メスガキはくすくすと笑って通形の周りをキラキラする星のような光で演出した。通形はそれに気を良くしてワキワキとした動きの速度がさらに上がった。
「最近だと……って言ってたけど……昔から好きなヒーローの方も聞きたいな」
天喰もいつものミリオに触発されて積極的に会話に参加してきた。人見知りの激しい天喰にとってはそれなりに勇気のいる行動だ。
「一人は多分先輩たちも知らないかな~? 地方のマイナーヒーローなのでっ! もう一人は先輩たちも絶対知っている! あの! ヒーローですよっ!」
通形の動きに対抗心を燃やしたのか、あるいは一緒に遊びたかったのか、メスガキはくるくるとダンスしながらもったいぶった。
「おっ! その前フリは!」
「そのヒーローの名前は──っ!」
盛り上げ上手な通形が合の手を入れるとメスガキのダンスがぴたっと止まってドヤ顔でさらにもったいぶった。うぜぇ。天喰は対人経験がしょぼいのでもったいぶったメスガキのドヤ顔を微笑ましく思いつつも空気が読めずに先読みして話し始めた。
「へぇ、なんだかんだ言ってやっぱり好きなんだね、オールマ」
「『スペースヒーロー 13号』ですっ!」
「だと思ったよね!」
「おい、クソナ……デ……出久! ちっとツラ貸せや!」
寮のロビーにて心地よい疲れを感じながらリラックスしていたクソナードにクソ煮込みが話しかけてきた。吊り上がった目でオラつきながら睨みつけるその顔はカタギには見えない。
「……? ……!? え? いま出久って言った???」
かっちゃんの威嚇顔に慣れっこなクソナードはそこには特に触れず聞き捨てならない部分にだけ反応した。下の名前で呼ばれることにそもそも慣れていないので反応が遅れた。小大と「出久♡」「唯♡」ってやってなかったらもっと遅れていただろう。
「うるっっせええええ!! さっさとついてこい!!」
「あの、かっちゃん……ロビーで出来ないような事する気なの……? 月曜の夜にやって大丈夫なやつ??」
「意味不明な心配してんじゃねえよ! いいから来いや!」
「意味不明ではないと思うけど……ていうかその……明らかに『今から喧嘩してやるぜ』みたいな雰囲気じゃないか!」
クソナードからしたらマジでいつものやつって感じである。なんかこう、なにか気に触った事があって因縁をつけてくる時の表情なのだ。
「!? き、きっしょいんじゃボケカス! なんでテメェはそんなに俺に詳しいんだよ!? バ、オフクロになにか聞いてるにしたっておかしいだろ!?」
「かっちゃんが分かりやすすぎるだけだと思うけど……その、先に用事の内容聞いてもいいかな?」
説明しないとついて来ないらしいことに気付いた爆豪はちょっとショックを受けた顔(どういうメンタルだよ)をしたあと、観念して説明しだした。
「…………クソがよ……! 前回のインターンで俺はジーニストにアドバイスを受けた」
「えっ! 羨ましい!」
「テメーもエンデヴァーに見てもらってんだろうが! ……ンで、言われたんだよ。てめぇと一度しっかり喧嘩してこいってよ」
仲直りについては言わなかった。つーかお前らオールマイトにも見てもらってるだろ。もう慣れちゃって話題にも出ないのか?かわいそ……。
「やっぱり喧嘩だった!? どうしてそれで「ついてこねーお前が悪い、俺は悪くない」みたいな雰囲気を醸し出してるのかさっぱり分からないや……」
説明したのに立ち上がりすらしないクソナードに困惑するかっちゃん。馬鹿なんでしょうね。これでついてくるやつは居ねーよ。どんだけ幼馴染に甘えれば気が済むのか。まぁでもこれはかっちゃんだけが悪いわけじゃなくて際限無く甘やかしていたクソナードにも責任があると思う。週末とかだったらついてきた可能性あるからな。モンスターは一人じゃ育たねえんだ。
「ぐぐぐ……テメーのクソ理屈は聞きたくね……じゃなかった、クソ! なんでついてこねーんだよ! 何が分かんねえんだ、言ってみろ!」
