機竜戦騎Dragon&Dragoon 〜序盤で倒される悪役に転生したが、主人公達が弱すぎる!?〜 作:兵庫人
栄人が光装竜が出現するとされる北の山岳地帯へ行くことを提案し、それにヒカルとミサキ、そして引率役であるタツミも同意すると、栄人達は自分達のモンスターを召喚して北の山岳地帯を目指した。
それから三時間後。周囲の景色が草原から高い山々が並ぶ景色に変わると、栄人達は自分達が乗っているモンスターの足を止めて周囲を見回した。
「周りの様子がだいぶ変わってきたが……ここがお前の言っていた所なのか?」
スターズ・レッドの背中に乗ったヒカルがヴォルダイブ・ザイラーの背中に乗っている栄人に聞くと、栄人は前世の知識にあった情報と周りの景色を照らし合わせてから頷く。
「……ああ、そうだ。詳しい場所は分からないが、確かに光装竜はこの山岳地帯に出現するはずだ。……それよりも」
ヒカルの質問に答えた栄人は、ヒカルの後ろでスターズ・レッドに乗っているミサキと、自分の後ろでヴォルダイブ・ザイラーに乗っているタツミに視線を向ける。
「紫宝院先輩とミサキはどうして自分のモンスターを出さないで、俺達の後ろに乗っているんですか?」
「えっと……? 私は紫宝院先輩に出さなくてもいいよって言われて……」
「あら、そうじゃない? 十輪寺君と虹城君がモンスターを出すのだったら私達がモンスターを出す必要はないでしょ? それに移動中に野良のモンスターに襲われた時のことを考えると、すぐにそのモンスターと相性が良いモンスターを出せるように、私達はモンスターを出さない方がいいでしょ?」
タツミの言う通り、現実のモンスターの戦闘はカードゲームのように攻撃力と防御力、特殊能力の性能だけでは決まらず、戦闘に使う技や移動方法に体格などから敵との相性が生じて、この相性は戦闘の勝敗を決める重要な要素となる。空を飛んで上空から攻撃を仕掛けてくるモンスターが現れた場合、こちらも空を飛べるモンスターか対空能力に優れたモンスターを召喚するといったように、いつでも敵と相性が良いモンスターを呼べるように備えていたタツミの言葉は一理あるのだが、栄人の不満はそこではなかった。
「……だったら紫宝院先輩もヒカルの後ろに乗った方がいいんじゃないですか? 俺のパワードスーツって棘だらけで危ないでしょう?」
ゲームのヒロインの一人でありこれから起こる戦いの戦力候補でもあるタツミには、この機会にヒカルと仲良くなってほしいと栄人は思っていた。だから今からでもタツミをヒカルに接触させようと、栄人は自分の全身鋭い棘だらけのパワードスーツを指さしてタツミに言うのだが、彼女は首を横に振る。
「別に気にしないわよ。それにヒカル君のモンスターって明らかに二人乗りでしょ? 私、狭苦しいのは嫌いなの」
「そうですか……。じゃあ、このまま先に……うん?」
タツミには何を言っても聞いてもらえないと判断した栄人がこのまま先に進もうとしたその時、前方から全身が岩のような鱗で覆われた怪獣映画に登場しそうなモンスターが現れた。
「あれは……ストロッグか?」
現れたのは「Dragon&Dragoon」に登場するモンスターの一体で、栄人も前世でストロッグのカードを持っていた。栄人の記憶では特殊能力は彼から見たら微妙であるが、それでも行動に必要なエナジーの量から考えると十分すぎる攻撃力と防御力を持っていて、リーダーモンスターとして使う価値は多少はあるカードだったはずだ。
「あら? 光装竜だけじゃなくてストロッグのことも知っているのね? ……虹城君、赤山さん。運が良いわね。そのモンスターは中々強いモンスターで、カードにしたらいい戦力になるわよ。せっかくだから二人で戦ってみたら?」
「……! はい!」
「わ、分かりました!」
タツミは栄人の呟きを聞いて興味深そうに彼を見た後、ヒカルとミサキにストロッグと戦って見るように言う。タツミの言葉にヒカルは頷きスターズ・レッドと共に戦闘体勢を取り、ミサキも急いでスターズ・レッドから降りて自分のモンスターを召喚しようとする。
「……紫宝院先輩、俺はどうするんですか?」
「十輪寺? そんなの決まっているじゃない?」
元々ストロッグに興味はないため別に戦わなくてもいいのだが、それでも一人だけ名前を呼ばれなかった栄人がタツミに自分はどうしたらいいのかと尋ねると、彼女は意味深な笑みを浮かべてヴォルダイブ・ザイラーから降りる。そして地面に降り立ったタツミは自分の魂からカードを呼び出すと、栄人に視線を向けて口を開いて言い放つ。
「虹城君と赤山さんがストロッグと戦っている間、私と戦ってもらうわよ、十輪寺君!」
「何で!?」
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