三雲修は勇者でない   作:香川出身ボーダー隊員

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少し長くなってしまったので二分割から三分割に変更します


3話 If it is something you can see, then it too is one truth ②

それから数日後、夏休み前最後の土曜日の朝。

僕は自宅の玄関で靴を履きながら、改めて自分が何をしようとしているのかを考えていた。

大赦の管轄下にある大橋の観察。

表向きは「危険なことはしない」「ただの見学」。

そう自分に言い聞かせても、胸の奥に引っかかるものは消えなかった。

 

「……本当に、これで良かったのか?」

 

独り言を呟きつつ、スマホを確認すると、芙蓉から既に何通もメッセージが届いていた。

 

『準備は万端かい?』

『双眼鏡、カメラ、メモ帳、全部持ったよ』

『交通費は全額こちらで負担するから気にしなくて良いよ』

『今日は歴史的な一日になるかもしれないね!』

 

(いつにも増してテンションが高いな……)

 

ため息をつきつつも、僕は待ち合わせ場所である有明浜に向かって家を出た。

 

(それにしても、なんで出発1時間前に集合するんだろう…?)

 

この2日間で県を跨ぎながらの移動を行うため、早めに出るのは分かるけど、それでも1時間前には来て欲しい理由は僕には分からない。

芙蓉が何を考えているのかを思っていると、いつの間にか有明浜についていた。

そしてそこには、僕よりも先に来ていた芙蓉がいた。

 

「おはよう三雲君!勇者部の部活動に相応しい晴天白日な天気だね」

 

芙蓉は色々歩き回りながら観察するというのに、いつもの白い服に青いスカート姿で来ていた。

 

「おはよう芙蓉。約束通り出発1時間前に来てけど、なんでこんな早くに集めたのか教えてくれないか?」

 

「ふっふっふ…いいだろう。それはだね……今からここに柚木君を呼ぶためさ!!」

 

「え…!?柚木を!!?」

 

芙蓉が柚木のことを気に入っているのは知っているがここまで気に入っていたとは…。

 

「まあアポなしのお願いになるから、彼女が来る時間を考慮してこの時間に来てもらったんだ」

 

「別に早く来ることはいいんだけど、わざわざ柚木を呼ばなくても僕たちだけでいいんじゃないのか?」

 

「いいや、柚木君の協力は必要不可欠だ。なぜなら私たちだけで行動するとなると致命的な欠点があるんだ」

 

「致命的な、欠点…?」

 

なんの事か予想が付かずに、悩んでるとその答えは意外なものだった。

 

「それはだね…私たちは普通の人よりも体力が無いという欠点だよ……っ!」

 

「あー…、言われてみたらそうだな」

 

「龍王神社の一件で君のことを見ていたから分かるが、君は私よりも体力はあるとはいえ、それでも運動部に所属している同級生と比べたら、かなり貧弱なものだ」

 

そこまではっきり言わなくてもいいのでは、と思うも事実な為に反論が出来ない……。

 

「そんな私たちが一緒に橋まで行ったとしても、動けずに休憩時間を長めに取ってしまうと、予定通りに動けずに次に持ち越しになってしまう可能性がある」

 

「だから僕ら以上に体力がある柚木の力を借りるってことか」

 

「そういう事だ。というわけで今から少し電話するから静かにしててね」

 

軽く咳払いをして、芙蓉は柚木に電話を掛ける。単刀直入にお願いをするものだと思っていたのだが…。

 

「……柚木、君…」

 

開口一番なにか様子がおかしい。

 

「………いや、なんでもない。休日にすまなかったね…」

 

目の前で電話をしているのが、さっきまで元気そうに話していた同じ人物なのかと疑いたくなるほど彼女が纏っている雰囲気が変わっている。

 

「……短い間だったけど……今までありがとう。じゃあ………さようなら……」

 

本当にこれが最後の会話じゃないのかと、また聞きな僕でもそう思ってしまうほどだ。電話越しでしか聞けない柚木からすれば僕以上に不安になっているだろう。

 