「あの……普通に考えて喧嘩したら僕たちだけの問題じゃなくなるって分かるよね? 雄英側からしたら今僕たちは預かりものなわけで……それにハウンドドッグ先生も言ってたけど揉め事は大きくなる前に相談しないと」
そもそもの前提が共有されていない。クソナードにとってかっちゃんのこの表情と態度は暴力を伴うものなのだ。そんなつもりがない爆豪は何故かそれをクソナードが理解していると思い込んでいたことに気づいて自分で自分に驚いた。
「くっ……別にぶん殴ろうってわけじゃ……おい、口田ァ! あのクソガキはいつ帰ってくるんだ!」
かっちゃんはロビーで食事をしながら障子と談笑をしている口田にクソみてぇな態度で話しかけた。
「…………」
意外! それはシカト! まぁこんなクソ態度なんていちいち相手する必要マジで無いからな。いつまでも甘やかされていたらかっちゃんの将来にも良くない。
「おい! 口田! 無視すんなや! 障子! テメーらなら知ってんだろうが!」
顔を見合わせていた二人はため息を付きながら高校生にもなって怒鳴りつけるしか甘え方を知らない幼稚な爆豪の相手をしてあげた。人間が出来ている。
「……ごめんね爆豪くん……僕クソガキって名前の知り合いは居ないから分かんなくて……」
「そうだな。知らない誰かが帰ってくる時間など知っているはずがない」
なんかここだけ見ると険悪な感じに見えるが口田がかっちゃんをシカトしたのは親しいがゆえである。自室よりロビーによくいる口田&障子と会話する機会がクラス全体で増えたのだが、毎日キッチンに料理をしに降りてくるかっちゃんとは特に話す機会が増えている。まぁつまりかっちゃんが友達に甘えたら友達の友達(メスガキ)への気遣いが足りなかったので注意されているというのがこの状況の説明になります。
「……あああああああ!! 新斗はいつ帰ってくるんだ! 教えろや!」
「新斗さんはいつも20時頃に帰ってくるけど今日はなんか遅いね……? インターンが長引いてるのかも……雄英なら平日でも気軽にインターン出来るって発想がすごいよね」
「口田くんもそう思う!? その手があったかー! って僕も驚いたよ! ただ何人か同じように申し込んだみたいだけど断られちゃったみたいだね」
「明確に雄英でインターンをする理由がないと許可が降りないそうだ。まぁインターン先がどこでも良いならそもそも最初から雄英へのインターンをカリキュラムに入れておけばいいだけだからな」
かっちゃんの話はメスガキが帰ってくるまで進まないらしいので談笑をはじめるというか再開する面々。ノンデリ男が変な因縁つけてくる前は筋トレトークで盛り上がってたんよ。緑谷と障子だけでなく口田くんもなにげにフィジカル組だからね。おっとりしていて肉体派の口田くんはクソナードとも結構気が合うのだ。
「ちっ! ジーニストはなんで雄英の教師じゃねえんだ!」
自覚があるのかないのか、毎日ジーニストに会いたい宣言である。あと遠回しに俺も話に混ぜろ! と言っている。本当に幼稚。
「かっちゃんがそう思うほど指導力があるんだね! さすがベストジーニストだ!」
「インターンは大変そうだが……爆豪を見ているとやはり行ったほうが成長につながるのだと実感できるな」
「そうだね……前よりずっと会話しやすくなったし……僕もなんとかならないか色々調べてみなきゃ」
こんな感じでいっつも周りに介護してもらってんですよこのガキ大将。
「口田はまず発声練習じゃねえのか。耳郎あたりに声出しのコツでも聞いたらどうだ」
「いい考えじゃないかな!? 声量=効果範囲なわけだし、まずは大きな声で「集まれー!」って言うのが鉄板ムーブだよね!」
「腹筋を重点的に鍛えていたし、出そうと思えば大きい声も出せると思うんだがな」
