001
「んじゃ頼むぞシンドラギ」
「ほっほっほ、任せんしゃい」
白髪のロングヘアーをゴム紐でひとまとめにし、白かった長いひげもこれまたゴム紐でひとまとめにしたシンドラギがトラックの運転席に座る。
元ウルサス軍人で、現ミニッツメン軍人であり、同時に過去に武装車両の運転手だったシンドラギにとっては古巣に戻る気分であることだろう。
感染者だった時のトラウマを払しょくするためとシンドラギは語っていた、ガール将軍の意向により感染者も労働力として使う点としては賛成であったため。
見事免許証を認定されたというわけである、幸いなことにテラの車と連邦の車の運転の差異は少なかった、差異の少ない理由についてはわからなかったが、これは好機だとシンドラギは考えたことだろう。
これによりミニッツメン輸送車両運転手大尉が生まれた。
ついでに輸送部隊も生まれたのでこれで様々な物が各国に輸出可能となり、逆に様々な物や者を集めることだってできるようになった。
そうなると問題なのが蛮族などだろうが、総じて問題ではない。
それは荷台や助手席、そして周りに浮かんでいるロボットの軍が証明している。
おまけもあるが、それは今は格納されている。
「わからないことは助手席にいるトーパー1に聞くがいい、そいつに必要なことは全てインプットしてある」
「こういう時機械は便利じゃのぉ」
「トーパー達、問題が起こったら対処方法1から100000までを自己判断しろ」
『仰せのままに、ご主人様、さて、行きましょうシンドラギ様』
トラックに乗り込む数人の男と女、その一つにはアサルトロンが助手席に、そして数体のプロテクトロンが荷台へと乗り込んだ。
周りにはアイボットと呼ばれる球体が浮かんでおり、それが周りを警戒するように行動している。
シンドラギが纏っているのは彼の故郷であったウルサスの恰好のような冬服ではなく、龍門のバイカージャケットの様に見える、だが甘く見ることなかれ、ガールの手によって強化されたそれは優秀クラスの物理強度をもたらしている。
加えて同じ改造した帽子もかぶっており、脱ぐことさえなければサンクタの銃だろうがクロスボウだろうがアーツだろうが耐えれるだろう。
何故被っただけの帽子が衝撃で吹き飛ぶことなく被ったままになるのかは不明だ、地球の戦前脅威のメカニズムというやつだろう。
原理はガールにも不明だ。
「さて、いくかの」
『はい、シンドラギ様』
002
星条旗よ永遠なれをスピーカーで流しながら砂漠を爆走しているトラック軍、それをロドスが確認すると同時にロドスアイランド本艦の乗り物用ハッチが開かれる。
「オーライオーライ!よし!全車入ったな!ハッチ閉めろ!」
全部の輸送車が入ったことでハッチを閉める指示が与えられ、その通りにハッチが閉められる、そして同時にシンドラギたちが車から出てきた。
「ほっほっほ、ここがロドスか、じゃあトーパー殿たち、荷下ろしを頼むぞい」
『サンクチュアリ移動都市と同程度の大きさでしょうか、トーパー1からの指示、荷下ろしを』
『リョウカイ、リョウカイ、ニオロシ、ニオロシ』
複数の作業用プロテクトロンの作業アームがダンボールの運搬物をジャンルに分けて運んでいく。
「ねーロボットさーん、これは何が入ってるの?」
「シツギオウトウ、右、から家具、中央に、機械、左に、食料、となって、おります」
「なるほどねー、ありがとー、ささっとしまっちゃおー」
小さなドゥリン族のオペレーターが指示を出し、次々と運搬されていく荷物たち。
「そういやここに来るまでに問題とかなかったのか?かなり貴重なもんをいろいろ運んでいたらしいが」
「ん?そりゃあったぞい」
「あったのかよ!」
「映像あるからあとで提出するでの」
「そりゃお疲れさん、そいつらどうしたんだ?」
「まぁ今頃オリジムシの餌じゃの」
「そりゃ残酷なこったな」
雑談しながらも荷下ろしが終わったことを確認する、そして運搬物の履歴の紙にシンドラギがサインする。
「それじゃこの作業用プロテクトロン達も置いていくからの」
「しかし、いいのか?爺さん、こいつら護衛なんじゃ」
「何も全部置いていくわけじゃないわい、お試し版じゃよ、ダメじゃったらすぐ回収じゃわい、それと今回の目玉はコイツじゃ」
ドン、と置かれた2m四方の箱にはアサルトロンが一体入っていた。
「コイツが今回の目玉のトレーナーアサルトロン?じゃ」
「「トレーナー?」」
「その者の実践訓練に最適な動きを再現するそうじゃ、これで見抜かれやすい癖などを矯正できるようになるの」
「人間相手じゃダメなのか?それ」
「人間相手じゃ互いの体力の限界があるじゃろ、それに相手に適応してしまってその動きしか出来なくなる可能性もある、コイツならありとあらゆる動きを再現可能じゃぞ」
「そいつぁすげぇな……」
「えー、訓練もっとやばくなるのー?」
「訓練は大事じゃぞー小娘、ははは!」
「小娘じゃな―い!」