「芙蓉、だいj」

 

僕が言い切る前に指に口を当てまだ話すなという仕草をとる。

スピーカーにしたのか、浜辺の音が聞こえるようにスマホを向ける。

そして十秒ほどたったあと、彼女は何も言わずに電話を切った。

 

「もう喋っていいよ、三雲君」

 

芙蓉から発言の許可が下りる。

 

「…一応聞くけど、大丈夫だよな芙蓉。どこか調子が悪いのなら今日は中止にするか?」

 

「順調無比さ。この前は三雲君にすぐ演技だってバレたからね。久しぶりに本気で芝居を演じただけだよ」

 

なんてことはないという感じで芙蓉は笑った。

子役として活躍していたことは依然聞いていたが本気を出せばここまで迫真に迫るものだなんて思ってもみなかった。

 

「柚木は、本当にくるかな」

 

「来るさ、彼女も君と同じくらい優しい人だって私は信じている」

 

…なんだかいい感じになってはいるが、ほとんど詐欺みたいなやり方で柚木を呼んだことになっているしまともに場所を教えていないが、これで大丈夫なのだろうか…?

待つこと数十分。芙蓉の読み通り、僕たちの前に慌てた様子で自転車を全力で漕いできたのであろう、柚木が来て呆然としていた。

 

「延頸鶴望!待っていたよ柚木君。さっそく勇者部の部活動を始めようか!」

 

さっきまでの悲劇的な演技など、完全に忘れたようなテンションで芙蓉が迎える。

その瞬間、柚木は僕を睨んだ。

 

「…どういうことか説明しろ、三雲」

 

「えっと、柚木に手伝って欲しいことがあるから芙蓉が電話をしたんだけど…」

 

「いやぁ、ちょっと本気で演技をしたんだが案外まだまだいけるものだなー!」

 

そう言いながら鼻を高くしている芙蓉。自分が騙されたことに気が付いた柚木がとった行動はいたってシンプルだった。

 

「……帰る」

 

「わああ、待って待って!だましたことは謝るよ、でも少しだけ話を聞いてくれ!君のことを調べさせてもらったんだけど、少し興味深いことが分かってね」

 

「なんのことだよ?」

 

「君、女子バスケ部にテニス部、バレー部で助っ人をしているようだね。一試合千円のアルバイト代で」

 

「なっ!お前それどこで聞いた!!?」

 

隠し通していた秘密を聞いて思わず踵を返し柚木は芙蓉に食い掛った。

柚木が複数の運動部で活躍する話はよく聞いていたが、まさかの有償助っ人だったとは…。うちの学校は部活動の助っ人に関しては禁止をしていないが、金銭が関わっているのがばれるとさすがに問題になり、禁止令が出されても仕方ないだろう。

 

「いや、私は別にこの秘密を誰かに暴露しようとは思っていない。むしろ君と取引がしたいのさ」

 

「取引だと?」

 

「勇者部の部長として、今日と明日の二日間、君にアルバイトの依頼をお願いしたい。そして勿論、このことは誰にも話さない。そこにいる三雲君に証人になってもらう」

 

「いや、そいつはお前のとこの部員だろ。完全にお前側のやつを信じられるか」

 

「確かに柚木に力を借りることは聞いていたが、金銭が関わる契約になるとは聞いてない。…というか柚木って掛け持ち部員じゃなかったんだな」

 

「残念だったな、私は健全なスポーツ少女じゃなくてお金が目当てで動く人間だ。まあとにかく、私はお前たちに協力はしn」

 

「報酬として、時給千円」

 

ぴたり、と柚木の口が止まった。

 

「これに加えて、今回かかる遠征費はこちらが全て持つ。どうかな、ほかの部活動の助っ人代よりも割高だと思うんだが?」

 

それを聞いて少し考えたのちに、

 

「…わかった」

 

柚木はそう言って僕たちに協力することになった。

 

「確認だけど、私に依頼するってことは、三雲には出来ないことを頼むってことだな」

 