「確かに大きい声出せるようになってないとインターン先でも同じ事言われそうだね……練習して出せるようにならないと」
「たっだいまぁー!! なんか珍しい組み合わせだね?」
ワイワイと盛り上がり始めたところでメスガキが帰ってきた。
「おかえりなさい、新斗さん」
「お疲れ様、新斗。麦茶を用意しているぞ」
「ありがとぉ~♡冷たくて美味しい~♡あ、コレみんなも食べていーよっ!」
ソファにぴょんと座ったメスガキは通形にもらったチョコをパクパクとつまみながら麦茶を飲み始めた。一同もお礼を言って食べ始める。
「……美味いな。これ結構高級品なんじゃないか?」
「ほんとだ、濃厚な甘さなのにふわっと溶けてすごい!」
「とっても甘いのに後味がスーッと消えてすごいね……あっ、新斗さん……爆豪くんがなにか用事があるみたい……」
「くぴっ……何~? 寮生活でなにかお困りごとでも発生しちゃった~?」
麦茶をクイー! と飲みながらてくてくとかっちゃんのそばに歩いてきて仁王立ちするメスガキに(お礼を言いたくなかったのでチョコを食べなかった)爆豪が気まずそうに話しかけた。
「いや……ちっとクソデ……出久と話があるからこないだの相談の時に出したアレ頼めるか」
そう。このみみっちい男は1日に2回お礼を言いたくないとかいうちっぽけな、本当にちっぽけなしょうもないプライドにしがみついて美味しそうなチョコを我慢しているアホである。この頼み事をした結果言うことになる1回はOKらしい。
「かっちゃんが普通に頼み事してる! すごい! こないだのアレ……?」
クソナードは中庭を見てないというか、意識して見ずにちらっと視界に入ったくらいでは透明だったので印象に残っていないのだ。
「ガラス張りの防音室みてーなもんだ。それを中庭に出してもらう。それなら文句ねぇだろ」
「……つまり本当に真剣に口喧嘩がしたい……ってコト!? ええーと、うん、分かったよ……」
「分かっちゃうんだ……」
「嫌なら断っても良いと思うぞ、緑谷」
「なになに~どういう流れ? 二人が止めないってことは~……腹を割って話そう的な?」
そういう感じ、と二人に聞いたメスガキは笑顔になってかっちゃんの頼みを快諾した。
「キミたちのじめじめ淀んで腐敗した汚泥まみれの川底みたいな関係性がちょっとはマシになるならまぁ手助けしてあげてもいいよっ!」
言うが早いかメスガキが手をかざすと中庭にいきなり黄金伝説っぽい透明なお部屋が現れた。
「……バラエティ番組のネタになりそうな建物だな」
口田は「動物園の檻みたい」と思ったが口には出さなかった。このあとモンキー・D・かっちゃんがムッキーウキキーってやることが目に見えてるからね。友達(なんとお互いそう思ってる)の悪口を言わないようにしているわけです。人間が出来てる。ちなみにこの『D』はダイナマイトではなくドブ煮込み。
「新斗さんすごい! 「ダークマター」がまた成長したんだね! 以前は「帯」を伸ばさないと干渉できなかムグッ」
しゅるるっとクソナードとドブ煮込みにメスガキの〝個性〟が巻き付いた。ぐるぐる巻きにされて身動きが取れない。
「ほらほらさっさとオハナシして問題解決してくるよーにっ!」
「自分の足で歩くから放せや! があああぁぁぁ……」
かっちゃんの抵抗虚しくメスガキの〝個性〟によって二人は透明な見世物小屋に放り込まれた。
「あのー……それじゃあどういう経緯で喧嘩しろってアドバイスされたかとか聞いてもいい?」
座り心地の良いフカフカの椅子に二人をちょこんと座らせるとメスガキの〝個性〟は解けた。ゆらゆらとその場に留まってるそれにかっちゃんは言いしれぬプレッシャーを感じた。
「……てめぇを……」
「……僕を?」
「…………」
「かっちゃん?」
「……てめぇはなんで……俺のことを未だに「かっちゃん」って呼ぶんだよ……?」
