ありふれた異世界で転生特典【ボカロ曲】を使って楽しんでみる   作:夢のまた夢

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敗北の少女/解放の少年

(なぜでしょう、この胸騒ぎは……)

 

未だに魔物と会わずに走り続けるリオネとシェルネ。聞こえるのは自身の足音のみで、それがかえって不気味に聞こえてくる。

 

私の勘は当たる方だ。悪い方ならなおのこと正確に。

 

それは過去の経験からも証明できることであり、その勘に従って対処してきたからこそ、今の私の立場と命がある。最早それは予知能力にも近い。

 

だからこそ今心配することへの不安は、扉をぶち壊したあとの景色から、正しかったとわかりました。

 

「伊織さん!」

 

そこには外傷はないが、ぐったりと動かずに倒れこんでいる伊織の姿があった。

 

「!?誰!?」

 

声を発した人物は伊織と私の間に入り、伊織を庇う形に移動する。

 

「……」

 

そしてその人物は私の姿形をみて、敵意と殺意の両方を向ける。

 

「チッ、まさかここまで追ってくるとはねぇ?エヒトの奴め、明らかに舐めて一体だけにしたな……どこまでも性格の悪い……」

 

ブツブツと呟く人物は人ではなくゴーレムでした。しかも何やら私に対して向けられているもののよう。

 

「何を言っているのかは理解できませんが、そこをどいてください。彼は貴方のような馬の骨もわからない人のもとに置いておけませんので」

 

「やれるものならやってみればー?ま、このミレディさんに勝てるとは思えないけど?」

 

気に触るような言い方。その言葉に軽く手が出そうになりますが、理性ですぐさま抑えつけます。いやまあ、どちらにせよ手は出るのですが。

 

「ならば、力づくでどいてもらいましょう」

「何回でも君達神の使徒を打ち砕いてあげる」

 

各自戦闘体制に入り、お互いの魔法と大剣がぶつかる。

 

その様子を見るリオネは、どこか悲しそうに見えました。

 

──────────

 

「なるほど、俺が意識トんでる間にそんなことが……」

 

「ん。だからイオリ、とめてきて」

 

「まあ元の原因が俺だからな。仕方ない、止めるか」

 

少しの観察。そして、ミレディとシェルネが両者ぶつかるタイミングを見計らい、能力を実行する。

 

「【magnet】」

 

「な、後ろに引っ張られ……!?」

「えっ、ちょっ……ぶつかるぶつかる!」

 

ビターンと、両方の壁から音が響き、その勢いから大きく壁が凹む。その拍子で、片方は血反吐を吐き、もう片方は少しヒビが入っているが問題ない。

 

「【magnet】」

 

再度能力で引き合わせ今度は体と体がぶつかり合う。

 

「!?ま、また……」

「と、止めてぇ!」

 

壁ほど強度がないため先程よりダメージが少ないが、確かに再起不能にできるほどのダメージは与えられたようだ。

こういうタイプは話を聞かずに戦闘するから、多少荒くとも武力で止める方が良いと、光輝から学んだからな。

 

「さ、あとは二人を拘束するだけだな。【鎖の少女】」

 

どこからともなく現れた鎖が二人の体に巻きつき、締め上げる。少しキツいくらいでいいだろ、調整がめんどくさいし。

 

「リオネ、終わったぞ」

 

「イオリ、ちょっとやりすぎ」

 

真面目にやったのになんで怒られたんだ?

