TSして承認欲求爆発しちゃった俺がガチ全能系クラスメイトに愛されて幸せになっちゃうまで   作:あるふぁせんとーり

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第9話「お母様、混紡の僕を恥ぢてゐらつしやいますか」

「あ〜♡お風呂さいっこ〜♡」

 

 

 白い湯気の昇る露天風呂。

 

 俺はフェイスタオルを頭に乗せ、温かいお湯に浸りながら声を漏らした。

 

 隣では長い髪をお団子にまとめた黑谷ちゃんがちゃぱちゃぱと波を立てて遊んでいる。

 

 休日ということで人はそれなりにいて、話し声もちらほらと聞こえてくるような感じの雰囲気がなんとも心地良い。

 

 

「お風呂はいいね。お風呂は身体を癒やしてくれる。人の生み出した文化の極みだよ」

 

「白山くんが第17使徒みたいになっちゃった」

 

「旧劇場版基準だ」

 

 

 柔らかくて温かいお湯に手足を浮かせてるだけでもりもり回復していくHP。

 

 俺が超絶美少女であるという事実による他者からの承認は心は癒やしてくれるものの流石に物理的な肉体の疲労までは回復してくれない。

 

 

「まあそんなのぶら下げてたら肩も凝って当然だしね」

 

「ナチュラルにセクハラに移行するな。あと俺の胸にタオルを乗せるな」

 

「あれ、ダメだった?コミカライズした時に隠しやすいようにしてたんだけど」

 

「時々ほんと意味わかんないこと言うよね黑谷ちゃん」

 

 

そんなことを話しているとふと小さな疑問が沸いて、俺は彼女に尋ねた。

 

 

「黑谷ちゃんってさ、魔法でなんでもできる割にはなんでもやろうとしないよね。なんで?」

 

「だってつまんないでしょ?クッキークリッカーで管理者モードを開くのは簡単だけど、それでクッキーを焼いたって何も楽しくない。絶対的なチカラなんて遊び心程度にしておくのが丁度いいんだよ」

 

「へえ。思ったよりもちゃんとした理由。……俺の太もも撫でながらじゃなかったらもっとちゃんとしてたんだけど」

 

「ふふっ、それもそうだね」

 

 

 一切反省の色を見せることなくクスクスと笑う黑谷ちゃん。

 

 このやり取りさえ彼女にとってはそういう遊びでしかないのかと少し腹が立つ反面、本気で楽しくなきゃ今一緒にいるはずもないと考えるとあまり悪い気もしない。

 

 

「っていうか、それについてはもっとシンプルだよ。理由がどうであれ、素性がどうであれ、私は本気であなたのことが好きなんだから」

 

「それって、告白?」

 

「どっちがいい?選んで良いよ、白山くん」

 

「どっちだって変わんないだろ。どうせ明日も明後日も一緒にいるんだから」

 

「……ふふっ、あははっ、ホント、月は人をロマンチックにするね。……うん。そんな君が大好きだよ。白山くん」

 

 

◇◇◇

 

 

「え、ほんとにいいの……?ほんとにいいんだよね……!?♡ほんとのほんとなんだよね……!?♡♡」

 

「あ、せっかくいい話になろうとしてたのに」

 

 

 待って。

 

 まって♡

 

 手ぇ震えてる♡

 

 頭ゾクゾクする♡

 

 身体きゅんきゅんしてる♡♡

 

 

「やっばぁ……♡黑谷ちゃんの歯ぁえっぐ……♡こんなに整ってるのに♡こんなに獣じみてて♡やば、指触れたら切れちゃうじゃんこんなの……♡」

 

「対象年齢上がりかねないハートの付き方してるね白山くん」

 

 

 密猟者が出かねないくらいの完璧なそれに疼いて仕方ない俺の乙女回路。

 

 どんなフィクションよりも理想的で扇情的。

 

 こんな歯、一生涯費やしても見つからない確率のほうが遥かに高いだろう。

 

 正直に言って、俺は今までのどんな瞬間よりも彼女に惹かれていた。

 

 

「じゃ、じゃあ……磨く、から……♡」

 

「うん、いいよ」

 

 

 そう言ってへにゃんと女の子座りをした黑谷ちゃんの前に膝立ちになり、彼女の小さな顎に手を触れる。

 

 そして俺はミント風味の歯磨き粉を乗せた歯ブラシを、そっと彼女の口へと挿れた。

 

 

「大丈夫?痛くない?」

 

 

 自分の中のゾクゾクを必死にこらえながら、俺は血が出ないようにゆっくり手を動かす。

 

 どこをどう取ったって完璧だけれど、やっぱり最高なのはその犬歯。

 

 八重歯というわけではなく、単に長くて、単に鋭い。

 

 たったそれだけの、肉を上手く噛み裂くことに秀でただけの形。

 

 なのにそれは、俺の心を堪らなく奪って仕方ないのだ。

 

 

「ふふっ、歯磨き上手だね。白山くん」

 

 

 けど、そんな時間はあっという間に過ぎ去ってしまって、黑谷ちゃんはとろとろっと垂らすように、唇の隙間から歯磨き粉を吐いた。

 

 

「……あのさ、黑谷ちゃん。……後でもう一度だけ、磨かせてくれない?我慢、出来ないから……」

 

「えー、どうしよっかな」

 

「磨かせてくれるなら……布団、同じでもいいよ」

 

 

 自分でも分かるくらい頬を赤くして、最低な取引条件を持ち出してまで必死に懇願する俺。

 

 有り得ないくらい、感情のコントロールが効いてない。

 

 そんな言葉を聞いて、黑谷ちゃんはいつものようにクスッと笑った。

 

 

「これ、本当に歯磨きの話だからね?」




みなさんたくさんの反応ありがとうございます!
ギアをちょっと上げていきたいと思うので引き続きよろしくお願いします!
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