今さらの疑問である。仲良しだった子供の頃のあだ名を未だに呼び続けているのはまぁまぁ変というか、険悪な関係のわりに親しみを感じる呼びかたである。
「え? なんでって言われても……ごめん、嫌だった?」
「……わかんね……嬉しいような……ムカつくような……懐かしいような……気色悪ィような……複雑な気分だ。てめぇは『デク』って言われてどう思った……?」
まぁお互い様なんだよね。かっちゃんもずーっとデクって呼んでるし。このあだ名つけたの4歳の頃だぜ。
「どうって……え、どうだろ……「なんかやだな」くらい? 最初はなんとなく馬鹿にしてるってニュアンスだけしか分かんなかったし、意味がわかる頃にはもう慣れてたかな。今はヒーロー名にもしてるくらい気に入ってるよ」
「……………………」
自分がつけた渾名(本当に最初の最初は蔑称のつもりはなかった)をヒーロー名にしてることの気色悪さに今更思い至って顔が青くなるかっちゃん。いや、怖いわ。これは怖いよ。なにが頑張れって感じのデクだよ。恐怖なんだわ。意味合いを変えてもらって喜ぶまではまぁいいんだけどこれ幸いとヒーロー名にするのはマジやべぇ。ジーニストの『名は願い』論で行くとクソナードは『デク』でありたいということである。かっちゃんから貰った宝物なんだ……。きっしょ。
「えーっと……ああ、ベストジーニストは『腹を割って話したほうがいい』的なアドバイスをくれたのかな? じゃあ僕ずっと言いたいことがあったんだよね」
「あ? なんだよ……」
「かっちゃんが覚えてるか分かんないけど……『ワンチャンダイブ』は流石にヤバいと思うよ! 失言でチャート落としたり炎上して引退するヒーローもいるんだし、コンプライアンスの勉強もしたほうが―」
「うるせええええ!! わーっとるわ! ……あああああああクソがァッ!!! アレはマジ言い過ぎた! ごめん!!」
バッと立ち上がり頭を下げるっちゃん。これは本人も心に引っかかってた事だったので事前に心の準備が出来ていた。『ワンチャンダイブ』が『トゲ』に……! せっかくクソナードがヒーローになるのを諦めさせようとしてきた『熱』が……! 冷ましとけそんなもん。他人に頭を下げさせてもテメェの身長は高くなんねーよ。
「あっああっぁっあっ……あやまっちゃん!?!? ベベベベストジーニストすごすぎる!! 一体どんな指導を!?」
クソナードは驚愕し目玉が1mくらい飛び出した。「1mは
「なんっっっだその感想はクソボケ!! ピンボケにもほどがあンだろ!!! 不満は! ねえのかよ!! 俺ぁてめぇを!! いじめてたんだぞ!!!」
息を荒くして怒鳴りつけ死線に立った恐怖を誤魔化す。危なかった。頭を上げるモーションの途中でなければ回避は叶わず絶命していたかもしれない。
「い……いじめ……?」
「なァんで不思議そうな顔しとんじゃボケカス!!! 意味分かんねえわ!! 怖ぇんだよ!!!」
本当に怖い。ついてくるクソナードをぶっ叩いたりついてくるクソナードを罵倒したりついてくるクソナードをシカトしたりと結構陰険かつ執拗に……ん? これいじめか? いや、相手がいじめだと思ったらイジりでもいじめだから。……あれ? じゃあ逆にいじめと思ってなかったらいじめじゃない……? そんなはずないのにかっちゃんは混乱している。どっちかと言うと独り相撲だったのを認めたくないという感情だが。認めろカス。クソナードは本人の内心での認識がどうだろうとお前の行動が「いじめ」だったとは認めねーけどな。「憧れのかっちゃんがそんな事するはずがない(と思いたい。そういうことにしたい)」ので。他人にやったならともかく自分にしたことでかっちゃんの経歴に泥を塗るなんて許せねぇんだ……。だから他人への暴力は「許さない」が自分へのそれは「やめてよ」で終わる。
「ああいや! その……かっちゃんからそんなワードが出てくると思ってなかったから……え、自覚あったの……? 能動的にいじめようと思ってたの? 僕はてっきりかっちゃんなりの歪んだコミュニケーションなんだと思ってたよ」
