オーバーヒート(AI小説)   作:匿名希望

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27話 不死騎団の影

 ロモス城の朝は、静かだった。

 

 ――少なくとも、廊下までは。

 

 客室の一つ。

 厚いカーテンの隙間から、細い光が差し込んでいる。

 

 ベッドの上で、レオナはうつ伏せになったまま、ぴくりとも動かなかった。

 

(おちつけ……落ち着きなさい、わたし)

 

 自分に言い聞かせながら、そっと片目だけ開ける。

 

 天井の端に、いつものパネル。

 

【レオナ】

 相馬 300/300

 

 真っ赤な数字。

 いつもどおり。

 それなのに――

 

(中身のほうは、絶賛オーバーヒート中なんだけど)

 

 思い出してしまった。

 

 昨日の研究室。

 琥珀色の液体。

 緊張で乾く喉。

 自分で「責任者だから」なんて言いながら、結局かなりのテンションで――

 

(医療だったのよ。医療。

 完全に医療……だった、はずなんだけど……!)

 

 そこまで思い出したところで、布団の中でバクハツした。

 

「うああああああああああああああ!!!!!」

 

 声にならない悲鳴を枕に押しつけながら、ベッドの上でローリング。

 

 右へ。

 左へ。

 枕を抱えて。

 シーツごと丸まりながら。

 

「なんで……なんであんな勢いでやっちゃったのよ昨日のわたしーーー!!」

 

【好感度表示システム:羞恥モード Ver.4.9】

『昨夜の医療ログを再生しますか?』

 

「しない!! 二度と!!」

 

 即答したのに、空中にはしっかりと別ウィンドウが開いていた。

 

【尻尾ポーション投与記録】

・投与対象:相馬ユーザー

・投与者A:マァムユーザー(好感度120以上)

 → 標準的・真面目な医療行為。効果良好。

・投与者B:レオナユーザー(好感度300/上限)

 → 好意の比重が重すぎたため、薬効が一部“とろける系羞恥”に変換されました。

 → 医療テンション:やや興奮気味。

 

「最後の一行いらないでしょ!!」

 

 枕を投げつけても、ウィンドウは消えない。

 

【補足:昨夜のレオナユーザー発言】

『これからは……いちばん長く見る相手は、わ、わたしにしなさい』

 

「だめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 再びローリング。

 

 自分の声が、妙に生々しく再生されたせいで、羞恥が一周して頭まで真っ白になる。

 

【電子音声:レオナ(甘々+床ローリング中)】

『……よりによって“いちばん長く見る相手”とか……

 普段なら絶対そんなセリフ言わないのに……

 医療テンションこわい……しゅき……』

 

「だから勝手に総括するなって言ってるでしょ!!」

 

 息を切らしながら、レオナは仰向けになった。

 

 天井。

 朝の光。

 そして、容赦なくぶら下がっている300/300。

 

(……でも)

 

 昨夜の“それ”を思い出すと、胸の奥がまだちくちくする。

 

 マァムが真面目な顔で治療をしてくれたこと。

 そのあと、自分が“念のため”なんて言いながら、ほとんど勢いで動いたこと。

 

 そして。

 

(“わたしを一番、見なさい”なんて……)

 

 あれは――完全に、我がままだ。

 

 王女としてじゃない。

 指揮官としてでもない。

 一人の人間としての、直球。

 

 思い出すたび、布団にくるまって消えてしまいたくなる。

 

【電子音声:レオナ(甘々+自己嫌悪)】

『でも、言わずにはいられなかった……

 この想い、もう詰めるとこないくらい詰まってるんだもん……』

 

 返す言葉もない。

 自分で自分にノックアウトされそうになりながら、レオナはようやく上体を起こした。

 

「……と、とりあえず、顔洗って落ち着きましょう」

 

 寝癖を手櫛でなんとかしながら、窓辺へ向かう。

 カーテンを開けると、ロモスの街並みが朝日に染まっていた。

 

