前回:滑り台でトリックタワー攻略後にヒソカが待っていた。
視線が交わるのは湿原以来だった。私と奇術師ヒソカは見つめ合った。
ジッと私の顔を見てくる。私も、ヒソカを見つめる。
そのまま数秒が経過して、ヒソカが口を開いた。
「ボクは
一言溜めて、ヒソカが私の目を見ながら寂しそうに言った。
「残念だ♦︎ぜひキミと戦ってみたかったのに♣︎」
「私も興味はあった」
でも、湿原で見た時にわかった。ヒソカじゃ私を壊せない。……
だから私はヒソカに首を横に振って答える。私を壊せるのは、ナニカだけだから。
「……そう♦︎」
ヒソカは口元に寂しさを添えて、私から視線を外した。
「──諸君、タワー脱出おめでとう。残る試験は4次試験と最終試験のみ。4次試験はゼビル島にて行われる。では早速だが、これからクジを引いてもらう」
第4次試官のリッポーが説明したのは『狩る者と狩られる者』という試験だった。
残った受験生24名の番号が書かれたクジを全員に1枚ずつ引いてもらう。今から引いたクジで狙うべき番号が決まる。
自分が持っているプレートは三点。ターゲットも三点。それ以外のプレートは一点。
プレートの合計点を六点分集めて、試験の開始地点に戻ってくることが、今回の試験の突破条件だった。
ゴンとキルアの会話を盗み聞きしていたうさぎが呟いた。
『ゴンのターゲットはヒソカみたいだな』
「うん」
『んで、俺たちのターゲットだが……、これどうすんだ?』
私の引いたカード。
そこには
──狩る者と狩られる者。
クラピカは、ターゲットとなるカードを引いた後の船上で1人で行動していた。
これまでの仲間たちとは残念ながら距離を取っていた。いや、キッカケがあれば協力可能なのだろうが、すぐさま合流という訳にはいかない。せめて協力を要請する相手のターゲットを知っておかなければ、声を掛けた相手のターゲットが自分であれば目も当てられない結果になってしまう恐れがある。……我ながら警戒のしすぎでは、と思わないでもないが、警戒せざるを得なかった。なにせクラピカのターゲットは、事もあろうに、その仲間たちの内の1人だったのだから。
4次試験が始まって、クラピカは即座に森の中に身を隠した。
ターゲットはすぐに姿を現した。クラピカのすぐ後にスタートした人物。
──カリスだった。
トリックタワーで見せた圧倒的とも言える頑丈さ、そして最後の分かれ道で見せた、岩の壁を拳一発でぶち抜いて見せた見た目からは想像もつかないほどの怪力。
そのどちらも警戒に値する。
だが決して隙を付けない相手だとは思わない。カリスとて人間だ。食事睡眠、あるいは油断。様々な要因でチャンスは巡ってくるとクラピカは考えた。
この広い島で、1週間という期間で3人の受験生と戦うリスク。
手の内がわかっている相手からプレートを狙うリスク。その両者を天秤にかけて、クラピカはカリスを狙うことを選んでいた。
カリスは迷うことなく森の中を突き進んでゆき、辿り着いた場所は湖畔の辺りだった。
潤沢な水量で、この近くで過ごせば水にも食料にも困ることはないだろう。それほど食性豊かな場所だった。
そんな場所にたどり着いたのだ。さっそくカリスは食事のために狩りを始めるのか、と思いきや、なんと湖の側に座り込んだまま動かなくなってしまった。
(なにを、狙っている? これほど開けた場所であれば、他の受験生からも丸見えだが……)
そこまで考えて、閃いた。
これは釣りだ。自分を囮にして、狙ってきた受験生を一網打尽にするつもりかもしれない。
カリスの見た目は可愛らしい少女だ。クラピカも、一緒に試験を受けた経緯がなければ、その見た目に多少の油断をしてしまったであろうことは否定できない。
だが、しばらく経っても動きはなかった。
当然だ。もしカリスを狙うハンターがクラピカ以外の者だったなら、見た目に油断して即座に仕掛けたかもしれないが、クラピカはカリスの強さを知っている。だから仕掛けない。
故に仕掛けるとすれば、カリスをターゲットとして狙っていない、一点狙いのハンターたちだが、どうやらこの近くには居ないようだった。
(それも当然か……まずは3点のターゲットを狙うのが定石だろう。3点のプレートを得る事が出来れば体力の消耗も抑えられるし、何より奪い返される心配を1人に限定できるのは大きい。この試験の特徴は、一度プレートを奪われても、奪い返す事ができる点にあるのだから)
無闇矢鱈に敵を作りたがるような、そんな者は4次試験に来るまでに落ちているだろう。……ヒソカなどの例外は除くが。
加えて、もしかすればカリスの見た目も油断させるのに大して役に立たないかもしれない。4次試験まで残っているのだから、その実力を過小評価するほど見る目がない者も残っていないと考えられる。
(……となると、これは粘り勝負になるな。カリスが隙を見せれば、積極的に狙っていくべきかもしれない……)
そう思ったクラピカの意思が通じた訳ではないだろうが、カリスが唐突に立ち上がった。
何か動きを見せるのか、と思った次の瞬間、カリスの姿はかき消えた。
(──なん、だと!?)