「ぐがぎぐげごが……ッッ!!!」
「言葉を失わないで!?」
実際そういう側面もある。こいつ他人との接し方のデッキ一個しかねえからな。俺について来い! くらいしかポジティブなカードがない……。おんなじカード使って様々な場面に対応するやりくり上手である。『爆破』一つで何でもするのと一緒。クソナードだって流石にいじめは止めるんよ。逆説的に自分にやられていることはいじめだと思ってないというか、『いじめにしたくなかった』わけ。お母さんが悲しむからな。どちらのも。自分が耐えればそれで済むなら耐えるのがクソナード。まぁそのせいでかっちゃんが歪んで育っちゃったトコもあるんだけどそれを責任だというのはあまりにも酷だろう。
「てめぇを! 遠ざけたくて……! いじめたら離れていくと思ってたんだよ……!」
「そ、そうだったんだ……あの、そんなに嫌だったなら直接そう言えばよかったんじゃ……? 離れろとかあっちいけとかそういう系の言葉、あんまり聞いた覚えないと思うんだけど……」
かっちゃん的には明言すると敗北だからな。内心で負けてるんだから今更なんだけど、それを認めるのは絶対に嫌だ、ということだ。まぁ言ってもクソナードはつきまとうけどね。それどころか「ついてきてほしくないなら他人を罵倒するの止めなよ」みたいな交渉カードに使われてしまう。かっちゃんの脳内力学だと敗者は大人しく従わないといけないので対外的にも完全敗北となってしまうわけです。原始人みてぇなマウント脳。
「雄英受けんなっつったろーが!!」
「え、あれそういう意味だったんだ……こう、かっちゃんなりの心配なのかと……〝無個性〟でヒーローなんて危なすぎる的な……」
ぎくっ、と動きが止まる爆豪。指摘されて初めて気付いた。ガキ大将の時の延長線上で子分に「危ないからやめろ」という警告を出していた側面があることに気づいてしまったのだ。丸太から転落して子分に助けられた屈辱を間接的に晴らそうとしていたのだ。ぞわわっと怖気が走る。自分でも自覚していない気持ちを言い当てられた恐怖だ。……恐怖、恐怖だ。このクソナードはいつだって恐怖の対象で、それを認めたくなかった。頼られるガキ大将で、居たかった……。
「ぎぎぎ……ほ、他にはねぇのか!? あんだろが! 言いてえことが! 腹に溜まってる不満がよォ!!」
自分の行動の数々が連鎖的に「子分扱いしていた」で説明がついてしまう──そしてクソナードはそういう理解をしているから離れなかったし、なんなら爆豪自身も無意識に離れないと思っていた──ことに耐えられなくなったかっちゃん(16ちゃい)は潔さというよりむしろ苦痛を早く終わらせたい一心で先を促した。
「えぇ……怒鳴りつけられると会話にならないから止めて欲しい……とか……」
「くっ……まだあんだろ……! 全部言えや!」
「えーっと……細かく上げればキリがないんだけど……じゃあまず暴言癖を直したほうが良いよね。あと心配して声をかけると自分が見下されたと思って激怒してくるの本当に困るよ。それになんかたまにすごい幼稚な嫌がらせしてくるよね。改めよう? あ、ノート燃やされた事未だに許してないからね。そっちもちゃんと謝るべきだと思う。さっきの『ワンチャンダイブ』もそうだけど謝罪って口で言えば終わりじゃなくて行動が伴って初めて意味があると思うんだよね。もちろん焦げたノートは書き写して事なきを得たけどだからって焦がされたことがなかったことになるわけじゃないし、そもそもかっちゃんも分かってると思うけどあれはお母さんが買ってくれたノートなんだから僕が我慢すれば終わりって話じゃないんだよね。今日喧嘩をふっかけてきたこともそうだけどいつも自分本意というか周りの人がどれだけ君のことを心配して、もっといえば甘やかして見逃してあげてるか考えたことある? 今ここで許すとか許さないとかそういう話はしないけど、それは怒ってるとかじゃなくてこれからの行動が君の今日の言葉をうわべだけの空言にするか真摯な謝罪にするかを決定づけるんだってことをしっかり認識してほしいな」