 

──────────

 

「な、なるほど。あの場で倒れていたのは、このミレディさんに襲われたからではないのですね」

 

「びっくりしたー、神の使徒がイオくんを狙って襲ってきたのかと」

 

「ちょっと待てミレディ、なんだその呼び方は」

 

「まあまあー、私たちの中でしょイオくん♡」

 

「なんでしょう?先程のとは関係なく殺意が湧いてきました……」

 

「せいじょうなはんだん。ミレディはなれなれしい」

 

現在、なんとか戦いを(強制的に)終了させ、お互いの思考の食い違いを正している最中だ。

 

リオネからの話を聞いてみるに、どこか二人の行動に思い違いが生じているように感じたため、今後のことも考えて互いの意見を伝える場を設けた結果、なんとか和解するに至った。

 

それでも二人はミレディに敵意を向けてはいるが。

 

「ところでさ、イオくん、私の記憶をみてどうだったかな?」

 

「……どうだった?って、どう答えればいいんだ?」

 

転生前から、俺は国語が苦手だった。なんだ作者の気持ち答えろって。んなもん作者のみぞ知るじゃねぇか。赤の他人の気持ちなんてわかるわけねぇだろ。

 

「好きに答えてくれればいいよ!例えばこんだけ頑張ったのに結局失敗してんじゃんwwとか、何千年も思いを拗らせてる激重女だとか」

 

「会ってまだ一日も経ってない人に言う言葉じゃないだろそれ。どんだけ俺が心無い人でなしだと思ってんだ」

 

確かに何千年は重すぎると思うが、だからといってそれを口に出すほど、俺は性格終わってはいないぞ。あとコイツはもっと自分に自信を持て。なんでこうも周りの奴らは自信ねぇんだよ。

 

「そんな自分を卑下すんな。何のためにその何千年間生きてきたわけだ?誰かもわからない他人に、笑われるためか?そんなわけないだろう」

 

少し厳しめの口調で言ったため、リオネ達が少し驚く。

ミレディもキョトンとした表情で硬直する。

 

「何千年もエヒトを倒すために、支配された未来から解放する意志を紡ぐために、一人孤独になりながら生きてきたんだろ?なら、お前のすべきことは過去の失態を振り返るんじゃなく、俺の手を迷わずとって、エヒトをぶっ飛ばすことだ」

 

ミレディの目を見据える。仮面に描かれた、黒い点。だが、その瞳が過去のミレディの目と重なってみえた。

 

「い、いいの?」

 

「ここでダメって言うアホはいない。というかお前もなりたいんだろ?エヒトを倒す力に。ならこいよ、俺は大歓迎だ。お前らもそれでいいか?」

 

「わたしはべつに」

「戦力が増えるのは良いことです。ただ、少しウザいのはどうにかしてほしいですが」

 

俺の言葉を聞き、安心した表情をした(ようにみえた)あと、彼女は迷わず手を取った。涙を浮かべながら、笑顔で。

 

「じゃあ、これからよろしくね!イオくん!」

 

──────────

 

「ところでその体、不便じゃないか?」

 

神代魔法を習得したあと、それとなくミレディに聞いてみる。

 

「え?でも何千年もこの姿だからなぁ。あんまりそういうのないかも」

 

「もしよかったら、生前……っていうとちょっと違うか。人間の姿に戻るか?」

 

「え!?そんなヴァンくんみたいなことできるの!?」

 

ミレディは目を丸くする。そりゃあね、神代魔法がないとできないことを平然と言うこっちがおかしいのはわかるけど。

だからってそんな頭がおかしくなったかと思って額に手、あてないでくれる?

 

「んで、やるの?やんないの?」

「じゃあお願いしようかな!」

 

ということで始まりました、人体錬成のコーナー!

 

必要なものはこちら!

 

・機械生命体

・お近くに存在する魂

・魂を移せる人

・失敗した時の責任

 

①まず自分のつくりたいを想像しながら、魔力を消費し【アンドロイドガール】でボディを作ります。この時、しっかり五感と痛覚を設定しておくと、調きょ……拷問も……躾けやすいよ!ちゃんと設定してあげよう!

 

②最後に、シェルネに頼んで、魂を移してもらえば完成!

 

あっという間にに人体錬成!

