イフから汚職に関して詳しい情報を聞いていたところ、どうやら汚職が進んでいるのは
他の鎮守府について聞くと、どうやら僕と同じ別世界から転移した提督たちが管理しているようだ。
そんな簡単に転移してきた奴らを提督にしていいのかと聞いたら、必然的にそうなったとのこと。
元々の提督職は人気が高かったようだが、現在の職務体系はかなり不人気らしく、適正も必要になったことから競争率も落ちたらしい。
ちなみに以前の提督職は倍率でいうと8,000と、どこぞのアイドルオーディジョン級の値を叩き出すほどに高かったとか。
まぁそんなわけで不人気+適正必須で希望者が低迷、結果別世界から来た適正の高い者たちが任命されたんだと。
そして転移組は軍部の派閥にとらわれないため、鎮守府においては軍隊からの影響力が低下し、汚職も拡大しなかった。
ただ、横須賀に関しては帝都を守る砦であることから海軍の直轄として管理するとした。
その為他の鎮守府で影響力を失った軍部は横須賀に執着するようになり、他のどの鎮守府よりも成果を上げようと躍起になる。
結果、無理な行軍に理不尽な命令、人命軽視と、さながらブラック企業のような環境となった。
で、そんな職場環境に艦娘たちが反発して提督解任。
管理者がいなくなったことで資源の中抜きなどがしやすくなって汚職が拡大したと。
………それにしても拡大しすぎでは?
他鎮守府での中抜きなどが厳しくなったため、横須賀に狙いを定めたためと考えられます。
そうはいうがこれ、国内だけで治まるのか?
資源を中抜きして、中抜きした資源を他鎮守府に販売しているとかであれば理解できなくはないのだが、
この顧客リストとかいうの見ると、国外に売ってない?普通に国家に対する裏切りじゃん。切腹ものだろこれ。
現在の大日本帝国において、切腹という刑罰は存在しません。
精々射殺とかの死刑程度でしょう。
そういう事じゃなくて……まぁいいや。
それよりもイフ、僕がこの鎮守府の全権を握り、横須賀から汚職を消し去ろうとしているわけだけど、
どの程度の抵抗が考えられる?
情報部に勤めている者たちから偽情報が送らる可能性、虚偽の噂を流される可能性は高いと考えます。
場合によっては暗殺もあり得るかと。
偽情報に踊らされて僕が失敗すればよし、しなくても虚偽の噂で僕の評判を落とし、提督から退かせたいという事か。
それでもだめなら暗殺って、僕が思ってたよりこの世界ってヤバイ?
やばい
やばいかぁ……。
情報に関してはどうにかなるだろうが、そのほかが問題だ。
特に偽の情報というのは厄介だ。
なんせ僕はこの世界の人間じゃない。
故に戸籍もなく経歴も不明。
でっちあげるのは簡単だ。
早いうちに手を打ちたいが、現状では厳しいだろうな……
まぁ、元帥が何とかしてくれると信じておくとしよう。
面倒ごとは他人に丸投げすればいい。
それよりも、喫緊の問題は今後どうするか、なんだよな。
大淀は未だ眠ったままだし、僕は未だ不審者だ。
どうすっかなぁ……
こちらに向かってくる気配を感知しました。
え!?なんで急に……あ!?
そうか、さっき大淀が起きたってことは、時間的に白露たちが目覚めていてもおかしくない!
クソッ!ここは三階だ。窓から逃げることもできない。
チェックメイト
お前が言うの!?じゃなくて!何とかしてよイフえもん!
落ち着いて対応すれば問題ないかと
落ち着いて対応できる状況でしょうか!?
僕の状況、客観視三人を気絶させて一人を拉致った不審者だよ!
敵国のスパイとか言われても否定できないぐらいに状況証拠そろってるよ!
安心して下さい。この国の法では敵国のスパイでも処刑できないようにされています。
拷問などはあるでしょうが
じゃあ駄目じゃないかなぁ!?
そんなこんな僕が脳内で右往左往していると、ついにドアをノックする音が聞こえた。
僕は今日2度目の覚悟を決め、堂々と入室を許可する。
邪魔するでぇ!という声とともに入ってきたのは龍驤一人。
胸部装甲がフルフラットとしていじられることに定評のある軽空母だ。
なぜ一人で?
普通に彼女達からすると僕は警戒対象。
複数人で乗り込むもんじゃないの?
警告、外にも複数人の気配があります。
なるほど、一人だと思わせておいて、僕が油断したら襲撃するのか?
いや、僕が暴れだしたとき用の対抗措置の可能性もあるか?