 きれいな景色。

 静かな風。

 なのに、心だけが騒がしい。

 

(顔を合わせづらいったら……)

 

 そこまで考えたところで、扉の向こうから、軽くノックが聞こえた。

 

「レオナ、起きてるか?」

 

 ――声。

 

 扉一枚隔てた、あの声。

 

 心臓が、きゅっと縮む。

 

「ま、待って、今は入ってこないで!」

 

「お、おう?」

 

 外で相馬の足音が止まる。

 

 レオナは大急ぎで寝間着を整え、深呼吸を三回。

 鏡の前で、表情を“王女モード”に調整してから、ようやく扉に手をかけた。

 

「……どうぞ」

 

 扉を開いた先に――顔。

 

 昨日と同じ、いや、昨日より落ち着いた、でもやっぱり危険な笑顔。

 

 光の加減も、距離も、完璧。

 

 ――顔イベント。

 

【レオナ】

 相馬 300/300(数値そのまま/圧だけ増量中)

 

【電子音声:レオナ(甘々+朝イチ動揺)】

『朝からその顔は反則……

 “いちばん長く見る”どころか、一瞬見ただけで息止まるんだけど……』

 

「おはよう、指揮官」

 

 いつもより、ほんの少しだけ真面目な声で、相馬が言う。

 

「……お、おはよう、危険因子」

 

 反射で口が動いた。

 いつもの調子。

 ――を装っているだけで、心の中は全然いつもどおりじゃない。

 

 相馬は、レオナの顔をまっすぐ見たまま、ふっと笑った。

 

「最初に見た顔がレオナでよかった」

 

「……っ」

 

 さっそく、昨日のセリフが逆流してくる。

 

(そんなストレートに拾わなくていいのに!!)

 

 叫びたいのを堪えていると、相馬が片手を差し出してきた。

 

「食堂まで、送るよ。術後安静と“安心供給”ってやつ?」

 

 最後の一言に、好感度システムの昨日の補足がよぎる。

 

【術後の安静と、軽い安心供給(手を握る/頭を撫でる等)が推奨されます】

 

(…………)

 

 レオナは、一瞬だけ迷った。

 

 迷って――その手を取る。

 

「……エスコート、任せるわ。患者さん」

 

「はいはい」

 

 指と指が触れた瞬間、胸の奥が熱くなる。

 それをごまかすように、レオナはわざとそっけなく付け足した。

 

「ちゃんと前見て歩きなさいよ。“わたしだけ”見てたら、段差で転ぶわよ」

 

「前向いた上で、一番長く見るのがレオナってこと?」

 

「その言い方もやめなさい!!」

 

 廊下に出ると、朝のロモス城は静かだった。

 静か――なのに、二人の手元だけがやたらと騒がしい。

 

【好感度表示システム:術後ケアモード】

『安心供給:手つなぎ 実施中。

 ※本機能は恋愛イベントではなく医療行為です(と言い張っています)』

 

「言い張るな!!」

 

「ん?」

 

「何でもない!!」

 

 レオナは顔を逸らしながら、相馬の手を握る力だけ、ほんの少し強くした。

 

◇ ◇ ◇

 

 客人用の食堂では、すでに三人が揃っていた。

 

 ダイはパンをもぐもぐ。

 ポップはスープをかき混ぜながら、テーブルに突っ伏し。

 マァムはその二人の皿をさばきつつ、自分の分にはまだ手をつけていない。

 

「おそよー……」

 

 ポップが顔だけ上げて、呟いた。

 

「おはようって言いなさいよ。行儀が悪い」

 

 レオナが軽く睨みながら入室する――と同時に、マァムの視線が相馬に向いた。

 

 ――顔イベント(マァム側)。

 

【マァム】

 相馬 ――/150(数字は本人だけの企業秘密です♡)

 