 

「どうだ、違和感なく動くか?」

 

ミレディは軽く体を動かす。久々に動かすため、どこかたどたどしいが、こちらにピースで返す。

 

「ん〜、問題なし!にしてもすごいよこの技術!オーくんが見たら喜びそうだね!見た目も当時のままだし!」

 

「好評ならよかった。んじゃ後ろ向いてるから足元にあるそれに着替えといてくれ。」

 

「……イオくんのエッチ」

 

「残念だが俺はお前のその貧相な体で興奮できるほど変態ではある」

 

「やめてよねそういうこと言うの!就寝中に襲ったりしないよね!?」

 

「安心しろ。俺はそこまでするほどの脳内ピンクじゃねぇし性に飢えてない。わかったらさっさと服着ろ」

 

さて、ミレディが着替えているうちに、今後の予定を考えておこう。

 

現在持つ神代魔法は三つ。ペースとしては順調、いやむしろ早すぎるくらいだ。ここらで少しこの世界の観光を挟みたいな。

 

「シェルネ、ここら辺に観光できそうな街はないか?」

 

「そうですねぇ……、この辺りですと近くにブルックの町とその奥に商業都市ヒューレン、少し遠いですがさらに進むと湖畔の町ウルがあります」

 

一通りの旅に必要な資材は十分に用意はしているから結構どこでもいい。ならば……

 

「ブルックの街に行くか」

 

「イオリ、それはどおして?」

 

「ミレディの記憶の中に俺の知る顔があった」

 

「それってもしかしてハジメって呼ばれてたあの攻略者のこと?」

 

着替え終わったミレディの発言は、あくまで可能性だったことを、真実へと決定づけさせた。

 

「……そう、アイツは俺の友達なんだ。いつも自分のやりたいことに取り組み、周りに流されず、そして他人に優しい、そんなオタクだったんだ」

 

ハジメのことはかけがえのない親友であり、最高のオタ活仲間だと思っていた。

 

「オタクっていうのはよくわからないけど、ミレディさん的にはそんな風に見えなかったなぁ?」

 

だが、映像に映る彼の姿は、少しどころかだいぶ変わった。

 

黒かった髪は真っ白に染まり、瞳の色でさえ紅く変化していた。そして一番驚いたのは片腕が義手になっていたことだ。

 

何より変わったのは性格。あれだけ我関せずを貫いたハジメが、戦いを好む戦闘狂へと変貌していたことに、当初は驚きが隠せずにいた。

 

奈落に落ちながらも生き残り、地上まで這い上がってきてくれたことに安堵しつつも、姿も心も変化したハジメに対して、はたして奈落で何があったのか心配してしまう。

 

「だからこそ、会って話をしたい。奈落の底で何があったのか」

 

久しぶりに会って話がしたい。彼の友達として。

 

「いつの間にハーレム築き上げて香織を裏切った理由を」

 

「「……はぁ?」」

「えぇ?そこなの?」

 

「そこなの?じゃないぞミレディ。大事なことだ。アイツにはただでさえ香織がいるのに、なんで異世界人に手ェ出してんだあの元優男。埋めるぞ!?香織の目の前で!」

 

香織が重い愛を育んでる間、ポッと出のやつがハジメを奪うとか、とんだBSSじゃねぇか。嫌だぞ絶対香織が暴れるしわ寄せが雫や俺にくるじゃん。

 

「なんだ、ハーレムを作ってることに対する嫉妬じゃなくて単純に恋愛のいざこざかぁ」

 

「まあもしハーレムのことを指しているのなら伊織さんは人のこと言えないですしね」

 

「うん。ぶーめらん」

 

「魔物と天使と機械生命体の人外ハーレムってそれもはやハーレムって呼べるのか?しかもリオネに関しては無性だろ」

 

「伊織さん、姿さえ女の子であればそれは立派な女性ですよ?てなければTSなんて文化存在しない」

 

「しまった何も言い返せない」

 

「「?」」(TSとはなんぞや?という顔)

 

なお、説明を聞いたあと、宇宙猫状態になるのちの二人である。

 

「まあいい。ともかく、とりあえずはここを出ないことには始まらない。ということでミレディ、任せた」

 

「え?この床が渦になって文字通り水に流されるけどいいの?」

「よし、【ワープアンドワープ】」

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