キヴォトスイレブン!   作:眠り狐のK

6 / 6
久しぶりにゲンソウイレブンを見ていました


第六話 カタカタヘルメット団戦 前半

 とうとう、試合当日となった。

 

 あれから試合当日までみんなで力を合わせ、必殺技習得に向けて特訓を重ねた。

 結局、カナ以外のガタガタヘルメット団の5人は必殺技会得には至らなかったが、基礎的な体力や技術は向上している。

 持久力だけでいえばシロコ達アビドスサッカー部初期組に負けないレベルにはなっているだろう。

 必殺技なんてなくても、技術で勝てばいいのだ。

 

「あら、貴方達生きてたんだ? その辺で野垂れ死んでると思ってたのに」

「……トウカ!」

 

 アイに話しかけてきたのはカタカタヘルメット団のリーダー格であり、サッカー部としてはキャプテンでもある永原トウカだった。

 

「なるほど、アビドス高校に入ったのね。廃校寸前の学校……雑魚にはぴったりの場所じゃない?」

「なんだと……カナ?」

 

 イスズはトウカの挑発に思わず乗りそうになるもカナがそれを止める。

 

「これが5人にとって因縁の戦いだって言うのは分かってる。だからサッカーで実力を見せればいいんだよ」

「そうね、あんな奴らに負けるもんか!」

「ま、せいぜい頑張りなさいな。どちらにせよ貴方達には私達の金稼ぎの踏み台になってもらうのは変わらないんだから」

 

 睨みつけるようにトウカを見るイスズに対してトウカはそれを一蹴するかのように鼻で笑ってその場を後にした。

 

 

 

 そして、FA杯の予選第一回戦が開始される。

 

 フォーメーションはアビドス側は帝国戦と同じくシロコとイスズのツートップ、守備よりの陣形だ。

 それに対してカタカタヘルメット団はフォワードが5人にミッドフィルダーが3人、ディフェンダー2人の超攻撃型の陣形だ。

 最早防御を捨ててるとも言えるが、『攻撃は最大の防御』なんて言葉があるくらいだ。

 こういう陣形も悪くはないのかもしれない。

 

 そして、笛の合図と共にキックオフ。

 ボールはセリカからカナへ、試合が開始される。

 次々とパスを繋いでいきイスズまで渡るも――

 

「どいて!!」

「うわっ!?」

 

 敵のディフェンダーのタックルに吹き飛ばされ、ボールは相手ディフェンダーに渡ってしまう。

 そこから相手側がパスを次々に繋ぎ攻めてくる……と思いきや。

 

「そーっ、れ!!」

 

 その掛け声と共に空高くにボールを思い切り蹴り飛ばした。

 蹴り飛ばされたボールはそのまま高くまで上がり、放物線を描きながら下っていく。そして、それをカルナが思い切りシュートを放つ。

 ホシノはそれに反応して上手くキャッチした。

 

 この一連の流れにアビドスは驚かされた。

 何せ、カタカタヘルメット団はディフェンダーからフォワードに、コートの半分以上の距離のパスを行なったのだ。

 つまりは、相手のゴール前からアビドスのゴール前まで直接パスを行ってそのままシュートするなんていう破茶滅茶戦法を試合開始早々に見せつけてきているのだ。

 さらには――

 

(シュートも重い……)

 

 それを感じたのは実際にそのシュートを受けたホシノ。

 その威力はあの帝国に負けず劣らず、なんならそれ以上と言ってもいいほどだった。

 

 流石アビドス一を決める大会。

 相手が不良集団といえど、油断はしていられないようだ。

 

「よ〜し、こっから攻めていくよ〜!」

 

 ホシノは思い切りボールを蹴り上げエルに、そこからパスを繋いで攻め込んでいく。

 

「『キラースライド』!!」

 

 セリカがボールを受け取ると、相手ディフェンダーの激しいスライディングが襲いかかる。

 セリカは冷静にスライディングが当たる前にパス、ボールはゴール前のシロコまで渡る。

 

「シロコ先輩!」

「ん!」

 

 シロコはセリカの声に答えるかのようにボールを前へと蹴り上げ、必殺シュートの構えに入る。

 

「『ホワイトファング』」

 

 思い切り蹴ったボールは勢いよくその白い牙を向けながら相手キーパーへと襲いかかる。

 

「『ねっけつヘッド』!!」

 

 相手キーパーは勢いよくその頭をボールへとぶつけてブロックを試みる。

 その勢いは被っているそのヘルメットも合わせてそれなりの防御力を見せているが、シロコの牙はそれを容易く貫き、そのままゴールへと刺さった。

 