すぐさまカリスがいた場所を中心に探すが、まるで影も形もない。
(……移動、したのか?)
だがそれはクラピカの考える移動とは次元の違うものだった。
クラピカは油断などしていなかった。しっかりと注視して、隙があれば狙っていくつもりだった。それなのに、カリスは瞬く間に消えてしまった。
圧倒的な、規格外の移動速度だ。
(……これは、想像以上だ。カリスに隙が出来たところで、私がその隙を付く前に、逆に仕留められる光景しか思い浮かばない……)
移動して、別の獲物を探すべきか。あるいはここは水辺だ。新しい受験生が訪れる可能性も高い。しばらくは待機しておくべきか。
そう悩んでいるうちに、カリスがまた戻ってきた。今度はゆっくりとした動きで、しずしずと足音が鳴りそうなほどゆっくりとしたものだった。
(……まるで強そうには見えないのだが、凄まじい擬態だな)
と思ったら、またカリスは止まった。
よくよく見れば何かを話している。……どうやら手元のぬいぐるみに話しかけているらしい。
(ゴンの話では大人、ということだったが、やはり子供なのだろうな)
少し微笑ましく思って気を緩めた瞬間。再びカリスの姿は掻き消えた。
(──ッ!? 今度は、どこに!?)
いま気を抜いていたこともあって、一瞬だけ身の危険を感じた。
すぐさま自分の周囲を見渡すが、カリスの姿はない。ほっと息を吐きつつも、服の下にじっとりとした汗が滲んでいた。
「……カリスがまた戻ってくる可能性がある。しばらく、この場からは離れた方がいいかもしれないな」
カリスが去った場所を改めて見る。
風にそよぐ草木が見えるばかりで、ゴスロリの少女は影も形も存在していなかった。
森の中を移動することは苦手ではない。だが少しだけ表情を険しくさせながらクラピカは進んでいく。
(狙うべき相手は……、そうだな。情報がない。手当たり次第に狙う、などというハイリスクな行動を取るならば、ターゲットの確認をした後ではあるが、プレートを守るための仲間を募るのもいいかもしれな──)
「こんにちは」
クラピカが考えていた瞬間には、気がつけば、目の前にカリスが立っていた。
「か、カリス?」
「うん」
平然とした調子で、カリスは頷いている。ぞくぞくぞくと鳥肌が立った。
(凄まじい速さ……!! 身体能力が異常だと、トリックタワーの時点からわかってはいた。先ほどの移動も然りだ! だが、まさか目の前に姿を現されて、尚もここまで不意を突かれるものなのか……!)
