ありふれた異世界で転生特典【ボカロ曲】を使って楽しんでみる 作:夢のまた夢
「あら、あらあらあら。やっぱりあなたってすごいのね。まさかこんなにも早くバレるなんてね。さすが私の旦那様♡」
「何言ってんだコイツ」
「フフ、そんなつれないあなたも素敵よ」
キッッッッッッショ。こんなんが神名乗ってるってマ?もう終わりだよこの世界。
「そんで?なに?私の旦那様?寝言は寝て言っとけ。だいたい自分で言うのもアレだが俺の顔なんて中の下だぞ?まだハジメの方が可能性高いだろ」
大前提人をもの扱いするやつ嫌いなんだよなぁ。俺の体は俺のものだし。
「ハジメ?ああ、あの銃火器振り回してたあの子ね。確かにあなたに通ずるところは感じたけど、その原型がなくなるくらいの辛い経験をしたようね。私のタイプではないわ」
……なんで初対面であるハジメの事情を知ってんだ?しかもそれってそんな見ただけでわかるものじゃないだろ。
やっぱそこは腐っても神様ってことか?この色ボケ。
「じゃあ幸利は?」
「幸利?……ああはいはいあの黒装束ですね?厨二病感があって痛々しいところは評価できるけど、顔がねぇ?あとあの子の周りにいるあの女の子が怖いから手が出せなかったわ」
あ?うちの恵里が怖いだと?可愛いだろうが。やっぱコイツとは分かり合えねえ。そもそもそんなつもりもないが。というか厨二病を評価してるってどういうこと?あまりにも性癖がニッチすぎるだろ。
「はぁ……、今日は厄日だな。目的はなんだ?まさか俺に会うためだけじゃないよな」
「ええ、そのまさかよ」
……ホント、キッショいストーカーに見つかったものやで。しかも何が嫌かってさぁ。
「とりあえずその姿で喋んな。自分と同じ声と顔で女みたいな喋り方してたら普通に気持ち悪い」
そう、【拝啓ドッペルゲンガー】が乗っ取られてるのか、俺と同じ姿で喋ってるんだよね。やめて?自分と同じ姿でそんな女言葉で喋らないで?俺をオカマに仕立てあげないで?オカマはブルックの町にいる店員で十分だから。
神なら容姿くらい変えることできるだろ。最悪俺がパンチで顔面の形を変えてやる。
「ええ?もう少しこのままでいさせてもらえないかしら。もう少しあなたの体を堪能したいの」
「却下」
いちいち言い回しが気持ち悪いんじゃボケナス色魔。一回ゴキ齧りさん地獄に落ちてこい。
「むう……、ホントつれないわね」
「興味ないからな」
「まあいいわ。なら、これならどうかしら。この姿なら、男のあなたは気に入ってくれると思うわよ?」
パチンと指を鳴らし、瞬く間に姿が変わる。深海のような深い蒼の瞳、血が通っているのかと思えてしまう赤黒い髪、そして何よりも目を引く豊満な体型。
そう、彼女は俺が女体化したような見た目へと変化したのだ。うへぇ、チョイスが気持ち悪いよ毎回。
でも見た目は実際エロいから否定できねえ!しかも俺の好みであるロングポニーテールにしやがって……!