「さっすがシロコ先輩!!」

 

 笛が鳴り、アビドスへと1点が追加された。

 だが、アイの知る手段を選ばないカタカタヘルメット団はそれで終わる筈もなかった。

 

 相手のボールからのキックオフ、相手は近くのヘルメット団員にパスを出し、そこから先程と同じようにアビドスのゴール前にまで一気に蹴り飛ばしパスをする。

 そのパスに追いついてきたのはこれまた先程と同じくトウカだった。

 

「残念だけど、ゴールは渡さないよ〜?」

「お前等に私を止められる訳がない!」

 

 トウカはその場で足をボールで地面に押さえて固定し、固定した足をそのまま後ろへと下げる。

 下げた足は炎を纏い、そのまま勢いよく炎を纏った足でボールを蹴る。

 

「『バーンフラワー』!!」

 

 勢いよく蹴られたボールは燃えた花をまき散らしながら一直線にホシノへと向かう。

 それに対し、ホシノは手を地面につけ、勢いよく振り上げる。

 その動作に呼応するかのように地面から砂が勢いよく吹き出し、砂の壁を形成する。

 

「『サンドウォール』!」

 

 形成された砂の壁がシュートを阻むも、その勢いは止まることを知らず、シュートは砂の壁を突き抜けてゴールへと突き刺さってしまった。

 

「うへ、入っちゃったぁ」

 

 ゆるっとした雰囲気を崩さず反応するホシノだが、その裏では冷静に分析していた。

 

 今のシュート、明らかに帝国学園と比べても強い。

 これは流石におかしい。

 恐らく、何か裏がある。

 

 仮に、トウカがアイのようにサッカーの経験者だとしても……仮にヘルメット団がこの時のために必死に特訓を重ねたとしても。

 監督もいない上に学園にすら所属してない唯の不良集団がここまでの力を持っているのはどうしても違和感を感じてしまう。

 なにより、ここまでの試合を見てどうも力に対して技術が釣り合ってない気がするのだ。

 

 相手の戦い方は基本的にゴリ押し戦法。

 ボールを取ればそこから一気に前線にボールを蹴り込み、シュートを撃つ。

 そんな戦法、聞いたことがない。

 いや、思いついたとしても基本的にやらない。

 

 その理由は遠距離まで飛ばすキック力とコントロール力が必要なこと。

 コントロール力は高いとは言えないがそれを5トップの陣形とそれぞれのフォワードのゴリ押し力で補っている。

 そのゴリ押しが成立しているのが中々におかしいのだが、それだけの力を持っていながらその力に見合う技術は感じられない。そこがどうも違和感を感じてしまう。

 だが、現状その違和感を気にする必要はないだろう。

 その戦法には明確な弱点が存在する。

 ホシノがアヤネに目を向けるとアヤネはこくりと頷いた。どうやら、アヤネも相手のゴリ押し戦法の攻略法を理解しているようだ。

 

(流石アヤネちゃんだね)

 

 キックオフの笛が鳴り響く。

 ボールはシロコからイスズに、そこから返すようにシロコへ、だが――

 

「『シーフアイ』!」

 

 相手ディフェンダーが盗み取るようにボールをシロコから奪う。そして、そこから一気にボールを蹴り上げフォワードへと――

 

(来た!)

 

 それに合わせてアヤネが走り、見事にカットした。

 

「何!?」

 

 そう、これこそがあの戦法の弱点だ。

 ディフェンダーからフォワードへのパス、一見手っ取り早そうに見えるが、一直線に来るのでコースが分かりやすい簡単で明確な対処法が存在する。

 特に、カタカタヘルメット団の戦法はこのやり方に偏ってるのもあってトウカを筆頭にフォワードにマークをつけていればボールは奪いやすくなる。

 相手のフォワードが5人もいる事もあってこちら側のディフェンスも薄くなってしまうが、現状を見るに相手の攻撃力はフォワードに全振りしてるように感じられる。

 ミッドフィルダーですら、その役割はほぼディフェンスと同じだ。

 ボールを奪えばフォワードへとパスを回す。

 ミッドフィルダー自身が攻めてくることはほとんどない。

 だからこそ、実質的にマークをつけるのは今のところフォワードだけでいいのだ。

 

 アヤネからエルへ、エルからアイへ、そしてアイからシロコへとパスが繋がっていく。

 

「シロコ先輩、もう一回やっちゃって!!」

「ん! 『ホワイトファング』!」

 