いずれにしても警戒した置いた方がいいな。
「龍驤か、何か用か?」
「お、ウチの名前を知っとるんやねぇ
もしかしてキミの居た世界ではウチって結構有名なのかな?」
転移者であることがばれている!?
い、いや、それは問題ない。ばれたところで何の問題もない事項だ。
だが、相手が僕に関して何らかの情報を持っているという事が明らかになった。
これはもしかして……警告か?
お前の情報は割れているからおとなしく全部話せてきな?
ふ、フフッ、怖い。
だが、ここはあえて気づいていないようにふるまうとしよう。
相手にこちらの動揺や焦りは見せたくない。
もしかしたら僕が転移者であるという事以外知らない可能性がある。
それなのに動揺を見せれば、僕に後ろめたい事情があるといっているようなものだからだ。
ハッタリに騙せれてはいけない。
「まぁそうね。船体の形とかの話で有名だよ」
「せやろ、サカバンバスピスの口みたいなで有名やろ?」
「逆三角形としては有名だけど、サカバンバスピスの口みたいという話は聞いたことがないな……」
相手も動揺はしていないな。
僕が気づかないふりをする事は読まれていたのか?
いや、聡い彼女のことだ。把握していたに違いない。
であれば、次も何か仕掛けてくるはずだ。
「あれ?聞いたことないんや。心愛はサカバンバスピスみたいで有名いっとったんやけどなぁ」
ここあ?誰?
そんな奴僕は知らな……もしかして、某こころがぴょんぴょんする漫画のあの子か!?
だとすると、この発言は僕がオタクか否かをあぶりだすための物か?
いや、だとしてもなぜそんなことを?
もしかして、前の提督がオタクだったから、オタクは殺す的な!?
現代では意味がかなり柔らかくなりつつあるオタクという言葉だが、この世界ではまだ差別的、蔑称的意味合いが強いのか!?
で、であれば僕は知らない体で対応すべきか?
「ここあとはだれだ?」
「知らんのや。まぁ着任したばっかやし、そないなこともあるか。心愛っちゅうのは舞鶴の提督や。
キミと同じ転移者らしいで」
こ、これはミスったか!?
おそらく、今のは僕が本当に提督なのかを確認するためのもの!
『提督だというのに、他の鎮守府の提督すら知らないのはおかしい=こいつ提督じゃない。
よし、捕まえて尋問しよう』
ということか!?
まずいまずいまずい!
一対一ならばともかく、多対一は勝ち目無いぞ!
イフ、廊下に何人居るかわかるか?
数17。戦艦4、空母2、軽空母1,重巡1、軽巡1、駆逐4,潜水3,工作1です。
龍驤含めて計18、三艦隊分か。
もしかして提督着任ってこの鎮守府にとっての大規模作戦か何かなのか?
戦艦4とか支援艦隊でも組むの?てか17人もいるとか何?暇なの?しかも明石までいるし!
空母2+で軽空母とか航空戦力も意識してるし、何?僕が艦載機飛ばしてくるとか思ってんの?
これだけの戦力を用意されるとか、何もんだよ僕。
あ、そういや僕白露と曙気絶させてたわ。そりゃ警戒されるか……
いやにしても過剰!
「そうなんだね……」
死中に活を求めよとは誰が言ったことだったか。
まぁきっとその人はこんな状況に陥ったことがないんだろうな。
戦力格差、人材ゼロ、物資ゼロ、武器は刀一振り。
これがゲームならクリア者ゼロ攻略不可勝ち目無しのクソゲーに違いない。
攻略サイトにディスクを取り出して叩き割りましょうとか書いてあることだろう。
「にしても……ほぅほぅ」
龍驤が僕を品定めするかのように見てくる……。
なるほど、これが蛇ににらまれた蛙、蜘蛛の巣に捕らわれた虫の気持ちか。
できるのであれば、一生知りたくはなかった。
龍驤は未だ片手を腰に手を当て、もう片方の手を自身の顔に、そして前傾姿勢でずっとこっちを見ている。
普段なら可愛いと思えるはずなのに、恐怖しかない。
「な、何?急にじっと見てきて」
「いやぁ、やっぱほんとに男なんやおもてな」
「男ってそんな珍しいもんなの?」
「せやで。なんせ軍隊に男の入隊が認められるようになったのなんて20年前からやで。
艦娘になるような子はみんなかなり前に作られた子やし、男なんて見たことあらへんもん」
「なるほど」
そういえば男は珍しいのだったな。
であれば希少性の観点から生き残れないか?
いや、それで生き残っても人権なさそうだな……
僕はこの世界の人間ではないから法律は適用されないとか言って好き勝手される可能性もある。
そうならないために僕がすべきことは、信用を勝ち取ること。
すでにかなり危うい状況ではあるが……大淀と異なり龍驤は僕の話を聞いてくれる。
不可能ではないはずだ!
