ありふれた異世界で転生特典【ボカロ曲】を使って楽しんでみる   作:夢のまた夢

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best be friend

最初に送った人生の中で、小学生の頃の記憶を思い返してみるといろんな意味で中々に痛々しかったことを思い出す。やっぱりここら辺の年ってクソガキだよなぁ、まあ現在二周目であるクソガキの俺が言うのもなんなんだが。

 

中村恵里に会って早2年。あの後警察に通報し、家庭裁判所での裁判を経て養子縁組制度によって恵里が俺らの家族へとなった。恵里は実質俺が救ったこともあってよく懐いており、俺としては前世からこういう懐いてくるタイプのき弟妹が欲しかったからたっぷりと恵里を可愛がっている。そんなこともあり、家族四人で仲睦まじく過ごしていた。

 

また、恵里には俺の今通っている学校に通わせ、登下校ともに一緒に帰っている。恵里には家庭内のトラウマのこともあって俺と一緒にいた方が安心できるだろうという判断だ。

 

これも全て恵里のお義父さんを警戒しているためである。

家庭内暴力の懲役は長くて2年。普通に釈放された後ソイツが何を起こすかわかったもんじゃない。しかもソイツはこんないたいけな小学女子に興奮するど変態ロリコンだ。ほぼ確実に行動を起こしてくるに決まっている。

 

そのため、俺はどんなことがあっても恵里と逃げきれるようその日から今に至るまで、毎日朝の5㎞のランニングを欠かしたことは一度もない。恵里を背負うことも考えてオモリ付きで走る徹底ぶりである。

 

なんならそれがきっかけで同じくらいの年で龍太郎というランニング仲間に出会うことができた。まさかこの年で俺以外にランニングしている人がいるとは思わなかった。世の中は広いものである。

 

しかし、喜ばしいものかどうなのか、その時がくる事はなかった。

 

次の日、朝一のニュースで、ど変態ロリコンが今朝未明に、遺体の姿で発見された。

──────────

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

つくづく俺は運が悪い。やっと結婚して、あのガキを犯せると思ったのに、あのガキのせいで家庭内暴力がバレて警察に捕まった。やっと釈放されてあのガキに復讐しようとした矢先、誰かに襲われた。そして今命からがら逃げている。

 

「ハァ……ハァ……クソッ!なんで俺がこんな目に!」

 

「やはり日頃の行いじゃないですかね?」

 

目の前から女の声が聞こえ、すぐさま俺を襲った人物だと判断する。

 

「ヒッ!?」

 

「あなたはただの少女に危害を加えた上に、時がきた時に強姦しようとした。警察に釈放された後もその少女に復讐しようとしている。反省の色もないですしね」

 

彼女の声は襲われているはずの俺が思ってしまうほど美しく、だからこそ余計に背筋が冷え、怒りの感情が目に見えてわかってしまう。

 

俺は泣いて懇願した。

 

「お願いだ!俺はもうあのガキ……いやあの少女には金輪際何もしない!だから助けてくれ!」

 

しかし、彼女は許してくれない。そして元から許すつもりはないのだろうと、次の言葉から理解した。

 

「……私は幾度もこのような光景を見てきました。しかし、改心した者はいなく、さらには復讐すらする始末。いつからか、そういう期待をするのはやめました。それでは、地獄で会いましょう」

 

俺はそこで意識を失い、命が絶たれた。

 

「少し過保護すぎましたかね?まああの脳内ピンクも自分の推しのために世界に介入していましたし、許されるでしょう。いやでもアイツといっしょと考えると少し後悔してしまいますね……。まあしてしまったことには仕方ありません。とりあえずすぐに帰るとしましょう」

 

「それでは、第二の人生に祝福を。神崎伊織さん」

 

そう言い残し、彼女は消えた。

 

──────────

 

「お兄ちゃん、一緒に帰ろう!」

 

「そうだな。一緒に帰ろうか」

 

そう妹の恵里に言われ、手を繋いであげる。一応年は変わらないのだが、俺の方が生まれも早く、他人から見て俺が大人っぽいのもあっていつのまにか兄妹という扱いになっていた。俺は一向に構わない。恵里が可愛いから。

 

「恵里、最近はどうだ?お兄ちゃんにできることがあればなんでもするよ」

 

「うん、大丈夫!」

 

恵里は初めて会った時から見違えるように明るくなった。なんなら猫を被ってるんじゃないかと思うほどに。本人曰く、学校と家で性格を分けてると言っていたが、俺がいるとデレッデレに甘えてくるため、どちらの性格も見ることができない。悲しい。