「正確には三雲君が動けなかったとき、または三雲君一人じゃどうにもできないことになったときにサポートをお願いしたい」

 

「芙蓉は一緒に動かないのか?」

 

「勿論一緒に行くとも!ただ私も三雲君も体力に自信がある方じゃない。だからそれをサポートしてもらうために君の力が必要なんだ」

 

「なるほど。確かに三雲も芙蓉も貧弱な方だから」

 

だからなんで僕のことを貧弱だと決めつけるのだろうか…。いや、柚木には嶽山の件でバレてるし仕方ないか。

 

「では始めようか。私たち勇者部活動の記念すべき1回目だ!」

 

 

 

 

柚木side

 

「1回目って、お前たちまだ一度も活動したことがなかったのか」

 

「そう言われたら、芙蓉と一緒に何かをするのは初めてだな」

 

私と三雲の発言から芙蓉は目を逸らす。

 

「ま、まあそれはその……。こういうのは人数が多い方が色んな意見が聞けるだろうし…。それにほら、もしも三雲君が私の溢れ出る色気に魅了されて間違いを起こしてしまったら、か弱い私は柚木君に助けてを求めないとダメなんだよ」

 

「僕は別に芙蓉をそういう目で見てはいないぞ」

 

「お前みたいなやつに興奮するやつは、かなり特殊なやつだから、滅多にいないだろ」

 

「即答で返すなんて本っっっっ当に失礼だな君たち!!!」

 

 

私たちの言葉にかなりイラついたのか、芙蓉は地団駄を踏みながらぎゃーぎゃーと文句を言う。

それに対して三雲は何とか怒りを静めてもらおうと火消しに尽力していた。

 

……まあたしかに芙蓉の見た目は遠目から見ても美少女だとわかるくらいに整った顔の持ち主だが。あの陰謀論者っぷりを見てると寄り付きに来るのはそれこそ『本物』な人間だけだろう。

もしかしたら、三雲も最初は容姿目的でアイツに会いに来たのかもしれない。まあ今となってはそんな様子は影も形もないが。

 

「それで私たちは今からどこへ行くんだ?」

 

「そうだった、柚木君にはまだ説明してなかったね。私たちはこの2日間で瀬戸大橋、大鳴門橋、来島海峡大橋の大橋を調査する。目的は……まあそうだな、とりあえず夏休みの自由研究のネタ探しということで。まずは今日だけで瀬戸大橋と大鳴門橋へ向かう」

 

「向かう手段は?」

 

私が尋ねると芙蓉は意外そうな顔でこちらを見た

 

「意外だね、遠くへ行くと聞いた時には反論するものかと思っていたけど」

 

「請け負ったからには依頼主のやりたい事には絶対協力する。ただそれだけだ」

 

「このまま本部員になってくれてもいいんだけどなあ」

 

「それは断る」

 

「残念…あ、それと」

 

「なんだまだ用があるのか?」

 

「私の事を心配してくれてありがとう。本当に嬉しかったよ」

 

芙蓉はそう言って微笑んだ。

私は何故か頬が赤くなった。

 

「……柚木」

 

「!?」

 

「ど、どうした?急に自分の顔を叩いて…!?」

 

「これは、その…あれだ。気合いを入れただけだ」

 

別に赤く染った頬を隠すためとかじゃない。

それだと私がアイツに見惚れていたみたいじゃないか。

 

「僕からもお礼を言わせてくれ。ありがとう柚木、それと騙すような形で呼び出してすまない」

 

「もう騙したことについてはいいよ。それより、芙蓉はああ言ってるけど、本当は()について調べる気だろ」

 

「うっ…それは……」

 

「別に隠さなくてもいいぞ。あれだけ壁についての陰謀論を熱弁してるくらいだからな察しはつく」

 

まあ個人的に驚いたのは、

 

「お前が大橋の調査に一緒に行くのは意外だけどな」

 