【電子音声:マァム(甘々+現実的)】

『顔見ると、昨日の続きみたいに意識しちゃうから……』

 

 自分の頭の上から聞こえてくる“自分の声”に、マァムは思わず箸を落とした。

 

「ま、また勝手に……!」

 

「おー、おはよう。昨日は世話になったな、いろいろ」

 

 相馬は、マァムの向かいの席に腰を下ろし――かけていた椅子を、すっとレオナのほうへ寄せた。

 

 さりげなく。

 でも、はっきりと。

 

 レオナの椅子と相馬の椅子。

 距離が、ほんの少しだけ近くなる。

 

(……意識してるわね)

 

 レオナの中の“指揮官”がそう分析した。

 同時に、“恋する女”のほうは、もっと単純な言葉を選ぶ。

 

(うれしい)

 

【電子音声:レオナ(甘々+照れ)】

『約束、ちゃんと覚えてて……

 朝からそれ守りに来るの、反則でしょ……』

 

 ポップが、パンをちぎりながらぼそっと言った。

 

「……なんか、相馬、落ち着いたか?」

「そうか?」

 

「いや、昨日までならここで城のメイドさんにも声かけてたろ。

 今日はそれもなくて……なんか、目線が一点集中って感じ?」

 

 相馬は肩をすくめた。

 

「メイドさんに声かけると、うちの王女様が脇腹つねってくるからな。学習効果ってやつだ」

 

「学習の仕方!!」

 

 レオナが即座にツッコみつつも、心のどこかでは、その“雑な理由”に救われていた。

 

(あのナンパ癖を、ちゃんと抑えようとしてくれてる)

 

 視線を感じる。

 テーブルの上、パンとスープの向こう側で、自分だけがまっすぐ見られている感覚。

 

 落ち着かない。

 でも、心地いい。

 

◇ ◇ ◇

 

 一方で。

 

 相馬は相馬で、テーブルの向こうのマァムをちらりと見た。

 

 昨日、無茶な治療に付き合わされた彼女。

 真面目に準備してくれて、一番手であの“医療”をやってくれた人。

 

 口で改めて礼を言うより――行動で返したい。

 

「マァム」

 

「な、なに?」

 

「昨日、無茶な治療でだいぶ気を使ったろ。疲れ残ってないか?」

 

「え?」

 

 マァムが瞬きをする。

 

「細かいところほとんど任せきりだったからな。

 今日くらいは、ゆっくり食って、昼まで寝ててもいいくらいだぞ」

 

「べ、別に、そんな……大げさにしなくても」

 

 言いつつも、その言葉がじんわりと胸に染みる。

 疲れを気遣われたこと。

 “ちゃんと見ていた”と言われたような気がしたこと。

 

【電子音声:マァム(甘々+ツン弱め)】

『……そういうところ。

 ちゃんと人を見てるところ、ずるいんだから……』

 

「ほら」

 

 相馬が立ち上がる。

 マァムの前のトレイに手を伸ばした。

 

「パン、おかわり取ってくる。ついでに城のキッチン見学してくるわ」

 

「キッチンで働いてる女の子の見学がメインだろそれ!」

 

 ポップのツッコミを背中で受けながら、相馬は歩き出した。

 

 マァムが、その背中を目で追ってしまう。

 

 ――顔イベント(斜め後ろアングル)。

 

【マァム】

 相馬 ……/150(数値は本人の羞恥により非公開)

 

【電子音声:マァム(甘々+現実)】

『こういう優しさまで“チャラさ”に分類しちゃうの、もったいないよね……』

 

「……ふぅん」

 

 その様子を、レオナは横目で見ていた。

 

 マァムが行動を共にし始めたのは最近だが、相馬を意識していることなんて、とっくに分かっている。

 芽生えたものを、否定する気はない。

 否定――できるはずがない。

 

(あの子にも、そう思う理由がちゃんとある)

 