二度も事前に見たというのに、だ。そして三度目の移動をこうして目の前で見せつけられた。
とても敵う相手だとは思えない。だがそれでも、クラピカには譲れないものがある。努めて冷静に、クラピカは息を一つ静かに吐いた。
(落ち着け。戦いが始まれば私に勝ち目はない。だが交渉材料となるプレートは私にとって三点になるプレートのみ。……それでも、ここで脱落するよりも、プレートを渡す代わりに無傷での離脱を狙うべきか?……いや、その手を使えば合格はもはや不可能。他のカードでこの場を凌ぐ必要がある……)
様々な可能性が脳裏を駆け巡る中で、それでも引っ掛かるのは彼女が挨拶をしてきた点だ。
(何故、わざわざ私に声をかけた? プレートだけを狙うなら、不意打ちもできたはずだ。彼女の速さならば、私に気取られる前に事を済ませることが出来ただろう。……理由があるな。私に意識があった方が都合が良かった? 会話の中でマウントを取るつもりか? いや、彼女と行動したのは僅かな時間だが、そういう趣向を持つ人物だとは思えない。ならば、何故だ、何故、私の意識を刈り取らなかった)
「カリス。私の実力では、君に敵わないかもしれない。事実、こうして目の前に姿を現される瞬間まで、私は君が近づいていることすら気づけなかった。しかし疑問が残る」
時間を稼ぐために内容のない言葉を紡ぎながら、クラピカは脳裏で思考を組み立てていく。
(……考えられるのは情報。自分のターゲットが誰なのか、もしわからないなら、会話から情報を得ようとすることは十分に考えられる。その場合は、彼女との交渉のテーブルにプレートの情報というカードを乗せることができる。または仲間を探しているか。彼女の実力があれば仲間など足手纏いにしか思えないが、それでも多人数で警戒できる利点は非常に大きい。この試験が終了する日時までは、事前にプレートを集め終えても安心は出来ないからだ。相手が信頼できるのならば、プレートを守り抜くために手を組むメリットは大きい。……これか? しかし……)
半ば勘ではあるが、クラピカはこれがカリスの目的である可能性が高いと感じた。だが困惑もある。
「プレートを狙うのなら、君ならば不意打ちをするだろう。だが君は私を攻撃しなかった。ならばそこに何か理由があると私は考えるが……どうだ?」
「……そう。正解。仲間になってほしい」
想定していた答えが返ってきたことで、手応えを得る。だが同時に強く困惑する。この試験のルール上、クラピカを仲間にするメリットは限りなく薄いからだ。
「なるほど。私としては願うべくもないの提案だな。……だが解せないのは、私のターゲットがカリス、君であることは理解しているのだろう? 何故、君のプレートを狙う立場である私を、仲間に引き入れようとするのだ」
そう、そこが最大の疑問点だ。
カリスはクラピカを仲間に誘ったが、その時点でカリスのプレートを狙うことが出来なくなったクラピカは6点を集める事が困難になる。ターゲットではないプレートを三つも狙う必要性が出てくるからだ。だがそれもカリスの実力を考えれば容易に達成できそうな気もする。しかし絶対はない。加えてプレートが集まらずに試験終了間際になってしまえば、クラピカが一か八かの賭けに出てカリスのプレートを狙うことも考えられる。もちろんクラピカにそんなつもりは毛頭ないが、自分がそこまで信頼される理由がないと考える。……クラピカからすればメリットしかない。だからこそ疑わしく思う。
チームプレイの重要性は理解する。
だがそうだとしても、今回はそれ以上にクラピカにはメリットしかなく、プレートを巡るライバル関係であるカリスからすれば相対的にデメリットが上回る筈だ。それ故の当然の疑問だったが、カリスは少し躊躇して、それでも口を開いた。
「……ここで話すことは内緒。それでいいなら話す」
「わかった。決して他言しないと誓おう」
「うん。私はキルアと行動したい。そのためなら私はこの試験に落ちてもいい。だから私のプレートはクラピカに渡してもいい」
出てきた言葉は、謎だった。
「なに?」
「でも一つ問題がある。最終試験の見学はしたいから、レオリオのプレートが必要」
「待て。話が見えてこない。経緯から順番に話してくれ」
「わかった」
思わず掌で会話を止めたがカリスは気分を害した様子もなく頷いた。そしてクラピカは事情を聞くためにカリスの話に耳を傾けるのだった。
