ありふれた異世界で転生特典【ボカロ曲】を使って楽しんでみる 作:夢のまた夢
基本的には月二投稿していきたいところですが、もしかしたら月一もしくは二ヶ月に一回というクソペースになるかもしれません。
何卒温かい目と広い心で見ていただけると幸いです。
翌日。
門の前にいたのは昨日のメンバーとその連れ、それとなぜか先生がたがついてきた。なんで?
「なんで?」
「先生だからです」
「だか「先生だからです」……」
「それに、南雲君から聞きましたよ。行方不明者の捜索なら、人数は多い方がいいですよね」
そう言って先生は後ろの方へと目を向ける。
そこにはこの町にいたクラスメイトたちが全員集結していた。
そんな中、もともと同行する予定だった幸利が、こうなってしまった現状に謝りに来た。
「すまん伊織、俺は止めたんだが強引に押し通されてな」
「できれば連れていってくれないかな?」
「まあしょうがないか。ハジメもそれでいいか?」
「別に構わねえが、俺はそんな大人数用の乗り物は持ってねえぞ?」
そうだろうと思い、少し歩いた先に【ラグトレイン】を用意した。それを見た皆は、香織たちと同じように息を呑む。
「お前もしやコレ……つくったのか?」
「いや、俺の能力の内の一つにすぎない。というか、今のところ【マジックメイド】は最大でも両手に収まるサイズしか作れない」
「それだけでも十分すげえけどな」
「んなことよりさっさと乗るぞ。救助は早さが命だ」
他のメンツもすげえすげえ言いながらなんの疑いもなく乗車していった。
できればもうちょっと危機感を持ってもらった方が嬉しいんだが。
──────────
「改めまして、私の名前はシアです!ハジメの女です!」
「──ユエ。ハジメの女」
「だから二人ともその言い方やめろ!……南雲ハジメだ」
電車内、本来なら迷惑になるような声量だがあいにく俺らしか乗ってないため、だれも咎めることはしない。
なぜ自己紹介をされているのか、それはこれから旅の仲間になることが大確定したため、お互いよく知らないのはどうかと言われたからだ。
「神崎伊織。南雲ハジメと同じ転移者だ」
「……リオネ。もとはまものだけどイオリににんげんにしてもらった」
「
「久しぶりだね三人共!みんな大好きミレディちゃんだよ!」
刹那、溢れ出る殺気。その矛先はもちろんミレディ。
「やだなあミレディちゃんに会えたからってそんな興奮しないでよ、照れちゃうじゃん!」
そんな中、状況をわかっていながら火に油を注ぐミレディ。
それを他の二名が容赦なくゲンコツしてミレディを地に這いつくばらせる。
うん10:0でミレディが悪い。
「すみませんうちのアホが……おらミレディ!お前も謝れ」
「ハイ、アオッテスミマセン」
「心が籠もってない。あとでお仕置きな」
「ッ!?ヤダヤダあれはヤダ!?」
「……お前はミレディに何をしたんだ?」
「お、ハジメもやってみるか?多分後悔することになると思うが」
「やめておこう。俺の直感が知らない方がいいって言ってる」
その後はミレディもちゃんと謝り、禍根が残ることなく、他愛のない話をして時間が過ぎるのを待った。
──────────
「うし、全員いるな?ちょっとそこで待ってろ」
「何する気だ?」
ハジメは俺への不可解な指示を聞き、一応質問する。他の乗組員も少しばかりの猜疑心を抱きながらも指示に従う。
「ちょっとした裏技をな。【桃色の鍵】、【文学的なブーバキキ】」
自分を中心にして円が広がっていく。この円は自分以外には見えないらしいが、まあ別段困ることはないだろう。
俺はここに【文学的なブーバキキ】を使い、円の範囲を拡張する。
ざっと半径は千キロほどで探知を開始、一分もしないうちに対象のおおまかな位置を特定できた。
「……こっちの方向に探し物があるな。ただまあ範囲指定を広げすぎたな、もしかしたらものすごく歩くかもしれない」
「は?お前今何したんだ?」
「探知系の能力を使っただけだが?」
俺の旅の連れを除くこの場の全ての人が思考を一瞬放棄し、そして全員の思考が一致した。
コイツあまりにもチートが過ぎるだろうと。
ちなみにハジメの作った無人偵察機オルニスで先回りして探した結果、本当にその先に人がいることがわかった。
地球組はドン引いた。
解せぬ。
──────────
道中、冒険者の装備品の一部がちょくちょく見つかった。だがそれより衝撃的だったのは、そこからさらに先へ進むと見える戦いの跡だった。
地面が抉れていたり、木々が折れていたり、ひどい惨状である。
一部の生徒は迷宮で死にかけたことを思い出し、顔を悪くする。現在、幸利が【鎮生】によってメンケアしている。ナイス判断。
だがその様子をミレディは興味深そうに見ていた。
「ねえ、ユキトシ……くん?その魔法って……」
「これか?オリジナル魔法だ。精神を落ち着ける作用がある」
「え、自分で魔法を作ったの?一人で!?」
「なんだミレディ、幸利の魔法になんかあるのか?」
「実はねイオくん、神代魔法のなかには精神……もっと言うと魂に干渉する魔法があるんだけどさ?ユキトシくんの今使った魔法、それと構造が同じなんだよね」
ん?つまりは幸利は一人で神代魔法の域に達したってこと?
