圧倒的女性社会で提督業   作:針葉樹

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今年はGWに休みがもらえた……!


どうしてこうなった!

横須賀鎮守府。

日本最大級の鎮守府であり、艦娘在籍数は第三位。

その役目は太平洋からくる深海棲艦から本土を防衛することだ。

現状、防衛線は維持しているものの、反転攻勢は不可能に近い。

というのも、現在の横須賀には提督がいないのだ。

艦娘は提督との信頼関係によって能力向上の恩恵を得る。

上層部にとってこれは悩ましい案件だった。いつ防衛線が破られてもおかしくなく、首都東京に敵の砲火が届けば軍部への信頼は地に落ち、今まで行ってきた戦意高揚のためのプロパガンダ、そのすべてが無意味となってしまう。

その為横須賀鎮守府の戦力増強と防衛線の強化は必須であった。

そんな横須賀鎮守府に向かう一人の男。

彼はこの鎮守府を立て直し、日本を救うことができるのだろうか。

 

素晴らしい場所だ、横須賀鎮守府。

こんな素敵な鎮守府がほかにあるかなぁ。

 

 実態は腐敗と不正だらけ、汚職の博覧会状態です。現在調べられる段階で横須賀鎮守府の関係者の約7割が汚職に関わっている事が分かっています。

 

………最悪な場所だ、横須賀鎮守府。

最初にすべき仕事が海域解放でも資源備蓄でもなく汚職調査とは。

クソッ、僕はただ艦娘といちゃらぶしたいだけなのに!

 

 現在の日本の状況下ではいちゃらぶしている余裕はないと進言します。

 

クッ、この万年正論生成機め!

 

 私は万年正論生成機ではありません、訂正を求めます。

 

拒否する。それよりもイフ、聞きたいことがある。

 

 何ですか?

 

鎮守府を案内してくれ………迷った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は新しい提督が着任するという。

まぁ、正直言って信用できない。

勿論前提督と異なるという事は理解している。

だが、理性で分かっていても感情が同調できるかというと別だ。

それにこの鎮守府に滞在している憲兵すらも不正を働いている。

そのため人に対する不信感はどうしても抱いてしまうし、新しく着任する提督が同類で無いとは思えない。

まぁ、前の提督よりマシだと信じたくはあるのだが。

 

「はぁ………」

 

この後その件の提督に会わなくてはならないと考えるだけでため息が出る。

身支度を整え、門のほうへ向かう。

時刻は7時半、到着予定時刻は8時なので今から向かえば十分間に合うだろう。

できれば、まともな人であってほしい。

そう思いながら、正門へ向かい、待つこと一時間ほど。

 

「誰も来ない?」

 

軍隊において時間厳守は当たり前。

しかし一時間過ぎてもまだ来ないとは……

一応門にいた憲兵に遅れるとか言った連絡があったか聞くとしようか。

 

「提督?あぁ、そいつならだいぶ前に通ったぞ」

 

それを先に言え!

どうやら詳しく聞くと予定より早めにつくという連絡があったらしいが、こいつらめんどくさがって鎮守府に連絡を届けなかったという。

これだから憲兵は!

そんなことより急いで鎮守府に向かう。

横須賀鎮守府は鎮守府の中ではトップクラスに大きい。

地図を持っていても迷うときは迷うだろう。

いや、迷ってそのまま死んでくれるのならありがたい限りだが、変なところに入って問題を起こされては困る。

怪しい人物にはなるだけ行動させないようにしなくては。

 

鎮守府へ走って向かう途中、言い争うような声が聞こえてきた。

クソっ!間に合わなかったか!いったい何をやらかしたんだ!これ以上何かやらかす前に捕まえなくては。

声が聞こえた方へ急ぎ向かう。

階段を上り、廊下を走り、現場に到着すると、そこには床に伏した白露型いっちばーん艦と、白い服を着た人物、それと曙がいた。

 

「ちょっと、貴方白露に何をしたの!」

 

「何をしたと言われましても、僕は何も……」

 

「そんなわけないでしょ!」

 