「……肖像権に反しているのでアウト」
「あら、神に法律は無意味よ?そもそもここはトータスであって地球じゃないわ」
チッ、そうだったここ異世界なんだった。
「ん?なんでお前俺が地球からきたって知ってんの?」
「……神はなんでも知っているのですよ」
「それを信じる俺じゃないことはわかっているだろ。早く言え」
「はぁ、面白みがないわねぇ。あなたの複製体を乗っ取っているのだから、
つまりカルミアの能力は洗脳だけじゃなく、憑依もあったわけだ。(理解)ちょっとまって?(気づき)
これってもしかしたら俺の今まで考えていたことまで視てたのかな。だとしたらだいぶ不味いことになるんだが。(絶望)
「あなたが今何を考えているか、当ててあげましょうか?『これ、昔考えていたことまで視てたとしたら恥ずかしい!』と。安心していいわ、そこまでプライバシーを侵害する気はないわよ?今のところは」
「shine、ああ間違えた、死ね。……おっと、脱線しすぎた。このあとお前はどうすんの?敵対するっつうんなら容赦なく殺すけど」
「私はあなたに倒された身よ?潔く身を引いて自分の
「ああ、無用な殺生は好まないもんでな。あと、仮に女体化してるとはいえ、自分で自分を殺すとかあんましたくねえ」
これが俺の体じゃ無けりゃ問答無用でズタボロにしてるけどな。
「んー、そういうものなのねぇ。それはそうとこの肉体じゃ、食事も必要だし、どうにかして稼ぐ手段とか探さないといけないわね。ああ、忙しい女というのは困っちゃうわ」
「はいはい。そんじゃ俺はアイツら迎えに行かなきゃなんで帰るわ」
「あら、行かせると思う?」
辺りの温度が急激に下がるのと対称的に、彼女は湿っぽい目でこちらを見つめる。
「せめて私が満足するまで、いっしょにいてもらうわ」
「……一応聞くが、どのくらいだ?」
「うーん、あなたが私を愛すまで」
おいおい、趣味の話はどうなったよ?あまりにも気まぐれがすぎる。神様ってそういうものだけどさぁ、もうちょっと自分の発言を守れよ。
「却下。【ワープアンドワープ】」
残念ながらお前なんかより大事な人を待たせてんだ。こんなとこで時間潰してないでさっさと向かわねば。
「逃がさないわよ?【ふぁんぶる!】」
「……は?」
その言葉に反応したゲートは収縮し始める。すぐさま身を引き、なんとか体が真っ二つになることは阻止した。
それよりも、いや、そうか。俺の体だもんな。
「そりゃあ使えるわけだ、
「ええ、賢いあなたならわかるでしょう?これが泥試合だってこと」
そりゃあ同型同士が戦ったら泥沼化は確定だろうな、ええ、そうでしょうとも!なんでよりにもよって【拝啓ドッペルゲンガー】の方をコピったんだよ!これが【マネマネサイコトロピック】の分身なら本体の劣化版だからまだやりようがあったのに!
「ああーー……やる気でねぇ。【ヘッドフォンアクター】」
俺とアイツの間に白い箱が広がり、俺たちを飲み込む。その内部にあるのは、現実の地球のある場所をモチーフに作られた電脳世界。ここなら外の時間も空間も干渉できず、思う存分力を振るえる。
「しょうがねぇな、全力で相手してやるよ」
「ええ……一生
面倒ごとは続く、誰にも邪魔されない空間で、誰にも知られず、朽ちることもないまま。
永久の時を。
──────────
あれだけ広がった白い箱も、時間が経つにつれ、収縮していき、やがてルービックキューブほどの大きさになった。
さっきまでの喧騒も、もう既にこの箱の内側へと収まっている。
縮んだ白い箱を回収し、男は鼻で笑った。
「ハハッ誰がそんなもん真面目にやるかよ、んな面倒なもん」
そう、俺こと神崎伊織である。
いやぁ、アイツがただの狂愛ってだけのアホでよかった。
一体いつから俺が目の前にいるって錯覚したんだろうなぁ?ニチャニチャが止まらないぜ。
とは言っても事前に知っていただけなんだけどな。【イカサマライフゲイム】による予知夢で。
だから今朝のうちから作戦を練っておいたのさ!
その名も「害悪ストーカーを一生封印しよう作戦」!
まず、今回の作戦に使う能力はこれ!
・【メズマライザー】
・【インビジブル】
・【メカクシコード】
・【ヘッドフォンアクター】
・【カゲロウデイズ】
前提条件として【拝啓ドッペルゲンガー】の分身はすでにカルミアによって乗っ取られたものとして扱うぞ!
①まず最初に【メズマライザー】を弄って発動対象を『単体』から『範囲』にセットした上である程度の指向性を持たせて継続的に発動させる。
要は指定したエリアに入ったら催眠発動できるにするわけだ。だから一旦仲間たちを避難させる必要があったんですね。
②次にバレないように【インビジブル】【メカクシコード】を使い、何がなんでも絶ッッッッ対にバレないようにする。バレたら元も子もないんでね。しょうがないね。これで準備はバッチシです。
③後はカルミアが来るまで待ち、催眠にかかったのがわかったら、虚無の空間に話しかけさせ、お好みのタイミングで【ヘッドフォンアクター】を使って隔離兼封印をしましょう。おまけで万が一が起きないように【カゲロウデイズ】によってあの白い箱から出た瞬間、強制的に白い箱に時間遡行されるようにしておくと尚良し。
君もこれでlet's神殺し!