同じクラスメイトだからというのもあるが、私が知っている三雲修という人間は良くも悪くも真面目な人間だ。先生やクラスメイトの頼み事や無茶も二つ返事で請け負い、人が間違った事をやると注意する、多少の融通は聞くが根っこは委員長気質な男だ。

 

「提案者は芙蓉(アイツ)だろ?なのに三雲がこういうことに乗り気で参加するとはな」

 

「……いや、今回の大橋観察は僕の提案だ。本当なら壁に近づいて乗り越える気だったから流石にそれは不味いと思ってこっちにしてもらったんだ」

 

「マジかよ…」

 

まさかそこまで壁を乗り越えることに本気で考えていたとは。

もしかしたら私が思っている以上にアイツはアホなのかもしれない。

 

「というかそこまで考えてるなら、なんで普通に止めなかったんだ?」

 

三雲は芙蓉に興味がないと言ってはいたが、もしかしたら本心はそうじゃないのか?

 

「…確かにそうだな。でも、今無理やり止めて僕の目から離れたところで失敗されたら。前の嶽山の時みたいに、自分でどうにかできない状況になるのはもっと不味いと思ったから。お互いの中で折衷案を出して今に落ち着いてもらっただけだよ」

 

「ふーん、そうか」

 

その言葉を聞いて確信した。こいつは、三雲修は私が思っていたより融通が利いて、そしてものすごく面倒見がいい。そうじゃなきゃ、あそこまで考えが違う芙蓉のことを心配して一緒にいるなんてことはしないだろう。

 

一刻千金(いっこくせんきん)!はやく行こうよ二人ともー!!」

 

芙蓉の呼び声を聞いて私たちは急いで歩き出す。

 

side end

 

 

 

 

僕と芙蓉と柚木の3人は観音寺市から電車に乗って瀬戸大橋を向かっていた。今日の午前中に瀬戸大橋へ向かい、午後には大鳴門橋へ向かう。今日1日で2つの県を巡るためかなり急ぎの行動になるだろう。

昨日の晩に調べた時、坂出駅で降りてバスで行くルートが出てきたからその通りに行くと思っていたら、僕たちが降りたのは宇多津駅だった。

 

「本当にここで降りるのか?」

 

「私たちが向かうのは瀬戸大橋であって瀬戸大橋公園じゃない。直接距離で行くならここで降りた方が近いんだ」

 

芙蓉の言葉を聞いて僕はスマホで距離を調べる。確かに芙蓉が言うように瀬戸大橋へ向かうなら宇多津駅が近いが、大橋へ向かう移動手段はマップアプリには出てこなかった。

 

「芙蓉の言い分はわかったけど、どうやって橋まで行くんだ?まさか徒歩で行くなんて言わないだろうな?」

 

柚木の疑問に対して芙蓉は笑って答える。

 

「まさか。ここ香川には徒歩やバス以外に使える足があるだろ?」

 

「それって一体……」

 

「レンタルサイクルだよ」

 

なるほど。ここ香川では西暦の頃から自転車のレンタルサービスが行われている。それを使えば徒歩より早く動けるし、バスを待つ事に時間を取られる心配もない。

 

「こう見えて調べ物や物事を考えるのはは得意でね。勇者部の知恵役は任せたまえ」

 

芙蓉は得意げにそう言った。

確かに陰謀論…もとい色々な考えを探してサイトに載せていたり、恐らく知るものが少ない柚木のアルバイト情報を見つけ出したりと自分で言うように意外と頭の機転は回る方なのだろう。

そうして僕たちはレンタルサイクルアプリを通じて自転車を借りる。

 

「さあ行こう!壁に隠された秘密が我々を待っている!!」

 

大橋の観察という建前を完全に忘れているようだが、僕たち₍はもうそれを建前だと分かっているためあえて₍触れることなく僕たちは自転車を漕ぎ始めた。

 

そして自転車を漕ぎ始めて30分程たった頃。

 

「はぁはぁ…。もうダメだ…死ぬ……。…頼む、どっちかでいいから私を乗せて走ってくれ……。これ以上は…体が、もたないよぉ……」

 