白い服を着ている方は、おそらく今日着任するという件の提督だろう。

 

「曙、何があったの?」

 

「大淀!ちょうどよかった、こいつを捕まえて艦隊司令部に送り返すわよ。

いったい何をしたのか分からなかったけど、こいつと会った時から白露の様子がおかしくなって、さっき急に倒れたのよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕に対し敵意を向ける曙と大淀。

その目からは殺意混じった感情が向けられている気配がある。

 

「………」

 

三者、沈黙。

戦上にいるかのような緊張がはしる。

状況は二対一。相手が二で自分が一。

相手は人離れした身体能力と銃撃程度では傷つかない体を持ち、しかも艤装という軍艦の力を引き出せる物を持っている。

対する自分は素手。任官にあたり軍刀は支給されたが、この状況では抜刀より相手に抑えられる方が早いだろう。

 

「おとなしくしてもらうわよ」

 

どうして、こうなった

 

少し前

僕はイフの案内のもと、鎮守府を歩いていた。

 

 執務室は第一棟の3階、階段上って三つ目の部屋です

 

それにしても結構広いな。僕の通ってた大学の数倍はある。

 

 横須賀鎮守府は敷地面積でいうと日本最大です

 

そんな場所に任官させてもらえるとは、光栄だね。

ん?あそこにいるのは白露と曙か?

 

 はい、白露型一番艦白露と、綾波型八番艦曙です

 

うぉぉぉおおお!初めてのリアル艦娘!最高だ!

早速話しかけてみるとしよう!

 

「ん?何あんた」

 

「こんにちは。僕は今日からこの鎮守府に着任する雨晴です。よろしくお願いします」

 

「ふーん、新しい提督ってわけね。それで、何か用?」

 

あ、やっぱこの世界でも曙のファーストコンタクトは当たり強いのか。

まぁ彼女は練度最大にしても結婚(仮)しても「クソ提督」呼びしてくるし(まぁ、後ろに♡はつくが)、平常運転だろう。

だがもう一人の艦娘……白露型いっちばーん艦がやたらこっちを凝視してくる。

これが漫画ならじーって擬音が付きそうなくらい見てくる。

しかも何か言うわけでもなく……なんで?

 

「いや、見かけたので声をかけただけだ。用は特にない」

 

「あっそ、あたしたちは忙しいから。もう二度と声かけてこないでね、クソ提督」

 

ん?当たり強すぎじゃね?

ゲームの曙もここまであたりは強くなかったような……?

あと、白露がまだこっち見てくるんだけど!

こんな世界だから、艦娘の性格が多少変わってるのか?

いや、曙はわかるが白露はどうにもおかしい。

 

「も、もしかして?いや、でもそんなはずは」

 

とかずっとつぶやいてるし。

曙も白露の行動を不審がっているみたいだし、どうやらこの世界での白露がこういう性格というわけではないらしい。

ん?なんか手のひらに書いて飲み込んでる。

あ、何か決意めいた顔してる。

 

「て、ててて提督!あの!その!えっと………て、手を!触っても………いいでしょうか……?」

 

いきなりこの子は何言っているのだろうか?

曙もめっちゃ驚いた顔してるし、俺自身驚いている。

まぁ、触られて何か問題があるわけではないので、快く答えるとしよう。

 

「本当ですか!ありがとうございます!失礼します!」

 

白露は僕の手を取ると、ペタペタと、子供が初めての物に触った時のように、僕の手を触ってくる。

触りながらも、『ふむ……』『これは……』『やっぱり……!』などと喋っている。

その状況を見ていた曙は唖然としていた。

まぁ、僕も正直驚いてる。

ゲームでの彼女は元気溌剌な少女で、何でも一番になりたがる少女だ。

しかし他人との距離は心得ており、過度に近づくことはない(仲良しな相手に対してはものすごく近づくが)。

すくなくとも初対面の人に対しいきなり手を触ってくるような子ではなかったと思うが……

 

バタッ

 

バタッ?

いったい何の音だ?

