アストラ・ノマド   作:星降 叶楓

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>光暦2173年:辺境の星、アルソス


1話:仮初の自由

 

「おい、こっちだ!」

「司令、発砲許可を!」

「許可する。殺してもいい。絶対に逃がすな!」

 

衛兵たちの声が聞こえる。

 

「クソッ、もうここがバレたのか!」

 

俺はそう呟いて走り出す。

装備なし。計画は穴だらけ。

それでも、ここで立ち止まるくらいなら、死んだ方がマシだ。

 

「隊員番号717...いや、ジョング・Dを逃がすな!」

 

自分の名前が背中に突き刺さる。

 

「お前らなんかに捕まってたまるかよ。俺は自由になるんだ」

 

入口の扉を蹴り開け、外へと飛び出す。

と、その時、

 

「脱走者を検知。ドローンを要請します。」

 

監視カメラが機械音声を吐き出し、青白い光の中からドローンが浮かび上がる。

俺はとっさに武器庫へ滑り込み、拳銃をもぎ取る。

振り向きざまに一発。

弾丸はドローンの頭を貫き、火花が散った。

 

「腕は落ちてねぇな」

ーー

「ジョング・Dはどこだ!」

「ドローンが破壊されている。そう遠くには行っていないはずだ。お前ら、全力で探せ!」

ーー

遠くで衛兵たちの声が聞こえる。

 

「ふう、なんとか撒けたみたいだな」

「そんじゃあさっさと港に…」

「ん?」

 

ふと右を見ると、戦車の砲頭が光っていた。

さらに沢山の足音が近づいてくる。

 

「いたぞ!」

 

「おいおいマジかよ…たかが一人にそこまでするか?」

 

どうやら、相当怒らせたみたいだ。

 

道端に停まっているバイクにまたがり、すぐにエンジンをかける

ビルの間を通り、戦車の横を走り抜ける。

 

しばらくして視界が開け、俺の目に港が映る。

 

自由が、手を伸ばせば届く距離にある。

こんな感覚、今まで一度もなかった。

胸の奥が熱くなる。

 

だがその時、突然衛兵の部隊が現れ、俺を取り囲む。

 

「もう逃げ道はないぞ!」

「お前は軍から脱走した上、アルソスからの無断渡航を企んだ。お前はここで死ぬだろうな。」

 

「やっと自由になれそうなんだ!」

「ここで、終わってたまるかよ!!!」

 

バイクを急発進させると同時に、無数の発砲音が俺の耳に届く。

風が体に吹き付け、弾が腕をかすめる。

俺は弾幕をかわしながらドリフトを決め、港へ滑り込んだ。

 

 

格納庫に残っていたのは、ボロ船一つだった。

歪んで、傷だらけで、まともな代物じゃない。

でも俺にとっては、この星より綺麗に見えた。

 

宇宙船の扉を勢いよく開け、コックピットに身を投げる。

「動いてくれよ...!」

起動スイッチを叩く。

エンジンが吠え、船体が揺れる。

ブースターに火花が散り、格納庫の防壁が振動する。

鎖を引き千切るように船が弾かれ、体がふわりと浮くのが分かった。

 

帰る場所なんてない。

でも、行ける場所は無限にある。

喜びと不安を噛み締め、俺は一人呟く。

「俺の自由の旅が、今始まったんだ。」




To be continued...
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