──試験が始まってすぐの、ゼビル島の森の中。
私は湖の前に腰掛けている。水面は静かで時折魚影が見えた。キーキーと野鳥たちが囀る声が響いていて、木々のざわめきは心を落ち着かせてくれる。今はまだ4次試験初日だけど、こうやってボーッと座っているのは
レオリオからプレートは奪えない。彼が原作からいなくなったらあまり良くないと思う。適当に三人狩るのも、あまり気が進まない。誰が最終試験に進むのか覚えていないから、ズレてしまいかねない。最悪はそうするけど、別の方法があればそっちを選びたい。かと言ってこの試験を落ちて終えば、最終試験には行けない。つまり、原作組についていけなくなってしまう。それは困る。
──だから、狙うのは裏口合格。
「……うん。『わかる人』に聞いてみよう」
振り返って、ある一点を見つめる。
森の中。私を4次試験開始時点から見張っている人を見つめる。
逃げられたら面倒だから、少しだけ、本気を出そう。
「うさぎ」
『ああ、振り落とされねえよ』
腕の中のうさぎが、私の腕をぎゅっと掴んだ。
それを確認してから私は全力で一歩を踏み出す。
音を置き去りにする速度で風景は変わっていく。目の前を通り過ぎる木々にぶつかることもない。風のようにすり抜けて、あっという間に目的地に辿り着いた。
「……は?」
そう呟いたのは黒づくめのスーツを着た男だ。半ば唖然としている。
「聞きたいことがある」
「な、なんでしょうか」
「例えば、あなたの服を剥いだとして、それはプレートの代わりになる?」
無言の間があった。理解し難い何かを見つめながら、真顔の黒服が首を傾げた。
「なりませんけど?」
「……ダメ?」
「ダメですね」
「……なら、生首とか」
「バイオレンスですね。なりませんよ、なる訳ないじゃないですか。仮になるとしてもこの状況で、はいって言う訳ないじゃないですか」
「でも、あなたをこうして捕まえてる。これはポイントになるはず」
「なりませんよ?」
「……ならない?」
「はい。ルールはリッポーが説明した通りです。裏ルールはありません」
「……そう」
「そうです」
呆れたような、困ったような、微妙の表情の黒服と見つめ合う。
「あなたの実力なら、ターゲットが不明でも三点を集めることは簡単でしょう。私は受験生との接触を推奨されていませんので、他に質問がなければ失礼させて頂きたいのですが」
「……」
無言を肯定と受け取ったのか、一礼した後に黒服は去っていった。
うさぎが言う。
『いまの問答に、意味はあったのか?』
ない。
ないけど認めるのは癪だった。
「つぎは試験官を脅す」
『引っ込みつかなくなってんじゃねーか。可哀想だろ、脅すなよ』
「大丈夫。命の方が大切ってわかってくれる」
『そりゃそうだろうが、それって失格にならねえ?』
「……」
『考えてなかったのかよ……。てかたぶんこの島に試験官はいねえぞ』
やれやれとうさぎがコミカルに肩をすくめた。
『思ったんだが、別に合格する必要はないんじゃねえか?』
「どういうこと?」
『俺たちの目的はキルアってやつと仲良くなることだ。ならこの試験に受からなくても、最終試験だけ見学させて貰えばいいじゃねーか』
「……そんなこと、出来るかな」
『ネテロ会長に頼んでみろよ、意外とオッケーしてくれるんじゃないか?』
「私、あの人は苦手」
『初対面だろ。てか苦手とか言ってる場合じゃねーだろ? それが無理なら、適当に3人狩るしかないな』
そう言われたら、確かにそうだ。でもここで私が狩ると原作が大きく変わってしまう気がする。それは避けたい。
「……うん。声掛けてみる」
『ま、やるだけタダだからな』
気がつけば湖畔に戻ってきていたけど、少し緊張しながら、私は再び黒服の男の元に走った。
物凄く困惑しながら無線でネテロ会長の側に付いている審査委員会に聞いてみてくれることになった。迷惑かけてごめんなさい。
「──最終試験を見学したい?」
飛行船内部の自室で、ネテロは書道をしながら聞き返した。困ったように頷いたのはビーンズだった。
「はい、どうやら受験生の1人が、ハンター試験並びに4次試験を辞退してもいいから最終試験を見学したいと申し出ているようでして……」
「ほー、それはそれは。向上心があるのかないのか、わからんのー」
まったくです、と同意してビーンズはため息を吐いた。