「そんなことより、何の用事で来たか話してもらえる?」
「あぁ、せやったせやった。白露から聞いた話だと、キミが一人で歩き回っとったとか聞いてな。
まだ鎮守府の案内とかうけとらんおもて」
「その案内をしに来てくれたってこと?」
「せやで。引継ぎとか、業務内容とか、わからへんことも多いやろ。本来なら大淀が適任なんやけど………ダウンしてるみたいやし」
龍驤は話しながらソファーを一瞥し、あきれたように溜息を吐いく。
これは……鎮守府を案内するという名目で僕を連れまわし、隙を見て拘束するつもりか?
だとしたら、ついていくのは危ういだろう。
しかし、ここで断ってもいいものなのか?
外には数多くの艦娘、そしてここ第一棟三階は鎮守府の中心的場所。
脱出と逃走はかなり厳しいだろう。
従うのが賢明か……
「そうだね。お願いしてもいいかな」
「勿論や!」
龍驤は執務室のドアを開け、僕を招こうとした……が、ドアを開けた瞬間、雪崩のように艦娘が部屋に流れ込んできた。
おそらくドアに張り付いていたのだろう。
某高速戦艦が最初に倒れこみ、その上に他の艦娘が重なっていく。
そこには艦娘の山が出来上がった。
「へ、へぇ……随分、変わった、歓迎……だね………」
そんな漫画みたいな展開あるの!?
ドアに張り付いいて聞き耳とか、それでドアが開いて流れ込んでくるとか、想定してないよ!?
さすがの僕でもこれは動揺を隠せないよ!?
「ちょ!キミ達なにしとるん!?」
どうやら龍驤にとっても想定外らしい。
……という事は、龍驤が僕をおびき出して、隙を作り拘束するというのはなさそうだな。
とりあえずのところ、龍驤は信用してもいいのかもしれない。
てか、どうすればいいんだ?あ、とりあえずあいさつでもしとくか。
「えっと、とりあえず始めましてだな。
司令部の勅令に基づき、この横須賀鎮守府に着任した雨晴だ。
提督としての正式着任は初めて故、至らぬ点もあると思うが、よろしく頼む」
僕が挨拶をすると、執務室はなぜか静まり返る。
………なんで、誰も何も言わないんだ?
てか、何で皆僕の方を見るんだ!?
沈黙が、辛い………
一方艦娘の心境
『普通、この状況で挨拶する!?いや、せぇへんやろ!』
『ぼ、僕、男の人の声、初めて聴いたかも……』
『てーとくの声、ここちいいでち……』
『ぬー!ふぬー!提督にバーニングラブを伝えたいのに!下敷きにされて身動きがトレナイヨー!』
以下略
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………これは……僕が悪いのか?
なんか、そんな気がしてきたな……
「さ、さて!龍驤、案内をおねがいしてもいいかな!」
辛い、消えたい……とにかくこの場から離れたい……
てか、この子らは何で動かないの!?
「そやな。まぁ案内はしたる。けどその前に……明石!」
「へっ!?ひゃ、はい!」
ドアの陰から明石が飛び出してきた。
「………やっぱり、おったんやな。
この子ら何とかしといて。ウチには用事があるんや。」
「わ、わかりました!」
凄い、明石の腰がめっちゃ低い。
龍驤、もしかしてこの鎮守府で結構地位高いのか?
艦隊司令部にて
「元帥、本当によろしいので?」
私の決定に、中将が再度確認を取る。
だが、私の意思は変わらない。
これは決定事項だ
「ですが、これはあまりにもリスクが」
彼女の言う通りだ。だが、リスクを考えていては変わらない。
体制の維持というのは聞こえはいいが、用は緩やかな退廃だ。
「おっしゃる通りです。しかし、いささか急進的すぎるのでは?」
かもしれない。でも、ここでやらなければ、貴重な人材を手放すリスクもある。
資源も乏しく、国力も低迷、経済力も緩やかではあるが、確実に落ちていく。
私たちは賭けをしなければならない
あの太平洋戦争のように、一か八かの賭けを、不十分な備蓄を使い、勝ち、前に進まなければ。
私たちの活路は、前方にしかないのだ。
「………分かりました。では、このまま進めさせていただきます。失礼いたします」
………中将の懸念は、最もだ。
恐らく私は権力の濫用だとして、後ろ指をさされるだろう。
最悪、殺されてしまうかもな。
申し訳ないという気持ちは、まぁあるんですよ。
ほんとうに、あるんですよ。
じゃあ早く投稿しろって話ですよね。
すみません。