 理性的なレオナは、ちゃんとそれを理解している。

 

 理解しているからこそ。

 

 心のどこかが、きゅっと痛んだ。

 

【電子音声:レオナ(甘々+自己矛盾)】

『分かってる。分かってるのに……

 隣でその名前が呼ばれるたびに、胸がざわざわするの、どうしたらいいのよ……』

 

 スープの表面に映る、揺れた自分の顔を見つめながら、レオナはスプーンを握る手に力を込めた。

 

(……わたしが選んだのよね。

 “危険因子ごとまとめて面倒を見る”って)

 

 だから、これは覚悟の範囲内。

 そう言い聞かせながらも、相馬がトレイを持って戻ってきて、マァムの皿にパンを乗せるのを見て――また嫉妬の棘が刺さる。

 

 でも、口に出すのは、それとは違う言葉。

 

「……マァム」

 

「えっ?」

 

「食べ終わったら、少し休みなさい。

 相馬を診るのも、旅の準備をするのも、そのあとでいいから」

 

「う、うん。ありがとう、レオナ」

 

 それが、今のレオナにできる“王女としての態度”だった。

 

 自分の感情を押し殺して、皆を第一に考える。

 それを選んだのは、他でもない自分なのだから。

 

◇ ◇ ◇

 

 食事が一段落したころ。

 城の鐘が、短く二度鳴った。

 

 低く、重い音。

 

「……何だ?」

 

 ポップが顔を上げる。

 

 直後、食堂の扉が勢いよく開いた。

 慌てた足音。衛兵が駆け込んでくる。

 

「レオナ殿下、勇者候補の皆様、相馬殿! 陛下がお呼びです!」

 

「こんな朝早くに?」

 

 レオナが立ち上がる。

 

 衛兵は息を切らしながら、深く頭を下げた。

 

「は、はい……緊急の報せが入りまして……!

 すぐに謁見の間へお越しください!」

 

 ただ事ではない空気。

 テーブルを囲んでいた全員の表情が、同時に引き締まる。

 

 レオナは、相馬の方をちらと見た。

 

「行くわよ、危険因子」

 

「了解、指揮官」

 

 いつの間にか自然になった呼び方で、二人は並んで歩き出した。

 ――また、手が伸びそうになる癖を、今度はぐっと堪えながら。

 

◇ ◇ ◇

 

 謁見の間には、すでに重い空気が満ちていた。

 

 玉座の前。

 膝をついているのは、一人の男。

 

 ロモスの兵装ではない。

 見慣れない紋章。

 旅の埃をかぶったマント。

 全身に傷。

 

 パプニカ王国の紋章――太陽の印が、その胸元でかすかに光っていた。

 

「……パプニカの兵?」

 

 レオナの声が、ほんのわずか震える。

 

 ロモス王が彼女を見て、うなずいた。

 

「そうだ。さきほど、命からがら城門に辿り着いた。

 殿下、あなたの国からの使者だ」

 

 使者は顔を上げた。

 疲労と恐怖で乾いた目が、レオナを見つけた瞬間、安堵と焦りで揺れる。

 

「レ、レオナ殿下……! ご無事で……!」

 

「詳しく聞かせて」

 

 レオナは階段を駆け下り、使者のそばまで歩み寄る。

 

 相馬たちも後に続いた。

 

 使者は深く息を吸い、言葉を絞り出す。

 

「パプニカが……魔王軍に襲撃されました……!