「……すごくねぇか?」
「……すごいんだよ」
俺は信じてたぞ、お前はすごいやつだって。
「いや、でもまだ戦闘に使えるほどじゃない。もっと改良の余地がある。俺はまだまだだ」
コイツは何を謙遜しているんだ?ほら見ろ、ハジメも「何言ってんだコイツ」って目で見てるぞ。
一部ではあるが、神代魔法の域までたどり着いたのだ。もっと誇れよ。
しかも何がやばいかって制作時間が数ヶ月というところ。普通は魔法の開発はおろか、鍛錬すらしないこともあるだろうに。
「俺のことより、行方不明者の方が大事だろ。ほらさっさと探してくれ」
「悪い悪い、脱線したな。そんで、探しものはこの奥にあるみたいだ」
さらに歩き続けること数時間。
その先にみえるのは、滝壺だった。
「そうそう、この奥に人がいたぞ。オルニスで確認済みだ」
ハジメがそう答えたのだから、そうなのだろう。
さてさて、生き残りは誰かな?
「【Alice in 冷蔵庫】」
滝が凍りつき、見事に氷の壁へと姿を変える。
「ちょっとシア貸してくれ」
「おう、いいぞ」
「ちょっとハジメさん! そこは『俺のシアはだれにも渡さない』って言うところでしょう!」
「うるせえ、早く仕事して帰ってこい」
俺たちは何を見せられているんだ?そんな心の声が地球組の方からひしひしと伝わる。
「もう、ハジメさんも素直じゃないですねぇ。あ、それで私は何をすれば?」
「なに、簡単なことだ。ちょっと耳貸せ。───」
「……なるほど!わかりやすくていいですね!」
「だろ?【ニューダーリン】」
壁の向こう側に行くにはどうすればいいか。小学生でもわかる問題である。
壁をぶち壊せばいい。
「「オラァ!」ですぅ!」
たった一撃。だがその一撃で氷にヒビが入り粉砕、大きな穴が空いた。
「「やはり暴力、暴力が全てを解決する!」ですぅ!」
「なんでお前がそのセリフを知ってんだよ……」
「ん、脳筋ウサギ」
ハジメ達の評価が下がってるような気がするがスルー。かわりにシアとは仲良くなれそうだ。
「さて、あとはそっちでやっといてくれ。俺はもう一仕事しにいくから。あと幸利と恵里もついて来い」
「おう、わかった。行くぞ、恵里」
「うん」
「はぁ?ちょっと待て……って、もういねぇし」
──────────
実はさっきの探知している時に、とある魔物を見つけた。気づいていたのは俺たちと幸利だけだから、他のメンバーは置いてきたのだが……。
「こりゃ幸利たちも置いていった方が良かったかもな」
「そうやってすぐに決めつけるのは、あまり関心しませんね。それに、もともと貴方が使役できるかもと言って連れてきたんですよ?」
「さすがにユキトシにしつれい。いくらよわいからっていっちゃダメ」
「リオちゃん、時には正論の方が人を傷つけること、学んだ方がいいと思うな」
「ボクはユキのこと、強いって知ってるからね♡」
「別に事実だからいいけどさ、黒竜がすぐ近くにいるのに普通に会話すんなよ皆様方」
一応見つからないように隠れてるだけで、見つかったら武力行使すればいいだけだからおk。
見上げるほどに巨大な黒竜。しかも大きさから推測するにさっきの惨状の原因。だが、何よりの不安要素は……。
「……向かっている先は滝壺か」
「気づいたか幸利」
進行方向はさっきまでいた滝の方。
「ああ。それと
「……まじ?」
即座に【いーあるふぁんくらぶ】を使用、コミュニケーションを図る。
(スベテハ……ワガアルジノ……タ、メニ)
しかし会話はできず、奇怪な言葉を脳内に振りまいている時点で洗脳確定である。
「幸利、お前の闇魔法なら洗脳を解除できたりしないのか?」
「上書きするためにはもっと近づかなきゃいけないし、多分丸一日、もしかしたらそれ以上かかるな」