 

「お兄ちゃん」

 

「なんだ?」

 

「僕を自殺するのを止めてくれて、ありがとう」

 

急にしんみりした態度の妹に、俺は少し驚く。そんな中でも妹は話を続ける。

 

「僕は今でもお兄ちゃんがくれた言葉を覚えてる。今こうして命があるのも、楽しくて平和な日々を送れているのも、全てはお兄ちゃんがあの時、絶望から救ってくれたからだって。だからね……

 

これからも、……ずっといっしょにいてね?」

 

恵里の心の内を聞いて、少し心の目が潤んでしまう。やばい普通に嬉しいかもしれない。恵里の願いに俺は返答する。

 

「当たり前だろ?俺と恵里は家族なんだから俺と恵里は運命共同体だ。恵里がどこへ行っても俺もそこにいる」

 

「……うん!お兄ちゃん!」

 

──────────

中学生。花の高校生という言葉があるが、つまりは中学生というのは蕾ということではないか。となると小学生が子葉、大学生が種子を出す時期あたりで、そこから徐々に枯れて(衰えて)くるわけか。

 

はーん、気づいちまったな、この言葉の真相に。

 

……はい、これが中学生です。結局どんな方向性でもしょうもないことを考えるのが中学生です。方向がピンクかそれ以外なだけです。

 

そんな中学生だが、あれからも変わらず龍太郎とともに朝のランニングをこなし、中学生になってからは陸上部に入部した。ちなみに龍太郎は空手部に入った。何か変わったことがあるとすれば恵里が学校でお兄ちゃん呼びから名前呼びになったくらいだ。思春期だから仕方ない……、泣いてないからね、ぐすん。

 

そしてついに念願の親友と胸を張って言える存在が手に入った。……今お前らイマジナリーフレンドだって思ったろ。一応言っとくが龍太郎がいるからな?どちらかと言うと同志とか同僚っていう側面が強いけど。

 

──────────

 

俺は引きこもりだった。周りとの反りが合わず、いつの間にか孤立して、いじめられ、不登校となった。

 

そんな中の心の支えは本漫画やゲームといった、娯楽だった。こんな俺でも、主人公のような存在になれたらと、ゲームや漫画はそういった一種の希望を持たせてくれた。あの非日常感のおかげで、まだ自分の人生を前向きに見ることができた。ライトノベルだと主人公が不登校やニートなことがあり、今の自分と照らし合わせることで、俺もこうなれるかもしれないと、淡い期待を抱けた。

 

まだ人生に生きる価値を見出すことができた。

 

しかし、家族の中で俺の趣味を肯定してくれる人はいなく、特に兄は軽蔑した目で見てくる。そんな毎日、自らの趣味を否定される毎日。正しいのは家族だ。頭ではわかっている。なんなら養ってもらっている身だ。文句は言えない立場なのはわかっている。そんな心のモヤモヤを抱えたまま、日々を生きていた。

 

ある日、兄に突然言われた。

 

「お前も少しは大人になれ。そんな無駄なことばっかしてないで、勉強とか人生の役に立つことをしろよ」

 

わかっている。そう、わかってはいるんだ。こんな毎日を送っていても何も変わらないことを。兄の言っている意味も。

 

「───はぁ?」

 

でも俺の希望を、何も知らない人に踏み躙られるのは、例え血が繋がった存在でも嫌だった。

 

喧嘩した後、久しぶりに外に出た。空は晴れ渡っていた。何も持たず、何も考えず、なんとなくの気分で、本屋へと俺は向かった。

 

 

そこで俺は初めて、友達といえる存在に会うことができた。

 

──────────

 

「お、やっと見つけた」

 

そう言って一つのCDを一つ取る。今の時代CDなんて中々売ってないから探すのに苦労した。しかしまさかこんな家の近くの名前も知らない古本屋に売ってるとは。灯台下暗しとはまさにこのことだな。

 

さらに以外と品揃えも悪くない。だいぶ昔の漫画もあったりして見てるだけでも面白い。

 

「うわ、漫画版のドラクエもある。すげえな、しかも7か……」

 

ドラクエ7って結構ストーリーが重かったな。俺はキーファを絶対に許さない。途中離脱しやがって。重いと言ったら5も凄かったな。まさかの空白の18年があるとは。しかも主人公勇者じゃないんかい。

 

すると、俺はとあるものを見つけ、歓喜のあまり叫んでしまう。

 

「「カゲロウデイズ!!」」

 