 黒い鎧の男を先頭にした、不気味な軍勢……

 死んだはずの兵が立ち上がり、骨の騎士が壁をよじ登り……!」

 

 ダイの肩がびくりと震える。

 

「死んだ兵が……立ち上がる?」

 

「それって……」

 

 マァムが呟き、ポップが顔をしかめた。

 

「不死身の部隊ってことかよ……」

 

 使者の頭上に、好感度システムとは別種のウィンドウが開く。

 

【システム:世界イベントログ】

『敵勢力:魔王軍・不死騎団(フシキダン)

 分類:アンデッドを主体とした特殊部隊

 特徴:しつこい・しぶとい・夜更かし向き』

 

「最後の一文ふざけてる場合じゃないでしょ!!」

 

 思わずレオナが怒鳴る。

 だが、使者にはそのウィンドウは見えていない。

 

 彼は続けた。

 

「やつらは、自らを“魔王軍・不死騎団”と名乗っていました……

 城の外壁はすでに破られ、王も、重臣たちも……!」

 

 言葉が詰まる。

 喉が震える。

 それでも、必死に続ける。

 

「わたくしは、殿下の居場所を聞き及び、ロモスへ救援要請に参りました!

 どうか……パプニカを、お救いください……!」

 

 床に額を打ちつけるように頭を下げる使者。

 

 レオナの胸の奥で、何かが鋭く鳴った。

 

 祖国。

 民。

 自分が守ると誓った場所。

 

 そこに迫る、黒い鎧と、不死の軍勢。

 

 頭の上。

 好感度パネルの300/300が、いつもとは違う意味を帯びて迫ってくる。

 

 相馬に向けられた“好き”が、突然、別のベクトルと絡み合う。

 

(……あの人の力も、必要になる)

 

 誰よりも冷静に戦力を計算する指揮官の意識と。

 誰よりもわがままに「一緒に来てほしい」と願うレオナとしての意識が。

 

 同じ胸の中で、ぎゅうぎゅうにぶつかり合う。

 

【電子音声:レオナ(甘々+決意)】

『……パプニカも、相馬も、両方守りたい。

 欲張りって分かってるけど……

 それでも、全部欲しいって思っちゃうの、止められない……』

 

 隣に立つ相馬が、そっとレオナを見る。

 

 顔。

 視線。

 昨日の約束を、無言でなぞるような眼差し。

 

 レオナは、その顔を一瞬だけ見返し――すぐに、前へ向き直った。

 

「陛下」

 

「うむ」

 

「パプニカの件、詳細を詰める時間はありません。

 ですが――」

 

 杖を握る手に力を込める。

 

「わたしたちは向かいます。

 勇者候補と、その仲間として。

 そして、パプニカの王女として」

 

 ロモス王は重々しく頷いた。

 

「……覚悟はしていた。魔王軍との戦いは、いずれ各国に及ぶ。

 だが、その最初がパプニカとはな」

 

 相馬が、そこで一歩前に出た。

 

「指揮官」

 

「なに?」

 

「当然俺も行く。元々、そのつもりだった」

 

 いつもの軽さを、ほんの少しだけ抑えた声。

 

「“わたしを一番見ろ”って約束した相手が、窮地の時に見てやれませんでした、じゃ――格好つかないよな?」

 

「……っ」

 

 レオナの喉が、言葉にならない音を漏らした。

 

 嬉しい。

 頼もしい。

 同時に、不安で、怖くて、嫉妬まで混ざって。

 

 それでも、最終的に口から出たのは、ただ一言。

 

「……当然よ」

 

 短く。

 でも、揺るぎなく。

 

 マァムも、ダイも、ポップも、その背中に並ぶように一歩前へ。

 

「行こう、レオナ」

「当たり前だろ」

「今度は、誰も失わないために」

 

 好感度システムが、空中で静かに新しいウィンドウを開いた。

 

【好感度表示システム:戦闘優先モード】

『恋愛パラメータの表示は一時的に簡略化されます。

 ※ただし、“好き・不安・嫉妬・約束”は消えません。戦場まで持ち込みます』

 

「最後の一文が、一番ややこしいのよ……」

 

 レオナは小さくため息をつき――それでも前を見据えたまま、ゆっくりと笑った。

 

 ロモス城の静かな朝は終わった。

 

 次は、黒い鎧の戦士と、不死の軍勢が待つパプニカへ。

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