「なるほど。もう一度確認するが……
「……ああ、できるね」
その不敵な顔には、確信の二文字が書かれていた。
「なら即時実行だ。まずは俺らがアイツをボコすから、タイミングを見て解除してくれ」
「はいはーい!今回は私が戦いたいでーす!」
確かに今までミレディが戦っているところは見たことないかもしれないな。
「許可する」
「オッケー!」
その瞬間、竜が吠える。どうやら見つかったらしい。
「
重力に反することで厨二……失敬、宙に浮き、縦横無尽に黒竜の周りを飛び回りつつ、魔力で作られた球を牽制代わりに連射。その素早い動きと鬱陶しいほどの弾幕に黒竜は翻弄される。
しかし、あまり効いている様子はなく、せいぜいが蚊に刺された程度のダメージに見える。
「んー、やっぱりあんまり効いてないっぽいね。はぁ、これだから竜は嫌いなんだ。こりゃ本腰入れて戦うしかないか」
同じ攻撃を繰り返していた彼女も、与えるダメージの通りが悪いことに気づいているようで、若干ウザいやれやれ感を出しながらも大技を放つことを決めたようだ。
「───【魔弾 グラビティ・バレット】」
現れたのは大量の黒球。その一つ一つに重力魔法が施されており、一発当たるだけでも重力魔法によって消し飛ばされてしまう代物だ。
アイツ本来の目的忘れてないか?できれば原型は保たせてほしいのだが。
幸いにも大きさはそこまで大きくないため、貫通する面積は小さい。あれくらいなら頑張れば治せるかな。
ただ、黒竜も黙って見ているわけではない。あの巨体で素早く移動し、球を避けていく。数の暴力により何十発かは当たってしまうが、致命傷はかろうじて至っていないようだ。
「……へぇ、よく耐えたねぇ。でももう満身創痍なんじゃないかな?かな?」
うーん、ミレディの性格上しょうがないというべきか、洗脳されてる相手にも煽るのかよ。だがそれも彼女の記憶を見たあとだと、律儀にキャラを守っていてなんともまあ微笑ましい。
……いや、微笑ましいか?
「それじゃあもうちょっと私のサンドバックになってもらうネ♪【魔弾 グラビトリー・ゲート】」
ミレディの背後に現れたのは大きな門……を模した魔力の塊。
そこから魔弾が際限なく放たれ、雨のように黒竜へと押し寄せる。
あの量の魔弾なら、さすがの黒竜の硬い鱗でもひとたまりもないだろう。それは黒竜もわかっているようで、黒竜は口を開け、ドラゴンの十八番とも呼べる、あの技を披露した。
そう、ブレスである。
「ガゴアアアァァア!!!」
放たれる黒炎は大量の魔弾を全て包みこみ、元凶である門へと迫る。そのまま門ごと焼き尽くした。
「ま、ここまで予想通りなんだけどね」
そう言ったミレディはいつのまにか黒竜の背中に乗っていた。そう、あの大きな門は視線誘導のための囮だったのだ。
「……トカゲはトカゲらしく、地に這いつくばってればいいのさ。【魔弾】グラビティア・ライフ」
いつものミレディとは思えないほど低い声で呟きながら詠唱すると、黒竜はものすごい勢いで地面へ叩きつけられる。叩きつけられたあとでも黒竜は必死にもがくが、立つことすらままならず、やがて体力を使い切ったのか、動くことを諦めた。
「んじゃ、あとはよろしくユッキー!」
「はいはい、【使役】」
幸利が魔法を使い始めるタイミングを見計らい、こっちも能力を使う。
「【clock lock works】」
「……んな!?もう終わった……!?」
【clock lock works】。
能力、時間の加速。これを使えば過程を無視してすぐさま結果へと直結できるいわばドパガキ向け能力だ。遠距離攻撃も瞬時に相手に当たるので、普通に性能としてエゲツないよなこの能力。
「ほれ、もう大丈夫だ。もとの居場所にお帰りなさい」
