キヴォトスイレブン!   作:眠り狐のK

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ガタガタヘルメット団メイン回?


第五話 必殺技を手に入れろ!

「「おぉ〜!!」」

 

 

 

 アビドスサッカー部は綺麗に整備されたグラウンドを見て声を零した。

 帝国学園との戦いから数日、FA杯への参加が決まったことにより、グラウンドも改めて本格的に整備されることになった。

 

 今までは、部員が5人しかいなかったこともあり、最低限の整備しかされていなかった。

 帝国戦の時でさえ、即席で最低限試合が出来るレベルに綺麗にはしていたが、ここまできちっとした整備をしてもらえれば、俄然としてやる気は出てくるものだ。

 

「よーし、やる気出てきた! 早速練習だー!!」

「ん、私も付き合う」

「ちょ、カナちゃんもシロコ先輩もはやい! そんな急がなくてもサッカーは逃げないってば!!」

 

 綺麗に整備されたグラウンドで早速練習をとみんな走り出し、その場にはナノハ、アヤネ、ホシノの三人が残された。

 

「お二方は練習しないんですか?」

「そろそろ初戦の相手が発表されてるだろうし先にそっちを確認しようかな〜って」

「はい、そのほうが戦略とか練習の方向性とかも決まりやすいかと思いますし」

 

 なるほどと納得したようにナノハは頷きながら書類の中から表を取り出す。

 

 基本的に、FA杯は予選と本選の二つに分かれているが、アビドス地区自体学校が多いという訳では無いので、予選は総当たり制、本選はトーナメント制となる。

 予選、アビドスはBグループであり、同じグループの中には見覚えのある学校の名前があった。

 

「帝国学園……」

 

 まさか、予選で早速因縁の相手と戦うことが決まってしまうとは、ある意味運命を感じてしまう部分もあるかもしれない。

 

 幸いなのは、お互い端なので何もなければ当たるのは3回戦目となることだろうか。

 そのときになれば帝国学園も前回と比べてパワーアップしていることだろう。

 こちらもそれに向けて力をつけていかなくてはいけない。

 

「最初の相手は……カタカタヘルメット団?」

「カタカタヘルメット団って……学校じゃないですよね……?」

「こういう時期だからさ〜、アビドスみたいに復興に力を入れて大会には出ませんって、言ってるところもあると思うんだよね〜。だから、その分この辺りで増えてる不良グループとかの参加もオッケーにしてるんじゃないかな〜?」

「なるほど……確かに、優勝すれば賞金も出ますし、私達みたいに賞金目当てで参加するようなところは結構参加しそうですね……でもそれだと無法地帯になっちゃいません?」

「ま、流石に公式の大会だし、その辺りはしっかりしてくれてるでしょ〜」

「カタカタヘルメット団……か」

 

 ふと声が聞こえ、三人がその声に目を向けるとそこにはアイが立っていた。

 

「あれ、アイちゃん、練習しないの〜?」

「あんた達が話してるの気になってね。それにも相手がカタカタヘルメット団っていうならあたし達も負けるわけにはいかないね」

「何かあったんですか?」

 

 アイから話を聞くと、アイ達ガタガタヘルメット団は元々はカタカタヘルメット団に所属していたが、そのやり方についていけなくなった数人がそこから外れて出来たグループらしい。

 カタカタヘルメット団は目的の為ならば手段を選ばないグループらしい。

 

 金や食料の為にカツアゲや強盗することも少なくない。

 そして、その金でブラックマーケットで違法な取引をすることもある。

 ここまでのことをし、その上公式の試合に出てもヴァルキューレが何もしてないのはブラックマーケットとの繋がりがあることが大きいのかもしれない。

 

 ブラックマーケットというのは、裏社会にいる人間が集まり、その勢力を広げていった結果出来上がった場所だ。

 他にも似たようなところはあるものの、その規模はブラックマーケットがダントツと言えるだろう。

 そんな場所であるからしてヴァルキューレであろうとブラックマーケット相手に簡単に手出しはできない。

 そこと繋がっているカタカタヘルメット団もまた、恐らく同様に手出しがし辛いグループとなってしまったのだろう。

 

 そして、そんなやり方について行けずにカタカタヘルメット団を脱退し、ひっそりと過ごしてきた数人のグループこそがガタガタヘルメット団であった。

 とりあえず、カタカタヘルメット団から外れたからガタガタヘルメット団と、安直なネーミングだとナノハは思った。

 

「とにかく、相手は油断できる相手ではないということですね」

「そうですね……何をしてくるかわからない、という意味ではその通りだと思います」

 

 ナノハの言葉にアヤネが頷く。

 しかし、実際にどんな手を打ってくるかは当日になってみないとわからない。

 今はとりあえずどんな手を打たれても勝てるように練習するしかない。

 必ず勝つとそれぞれ胸にして練習に臨んだ。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方

 

 

 

 

 

 アビドスのグラウンドには5人、残って練習している人物の姿があった。

 

「はっ……はっ……はぁ、はぁ……」

「あ、アイさん……大丈夫です?」

「あたしは大丈夫、あんた達は?」

「私は大丈夫です!」

「わたしも!!」

 

 元ガタガタヘルメット団の5人だ。

 5人は、打倒カタカタヘルメット団の為に残って練習を続けていた。

 

 何をしてくるかわからないが、少なくとも正攻法で戦っては来ないだろう。

 元々カタカタヘルメット団にいた彼女達だからこそ、それはよく知っていた。

 そして、元々のアビドスサッカー部に比べても全体的にガタガタヘルメット団の5人は劣っている。

 だからこそ、尚更練習が必要だと判断したのだ。

 