そう思ったがすぐ目の前に原因があった。

 

「し、白露!?どうしたの!?」

 

唐突に、白露が倒れたのだ。

曙は白露に駆け寄り、声をかけ続けている。

とうの白露は、白目をむいて泡を吹いている。

曙は白露が死んでいないこと、気を失っていることを確認すると、すぐさまこちらに視線を向けてきた。

 

「ちょっと、貴方白露に何をしたの!」

 

何をしたと問い詰められても、もちろん何もしていない。

手を触らせろと言われたから手を差し出しただけなのだが……。

 

「そんなわけないでしょ!」

 

えぇ……。

でも本当に何もしてないし……どうすればいいんだ?

 

「曙、何があったの?」

 

ん?この声ってまさか……

 

 はい。大淀型一番艦大淀です。

 

マジで!よっしゃ!大淀といえば冷静に物事を見てくれる知的キャラ。

この状況も事細かに説明すれば何とかしてくれるかも!

 

「大淀!ちょうどよかった、こいつを捕まえて艦隊司令部に送り返すわよ。

いったい何をしたのか分からなかったけど、こいつと会った時から白露の様子がおかしくなって、さっき急に倒れたのよ!」

 

「なるほど、そういうことですか」

 

ん?大淀の目がなんか急に鋭くなったような……

ま、まぁとりあえず真実を話して、誤解を解くとしよう。

 

「いや違います。白露が「あなたの話は、あなたを拘束した後に聞くことにしましょう」

 

………え?

ん?大淀ってこんな人の話聞かない子だっけ?彼女は基本理知的で、合理主義的な考え方を持っていると持っていたのだが……

え?問答無用で拘束してくるような子だったっけ?

 

「おとなしくしてもらうわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、今に至る。

 

ちょっとまずい。いや、ちょっとじゃない、かなりまずい。

僕の知る限り『あなたを拘束してから聞くことにしよう』とか言ってくるやつで、話聞いた後に消されてないやつ知らないんだけど。

CQCはイフの補佐を借りれば負けることはないが、仮にここで彼女たちを武力で制圧した場合、この鎮守府での僕のイメージ像が暴力主義的な人になってしまう。

それは信頼関係を構築するうえで非常に邪魔な障害となってしまうだろう。

というか軍艦を身に纏い戦う彼女らに、技術で勝っても力で負ける可能性が高い。二対一だし。

となると説得で解決したいが……話し合いに応じてくれる雰囲気じゃないしな。

イフ、この場を切り抜ける方法とかあるか?

 

 帽子を取って、謝罪することを提案します。

 

え?それで行けるの?相手話聞いてくれないんだけど?

 

 大丈夫だ、問題ない。

 

それ、大丈夫じゃないやつだよね!?

うぅ~……いや、もういい!やるだけやってやる!

帽子を取って、深呼吸をする。

曙と大淀、それぞれを見つめ、頭を下げ……

 

「なんかすみませんでした!!!」

 

今日一番の声を出し、腰を曲げ、頭をたれ、謝罪をする。

おそらくこの建物中に響くだろう程の声を出した。

頼むよイフ、これでだめだったら二日くらい無視するからね!

 

バタッバタッ

 

ん?倒れる音?なんかデジャブ。

下げた頭を上げ、二人を見る。

 

「どうして……どうしてこうなった!」

 

目の前には白露同様、白目をむいて倒れた二人がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝起きて、朝食を食べ、近海の哨戒任務をこなし、昼食を食べ、演習をこなし、夕食を食べ、眠る。

いつも通りの日々、変わらない日々。

そんな日々の繰り返し。

ただ今日は新しい提督が来る日。

変わらない日々が、変わるかもしれない日。

前の提督は最低な人だったけど、今回の人はどうだろうか。

大淀さんや明石さんは『どうせろくなやつじゃない』とか言ってたし、妹たちもあまりよく思っていないみたいだった。

もし本当にそうなら。妹たちに被害が出る前にお姉ちゃんとして適切に対応しなくちゃ。

 

そう、思っていたけど………

 

「こんにちは。僕は今日からこの鎮守府に着任する雨晴です。よろしくお願いします」

 