かっちゃんはぐぅの音も出ない。こんなに不満があったのか、と驚いてる(今更!)。
「君のお父さんとお母さんが何度も僕の家に謝罪に来ていることは知っているかな。知らないよね。知ってたら態度に出ると思うし。君との関わりにおいて何が一番辛くて苦しいかっていうとかっちゃんのご両親に謝られる事なんだよね。おじさんとおばさ……光己さんは君が僕にしたこと全部知ってるんだよ? 別に僕が言ったわけじゃないからどうやって知ったのかは分からないんだけど、ノートだってあのあと弁償にいらっしゃったんだよ。本当に申し訳ないって、自分たちが悪いからどうかあの子のことを嫌いにならないでって、泣きながら言われたときの僕の気持ちを少しは考えてみてほしい」
ざっくりザクザクぐっさりグサグサ。かっちゃんのメンタルは崩壊寸前だよ! もうすでに目尻には涙が滲んで歯が噛み合わずにカチカチ言ってるよ! ちなみに情報源は指が伸びる方の幼馴染です。彼なりにこのきしょい関係を心配してたんだぜ。今はどっちも雄英に通ってることを知って「あぁ……」ってなってる。
「わァ……ぁ……」
「泣っっちゃん!? ごめん、言い過ぎた!」
ぽろっと溢れ出す涙。号泣と言うほどでもないが気分的にはそれくらいしたいレベルだ。
「ぐぅう……も、もう終わりかよ……俺ぁ……負けねぇ……! ノートもごめん……」
自分で弁償したいところだがもうそれは親がしてしまった。情けなくて不甲斐ない。やっぱつれぇわ。そりゃつれぇでしょ。
「えっと、かっちゃんもあるんじゃないの? 僕への不満とか……」
許すよ、とは言わないクソナード。先程の言葉通り怒っているわけではなく、口だけで言ってもしょうがないと思っているのだ。
「……以前聞いたが結局回答しなかったよな……てめぇ俺を舐めてんのか……? ガキの頃からずっと……! 〝個性〟隠してよォ……!」
「いやそれはあのその、か、回答したよね! すごいって思ってるよ! だからこそ超えたいって思ってる!!」
「〝個性〟隠してた理由になってねェだろうが…………まさかてめぇ『AFO』に〝個性〟貰ったんじゃねえだろうな……?」
ぼんやりとそのようなことを言っていた覚えがある。「人から授かった〝個性〟だ」と。都市伝説の魔王のまことしやかに語られている能力が『〝個性〟の与奪』だったはずだ。そしてその魔王は実在した事が最近明らかになっている。「誰から貰ったかは言えない」とか言ってたのも怪しすぎる……。
「はぇ!? ちちち違うから!! 詳しくは言えないけど授けてくれた人は悪い人じゃないよ!!」
「…………オールマイトか?」
もう一人の候補である。なんか良く知らんけどクラスメイトの中ではクソナードとオールマイトに特別なつながりがあるのは周知らしい。かっちゃんは自分だけ知らなくて羞恥。はずかしかつき。
「…………あああああああ!!!!」
「でかい声出して誤魔化そうとすんな」
お前の真似だぞ。これは流石にキモチわるいからかっちゃんには言わないほうがいいけど、誤魔化さなきゃ! って気持ちが強いときはうっかりかっちゃんの真似してしまうんだ。そんなとこむしろ嫌いな部分のはずなのに。
「あのー……秘密なんだ。うん。ごめん」
「クラスメイト全員にバレてんぞ」
「嘘ォ!? あ!! いや思い返せば心当たりいっぱいある!!! そんなあああああああ!!!」
勘違いだけどかっちゃん視点だとそうとしか見えないんだよね……。なんか不自然に二人きりにしようとしたり、頻繁に「何も知りませんよ!」とアピールしてたり。察しちゃったけど黙ってる時の態度だもん。