 ドリブルにシュートにブロック、技術的な部分でも知識的な部分でも学ぶことは多くある。

 だが、やはりカタカタヘルメット団を打ち倒す上で必要なものは――

 

「必殺技……か」

 

 そう、必殺技だ。

 アイは、帝国学園との戦いを思い出していた。

 自分達を苦しめた数々の帝国の必殺技、そんな帝国から点を取ったシロコの凄まじい必殺シュート。

 あれが自分にもあれば、きっとカタカタヘルメット団がどんな手を使ってきても負けない、アイはそう考えていた。

 

「お疲れ様です、アイさん」

「あんた……帰ってなかったの?」

「私も、このサッカー部のマネージャーですから」

「私もいるよ!!」

 

 アイに声をかけたのはナノハとカナだった。

 ナノハはマネージャーとして残っている5人のサポートをする為に、カナはそんなナノハの為にここに残っていたのだ。

 

「一緒にやろ! 私も必殺技覚えたい!!」

「お、覚えるったってどうやって……」

「思いつかないならとりあえずがむしゃらにやってみよ!! そしたら何か見えるかもしれないよ!!」

「そうですね、みんなでやれば何か見つかるかもしれません」

「……そーだな、難しいこと考えても分からないし、やってみるか!」

「「私達も付き合います!!」」

 

 カナとナノハの言葉にアイは頷き、残りの4人もついていく意を見せた。

 

 そこから、6人での特訓が始まった。

 

 普段の練習に加え、放課後の練習。

 

 時には他の部員からも必殺技のヒントを貰ったり、練習に付き合ってもらったりして特訓を重ねていった。

 シュート、ドリブル、ディフェンス、それぞれの基礎の特訓もしながら必殺技を覚えるための特訓も重ねていく。

 

 だが、やはり基礎が完全に固まりきってない状態での必殺技習得というのは中々に難しかった。

 

 シュートもドリブルもディフェンスもそれぞれの基礎的な精度は上がっていっているものの、やはり必殺技習得には至らない。

 だが、それでも諦めずに練習を続けた結果――

 

 

 

 

 

 

「いくよ、カナ!!」

「いつでもいいよ、アイ!」

 

 アイはカナに向かって走り出し、カナの持ってるボールを奪おうと動き出す。

 カナはその動きをよく見ながらも、いつもの朝練のことを思い浮かべる。

 

(落ち着いて、コーンを避ける時のように!!)

 

 幾つもの並べられたコーンを避けるように、ボールを奪いに来ているアイをコーンに見立て、練習通りに避ける。

 的が動いてないのと動いてるのでは全くといっていいほどに違うが、特訓を重ねた今のカナなら同じように避けられるはず。

 そんなことを考えながらもアイとの距離は縮まっていく。

 

「ここだ!!」

 

 カナは足元のボールを自在に操り、ステップを踏むように体を捻り、軽やかに回転させながらすり抜けるように突破していく。

 

「……できた……?」

「はぁ……あぁ、今のは必殺技といってもいいレベルなんじゃない?」

「軽やかなステップにそよ風のように流れるように避けていく……『そよかぜステップ』っていうのはどう?」

「いいねそれ!! 決まり!!」

 

 ウルカの案が採用され、カナは初めての必殺技、『そよかぜステップ』を習得した。

 

「あたしはまだまだだな……」

「私も……」

「オレもだ……」

 

 ナノハは息を切らしているメンバーにスポーツドリンクを手渡していく。

 

「焦らなくても大丈夫です。みんなで力を合わせれば必殺技なんてなくてもきっと勝てますよ」

「そう……よね……」

「……なくても、カタカタヘルメット団には私達の力を見せつけなきゃ」

 

 ナノハの考えにアイは賛同しかけるも、イスズがそれを否定した。

 これは、アビドスサッカー部の戦いであり、ガタガタヘルメット団の戦いでもあるのだ。

 

 それは、カタカタヘルメット団がガタガタヘルメット団を下に見ていることが関係している。

 

 カタカタヘルメット団は、ガタガタヘルメット団を生きる為に手に入れた術すらも悪事と言い切り捨て逃げた弱者と言う。

 ガタガタヘルメット団の人間は、生きる為に多少は仕方ないとしても、それが行き過ぎた悪事となり、それを振りかざして見下す姿を許すわけにはいかない。

 アビドスに入って多少丸くなったとはいえ元不良、見下されて黙っているわけにもいかないのだ。

 

「……カナちゃんは、ここに入学するまでずっと一人でドリブルの練習をしていました。きっと、その甲斐もあって必殺技の習得ができたんだと思います。だから、皆さんも自分の自信があるものを伸ばしていけば、きっと必殺技も作れるんじゃないでしょうか?」

「自信があるもの……」

 

 考えてみるも、ガタガタヘルメット団の5人にあるものといえば、5人で生きて来たことで培われた体力と、逃げ足くらいだ。

 体力なら継続力と言う意味では役立つだろうが、必殺技として活用するのであれば……逃げ足なんて尚更どう活用すればいいというのだろうか?

 だが、いくら考えてもわからないので、ひたすらに練習を続けていくのであった。




松風という苗字に『そよかぜステップ』
原作見てる方は察してると思いますが、カナちゃんのベースとなってるのはGO主人公の松風天馬となってます
もちろん性格は違ってるところも多いですが、技は似通ってることが多いかもしれません。
でも現状この作品で化身を出す予定はないのですよねぇ
世界観的なベースとしてイナイレ部分は円堂守世代をベースにしてますからね
ただ、今後の展開次第ではわかりません
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