芙蓉の体力が限界を迎えていた。

 

「バテるのが早すぎるだろ」

 

「もう少しで着くから頑張れ芙蓉…」

 

「ぜえはぁ…ぜえはぁ……。三雲君も…限界そうじゃないか……。ここはもう一度休憩を取るべきだよ……」

 

「あと1km程で着くから頑張って漕げー」

 

「10分前に休憩を取ったばかりだし、これ以上の時間のロスは後々響いてきそうだから最後まで頑張ってくれ…」

 

「2人の鬼ぃ…!悪魔ぁ…!」

 

恨み言を口から漏らしながらもなんとか目的地まで漕ぎ終えた芙蓉だったが、到着した時点で満身創痍だった。

 

「気息奄々……三雲君…柚木君…瀬戸大橋の観察は…君たちに任せる……」

 

横になりながらもぞもぞとバッグの中をあさり、僕に双眼鏡を渡す。

 

「三雲君は…これを使って…公園の展望台から大橋を見てきてくれ…。橋が壁に繋がっているか…侵入経路…いや、なにか違和感を感じる場所があるなら…教えてくれ……」

 

「私がいるからって別に建前で話さなくていいぞ」

 

「そうか……。じゃあ柚木君には…この辺り周辺を探ってきて欲しい。三雲君と同じく壁への侵入経路があれば…教えてくれ……。私はしばらく…ここで回復を図る……。勇者部の命運は…君たちに…託した……」

 

「大げさだなぁ…」

 

「部員じゃない奴に託していいのかその命運…」

 

ピクリとも動く気配もなく、芙蓉は完全に休息に入った。

 

「じゃ、私たちも部長の指示通り動くか」

 

「それじゃあ30分後にここで落ち合おう」

 

柚木と別れたあと、一人で瀬戸大橋記念館にある展望台へ向かう。そこまで高い場所では無いが、壁を観察するには問題のないものだ。

芙蓉から預かった双眼鏡を取り出し、橋を覗こうとする。

だけど、今握っているそれを、僕はとても重く感じていた。それが高価なものかもしれないという緊張感からなのか、それとも、今からやろうとしていることへの恐怖からなのか。

 

(……何も悪いことはしない。僕はただ橋を観察するだけだ)

 

ゆっくり息を吐き、双眼鏡で橋を覗く。

それはとても大きい物だ。多くの材料と時間と人。そして長い時間をかけて人々が生み出し受け継いできた知恵と技術によって成り立つ。土地と土地を繋ぎたいという願いの結晶。

 

(やっぱり、こうやってはっきりと見えるのはいいな……)

 

もう少しゆっくり見ていたいが、芙蓉からの指示を実行しなくては。そう思い橋と壁の方へ視線を向ける。壁の方は双眼鏡の最大倍率では詳細に見ることはできず、橋と壁の間には柵のようにものがあり、途中からは近づけなくなっていた。

それを見た時、少し…いや思ってた以上にホッとした自分がいた。これを伝えれば少しは芙蓉の気も落ち着いてくれるだろう。

知り得た情報と、途中の自販機で買ったスポーツドリンクを手土産に、芙蓉の元へ戻る。芙蓉は座って休めるくらいには回復しており、柚木の姿も確認できた。

 

「お疲れ様二人共。それじゃあ情報の整理をしよう」

 

僕からは橋と壁の間には柵のようなものがあり、近づいて侵入するのは不可能だと告げ、柚木も自転車で周辺を走ったものの僕と同じく結論を述べ、侵入することは不可能だという結論に至った。

 

「なるほど、そうか…。でもまだ1つ目だ、次へ行こう!」

 

挫ける様子もなく、芙蓉は明るく次の目的地へ行こうとすると顔を真っ青にしてこちらを向き、

 

「…そう言えば、帰りも自転車じゃないか。……一応聞くけど自転車を置いてバスで帰るというのは」

 

「「いい訳あるか」」

 

「そうだよねうわーん!!」

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