TSして承認欲求爆発しちゃった俺がガチ全能系クラスメイトに愛されて幸せになっちゃうまで 作:あるふぁせんとーり
「へえ、入って早々首位独走? 流石じゃない、『アイちゃん』?」
「すいませんでした」
「チェキは……2000円。ねえ、インセンティブ何割? 3とか? 100枚買ってやるわ、自分で撮りなさい」
「マジですいませんでした」
「VIPルーム空いてて良かったわ。おかげでたっぷりおしゃべりできるもの。ねえ?」
「本当にすいませんでした」
部屋の空気はすごいことになっていた。
お忍びのはずのトップモデルが洒落になんないくらいの値札のノンアルシャンパンを開けてダウナーなメス男子をこれでもかと詰めている隣ではいつものデカパイ美少女が特盛のパンケーキに舌鼓を打ち、その幸せな脂肪の材料を蓄えている。
いや、こっちは本質じゃなかった。
ともかく今回はマキイツ回である。
というかアイちゃんってItsukiちゃんってこと?
てっきり完璧で究極の方かと。
「あたし言ったわよね? いくら顔が良いからって水は止めときなさいって。コンカフェも十分グレーよ」
「それは、そうなんですが……」
「あ、そのセリフって負けることあるんだ」
「まあいいわ。……で、イツキ。なんでこんなとこでバイトしてるのよ。あんたがバイト探してるのは知ってたけど……言ってくれればうちの事務所でも紹介したわよ?」
「いや、その……流石にそこでノマちゃんに頼るのは……」
「ああもう、これだからバカイツキは……!!」
「駕籠野先輩、説教長引かせるとこの小説の人気落ちちゃいますよ」
「嫌よ2話ほどやるわ!!……って言いたいところだけど、可愛い後輩の頼みだもの。今日は勘弁してあげる。それで、なんでこんなとこで働いてるの?」
「えっと……未経験可で、給料高くて、出勤少なくて、放課後行けたから……」
妥当だ。
「あと、客商売イケるなって思って……」
妥当オブ妥当だ。
「それで書類送ったら、多分顔で受かって……」
妥当オブ妥当だ!
「へえ。ちなみにいくら?」
「2500+インセンティブ+お客さんからプレゼントOKって感じで……」
「納得。そりゃレベル高い子集まるわけだわ。で、あんた今月いくら位になりそうなの?」
「80くらい?」
「……ちなみに先月は?」
「えっと……65? あれ、70は行ってないと思う」
「随分稼いだわね、あんた……」
なるほど、顔の良さと魔性フェロモンがあれば男子高校生でもここまで稼げるものらしい。
あっ、駄目だよ白山くんそんな顔したら。
お隣には生涯年収トリリオンダラーな魔法使い系超絶美少女がいるんだからそれで勘弁してね。
「……待って、あんた税法とか勉強してたっけ?」
「いや、全く。公民、ちょい苦手だし……」
「11月も入るのよね?」
「うん、店長さんが是非って……」
「……いやならあんたもう年収の壁越えるわよ!? 扶養外れるし納税の義務!! それ分かってる!?」
「あ、うん。最近よく来てくれるお客さんに税理士の人がいて、その人がやってくれるって」
「言っとくけど社会保険も手続きいるわよ」
「それも社労士の先生が助けてくれるって」
「はー、愛され体質ね全く……っていうかこの額なら結構税金で持ってかれるわね……」
「実は議員の先生が頑張ってくれるみたい」
「あんた何? 今から芸能界来る?」
まさかの才能を発揮し、あっという間に1000万プレイヤー目前の氷室先輩。
こんなところにあると思わなかった手打ちそばをチュルチュル啜りながら眺めていると、白山くんが私に耳打ちした。
「……ね、黑谷ちゃん。これ何が起きてるの? わたしパンケーキのおかわり食べてたから分かんなくて……」
「氷室先輩が図書研から解き放たれた結果溢れ出るハーレムパワーが偉い人を惹きつけてる感じかな」
「え、大丈夫? そういうのって妬まれちゃったりしない?」
「流石に大丈夫だと思うんだけど……」
そんな時に鳴るノック。
「ちょっと待って」と駕籠野先輩にノンアルシャンパンを注いだ後、部屋のドアを開けた。
「アイちゃん、今大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ、ミツキ先輩」
「良かったぁ。これベリーちゃんから! 良かったらお友達と食べて〜、って! こっちがボクね! 揚げたてほやほや!」
「あざっす、嬉しいです」
「もしかしてキャストの方ですか?」
「はい! バイトのミツキです! もうアイちゃんめっちゃくちゃ期待してる、っていうかもうウチのウルトラスーパーエースなんで! 初めてみたいですし、みんなで支えてバシバシ稼ぎまくってもらいます!」
うん、本音100%。
大丈夫だよ、と白山くんに目配せすると彼女は安心したようだった。
で、貰ったのはホールのフルーツタルトとバケットに盛られたカラフルな一口チュロス。
相当愛されている。
まさかの同僚にも愛されている。
というかまさか、氷室先輩って……
「……ねえ黑谷ちゃん」
「うん、多分……」
「あのフェロモン、まさか男特攻……?」
三人の視線が、タルトの切れる女装少年に向けられた。
全く関係ない白山くんのお父さんのヒミツ:コンパニオンの誘いが来ててヤバい
全く関係ない白山くんのお母さんのヒミツ:その気になれば某インフィニットな兵器も作れるらしい