TSして承認欲求爆発しちゃった俺がガチ全能系クラスメイトに愛されて幸せになっちゃうまで   作:あるふぁせんとーり

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第35話「いつもの平和な帰り道」

「黑谷ちゃん黑谷ちゃん」

 

「何?」

 

「期末どうだった?」

 

「控えめに言ってオンパロスかな」

 

「そっか」

 

 

 期末テストも返却され、いよいよ迫りくる夏休み。

 

 常時サウナ水風呂抜きといった信じられないくらいの暑さの中、私達は帰り道を歩いていた。

 

 

「最近、白山くんずっと日傘差してない?邪魔じゃないの?」

 

「邪魔だよ?でも太陽は美肌の天敵だから」

 

「半年前は絶対考えてないよね、そんなこと」

 

「そりゃね。……っていうか、黑谷ちゃんこそ日焼け対策全くしてなくない?大丈夫?」

 

「うん。私日焼けしないし」

 

「……は?」

 

「だってそうでしょ?過去改変も未来予知も出来るのに紫外線とか効くわけ無いじゃん」

 

「言われてみれば確かに……うぐぅ……いいなぁ〜〜!!」

 

「じゃあ白山くんも使ってみる?」

 

「え!?いいの!?」

 

「いいよ。はい」

 

 

 そう言って彼女はぱぁん、と乾いた拍手をする。

 

 私は大喜びで日傘を投げ捨て、ちょっと後悔して慌てて回収した。

 

 

「黑谷ちゃん最高!黑谷ちゃん最高!」

 

「黑谷ちゃんの悪魔だ」

 

「それ黑谷ちゃんじゃん……で、そうだ。来週さ、図書研の合宿あるじゃん」

 

「あるね。よく考えたら合宿が必要な部活じゃないけど」

 

「あれ、ゲーム持ってっていいらしいよ。だから甘神ちゃんが「エアライダーしよ」って」

 

「え、やるやるエアライダー。理論値マルク見せてあげる」

 

「おっけー、じゃあわたしも持って──」

 

「すいません、ちょっといいですか?」

 

 

 いつものようにコンビニに寄ろうとしたところで、わたし達は唐突に声を掛けられた。

 

 見ると、にこにこ顔のおばさんとガタイのいい男2人と、ひょろっとしたおばあさんの4人。

 

 なるほど、悪い予感がするなと思って僅かに後退りしたところで、わたしは肩をガっと掴まれた。

 

 

「お姉さんたち、今悩みってあったりします?」

 

「悩み?そりゃ生きてるなら色々ありますけど……」

 

「そうですよねそうですよね!私たちそういう人の力になる活動をしてまして!」

 

「あ、なるほど、でも急いでるので──」

 

「まあそう言わず!」

 

 

 やばい、ヤバいタイプの宗教勧誘だ。

 

 絶対逃げたほうがいいと思って話を切り上げようにも、今度はガタイのいいやつが背後からわたしの両肩を掴む。

 

 やたらと高そうな時計が3時丁度を指している。

 

 やば、どうなる、まって、わかんない。

 

 そんな時ふと黑谷ちゃんの顔を見ると、今までにないくらい、わけわかんないくらいの一切の感情を失った虚無顔で彼らを見ていた。

 

 

「ねえ、ちょっといい」

 

「はい!なんですか?」

 

「そっちが言う「神」って、何が出来るの?」

 

「もちろん、信仰さえあれば不可能はありません!人の願いに応えるのが神なのですから!」

 

「そう。じゃあ生死も自由自在ってわけ?」

 

「当然です!全ての人間は死後神の前に連れられ、そこで生き返るか、永遠の死かを選び、輪廻転生を繰り返すのです!実際私共の預言者である──」

 

 

 おばあさんがそこまで言いかけた途端、私の肩を掴んでない方の大男がバタリと倒れた。

 

 

「ひ、ひぃっっ!!?」

 

「叫ばないでよ。神に会いに行ってるだけでしょ?……ねえ、あなたって身内は生きてる?」

 

「お、夫と、小学生の子供が……」

 

「そう」

 

 

 次の瞬間、おばさんのスマホがけたたましく鳴り響いた。

 

 

「……は、うそ!?私の、私のミズキが!?ええ、ええ、すぐ行きます!!すぐ行きますから!!!」

 

「駄目だよ。離れたら」

 

「な……な……!?」

 

「ねえ、あなたはどう?去年、お父様を亡くしたんだね」

 

「え、ええ……そう、ですが……」

 

「こんな人?」

 

 

 黑谷ちゃんが問いかけたその瞬間、コンビニから一人の老人が退店する。

 

 それを見て、おばあさんは崩れ落ちた。

 

 

「じゃ、最後はあなただね」

 

「ご、ごめんなさい……!ごめんなさい……!」

 

「喋らないで。「口」、ないでしょ?」

 

「──、──!────」

 

「離さなくていいよ。あなたは何も掴んでない。「腕」がないんだから」

 

「──?」

 

「ああ、そうだった。「脚」もないし「目」もない、「耳」も「鼻」もなかったね」

 

「    」

 

「おっと、「脳」もないんだっけ。でも大丈夫だよ」

 

 

 

「「あなた」はもうないんだから」

 

 

◇◇◇

 

 

 ……あれ、何があったんだっけ。

 

 わたし、何かに絡まれて……

 

 

「ほら、コンビニ寄るんでしょ?まだ2時50分くらいだし、一番くじ残ってるんじゃない?」

 

「あ、そうだった!わたしどうしてもウルトラソード欲しいから、TS症の補助金突っ込むんだ〜!」

 

「そっか、いいね。……あと、ちょっと謝っとくね。さっきはごめん。でも安心して。あの人達は殺してない。ちょっと過去を弄って、人生を変えただけ。今より少し苦労してるけど、それは白山くんに手を出した罰ってことで」

 

「……何、またわけのわかんないこと言ってる。……あ、それより一番くじガッツリ残ってる!やった〜!」

 

「いいじゃん。良かったね、白山くん」

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