ウルトラマンベリアル 作:憲彦
プラズマスパークに触れず、レイブラッドに飲み込まれず、タルタルソースにも会っていないアーリーなベリアル陛下の話です。
深く考える必要のない作品です。頭を空っぽにして軽い気持ちでお読みください。
「あぁ!クソ!イライラする!!」
宇宙を飛んでいたベリアルは、頭を掻きむしりクズ星を破壊しながら1人で叫んでいた。エンペラー星人の仕掛けてきた戦争が終結し、故郷光の国では宇宙警備隊が発足。ベリアルはその創設メンバーの1人として、悪さをする宇宙人や怪獣を倒す日々を送っていた。
だが、かつての大戦を共に戦い、相棒であり親友であるウルトラマンケンとの差は開く一方。確かにエンペラー星人にトドメをさしたのはケンだ。その功績から、彼は警備隊の大隊長に就任。しかしベリアルもその場で共に戦った。にも関わらず、自身は現場の隊員として動いている。戦っていることが性に合っているとは言え、その明らかな扱いの差はベリアルに大きな影を落とした。
そして、最近は実力にまでも大きな差が出てきた。ベリアル自身多くの鍛錬を積んでいる。通常の任務に加え自己鍛錬。現にベリアルの実力は警備隊トップクラスで、ケン以外に負けたことがない。1度たりとも手を抜いたことがない。来る日も来る日も毎日自分を鍛え続けた。それなのに、ケンとの実力差は広がるばかり。その現実に、ベリアルの精神は擦り減り続けていた。
「今日はこの星で良いか」
無人の小惑星に降り立ち、鍛錬を開始する。頭の中で敵をイメージし、実戦を想定した立ち回りをしていく。
(動けている。昨日より確実に⋯⋯なのに、なのに何故!俺はお前に届かないんだ!!)
どうしても埋まらない差にイライラが積もり、全力で岩を殴り付けた。しかし⋯⋯
「⋯⋯あ?」
岩は砕けず、柔らかい感触がベリアルの拳に伝わった。拳の先を見ると、殴ったそれは岩ではなくフジツボのような怪獣、四次元怪獣ブルトンだった。
「ヤベッ────」
逃げるまもなく、ブルトンの生み出したワームホールに飲み込まれ、ベリアルは小惑星から姿を消してしまった。ブルトンも自分を殴った相手がいなくなったことに満足したのか、2回ほどその場で跳ねてから消えてしまった。
「うわぁぁぁ!!しゃらくせえ!!」
全力で光線を放ち、次元の壁に穴を開けて脱出。だが、目の前に広がっていたのは、自分が全く知らない光景の宇宙だった。
「こりゃ⋯⋯随分遠くまで飛ばされたみたいだな。しかしなんだ?この、言いようのない違和感は」
考え込んでいると、背後から聞き慣れた鳴き声がしてきた。振り返ると同時に、その鳴き声の主に体当りされぶっ飛ばされてしまう。その直後、自分がさっきまでいた宇宙との違いに気付いた。
「あぁ。静かすぎるのか。怪獣だの宇宙人だのが1匹もいねぇ上に宇宙船も飛んでねぇから。ベムスターも1匹しか飛んでこなかったし」
取り敢えず、自分をぶっ飛ばしてくれた礼をするために、ベムスターを追いかけて、青い星へと降り立った。
地上はパニック状態。いきなり現れた巨大な鳥みたいな怪物が、町の中心で暴れ回っているのだ。都市防衛に出たであろう戦闘機や戦車が近くにいるが、避難が完了していないためか攻撃できないでいる。その状況に調子に乗ったベムスターは角から光弾を発射。それが逃げ遅れた親子に迫る。
「ハア!」
ベムスターを追いかけてきたベリアルが、光弾を拳で砕いていた。
「さっきぶりだなぁ」
肩と指の関節を鳴らしながら、一歩一歩ベムスターへと近付いていく。本能的にヤバいと感じたのか、ベリアル目掛けて光弾を連続で発射。だが避けるまでもないと全てを身体で受け止められてしまった。
「ッ!?」
「オラッ!」
逃げようとするも既に手遅れ。左手で角を掴まれ、顔に強烈な一撃を入れられる。
「オラオラ!どうした?!準備運動にもなねぇぞ!」
空に蹴り飛ばし、腕を十字に組んで光線を放つ。直後、光線に直撃したベムスターは爆散。肉片1つ残らず砕け散った。
「⋯⋯あ?」
足元を見ると、ベムスターに光弾を撃たれた親子がまだそこにいた。怪我をしたのか子供が蹲り、それを守るように母親が寄り添っている。
「はぁ⋯⋯こう言う技は、マリーやケンのが得意なんだがな〜」
人間サイズに縮み、子供に手をかざす。掌から優しい光が放たれ、みるみる子供の怪我が治っていった。
「これでもう大丈夫だ⋯⋯あ、ヤベ」
カラータイマーが鳴り響き、そのまま倒れて意識を失ってしまった。
(ここの太陽エネルギー、スゲェ弱ぇの忘れてた⋯⋯⋯⋯)
対怪獣用の防衛チーム?登場の予定はないですね。