「そもそもなんで隠してんだ?」
「え?」
「隠すから不審がられるんじゃねえのか。それこそ俺が『AFO』から貰ったんだろ、って思ったみてぇによ」
「いやその……」
「オールマイトの〝個性〟だって秘密にしたから探られまくってただろーが。実際明かしたらネットじゃ完全にオワコンになってるぞ、オールマイトの〝個性〟考察。もう議論にならねぇから当然だし、大方の予想通りだったから驚きもねえしな。まぁオールマイトが本当に隠したかったのは『増やせる』って事だったんだろうが。〝無個性〟の有象無象が際限無くたかってくるだろーしな」
「あはは……」
誤魔化しヘタクソナード。そもそも嘘とか向いてないんだよねこいつ。あとそもそも〝無個性〟の緑谷や八木俊典が思うほど他人の〝個性〟欲しい~ってなるやついねえんだよな。〝個性〟持ちの人間の考え方は「俺の〝個性〟がもっと便利だったらいいのに」とか「俺の〝個性〟のここが嫌」とか「こんな〝個性〟いらねえ」であって「あいつの個性が欲しい」とはあんまりならない。主体となるのは『自分の〝個性〟』であって他人の〝個性〟がどうとかは基本的にあまり考慮されないのだ。
「……まぁてめぇを問い詰めるのは今日の主題じゃねえからこのくらいで勘弁しといてやる。だがあんま馬鹿にしてんじゃねえぞ? てめぇの隠し事なんて俺にかかりゃすぐお見通しなンだよ」
きっしょ。こいつら濃厚に接してるのがお互いしかいないせいで色んなとこが似てるけどこの気持ち悪さは本当にそっくり。距離感がバグってんだよね。
「……違うからね!」
「もういいわ。話がズレたがおまえとにかく気色悪ィんだよ! ぶん殴られたら離れるだろ普通! こうしたらこうなるはずだ、っつー予想が全然当たらねぇ! 理解不能すぎて怖ぇ! 何なんだよお前!」
「そ、そうだったんだ……怖いって……え、僕は無自覚にかっちゃんにハラスメントしてたってこと……?」
そうだよ。かっちゃんはひっぱたいたり悪態ついたりで拒絶してるのにストーカーみたいにつきまといしてたクソナードはわりと悪質なハラッサーだからよ……。かっちゃんのいじめが正当化できないのとおんなじでクソナードのつきまといも正当化できねえんだ。だからって暴力ふるっていいわけじゃないけど、明確な拒絶のサインだと受け取ってないのは普通にやべえ。まぁかっちゃんからグイグイ来ることもあるからそのあたりで相殺されちゃってんだろうな。
「なんでもっと自分を大切にしねえんだ……〝無個性〟だったおまえが危険に自分から突っ込んだら命がいくつあっても足りねえだろうが……」
ついに言葉にして認めてしまうかっちゃん。心配していたのだ。だって、子分だから。子分を守るのは親分のギムだから。言っても言っても聞かないならぶん殴るしかない。ぶん殴っても聞かなければ……どうすればいい。いつだって爆豪勝己は緑谷出久に対して無力だった。そして、それを認めるわけにはいかなかったのだ。子分の憧れの眼を曇らせたくなかった。曇る前に離れてほしかった……。
「あの、本当にごめん……反省してるよ……」
「してねえ。単にやり方を変えただけだろうが。防御力をあげたから怪我しなくなっただけで、その防御力が足りてるかどうかはお前の判断基準になってねぇ……今まで破られてないから誤魔化せてるだけだ……」
理解不能とか言いつつわりと芯を捉えた事を言うかっちゃん。まぁクソナードの行動の根幹に『自分』が存在しないって知ってればこのあたりの心理は読みやすいからな。八木俊典もそうだが〝無個性〟の人間は『自身に価値を見いだせない』。呼び方が『異能』から『個性』に変わった弊害とも言える。アイデンティティの確立にとって悪影響なんですね。
「むむむ……そう言われたらそうかもしれないけど……でも「出来るからやる」だけで行ければ一番いいけど現実的には「出来るかどうかじゃなくてやらなきゃいけない」ことばっかりじゃない……?」