002
「んでこれが録画データねぇ」
ノイルホーンは映像室にいた、本来は作戦記録ビデオなどを見る場所であるが、今回は別口、つまるところサンクチュアリ移動都市からこのロドスアイランドまでの道のりが大丈夫かどうか、そういうのも確認するのも大事だ。
「まさかこんな旧式の録画装置取り出すことになるなんてな、クロージャには敵わねぇわ」
取り出されたのはおよそ十数年前の録画再生装置だった、当時は最新式だったのであろうそれは今や倉庫で埃をかぶっていた。
それをわざわざ取り出したのは輸送時の安全なルート構築に録画装置が必要といったシンドラギの意見であった。
突如、ではなかったが主にロボット構築面での技術しかなかったガール将軍が探し当てたのがこれしかなかったのだ、この時代遅れの骨とう品だ。
そもそもがなぜそんな技術でロドスをハッキングできたのかという疑問もあるだろうが、それはガールがオールステータスマックスのスペシャル人類だからとしか言いようがない。
そして同時にロドスが混迷の時期にあり、PRTSはドクターかケルシーの権限がないと使用許可が下りない、または使用許可が下りる前に状況を混乱させたガールの時間稼ぎが上手くいったのだろう。
それはそれとしてノイルホーンはビデオデッキに録画された記録を再生させる。
「相手はー……無法者だな、錆びた武器持ってるが脱獄囚みてぇな服装だから錆槌じゃねぇな、武器も既に構えてるし警告なしの攻撃、こりゃ返り討ちにあうのも仕方ねぇ」
映像に流れているのは荷台から釘とアーツ攻撃を発砲するドラム缶のようなロボットの無慈悲なる連射だ。
それに攻撃された無法者は次々と体を削られていくか、アーツで粉になるかのどちらかになっている。
「こりゃ映像確認するのもきっついもんがあるな……」
早回しにしたい気にかられるがノイルホーンはこれでもロドスではベテランの部類に入る。
無論、エリートオペレーターレベルではないにしろ、血生臭いところに行ったことなんて何度もあるのだ。
それは彼の前職にも関係あるがこれは今は語るべきではないだろう。
繰り返される映像は粉微塵になる無法者、吹き飛ぶ無法者の頭か四肢、逃亡するのを許さない無慈悲な攻撃の連続だ。
ようやく一つ目の確認が終わったがノイルホーンは少し休憩を入れることにした。
「お疲れ様だ、コーヒーとドーナッツはいるかね?」
「ん?あぁありがとう……は?」
ノイルホーンの後ろから差し出される缶コーヒーを受け取ると誰が渡してきたのか確認するために後ろを向く。
ガール将軍がそこにはドーナッツと缶コーヒー片手にそこにいた。
とりあえず受け取ろう、話はそれからだとノイルホーンは自身に確認を取り、ドーナッツと缶コーヒーを受け取り、そうした。
甘い糖分が頭の疲れを癒す、同時にコーヒーのカフェインも癒しを与えるのだ。
「自身の作ったロボットながらこんなに強力だったかな?と見ていて思ったな。」
「いや、自身の戦力を確認できていないのはマズいだろ……」
「そういうな、ガールの世界じゃこいつらは量産されたただのポンコツロボットだったのだぞ?」
「マジかよ」
「オオマジだ、スカジとやらには山ほど差し向けてほとんど全部が壊されたのだから弱いと勘違いするのも無理はなかろう、スカジとやらがおかしいだけだったが」
「そりゃあの人……人か?スカジは、いやまぁ初めて遭遇した敵対者がスカジなら勘違いも無理はない、のか?」
「そういうことだ、では差し入れも終わったので私はここの代表に会ってくるとしよう、ではな」
スタスタと歩き去るガールを見てあの人どこの経路からやってきたんだと思いつつ二本目の録画を確認する。
「……は?」
それはノイルホーンとドゥリンがシンドラギからの荷物を受け取っているところだった。
だがシンドラギの真後ろにガールがいるのだ、あまりにも気づかない自身の頬を引っ張って確認したが映像には確かにガールがいる。
どこの経路からやってきたのかもわからない、だがシンドラギの後ろにガールがいるのをビデオは映していた。
あまりのステルス性に何かアーツでも使っているのかと錯覚するほどだ。
それは集中して見なければ映像からも消え去って見えるのだからやはりアーツなのでは、と思ってしまう。
だがノイルホーンの経験則から言えば彼女はアーツの経験がないとしか思えない。
どういうことなんだこれは、ノイルホーンはこれをどう報告書にまとめるかしばらく考え込むこととなった。
戦力レベル
レユニオン一般モブ=レイダー
レユニオン盾持ち=レイダースカム=ただのガンナー
レユニオン重装モブ=ヘビーコンバットアーマーガンナー
ただしコンバットアーマーはアーツ(エネルギー兵器)にも耐性があるので完全に一致とはいかない。
だがほとんどの場合銃撃遠距離攻撃、または爆発物もしてくるレユニオン重装モブが割とよくいると考えるとフォールアウト世界がどれだけ修羅場かわかる。