なにか、違う。

提督を最初見たとき、思ったのはそんなことだった。

帝国軍将校の衣装を身に纏い、腰には刀を持っていて、見た目はまさしく海軍提督……なんだけど。

ただひたすらに、強い違和感を覚えた。

その正体にはすぐに気づいた。

なぜかあたしは、この提督に対し、忌避感も嫌悪感も抱いていないのだ。

前の提督と同じ服装、前の提督と同じ職柄、そして帝国軍人。

それだけで嫌ってしかるべき、だというのに……

 

「ふーん、新しい提督ってわけね。それで、何か用?」

 

曙ちゃんは一切気づいていない様子だし、もしかしたら思い過ごしかもしれない。

でも、彼女……提督は、信用できる気がする。

なぜそう思うかはわからない。

雰囲気だろうか?

いや、それなら曙ちゃんもそれを感じ取るはずだ。

であれば、口調?

いや、口調は丁寧だが、それは信用できる材料たり得ない。

 

「いや、見かけたので声をかけただけだ。用は特にない」

 

「あっそ、あたしたちは忙しいから。もう二度と声かけてこないでね、クソ提督」

 

……もしかして、提督って男の人なのかな?

仮にそうなのであれば、提督はおそらく、前に村雨が話していた転移人なのかも?

この世界において、男の人は希少な存在。

仮に本人が軍人の道を進もうと志しても、100%後方の安全職に就くため、鎮守府に着任することはできないらしい。

だというのに、鎮守府に着任するということは、おそらくこの世界の人ではないのかも。

もし本当にこの世界の人ではないのであれば、派閥は無いし、信用できるかも。

でも、これは提督が本当に男の人でないと成り立たない……

それに、私は男性を見たことがない……というか、艦娘は皆男性を見たことがないんじゃないかな。

だから、提督が男性か否か、あたしは見た目じゃわからない。

 

………触ってみたらわかるかな?

 

前に読んだ漫画では、男の人は女の人に比べて、指が太いとか書いてあった気がする。

あと漫画の男の人はやたら優しい人が多かった!

 

提督の顔を覗く。

帽子を被っているため、顔はよく見えないが、どこか優しい表情をしている気がする。

 

あとは手の平か……

 

でも、初対面の相手に手を触らせてなんて私、言えるかな?

い、いやいや!こんなところで日和っちゃだめだ!女気を見せないと!

 

艦と手の平に三度書き、飲み込む。

深呼吸をして、落ち着く。

大丈夫。行ける。

 

「て、ててて提督!あの!その!えっと………て、手を!触っても………いいでしょうか……?」

 

それを聞いた提督は軽く微笑み、手を差し出し、一言。

 

「僕の手でよければ、どうぞ」

 

帰ってきたのは優しい対応と、快い返答だった。

 

「本当ですか!ありがとうございます!失礼します!」

 

そう言い、彼女の手に触れる。

手袋越しでもわかる暖かさ。

手袋越しでもわかる大きさ。

その感覚を感じるとともに、疑惑は事実に代わる。

 

思った通り、提督は男の人!それなら信用できるし、もしかしたらこの鎮守府を助けてくれるかもしれない!

 

白露は提督の手を触り、その感触から提督は男性であると確信した。

そしてそれと同時に、今の自分の状況を顧みてしまった。

初対面の人にいきなり触らせてと言って触っているという痴女まがいのことをしている状況を。

しかも同性ならいざ知らず、それを異性に対しやっている事実を。

 

あ、あれ?あ、ああああたし!今すごくえっちな子になっちゃってる!?

よ、よくない!これは非常によくない!とにかく謝らないと!あ、でも、男の人だって思うと……

しゃ、しゃべれないよぉ~。

 

そして白露は倒れた。

数分後、同じように提督が男性であるという事実に気づき曙と大淀が倒れることとなる。

そう、この世界の艦娘は、男性に対し異様なほど免疫が低いのだ。




視点飛び飛びで申し訳ない。
それと誤字があったら申し訳ない。
気づいたら直しておきます。
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