「おい、こっちだ!」
「司令、発砲許可を!」
「許可する。殺してもいい。絶対に逃がすな!」
衛兵たちの声が聞こえる。
「クソッ、もうここがバレたのか!」
俺はそう呟いて走り出す。
装備なし。計画は穴だらけ。
それでも、ここで立ち止まるくらいなら、死んだ方がマシだ。
「隊員番号717...いや、ジョング・Dを逃がすな!」
自分の名前が背中に突き刺さる。
「お前らなんかに捕まってたまるかよ。俺は自由になるんだ」
入口の扉を蹴り開け、外へと飛び出す。
と、その時、
「脱走者を検知。ドローンを要請します。」
監視カメラが機械音声を吐き出し、青白い光の中からドローンが浮かび上がる。
俺はとっさに武器庫へ滑り込み、拳銃をもぎ取る。
振り向きざまに一発。
弾丸はドローンの頭を貫き、火花が散った。
「腕は落ちてねぇな」
ーー
「ジョング・Dはどこだ!」
「ドローンが破壊されている。そう遠くには行っていないはずだ。お前ら、全力で探せ!」
ーー
遠くで衛兵たちの声が聞こえる。
「ふう、なんとか撒けたみたいだな」
「そんじゃあさっさと港に…」
「ん?」
ふと右を見ると、戦車の砲頭が光っていた。
さらに沢山の足音が近づいてくる。
「いたぞ!」
「おいおいマジかよ…たかが一人にそこまでするか?」
どうやら、相当怒らせたみたいだ。
道端に停まっているバイクにまたがり、すぐにエンジンをかける
ビルの間を通り、戦車の横を走り抜ける。
しばらくして視界が開け、俺の目に港が映る。
自由が、手を伸ばせば届く距離にある。
こんな感覚、今まで一度もなかった。
胸の奥が熱くなる。
だがその時、突然衛兵の部隊が現れ、俺を取り囲む。
「もう逃げ道はないぞ!」
「お前は軍から脱走した上、アルソスからの無断渡航を企んだ。お前はここで死ぬだろうな。」
「やっと自由になれそうなんだ!」
「ここで、終わってたまるかよ!!!」
バイクを急発進させると同時に、無数の発砲音が俺の耳に届く。
風が体に吹き付け、弾が腕をかすめる。
俺は弾幕をかわしながらドリフトを決め、港へ滑り込んだ。
格納庫に残っていたのは、ボロ船一つだった。
歪んで、傷だらけで、まともな代物じゃない。
でも俺にとっては、この星より綺麗に見えた。
宇宙船の扉を勢いよく開け、コックピットに身を投げる。
「動いてくれよ...!」
起動スイッチを叩く。
エンジンが吠え、船体が揺れる。
ブースターに火花が散り、格納庫の防壁が振動する。
鎖を引き千切るように船が弾かれ、体がふわりと浮くのが分かった。
帰る場所なんてない。
でも、行ける場所は無限にある。
喜びと不安を噛み締め、俺は一人呟く。
「俺の自由の旅が、今始まったんだ。」
To be continued...