どけ!!!俺はお父さんだぞ!!!   作:かんかんがくがく

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前作の展開悩んで息抜きに

5話ぐらいからタイトル通りの基本ギャグになる。


お父さんになるまで
敗北と記憶


 鋭い肉の裂ける音が、仲間が吹き飛ばされていく光景が目に広がる。

 

「――――――っ! マキシムッ! みんなッ!

 

 視線の先には隻眼の黒龍がいる。下界全土の悲願である『三大冒険者依頼』の最後のモンスター。

 この戦いのために長い準備や下界の最高戦力を揃えてきた。

 なのに

 

「ーーっ、がはっ......」

「あぐっ.......」

 

 竜の尾が、空気を裂く轟音とともに振り抜かれた。それだけで仲間たちは宙を舞い、倒れていく。最強を誇ったゼウスとヘラの眷属たちが。

 

 膝が崩れ、その場にうずくまる。

 (立てよ!俺の体!仲間がやられているのに見ることしかできないのかよ!!)

 

 自分に言い聞かせるように言う、震える体を持ち上げて、黒竜へと挑もうとする。

 

 熱風が顔を撫でる。竜が、次の一撃を吐き出すような前触れを感じる。多くの仲間が倒れている。さっきまで話していた仲間が、ともに戦ってきた戦友たちが。

 

 (どうしてこうなったんだ.....?)

 

 考えようとした時、走馬灯のような過去が頭によぎった。

 昔の光景が、頭に浮かび上がる。

 

 ......すべては、あの時から始まったんだ。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 転生、それを自覚したのは4歳ごろだった。ゆっくりと記憶を思い出し、今の記憶と同化していった。名前は【ソラ•イルマ】前世とは全然違う名前になった。

 転生を理解した時には心が躍った。この世界はファンタジーのような世界だし、自分がすごい人になれるのかと思った。

 

 そして7歳ぐらいの時、今の主神、ゼウス様と出会った。自分の両親からオラリオのことはよく聞いていて、最強の双璧の一つ、ゼウスファミリアへの勧誘をされた時はすごい嬉しかった。両親は反対していたけど、無理をしない約束で了承をもらった。

 

 ダンジョンは危険だからと最初は潜らせてもらえなかった。でも、ゼウスファミリアの人と模擬戦をするのが楽しかったから気にしなかった。転生の特典?なのか才能はすごいらしい。後から知ったが、アルフィアという女の才能には及ばないが。

 

 初めてダンジョンに潜った時の興奮は今でも記憶に残っている。初めて出会うモンスター、命がかかった戦い、模擬戦の効果もあってか、上層のモンスターには苦戦をすることがなかったけど。

 

 初めてレベルアップをした時は大変だった。ダンジョンでのイレギュラー、死を覚悟しながら戦い、この世界は甘くないんだと理解した。

 

 このぐらいの時期にアルフィアと出会った。ゼウスファミリアの人たちと鍛えた技やアニメを再現した技が一瞬で盗まれた時はドン引きした。

 

 ファミリアの遠征で深層に潜った。手も足も出ない場所に自分はまだまだ弱いと自覚した。

 

 第1級冒険者になれた。でもゼウスファミリアの中では弱い方だ。第1級の上も作ればいいのに。

 

 リヴァイアサンとベビーモスに挑む事になった。どちらも辛い戦いだったが勝つことができた。

 

 そして黒竜に挑む頃には17歳、Lvは8となった。マキシムには負けるが、副団長クラスには成れた。強敵ばっか現れるから、自分の想像より強くなれた。

 

 最強の自分達が負けることはない!なんて思っていたのにな。

 

 

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「こんなあっけなく2度目の人生は終わりか.......」

 絶望した。あっけなくやられる自分達に、そして黒竜に。 

 

 

 

 

「...........皆の足に宿れ、瞬きより速き閃光ーー【疾閃(ディセル)!】

 

 その時、ゼウスファミリアで下っ端だった男の魔法が放たれた。その効果は一時的な逃走アビリティの付与、俊敏の超高補正。

 

「皆さん!逃げてください!逃げて、生き残ってください!!ブレスを貯めている今しか時間がないんです!」

 

「命を巡れ、傷を癒せーー【再生の祈環(オルビス•レストア)

 

 ヘラの眷属が広範囲の回復魔法を唱えた

 

「逃げる体力ぐらいは癒せます。いってください。そして......私たちの仇をお願いします」

 

 ヘラとゼウスの重傷を負った眷属たちが黒竜へと立ち向かっていく。今動ける者たちを逃し、次に託すために。

 

「ラピ!お前もいくのか.......子供だって生まれたんだろ!

 

 ラピはゼウスファミリアの下っ端で最近ヘラファミリアとの子供ができた男だ。その件は散々迷惑をかけられたが、今死んだら子供がどうなるのか。

 

「ソラさん、僕の足では逃げ切ることはできません。でも、あなたやザルドさん、マキシムさん、ヘラの幹部たちなら逃げ切れます。今までたくさん逃げてきた僕が、あなたたちを逃して逝けるなら、悪くない最後だと思いませんか?」

 

「だがッ......」

 

「なら、僕たちの子供をお願いします。ゼウス様だけだと不安ですからね」

 

 ラピは少し笑いながら言った。もう、覚悟は決めているのだろう。

 

「あぁ、わかった。お前の子供は立派に育てるよ......」

 

 仲間を置いて、逃げる覚悟を決めた。いつかまたここに戻り、彼らの犠牲を無駄にしないために。

 

「はい....お願いします。」

 

 竜の喉奥が、赤黒い光で脈を打ち始めた。空気が震え、熱気が一気に膨れ上がる。

 

「......行けぇぇぇぇぇ」

 

 初めて聞くラピの本気で必死な声。黒竜から逃げ、振り返れなかった。振り返ってしまえばいつも笑ったり逃げている彼の覚悟を無駄にする事になる。

 

「......っく......!」

 

 歯を食いしばり、走る。涙が滲んできた。どうしてもっと準備しなかったんだ。本当に油断はなかったのか?余計なことばかり考えてしまう。

 それでも走る。託された命と、思いを背負って。

 

 




過去の10年は後々描きたいので少しだけ。

ラピはベルくんのお父さんです(名前はオリジナル)
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