TSして承認欲求爆発しちゃった俺がガチ全能系クラスメイトに愛されて幸せになっちゃうまで   作:あるふぁせんとーり

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閑話「黑谷家・23年後」

 前略。

 

 ウチらには何故かママが2人いる。

 

 いや、片方は便宜上パパって呼んでるけど、ともかく、両親がどっちも女の人ってこと。

 

 まあ同性婚なのは間違いないんだけど、そうなると一つ、すごく不思議な点が浮かぶ。

 

 ウチ、タマモとお姉ちゃんのミコは二卵性双生児……あんまり似てないタイプの双子なんだけど、どっちもどっちもにめちゃくちゃ似てるってこと。

 

 ママはふわっとした黒髪に茶色の瞳、どたぷん、童顔と日本人の上澄みの限界みたいな美少女なのに対して、パパは日本人……というか現実離れした水色のロングヘアに緑色の目、手足の細長いスレンダー体型と最近のソシャゲみたいなフィクション美人。

 

 そしてウチら。

 

 ウチは染めてる金髪の下はママに近いけど青みの掛かった黒髪にきゅるるん童顔、緑がかった瞳で身体はスレンダー、タマモはだいぶ明るい茶髪に同じく明るい緑目、顔は美人系で、体格はママ譲りのばるんばるん。

 

 よくもまあ両親のそれぞれいいとこばっか被らず引き継いだなって感じだけど、問題はそこじゃない。

 

 同性婚……つまり、ウチのパパとママじゃ子供は出来ないはず。

 

 色々法律関連も邪魔してくるし、そもそも、生物学的に。

 

 それこそ魔法なんてファンタジーにでも頼らない限りママがウチらを産むことなんて出来るはずがない。

 

 なのに現実としてウチとミコが産まれた直後の写真はアルバムに入ってるし、法律的にも実子、ちゃんと嫡出子として認められてるっぽい。

 

 なんか20年以上前にママと、ついでにママのパパがTS病に罹ったらしいけど、それとこれとは話が完全に別。

 

 同性婚で子供が出来るの、ぶっちゃけ意味分かんない。

 

 まあ意味分かんないので、ウチらは10歳を過ぎる頃には考えるのを止めた。

 

 

「あれ、タマモ、また考え事?」

 

 

 考え事を中断したタイミングで、一緒に泡風呂に浸かってるミコが声を掛けてきた。

 

 

「いやさ〜、うちってなんか変な家庭だな〜、って思って」

 

「まあ、だいぶ例外は多い……よね。でも甘やかしてくれるから大好きだよ、私」

 

「そりゃそう。ウチらありえんくらい甘やかされてるし」

 

 

 パパは日本を代表するような、誰でも名前は絶対知ってるめちゃめちゃでっかいグループ会社のトップ。

 

 最近だとサラブレッド買ったりして、そっちでも結構すごいことになってるらしい。

 

 そんなパパは若い頃からママにデレデレ、お小遣いやら何やらを貢ぎまくってたらしいが、その甘やかし体質は娘のウチらにはますます強烈だった。

 

 小さい頃から欲しいものはなんでも買ってもらったし、なんでも手に入ったし、なんなら欲しいってレベルじゃないし身の丈に合わないのも分かってる、ちょっと見てただけの宝石さえ仕事帰りに寄って買ってきてくれるほど。

 

 ここまで与えられると流石に自制心というのが一周回って育つレベルで、多少パパに毒されてたとはいえまだ庶民寄りのママなどの影響もあり、ウチらは何とかギリギリ世間には出れるような温室育ち、ぐらいには収まったと自認してる。

 

 

「タマモタマモ、タマモが今まで買ってもらったものとか、パパが買おうとしてたので一番ドン引きしたのって何?」

 

「あ〜……あ、あれなかった?昔テレビに出てた飛行機。ママが「これカッコいいんだよね〜」とかって言ってたらその場で電話しだしたやつ」

 

「あ〜、あったあった。私はあれだよ、推しの選手の起用法がヘタクソだからって球団買おうとしたやつ」

 

「ママが必死に止めてたやつだ。あれは……8年前だっけ?」

 

「うん、そうかな。私が初めてギター買ってもらった時だし」

 

「そっか……っていうかミコちゃんそんな続けてるんだ。だいぶ上手くなったもんな〜……」

 

「まあね。最近、ライちゃんに誘われてさ。「本気でデビュー目指さない?」って。ふふっ、青春みたいだね」

 

「へ〜、受けるの?」

 

「もちろん。大体のことが上手くいくって、そういう星の下に生まれてるのが私、この黑谷ミコだもん」

 

「あっは、その自信ほんとパパそっくり」

 

 

 いつものマイペースな調子ながら、超ド級な胸に手を当ててドヤッとした顔をするミコ。

 

 その得意げな表情と同タイミングで、お風呂のドアの奥からママの声が聞こえた。

 

 

「タマモ〜、ミコ〜、そろそろじゃがバタ出来るよ〜!早く来た子には明太子もたっ〜ぷり乗せてあげる!」

 

「ミコすぐあがりま〜す!」

 

「タマモも今行きま〜す!」

 

 

 ウチらは大急ぎでお風呂を上がり、濡れた髪を乾かしながら、明太マヨをこれでもかと乗せたあっつあつのじゃがバタを頬張った。

 

 丁度そのタイミングで、声が響いた。

 

 

「セイく〜ん!ミコ〜!タマモ〜!取引先から美味しいわらび餅もらった〜!!」

 

「先にただいまでしょ?アメちゃん」

 

「じゃあ、ただいま〜♡」

 

「タマモタマモ、倦怠期って知ってる?」

 

「うちには無いんじゃない?マジで」




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