キャラはこんな感じだっただろうか・・・。
その日の夕方。俺は木瀬商店の店番をしていた。
結局志望校探しは昼過ぎまでかかり、まだ見つかっていなかった。一応俺は早めに就職をしたいので工業系の高校を視野に入れて考えている。工業系は求人が多いから就職は何とかできるだろう。まあ、具体的には決まっていないわけだが。帰り際に葛西に「明日もこいよ」と釘を刺された。わかってるっての。
「ばあちゃんも町内会に行ってるし暇だな・・・。」
木瀬商店は地元の奴らが来るおかげで経営が成り立っている。田舎だからコンビニもなく、自動販売機も学校を除いてここにしか置いていない。しかも自動販売機で買うよりばあちゃんの店で買う方が安いから基本的に自動販売機は使われない。回収にくるおじさんはいつも苦笑いをしていた。
「まあ、楽だからいいけど。」
そう言いながら俺はさっき取り出しておいたラムネ飲んでいる。ぴりぴりとした刺激と冷たさがのどに伝わり、爽快な気分になる。
暇つぶしに、俺は店頭に置かれている雑誌「インフィニット・ストライプ」を手に取った。普段は雑誌などは置いていないのだが、地元の小学生にせがまれて取り寄せたらしい。女性用雑誌と書いているだけあって、ファッションことについて結構書かれていたが一番比率が高いのはやっぱり各国の代表候補生について書かれていた。グラビアからISの今後についてまで幅広く書かれていた。
と、ここまでいかにも知っているように語っているが、半分以上は意味を理解していないし、小難しい話をしているので早々に雑誌を元の場所に戻した。
ラムネをもう1本あけ、店の前に出されている長椅子に座りなおす。日が落ち始め空はオレンジ色に染まり、そのオレンジ色の空に1本の飛行機雲がひかれている。しばらくボーっとしていると人影がこちらに近づいてきた。
「ここの店は営業しているか?」
「はい、そうっすけど?」
そこにいたのは朝に職員室で会った織斑千冬だった。朝のきっちりとした姿とは違い、ジャージ姿だった。首をタオルをかけ、汗をかいているのを見るとランニングでもしてるのか?
「飲み物は売って・・・いや、自動販売機があるか。」
「いや、そっちよりこっちの方が安いっすよ。スポドリも置いてますし。」
「そうか?ならそっちをもらおう。」
店の中に入って販売用の冷蔵庫からスポドリを取り出す。
「これでいいっすか?」
「ああ、かまわん。」
小銭をちょうどの枚数を受け取り、スポドリを渡した。織斑千冬はその場であけ、ドリンクを飲んだ。少しずつ噛むように飲んでいるその姿に、なぜか見とれた。
「どうした?」
「いや・・・なんでもねぇっす。」
目をそらして俺も手元にあるラムネを飲む。
「そういえば君はたしか朝にあったな。葛西先生をあまり困らせるなよ。顔は怖いが生徒の事を一番に考えている。私の時もそうだったからな。」
「・・・それはなんかわかるっすね。」
「私の時も」って事はなにかこの人も何か悩みみたいのがあったってことか?見た感じ完璧超人という言葉が妙にしっくりくるのに。
「それと、その敬語モドキはやめたほうがいい。印象はあまりよくないぞ。」
「・・・じゃあ、敬語はなしで。」
どうにも初対面なのに遠慮なく言ってくる人だな・・・。
このままではなにかと言われそうなので話題を変えることにした。
「そういえばあんたはISの世界大会で優勝して『ブリュンヒルデ』とか言われてるらしいじゃん。」
「『ブリュンヒルデ』か・・・。あまりそう呼ばれるのは好きじゃない。」
スポドリを飲み、自嘲気味に言う。
「君はISをどんなものだと思っている?」
ずいぶん唐突だな。しかし織斑千冬の俺に向けられる視線はとても真剣なものだった。
「俺は実際に見たことねーからわからないけど、あれって要は兵器だろ?」
「そうだ。アラスカ条約によって戦争には使われないがな。それでも兵器であることには変わりない。そして私は今IS学園で教師をしている。その兵器について教えているんだ。」
ここで、はっと我に返ったように織斑千冬は目を伏せた。
「すまない、これ以上は愚痴になりそうだ。初対面の君にいうことではないな。」
そのまま店を出ようとする織斑千冬。なぜかその背中がひどく小さく見えた。このまま消えてしまいそうなそんな感覚だった。
俺は気づいたら帰ろうとしていた織斑千冬の腕をつかんでいた。
「・・・」
「・・・」
・・・やべぇ、どうすんだよ。つか、なんで腕つかんじゃってんだよ!
「どうした?」
「・・・えっと・・・」
脳みそをフル回転させ、何かを言おうとする。考えろ、俺!
その時ばあちゃんがいつか言っていた言葉が浮かんできた。
「ば・・・」
「ば?」
「ばあちゃんが言ってたんだけど。・・・1人で抱えるより2人の方が楽になるって言ってた。」
織斑千冬は驚いたようにこっちを見た。
「確かにあんたとは初対面だけど、なんか悩んでんのなら・・・えっと・・・、俺でもいいから言えば少しは楽になると思う・・・多分。」
ばあちゃんの言葉を思い出しながら言った言葉は拙いものだった。もっとばあちゃんは長くしゃべっていたと思うが、今の俺にはこれが限界だ。つか、すげぇ恥ずかしい。顔見れねぇし。
しばらく、多分そんなに時間は立っていないだろうけど俺には何時間にも思えた沈黙。口を開いたのは織斑千冬だった。
「優しいな、君は。」
なんとか顔を上げた先にあったのは織斑千冬の微笑んだ顔だった。
何度でも書く。
文章書くのは難しい。