「いや俺の手柄をなにさも当然のように横取りしてんだ。いや半分以上はアンタの手柄だけどさ」
「いやぁ?そんなことないさ。俺の能力はできなきゃ発動しないからな」
俺はミレディに目配せして魔法を解除させる。
次第に竜は起き上がり、俺の心を覗き込むように見つめる。
そして、竜は口を開いた。
『……そなたらが、妾を助けたかのう?心より感謝するのじゃ』
そう言って
その礼節を重んじる姿に俺を含める皆が驚いた。ただ、うち二人はどうやら別の方向性で驚いていた。
「「もしかして、竜人族(ですか)!?」」
『おお……よもやこの時代にもその名を知る者がいるとは。なら、そなたたちになら、この姿を見せても大丈夫そうじゃな』
黒竜の体を魔力が覆う。やがて人一人のサイズとなると魔力が霧散し、姿を現したのは……。
黒色の和服をきた黒髪金眼の美女がいた。
ストレートの髪は腰まで伸びており、どこか妖艶な雰囲気に身に纏っている。
そして何より目を引くのはその肉体美であり、そのたわわに実る果実はどこからどう見てもスイカ以上、なんとも眼福な光景である。
ただ、ミレディは自分のモノと比べて、冷ややかな目でソレを見ていたり、数秒凝視してしまっただけで恵里が黒い視線を送って幸利を戦慄させていたりしていたが。
ちなみに俺はシェルネに「あらあら……!」と生暖かい目で見られて絶賛気まずくなっている。
「面倒をかけてしまったのじゃ。妾の名前はティオ・クラルス。竜人族最後の一族、クラルス族の一人じゃ」
「そうか、俺は神崎伊織。別の世界から転移されてきたただの旅人だ」
「ただの?どこが?」
「何を言っているのでしょうか?どう考えても違和感がすごいのですが」
「さすがに「ただの」っていう範囲超えてるよねぇ」
「お仲間に言われてるぞー、実質バケモンだって」
「お兄ちゃん、さすがに謙遜がすぎると思うな」
よし、リオネ以外一列に並べ。チャチャ入れた罰としてサルミアッキお前らの口ん中入れて塞いでやる。リオネの味覚では普通に美味しくいただくからな。
──────────
聞いた話を要約すると
①異世界からの来訪者について調べるために隠れ里を出る
↓
②一息つくために北の山脈地帯で一休みする
↓
③寝てる隙に洗脳される
ということらしい。詳しくは原作を読もう!(唐突な宣伝)
「しかし、竜人族は精神力が高く、なかなか洗脳にかかりにくいはず。なぜ洗脳にかかっていたのですか?」
「いや、たとえどんなに精神力が高くとも洗脳されておったじゃろうな。アレはそういう類のもので解決できるものでもなかったのう。魔法よりかもっと上のナニカじゃった」
それを聞いたシェルネは体をビクッとさせて反応する。
「シェルネ、なにか思い当たりがあるのか?」
「……あ、いえ、あるにはあるのですが……、いやそんなはずは……」
「そうそう、確かソイツは白く短い髪に赤いハート形の髪飾りをつけていたのじゃ」
聞いた途端、急激な悪寒が辺りを襲う。横を向くと、そこには鬼のような形相をしたシェルネが立っていた。
「シェ、シェルネ?どうした」
「私としたことが……失念していました。皆さん、今すぐハジメさん達と合流して作戦を立てなければ。詳しくは集まり次第説明します」
それだけ言ってシェルネは来た道を戻る。ただ事ではないことはその場にいる全員が理解し、皆彼女に続く。
こんなに焦っているシェルネを見るのは初めてかもしれない。
幸いにしてハジメ達はすぐ近くにおり、とりあえず【ラグトレイン】に乗るように促し、急いで乗ってもらった。
「んで、そんな急かすってことは、なんかあったのか?」
「それは私から伝えましょう」
神妙な面持ちで語ったそれは、神を殺すには必ず対峙しなければならない
「この世界にあの極楽とんぼの部下、