まぁ『ヒーロー』をやる以上『力不足でした』とか言えないからな。結果を出すしかない。エンデヴァーがクソ態度でもNo2に君臨(って言うと本人は激怒する)し続けてられるのは『結果』を出しているからだ。『ヒーロー』にとって一番重要なのは動機ではない。なぜなら、他人が観測できるのは『結果』だけであり、本人の『内心』など誰にも見えないからだ。例えばどれほど高潔な善意を抱いていようと大量虐殺を行った者はただの『人殺し』だし、どれほど強欲な金儲けが目的だろうと結果的に多くの命を救った者は『救世主』だ。動機が美しくとも、結果が悪ければそれは悪となる。聞いてるかステイン。
「今は議論の時間じゃねーんだよ! 黙って聞いとけボケ!」
「えぇ……理不尽……そういうところも良くないと思うな。自分の中の結論ありきで話すところ」
「…………」
黙って聞けと言った手前自分も黙って聞くしかないかっちゃん。成長したね。その後もぽつぽつと細かい不満をお互いに言い合っているとついに話が尽きた。
「えっと……とりあえずこんなところかな。腹を割って話すなんて初めてだからこれでいいのか分かんないけど……」
「なァんか想像してたのと違ったんだよな。これでいいのか……?」
いいと思うよ。普通に話せるようになってきたじゃん。かっちゃんは少年漫画とかで見た殴り合って分かり合うみたいなのがやりたかったみたいだけどクソナードがそんなん素直に付き合うはずないんだよね。親(どっちのも)が心配するじゃん。
「ベストジーニスト的には多分これがかっちゃんの成長に繋がるって思って提案してくれたんだよね?」
ついでに緑谷にもいい影響があると思ってのことである。クソナードは疑問というより「これからどうなるんだろう?」とわくわくしてるようだった。
「多分な……あぁ、そうだ……最後に一番大事なこと、言わねぇと……」
「何?」
「……『今までごめん』」
「……………………『いいよ』。じゃあ……ずいぶん長くかかっちゃったけど……仲直りだね」
またそうやって甘やかす~。まぁでも幼馴染だもんね。余人には分からない二人の関係性の積み重ねがきっとあるのだろう。クソナードはかっちゃんのことが大嫌いだが……同時に大好きでもあるのだ。ずーっと守られていたことを、知っていた。
独自設定とか
・ノンデリ先輩:メスガキの誕生日を知って贈り物を渡そうとしたが通形に止められた。正解。
・メスガキねじれちゃんに厳しい:同族嫌悪。
・メスガキの幼少期:友達0人。
・天喰の所持デッキ:ヒーロー誰が好き?
・天喰とイレ先:会話は盛り上がらないがなんとなく落ち着く。
・例のあの人:隠す意味あるの?ないですね……。
・13号:4歳の頃から好き。
・ヒロアカモンスターズ:みんなどこかしら闇がある。
・こーじくんといっしょ:かっちゃんとも山にいる動物の話とかで結構盛り上がる。
・クソあだ名:みんな甘やかさなくなった。
・透明防音室:クソナードは「ここまでしなくても……」と思ってる。普通に「口喧嘩だけだ」と言えば信じてついてきたよ。
・『デク』:最初は悪意ではなく単なる知識自慢。
・ワンチャンダイブ:原作でも言われたときかっちゃんが犯罪者にならないか心配してる(笑)。
・いじめ……?:半分すっとぼけ。先生とかに聞かれても「違います!」って言ってた。
・泣っちゃん:意外とよく泣くんだよ。繊細。
・なんで隠してんの?:原作と状況違うのでこんな認識。俺も増やしたやつ欲しいなって思ってるけど絶対言わない。
・諦めさせたいかっちゃん:『自分よりすげえから諦めさせる』だとかっちゃんぽくなかったので心配しているとした。まぁどう考えても早死するもんな。
・過程と結果:動機なんて口で『アピール』してもしょうがない。行動が内心を表す。
・俺が守護らねばならぬ:ガキ大将。