あと地味にアイツ俺のことさりげなく洗脳しようとしてきたからな。【IMAGINARY LIKE THE JUSTICE】で精神防護してたからよかったが、それがなければ普通にあのストーカー女の傀儡になってた。まったく油断も隙もありゃしないわアイツ。
さ、めんどくせぇキチガイ神のことは無視無視。急いでアイツらの元に向かうとするか。
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「遅いです」
「……」(正座)
「遅いんですよ毎回毎回。一応あなた社会経験ありますよね?社会経験のある人がなんで報連相の一つや二つできないんですか?それにあなたは一応このパーティメンバーの中でリーダーに当たる人なんですよ?それなのにこの体たらく、もう少し自覚を持ってください。あとあなたは仲間に対していろいろと軽く扱いすぎです。もう少し丁寧に扱ってください?そんなだと、いつかみんな愛想尽かしてパーティを抜けても文句言えませんからね?」
「……はい。申し訳ございません」
現在、正座している俺を中心に、他の仲間たちが睨みながら、あるいは悲しんだ表情をしながら取り囲んでいる。
えー、そうですよね。だいぶ放ったらかしにしちゃいましたもんね。そりゃ起こりますよね。ああ、やめてください皆さんそんな目で見ないでくださいこれでも反省してるんです。
確かに投げ入れるのはダメでしたよね、次からはもう少し丁寧な移動法を考えます。え?そういうことじゃない?知ってる。
ただ、俺はあまりこういった話を真面目にやっているのは苦手だ。そうなっているのも自分のせいなのだが。
「確かに説明がなかったのは、俺も悪いと思ってる。でもな、アイツの相手をするべきは俺だった。他の人が巻き込まれると困るしな」
「前にも言いました。もっと私たちを頼ってください。何のための仲間なんですか。私たちはあなたのお荷物で、守られる対象なんですか?」
そんなことはない、と言いたいが、どこか心の奥底でそう思っていたんだろうか、その言葉が続かない。
「……なぁシェルネさん。そろそろ許してやっても良いんじゃねえか?ここまで囲まれてりゃ反省するだろ」
そう言って俺に助け舟を出すハジメ。しかしすぐさまシェルネはそれを否定する。
「いえ、ハジメさん。この人は二回目なんですよ。その時も
殺気にも似た怒りに迫られて、ハジメは閉口する。と同時に満足そうな笑みを浮かべる。
「……そうだな、実は俺もコイツには思うところがあった。だから伊織、精一杯怒られてこい」
「おいこの手のひらクルックルーハジメ「私は喋っていいなんて許可してませんよ?」……はい」
そこからさらに小一時間説教は続き、やがて今後は一人で行動せず、必ず誰かしらと一緒に行動することが義務づけられた。
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カルミア討伐から数日が経った。その間、美しい湖を視覚で堪能してたとき、ハジメに呼ばれた。
「このあとはどこ行くんだ?」
「そうだな、オルクス大迷宮に行く。香織がお前を探してたからな。あと俺オルクス大迷宮の神代魔法持ってないし」
さらに言うと、ハジメが持っていない空間魔法と再生魔法はホルアドの町を一旦通る必要がある。ちょうどいいし、他のクラスメイトたちにも会おうと思った次第だ。
「ただ、懸念としてお前がいつのまにかハーレムを築いている点だ」
「あ?お前なんて増えてんじゃねぇかドラゴン娘が」
そうそう、あの後旅の同行させてほしいと彼女から言われたので速攻でOKした。旅は道連れは情けって言うしね。んー、なんでだろうね。着実と人外ハーレムが出来上がりつつあるよ、ただの旅の連れなのに。
「俺はいいんだよ。別に恋心なんて抱いてないんだから。それに比べてお前はユエにゾッコンキュン♡だろ?香織をキープしてること忘れてんじゃねぇよな?」
「その気持ち悪い言い方はやめてほしいが、まあ否定はできねぇな」
「ん、ハジメは私にメロメロ」
「あ!ずるいですぅ!私も入れてください!」
両脇に美少女を抱えるハジメさん。果たしてこの状況を見たら香織はどう思うか。やべぇ途端に胃が痛くなってきた。
プルルルル プルルルル
「おい、なんかなってるぞ」
「ああ、トランシーバー。香織たちに渡してたんだ。あいもしもし……」
『ごめんなさい!今大ピンチなの!もう頼れるのが伊織しかいないの!急いでオルクス大迷宮まで来てちょうだい!』
プツッ……ツー、ツー
「……なあ、今のって……」
「雫の声だ。急いで支度するぞ」