「「え?」」

 

もう一人の叫んだ人物に視線がいき、眼を合わせる。ボサボサで傷んだ髪、痩せこけた頬、目の下の隈。まるで今まで秘匿されていたような、引きこもっていたような、そんな見た目だった。俺は合言葉のように、とある登場人物の苗字を呟く。

 

「榎本?」

 

「貴音。九ノ瀬?」

 

「遥」

 

同時に手を差し伸べ、握手を交わす。今、この瞬間。俺と名も知らぬ人は、親友となった。今この令和という時代に、十数年も経ったコンテンツを語れるものが相対したのだ。こうなるのも当然だった。(※な訳ない)

 

「とりあえず、場所を変えましょう。近くに公園があるので、そこで語り合おう」

 

「ああ、わかった」

 

そこからの時間の進みはものすごいほど早かった。昼頃に古本屋を訪れたはずだが、いつの間にか周りの景色が赤く染まってきている時間帯になっていた。同じ話題の持ち主がいるとこんなにも楽しいものなのか。

 

「はぁ、もう時間だな。こんなにも時間が惜しく感じたのは初めてだ」

 

「俺も、こんな経験は初めてだ」

 

「なら、明日の日曜日もここに待ち合わせしないか?まだまだ語りたいことがいっぱいある」

 

「いいな、じゃあ決定だ。時間は……昼ぐらいで良いか?」

 

「おう。じゃあ、また明日」

 

──────────

 

「……てことがあってさ。なんでだろうな?家族のみんな、俺の趣味を否定するんだ。俺の何がおかしいんだろうな」

 

「……おう、そうだな」

 

……助けてください。

 

現在少し前まで普通に漫画やアニメの雑談をしてたんだが、途中から話が自身の身の上話におき代わり、しかも本人的にはめちゃくちゃ悩んでいるんだが、……これどういう風に答えた方がいいんだ?どんなこと言っても角が立ちそうで嫌なんだが……。

 

「……あ、急にごめん。小学校から引きこもっててさ、友達できたの初めてだったんだ。たからつい話しちゃったんだ。こんな話されても返答に困るよな。ごめん」

 

「いやそんな思い悩むほどじゃないと思うけどな……」

 

話を聞いた感じだと、周りが正常で自分が異常っていう意識がいつの間にかついてしまっているみたいだった。別に十人十色とか千差万別とかみんな違ってみんな良いみたいなことわざあるのに。

 

「そうだなぁ、俺からアドバイスがあるとするなら、親族だからって必ずしも家族が最大の理解者ってわけじゃないってところだな。家族は確かに血の繋がりという大きなものがあるけど、言ってしまえばそれだけだからな。家族である前に人なんだから、合う合わないがあって当然だと思うぞ。というか一番自分のことをわかっているのは自分だし」

 

「なるほどな……」

 

「後兄だっけ?一番否定的なの。とりあえずソイツ一発ぶん殴れ」

 

「いや急に適当だなおい!?」

 

「そしてこう言ってやれ。勉強しか出来ない大人になんかなっても意味ねぇだろって」

 

「俺にそこまでの行動力はない」

 

「じゃあ普通に無視が一番良いだろ。後勉強、というか教養は身につけといて損はないからした方が良い。将来創作活動に勤しむことになったときに使える」

 

「……いや別に創作活動をするとは言ってないんだが。でもありがとうな。参考になった」

 

「良いってことよ。そういや名前は?」

 

「清水幸利だ」

 

「俺は神崎伊織。転生者だ」

 

「さてはお前厨二病だな?」

 

「( ´∀`)オマエモナー」

 

「ブフッww」

 

──────────

 

そんなことがあったのが、昨日の昼である。いやぁ、話し相手ができるって良いね。龍太郎はあんまり本とか読まずに体を動かしたいタイプの人種だからいっしょに走ることはあっても話すことはないからな。

本当に良い出会いだった。

 

強いて不満を挙げるとするなら彼は引きこもっているため、会う機会が週に多くて2回しかないことだ。

 

「アイツも引きこもりから卒業してくれりゃいいんだけどなぁ」

 

ガラガラとドアが開く。周りは入ってきた人の顔に見覚えがないのか一目見て元の方向を向く。だけど、俺だけは同じ彼の方向を見ていた。

 

「……まさか同じ学校だとは思わなかった」

 

「俺もだよ、めっちゃ嬉しいわ」

 

 

こうしてまた、悔いのなき人生の1ページとして人生が彩られた。




書いてて思ったけどボカロ要素皆無だな今回。
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