 シロコから再び放たれる必殺シュートに対し、相手の動きは先程とは違った。

 右手に炎を纏い、右に身体を捻り回転しながら飛び上がる。そして、空中で静止しボールを掴みにかかる。

 

「『バーニングキャッチ』!!」

 

 炎を纏った手はボールをがっしりと掴み、勢い付いていたボールはその勢いをゆっくりと落としていく。そして数秒後、ボールはその動きを完全に止めた。

 

「「なっ!?」」

「あ、あんな意味のない回転繰り返すだけの巫山戯た技にシロコ先輩の必殺技が止められるなんて⋯⋯何かの冗談でしょ!?」

「これが私の実力だ!!」

 

 それからボールは相手キーパーからディフェンスへと、そして再びボールが蹴り上げられようとしたその時――

 

「貰った!!」

「何!?」

 

 ディフェンスからボールを奪ったのはイスズだ。

 カタカタヘルメット団はキック力やキーパー力は不自然に高いが、技術力は高くない。

 サッカーを初めて間もないイスズでも奪うことができた。

 そして、イスズは相手ゴールへとボールを運んでいく。

 

 これは、アビドスの戦いであり、ガタガタヘルメット団の戦いでもある。

 金のためならどんな悪事に手を染めてもいい、そんな考えのカタカタヘルメット団なんかに負けるわけにはいかない。

 その思いはアイだけではない。イスズもそうなのだ。

 たとえ、必殺技なんてものがなくとも、こいつらにだけは負けられない。

 そんな一心でイスズはゴール前まで、そしてそのままの勢いでシュートを――

 

「くらえ!!!」

 

 ――撃った。

 

 それは必殺シュートとはとても言えないごく普通のシュート。だが、絶対に負けないという強い意志が込められていた。

 だが、その意思は簡単に潰える事となる。

 なんと、カタカタヘルメット団のキーパーはそのシュートを軽々と片手で止めてみせたのだ。

 

「な、こいつ⋯⋯余裕そうな表情しやがって!」

 

 実際のところヘルメットを被ってるので表情なんて見えるはずもないが、そこに突っ込んではいけない。

 

「ふっ、臆病者達にあれを見せてやれ」

「おう!」

 

 ボールは相手ディフェンスのもとへ、ボールを受け取ったヘルメット団員は、その場で高くボールを蹴り上げ、大きく足を振りかぶってボールを蹴った。

 

「『すいせいシュート』!!」

「な!?」

「あんなところからシュート!?」

 

 ディフェンスラインからの超ロングシュート。

 それは、アビドスのブロックをも許さない威力。

 そんな威力のシュートは一直線にゴールへと⋯⋯向かうことはなかった。

 

「違う!! あれはパスだよ!!」

 

 ウルカがそう叫ぶのを横目にトウカがボールを受け取る。

 そして、完全に虚を突かれたアビドスにとどめを刺すかのように、足を振りかぶる。

 

「『バーンフラワー』!!」

「くっ!!」

 

 ホシノはなんとか手を伸ばし止めにかかるもボールは軽々しくホシノの手を弾き、ゴールを許してしまった。

 

(やっぱり、おかしい⋯⋯)

 

 戦えば戦うほど、その違和感は強く頭に残る。

 サッカーの技術という点では、トウカを除けばアイを除いたガタガタヘルメット団と互角という程度。

 アビドスサッカー部に元々いた5人であればあっさりとボールを奪えてしまう。

 だが、キックの威力とキーパーの防御力だけが異様な程に高い。

 現状を見るだけでも、ホシノからウルカへ、そしてそこからセリカに。パスは簡単に繋がり、セリカも相手の技術は大したことないことを理解したのか、そこからパスを繋げるまでもなく相手ディフェンダーを抜き去りゴール前まで持ち込む。

 ――そのままシュートまで。

 セリカはボールを上と蹴り上げ、自らも高く跳ぶ。

 空中でそのまま両足でボールを挟み込み、回転をかけるように捻る。

 

「いくわよ! 『ガンショット』!!」

 

 回転のかかったボールはそのまままるで銃弾のように素早く、相手ゴールへと襲いかかる。

 

「うぉぉぉ!!! 『バーニングキャッチ』!」

 

 それに対し相手キーパーは飛び上がりながら炎を纏った手でシュートを見事に止めて見せる。

 

 

 

 その瞬間、前半終了のホイッスルが鳴り響いた。

 




カタカタヘルメット団がこんなにツヨイワケガナイ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。