こんな感じだったはずなんですけど。
迷子になったり、わけわかんない女にからまれたりもしたがなんとか俺はIS学園に到着した。時刻は昼近くとなり、これから四時間目の授業が始まるようだ。それに合わせて俺も教室に入ることになった。
俺は教室のドアの前に立ち、深呼吸をする。となりには千冬さんがいる。
「私の後についてこいよ。」
「うっす、千冬さん。」
「それとだ、亮太。今の私は教師として織斑千冬だ。私の事は織斑先生と言え。」
「おっけい、千冬さん。」
そう言ったら出席簿で頭をはたかれた。
「いてぇ・・・。」
「織斑先生だ。」
「うっす・・・。」
ちょっとからかったら殴って返された。
「教師をからかおうなどと思わんことだな。」
「わかったっての。」
「敬語も使えるようにしろ。ここは学校なのだからな。」
今まで思わなかったがこの人は教師だったな。
「それでは行くぞ。」
「うっす。」
俺は千冬さんの後に続いて教室に入る。中に入ると香水のにおいが鼻につき、顔を一瞬しかめた。地元にいた時も香水をつけてくる奴はいたが、多分全員が香水をつけているのだろう。なかなかにあまったるにおいがする。
それをなるべく顔に出さないようにして俺は教卓の横に立った。全員の視線が俺に向けられる。
「いろいろな事情があって入学が遅れたがこいつが二人目の男性操縦者だ。自己紹介をしろ。」
「うっす。」
前を見ると女だらけの中に1人男がいた。なるほど、あれが織斑一夏か。なかなかに顔立ちも整っており、どことなく千冬さんに似ている。
そして席の端の方にいる金髪の縦ロールの女子は俺の方を睨みつけていた。怖ぇよ。
とりあえず俺は自己紹介をする。
「えーと、木瀬亮太です。なぜか二人目のIS操縦者になってしまいました。それなりによろしく。」
それなりに教室がざわざわとし始めた。ちょっとよく聞いてみると。
「あれ、テレビで見た時より普通じゃない?」
「あ、髪染めたんだ。」
「でも、普通だね。」
・・・・・・まだ普通なのかよ!
なんだよお前ら!だいたい外人はいるわ、髪の色は赤とか黒とか金とかいるしよ!しかたねぇだろ!!そこの織斑一夏みたいにやたらイケメンでもねぇしよ!!!
若干涙目になりながらその声を聴いていた。それを察したのか千冬さんは「んっ!」と咳払いをする。
「木瀬、そこの席に就け。」
「わかりました・・・・・・。」
ちくしょう。もうやだよ、田舎に帰りたいよ。
はあ・・・そんな事言っても仕方ねぇか。気持ちを切り替えろ、俺。
ん?そういや千冬さん木瀬って言ったな。さっきまで亮太とか言ってたのに。なるほど公私は分けるタイプか。
俺は後ろから二番目の席に着き、まさかの女に囲まれる形となった。いや、どこに座ってもそうなるんだけどよ。個人的には唯一の男子の隣に座りたいじゃん。
「おお~よろしくりょうちゃん~。」
「はい?」
いきなり俺の隣の女子が話かけてきた。袖がかなり余った制服を着て、やたらのほほんとした雰囲気をした女子だった。つか、なんだりょうちゃんってなんだ。
「ああ・・・よろしく。てか、りょうちんって俺か?」
「うん、そうだよ~。亮太だからりょうちゃん~。」
「ああ・・・そうなの。」
間延びした返事で返された。どうやらこのしゃべり方は素でやっているらしい。てか、初対面にあだ名をつけられたのは初めてだ。
「私はね~布仏本音って言うの~。よろしく~。」
「おう・・・。」
なんだこの子は。めっちゃ癒されるんだけど。雰囲気とかいろいろなんかすげぇー癒される。あれか、子犬を見てる感じと一緒か。しかもちょっと傷ついた心の俺にとっては一瞬女神に見えた。
「そこ、静かにしろ。」
「わっかりました。」
「うう~怒られた。」
千冬さんに注意され、会話をやめる。
それでは授業を始めるとなった時に、織斑千冬は意外なことを言った。
「そういえば授業を始める前にクラス代表を決めたいと思う。自薦他薦は問わん。」
「先生ー!クラス代表ってなんですか?」
ある女子が千冬さんに質問する。
「その名の通りでクラス代表はそのクラスを代表する者だ。自然と注目も集まるし、クラス同士の対戦をする際にも代表として戦うこともする責任ある役職だ。」
なるほど学級委員的な存在か。しかしクラス同士で戦うとかあんまり聞かない出来事なんすけど。やっぱりIS学園は違うな。
「はい!それなら織斑君がいいと思います!」
「はい!私も!」
「え、俺!?」
そんな感じで織斑一夏が次々と推薦されていく。やっぱりイケメンはもてはやされるんだな、ちょっと悲しい気持ちになりながら感心していた。
「私も織斑君!」
「私も!」
「私も!」
「私はりょうちゃん~。」
「・・・・・・はあ!?」
おい、ちょっとまて!