「どうやら彼女は念能力者です。うちの監視要員も容易に捕捉されて拘束されました。随分とお強いみたいですね」
「ふむ。ならば尚更じゃ。なぜ最終試験に拘るのか不思議じゃな。それほどの実力があるなら、4次試験は突破できないものではなかった筈じゃが」
「その通りです。ですので、我々も困惑しているのが正直なところでして、そもそも特例なんて私たちの一存で決められませんし……。会長、どうしましょうか?」
「ふーむ。ま、いいんじゃね? 合格じゃなくて、ただの見学じゃろ?なら構わんじゃろう。ソイツとも面談してみてーし」
「はぁ、わかりました」
面談が会長の目的だろうなー、と思いながらビーンズは頷いた。
「ワシの裁量が優先されるのが、ハンター試験の良いところの一つじゃよ」
お茶目にウインクを決めて見せたネテロ会長に、審査委員会のビーンズは困惑しながらも改めて頷く。
「ではさっそく──」
「──ただし、一つだけ条件がある」
ニヤリと笑いながら、ネテロは続けた。
「自分のプレートは失って構わん。じゃが、ターゲットのプレートは確保しておくこと。それが条件じゃ」
楽しげに笑いながら、ネテロは少年のように瞳を輝かせて顎ヒゲを摩った。
「──だから苦手だって言ったのに」
『まあ、今回ばかりはオレ様も予想外だぜ。一番避けたいとこをピンポイントで突いてくるなんてな。あのジジイ妖怪か?』
ケッと吐き捨てて言ったうさぎに思わず同意して頷きを返す。
ともあれ、これでレオリオを狩らないという選択肢はなくなってしまった。レオリオからプレートを奪って、私のプレートをあげる……じゃダメだ。マイナス2点になってしまう。レオリオのターゲットが私なら話は別だけど、残念ながら違う。私をターゲットとして狙っているのはクラピカなのだから。
『お? どうやらクラピカはまだこの近くに……いや、離れていってるな』
「そうみたい」
私の近くにいることはわかっていたので、あえて視界の開けた湖の近くに移動していた。誘い込むために。だけど、何故かクラピカは私から距離を取り始めてる。
「……なんで?」
『なんでって、どうやってもお前さんからプレートは取れないと判断したんだろう。あんな移動を二度も見せられちゃ、そりゃ諦めるぜ』
私のせいだったらしい。
けど、ここで彼に距離を取られるのは困る。
「うさぎ」
『また移動すんの? あんまりビビらせてやんなよ。無理だろうけど』
うさぎの言葉が途切れるや否や、私は再び駆け出した。
凄まじい速さで景色が流れる。円で感知するまでもない。目標は、すぐそこだ。
「こんにちは」
「……ッ! か、カリス?」
そう言って、身構えて見せるクラピカだった。
──場面は戻る。
カリスは小首を傾げながらも、特に理由があって省略した訳ではなかったようで、クラピカは話を聞く事ができた。
試験を受けにきた経緯から(なんでそこから?と思いつつも)順番に話を聞いたクラピカは口元を抑えながら何とも言えない表情をしていた。
(……キルアと仲良くなるために、そこまでするのか。本人は自覚していないようだが、それは……)
当然ながら、カリスはナニカの話は端折った。
その上でキルアと共に行動したい、仲良くなりたいという欲求だけは伝えていた。その結果──。
(……いや、みなまで言うまい、彼女が明言しないのならば、そう接するべきだろう)
指摘しないことも、時には優しさだからだ。
盛大に勘違いが進んでいたが、完全に間違いではないので、なんとも言えないギリギリのところですれ違った。
「はい、これが私のプレート」
「わかった。預からせてもらう。……レオリオの位置はわかっているのか?」
「わからない。でも、探せる」
「頼んだ。……しかし、少し難易度は高いな。私は自分のプレート、そして
レオリオが既にターゲットを狩っている可能性は低いだろう。プレートを奪われている可能性も0ではない。探索に時間を掛けるためにも早急に合流せねばなるまいとクラピカは思い、そのことをカリスにも伝えて行動を開始するのだった。
これからは1話分の文字数は多めに書いていきます。
次回更新は不定期ですが、更新の見込みが出来たらあとがきに追記します。
>12月17日18時に更新します。
ざっくりとしたプロットは天空闘技場あたりまで組んでますが、今回のように時間かかるかもしれません。
明日は誕生日なので更新できない予定です。