俺は隣を見るとにこにこした布仏さんが俺を推薦していた。
「いや、布仏さん?何してんの?」
「ええ~りょうちゃんを推薦だよ~。」
「いや、なんで!?」
「せっかくだからね~。あと、私の事は本音でいいよ~。」
「あ、そう・・・・・・じゃなくて!」
いやいやいや、そんな面倒な役割絶対にやりたくない。と、喉もとまで出かかったが布仏さんの無垢な笑顔を見て、なんか断ったら謎の罪悪感が残りそうでやめた。
「他にいないか?織斑と木瀬だけか?」
「千冬姉っ!俺は・・・!」
「織斑先生だ。」
千冬さんは出席簿で織斑一夏の頭をぶっ叩いた。叩かれた方は悶絶している。
「いないのなら・・・。」
「納得できませんわ!」
その時、席の端に座っていた縦ロールの金髪女子が机を叩いて立ち上がった。あれ、あいつ俺の事睨んでた奴か?
「男がクラス代表なんて恥さらしもいいところですわ!私セシリア・オルコットにそんな屈辱を一年間も味わえとおっしゃるのですか!?」
・・・ああ、そう言うことか。こいつもあれか。朝に俺に絡んできた女と同じタイプの人間か。女尊男卑に染まり切った女。
「大体、文化としても後進的なこんな国で暮らさなくてはいけない事自体耐え難い屈辱だというのに・・・!!」
その金髪縦ロールもといセシリア・オルコットは男を馬鹿にする事から日本を馬鹿にする事に変わってきた。俺は日本にそこまで思い入れがあるわけじゃないし、男を馬鹿にする事に対しても言いたい事は言わせておけばいいというスタンスなため結構聞き流していた。このまま面倒事も起こらずに終わればいいと思っていたが、そこで織斑一夏が立ち上がった。
「イギリスだって大したお国自慢無いだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ。」
爆弾を投下した。それを聞いてセシリア・オルコットが言いかえす。
「なっ!美味しい料理だってたくさんありますわ!貴方は私の祖国を侮辱しますの!?」
「先に言ってきたのはそっちだろうが!」
しばし両者睨み合って沈黙し、そしてセシリア・オルコットは織斑一夏に指を差した。
「決闘ですわ!」
「上等だ!受けて立ってやる!」
「私が勝ったら小間使い・・・いえ、奴隷にして差し上げますわ!!」
と、言う感じでまさかのクラス代表強奪戦が目の前で開催される事が決まった。。
「展開早いな。」
「ねえねえりょうちゃん~。」
「なに本音ちゃん?」
「りょうちゃんはなにもしないの~?」
確かにこの状況的に完全に俺は取り残されている感じだが、当事者はあくまであいつら2人なのだから俺は関係ないし、この状況に切り込みたくもない。勝手にやってくれ。
「まあ、俺はあんまり関係ないしね。」
「ふ~ん、そうなんだ~。」
「そうそう。」
と、和やか雰囲気になっていた時。
「ちょっとそこの貴方!あなたも関係ないみたいな顔をしているんじゃありませんわ!」
「えー・・・・・・。」
まさかの飛び火。しかたなく立ち上がる。
「いやー俺はどうでもいいというかなんというか・・・。」
「何を言ってるんですか!貴方も同じ男でしょう!」
「まあ、そうなんだけどよ・・・。」
最悪だ。標的にされた。もうやだよ、本当に。
そんな事を思っていたら俺はある事に気付いた。金髪縦ロールことセシリア・オルコットの顔をどこかで見たことがあるのだ。実際に会ったってわけではなく、なんか見たことがある感じ。
「・・・・・・あ!」
「な、なんですか!?」
「あんたイギリスの代表候補生のセシリア・オルコットか!」
ばあちゃんの店で見ていた「インフィニット・ストライプ」に掲載されていた代表候補生の特集で載っていたセシリア・オルコットだった。
「へぇ~あんたがか。本物初めて見たよ。」
「へ、へぇ、少しはわかっている方もおらっしゃるようですね。」
妙に勝ち誇った顔をし始めたセシリア・オルコット。
写真で見た時はすごい高貴なお嬢様という印象を持っていたが。さっきの発言もあって自分の中では魅力が半減していた。
「なんか写真で見た時の方がよかったな。」
何気なく言った。否言ってしまった。
ピキッ。
ん?なんか音がしたぞ。
「あ、」
「あ?」
「あなたは私の事を馬鹿にしてらっしゃるようですね!!」
俺に詰め寄り、声を荒げる。
なんかブチギレられた。大変に怒ってらっしゃるようで。
「決闘ですわ!!」
まさかの俺に対しての決闘宣言。
「いや、遠慮しとく。」
「いえ!貴方を倒して奴隷にして差し上げますわ!!」
なんでそうなるんだよ。
「よし、話は決まったな。来週アリーナで決闘を行う。各自準備をしておけ。」
と、千冬さんが言う。
おい、ちょっと待て!なんであんたは勝手に話を進めていく!?
「せいぜい悪あがきをしておきなさい。」
捨て台詞を残してセシリアは自分の席に去って行った。
「・・・・・・かえりてぇ。」
俺は心底そう思いながら呟いた。
どうだったでしょうか?
セシリアっぽいですかね?